飢餓

飢餓・食糧問題に対し日本が行っている取り組みとは?(2019年度版)

  • 2019年12月25日
  • 2020年4月30日
  • 飢餓

飢餓や食糧についての問題は今の世界にとって解決すべき課題として注目され、様々な取り組みが行われています。
日本でもこの問題に対しての施策が講じられていますが、ODAを通じてアジアやアフリカなど多くの地域での支援活動や国際機関へ拠出しています。

この記事では日本の具体的な取り組みについて紹介します。

飢餓とは?原因や世界の現状を知り、私たちにできることを考えよう

年間約50万人が参加、
累計2億円の支援金額を達成!

「ちょっといい明日づくり」に挑戦する私たちgooddoと一緒に、まずは無料で社会支援をしてみませんか?

この無料支援は、「世界中の子どもたちの命と健康を守る」ために活動している「公益財団法人 日本ユニセフ協会」に10円の寄付として贈られます。

飢餓・食糧不足が深刻な国は?


実際に飢餓や食糧についての問題が深刻な国はどこでしょうか。
2018年のハンガーマップを基に、栄養不足の人口割合を地域ごとに分類し、それぞれの割合の範囲で該当する国名をまとめました。
ハンガーマップは国連世界食糧計画(国連WFP)が発表している世界地図で、世界の飢餓状況を栄養不足人口の割合により色分けして表現されています。

 

栄養不足の人口の割合地域国名
35%以上東アジア北朝鮮
アフリカマダガスカル
北アメリカハイチ
25-34.9%東南アジア東ティモール
南アジアアフガニスタン
西アジアイエメン
アフリカモザンビーク
15-24.9%東アジアモンゴル
東南アジアカンボジア
南アジアバングラデシュ
アフリカエチオピア
南アメリカボリビア
北アメリカニカラグア
5-14.9%(ヨーロッパ)バヌアツ
東南アジアインドネシア
東アジア中国
南アジアインド
中央アジアキルギス
西アジアオマーン
アフリカ南アフリカ
ヨーロッパセルビア
南アメリカパラグアイ
北アメリカドミニカ国

サハラ以南のアフリカの多くの国で栄養不足の人々の割合が多いことが分かります。国によって割合に違いはありますが、そのほとんどが深刻な飢餓状態に陥っています。

先進工業国のほとんどは5%未満となっていますが、中国は5~14.9%の割合で栄養不足の人がいるというデータもあります。
中国は世界第1位の人口を誇る一方、都市部と農村部で貧富の差が激しく、都市部での豊かな生活を送る人と農村部では飢餓状態に陥っている人がいることから、割合が増えています 。

  • 飢餓や食糧についての問題が深刻な国は、サハラ以南のアフリカの多くの国
  • 先進工業国のほとんどは栄養不足の人口が割合が5%未満
  • 中国は世界第1位の人口を誇る一方、豊かな都市部と飢餓状態の農村部の差が激しく、栄養不足の人口の割合が増えている

(出典:WFP「ハンガーマップ2018」,2018)

(出典:財務省「中国における格差」,2019)

日本はODA(政府開発協力)で世界の国々を支援


日本はODA実績が高い国として世界に知られています。
ODAとは「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」を行うために支出される公的資金のことを言います。
政府開発援助(Official Development Assistance)の略称であり、開発途上国や国際機関に対して資金や技術提供を行います。

日本は公的資金として様々な国際機関へ拠出しています。

具体的な機関や支援は後述しますが、2019年の一般会計でのODAの予算が政府全体で5,566億円が計上され、前年よりも27億円増と増額されるほど、ODAによる支援に力を入れています

  • 日本はODA実績が高い国である
  • ODAとは、「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」を行うために支出される公的資金
  • ODAとは政府開発援助(Official Development Assistance)の略称であり、開発途上国や国際機関に対して資金や技術提供を行う

(出典:外務省「開発協力,ODAって何だろう」,2016)

(出典:参議院常任委員会調査室「平成 31 年度政府開発援助(ODA)予算」,2019)

飢餓・食糧問題に対し拠出を通じた協力・支援


日本はODAにより飢餓や食糧問題に対して開発途上国政府に拠出するのではなく、国際機関へ拠出することで支援を行っています。
支援事業を通じて、開発途上国の農業や人材育成などに協力して、積極的に食糧問題に取り組んでいます。

国連世界食糧計画(WFP)へ拠出金を供与して支援

WFPへの拠出金を供与したODAも実施されています。
日本が出した拠出金はWFPの活動資金となります。直接的に貧困国や飢餓で苦しむ国へ拠出することもできますが、必ずしも飢餓に苦しむ人々に使われるとは限りません。
適切な食糧支援ができる機関に拠出することで、飢餓に苦しむ人々を支援しようというのが日本の支援方法です。

2018年までに日本はWFPに1億3000万ドル(約142億)の拠出金を出しています。
この拠出金は様々な支援に用いられています。

シエラレオネでは水田の整備に使われ、イエメンやバングラデシュでは緊急食糧支援に活用されました。

(出典:WFP「日本政府、27か国に国連WFPを通じて多額の食糧支援」,2015)

(出典:WFP「日本と国連 WFP」,2018)

緊急食料支援

飢餓の原因となる干ばつや洪水などの自然災害、紛争は突然起こるものです。
急に被害にあった人々や難民となった人々は食糧不足に陥ります。
食料不足になったときに国の支援が不十分であることや、全く機能しないことがあるため、緊急食糧支援は必須と言えます。

緊急食糧支援で飢餓状態が完全になくなるわけではありませんが、飢餓状態を一時的にでもしのぐことができ、生活向上や農産物の増産、生活基盤作りなどの次につながる行動に移ることができます。
飢餓や栄養不良状態は生きる気力を奪い、改善のための行動すら起こせなくなってしまいます。
(出典:WFP「支援活動の柱」)

自立支援

緊急食糧支援による飢餓の解消も自立支援につながりますが、それ以外に生活基盤を作り上げるためのインフラの整備も自立支援になります。
道路や井戸、かんがい設備などの建設や修復工事を行うことで、飢餓状態に苦しむ人の自立につなげることができます。

またこれらの整備をする際、現地の人々に労働を呼びかけ、協力してくれた現地の人には食糧や現金の配給などの支援も行われます。
(出典:WFP「支援活動の柱」)

災害に強い地域社会の構築

気候変動や環境悪化、それに伴う水不足、感染症の蔓延、急激な人口増加など様々な要因が重なり飢餓は深刻化していきます。
紛争や政情不安などのショックとストレスも、世界に甚大な悪影響を及ぼす可能性もあります。

あらゆる環境の変化が訪れても崩れず、ショックやストレスの影響も受けにくい災害に強い地域社会を構築することも飢餓への支援です。
人道支援機関が強い地域社会作りの視点を取り入れ、災害後であってもより良い社会を再建できるような社会にする必要があります。

(出典:WFP「災害に強い地域社会の構築」)

学校給食支援

学校給食は子どもたちの栄養状態や健康の改善に結びつきます。
給食があることにより出席率や成績向上にも繋がるデータも得られているため、学校給食支援も必要な支援方法として確立されています。

(出典:WFP「支援活動の柱」)

母子栄養支援

飢餓において、母子の栄養不良も深刻な問題となっています。
妊産婦の栄養不良は、生まれてくる子どもにも影響し、栄養不良状態となります。
出産や授乳にも多大なエネルギーが必要となり、新生児ともども栄養不良だと命を落とす可能性もあります。

飢餓の改善には母子の栄養支援も大切です。
飢餓地域では母子が最も飢餓にさらされやすい実態もあり、緊急支援と復興・開発支援のいずれにおいてもこの層に対しての栄養支援や産後ケアの支援などが必要です。

(出典:WFP「支援活動の柱」)

国連食糧農業機関(FAO)への拠出金を供与

日本はFAOへの拠出金を供与して支援を行っています。
2019年3月にはFAOの活動に対して約1026万米ドル(約11億円)の追加拠出を行いました。

この拠出金は中東、北アフリカ、アジアにおける19の人道・開発プロジェクトに活用されています。
食料安全保障と栄養の促進、社会・環境・経済的危機の影響を受けた地域での生計の回復と強化、持続可能な農業の実践、資源管理および生産性の促進などの支援を行っています。

(出典:FAO駐日連絡事務所「日本政府はFAOに対する多大な追加支援を決定」,2019)

その他の国際機関

その他の国際機関にも飢餓や食糧に関する支援を行っています。その機関が「国際稲研究所(IRRI)」、「国際熱帯農業センター(CIAT)」、「国際とうもろこし・小麦改良センター(CIMMYT)」です。

農業生産環境の変化に適応した持続可能な農業栽培技術の開発において、この3機関へ拠出を行っています。
国際農業研究機関へ資金を拠出することにより、途上国の農家が実施可能で、農業環境変化に適応した持続可能な農業栽培技術の開発を支援することを対策のポイントとしています。
それぞれどのような事業なのか、内容などを紹介します。

国際稲研究所(IRRI)

この機関国際稲研究所(IRRI)では、「気候変動に対応した天水稲作における生産性向上システムの開発」を行っています。
開発済みの栽培技術や優良水稲品種を用いた生産性向上システムの研究開発が進められています。

現在起こっている気候変動の影響を受けやすいアジアやアフリカの天水稲作地帯において、二期作を実現する栽培システムを構築し、食糧不足が深刻であるアフリカの国々へ展開することを目的としています。

国際熱帯農業センター(CIAT)

「農業温室効果ガス削減のための栽培管理システム及び作物の開発」を進めているのが、国際熱帯農業センター(CIAT)です。

開発済みの高BNI能牧草と、日本のAIとIoT技術を組み合わせたGHGの発生を抑制した効率的な栽培管理システムを構築しています。
またGHGの発生を抑制するイネの品種を開発することで、地球温暖化などの原因を抑制する研究です。
ちなみにBNI能とは生物的硝化抑制(Biological Nitrification Inhibition)の略称で、植物自身が根から物質を分泌し硝化を抑制すること、GHGとは温室効果ガス(greenhouse gas)の略称です。

国際とうもろこし・小麦改良センター(CIMMYT)

国際とうもろこし・小麦改良センター(CIMMYT)は、「高度生物的硝化抑制(BNI)コムギによる窒素施肥量削減と環境保全」の研究を行っています。
高BNIコムギ系統を利用した新品種を育成するとともに、BNI能に関与する新たな遺伝子を特定し、施肥量・GHG排出量を大きく削減できる可能性をもつ集積系統を作出することを目的としています。

  • 日本はODAにより飢餓や食糧問題に対して開発途上国政府に拠出するのではなく、国際機関へ拠出することで支援
  • WFPとFAOへ拠出金を供与
  • 「国際稲研究所(IRRI)」、「国際熱帯農業センター(CIAT)」、「国際とうもろこし・小麦改良センター(CIMMYT)」に対して飢餓や食糧に関する支援

(出典:農林水産省「平成31年度ODA予算等概算決定の事業概要」)

(出典:農林水産省「農業生産環境の変化に適応した持続可能な農業栽培技術の開発」)

農業分野の技術協力


日本は、長年培ってきた農業の知識や技術を活かした農業分野の技術協力を行っています。

アジアやアフリカに向けて行っている事業は、「開発途上国における世界農業遺産人材育成事業」と「アフリカ農業統計人材育成による世界戦略支援事業」です。

開発途上国における世界農業遺産人材育成事業

開発途上国における世界農業遺産人材育成事業では、持続可能な農林水産業の推進やコミュニティの保護、強化に資する世界農業遺産(GIAHS)の普及啓発と人材育成を通じ、開発途上国の貧困の削減を図ることを目的としています。

目的実現のために持続可能な農林水産業の推進や、コミュニティの保護や強化、開発途上国で貧困の削減を図るに資する人材育成の推進が行われています。

(出典:農林水産省「開発途上国における世界農業遺産人材育成事業」)

アフリカ農業統計人材育成による世界戦略支援事業

アフリカ農業統計人材育成による世界戦略支援事業は、持続可能な開発目標(SDGs)の指標の整備に必要な信頼性の高いデータ収集や分析をアフリカで実施することにより、農業統計担当者の人材育成を図ることを対策のポイントとしています。
またICTを用いたデータ収集手法を開発することで、国際的な取組に貢献することも目的としています。
国際的な取組に貢献できる統計担当者の人材育成のため、農業統計担当職員の研修を実施しています。
さらに効率化や正確性向上のため、ICTを用いたデータ収集方法の開発も行っています。

  • 日本がアジアやアフリカに向けて行っている事業は、下記2事業
  • 開発途上国における世界農業遺産人材育成事業
  • アフリカ農業統計人材育成による世界戦略支援事業

(出典:農林水産省 「アフリカ農業統計人材育成による世界戦略支援事業」)

(出典:農林水産省「平成31年度ODA予算等概算決定の事業概要」)

飢餓・食糧問題に対して日本が行っていることを知ろう


日本は世界の飢餓や食糧問題に向けた取り組みを長い間行ってきました。
WFPやFAOをはじめ、様々な国際機関への拠出や支援などを行うことで、現在の飢餓や食糧についての問題を解決できるように取り組んでいます。
日本だけでなく世界各国がこの問題に取り組んでいますが、日本に住む私たちは母国が行っている取り組みについて知ることも大切です。
日本が行っている支援を知り、国民として、私たちにもできることを考えてみてはいかがでしょうか。

年間約50万人が参加、
累計2億円の支援金額を達成!

「ちょっといい明日づくり」に挑戦する私たちgooddoと一緒に、まずは無料で社会支援をしてみませんか?

この無料支援は、「世界中の子どもたちの命と健康を守る」ために活動している「公益財団法人 日本ユニセフ協会」に10円の寄付として贈られます。

動画はこちら
この記事を書いた人
gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。

- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿