大気汚染

大気汚染

大気汚染による健康被害は社会問題にも。人体への影響や症状を知ろう

大気汚染は深刻な環境問題として世界中で対策が進んでいます。それは環境を破壊するだけでなく、私たち人間の健康にも重大な被害を及ぼすためです。
大気汚染は実際にどのような影響を及ぼし症状が現れるのか、この記事で紹介します。

大気汚染の原因や人への被害につて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>大気汚染は生産・消費活動が原因の可能性も?人に及ぶ被害や影響について知ろう

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大気汚染は世界で大きな問題となっている

大気汚染 車

大気汚染は現在の世界において深刻な環境問題となっています。
世界保健機構(WHO)の報告によれば、微小粒子状物質(PM2.5)などによる大気汚染が世界中に拡大を続けており、世界人口の約90%が汚染された大気の下で暮らしているため、健康被害のリスクがあると指摘しています。

実際に肺がんや呼吸器疾患などにより2019年時点で年間約880万人が死亡していると発表されました。
大気汚染による死亡者は特に低・中所得国が集中するアジアやアフリカを中心としており、全体の90%以上を占めています。

日本や欧州、北米などの高所得国は、汚染度は低いとしたものの、中東や南アジアではPM2.5やPM10がWHO基準の5倍を超えた国が目立つなど、汚染度が高いとされています。
このような状況から早急な対策を取らなければ、世界の持続的な成長は困難になるとWHOのテドロス事務局長が警告するほど、大きな問題となっています。

  • 世界保健機構(WHO)の報告によれば、微小粒子状物質(PM2.5)などによる大気汚染が世界中に拡大を続けている
  • 世界人口の約90%が汚染された大気の下で暮らしている
  • 肺がんや呼吸器疾患などにより2016年時点で年間約700万人が死亡している

(出典:世界保健機関(WHO)「大気汚染と子供の健康に関する報告書」,2018)
(出典:日本WHO協会 WHOファクトシート「環境大気(屋外)の質と健康」,2018)

大気汚染による健康被害

マスク 人

大気汚染での死亡者は世界で増加しています。このまま対策を講じなければさらなる被害拡大は免れません。
日本でも高度経済成長期には大気汚染による集団ぜんそく障害「四日市ぜんそく」が起こりました。現代の大気汚染による死亡者数ほどではないものの、四日市ぜんそくで多くの死者を出しています。
大気汚染は様々な物質によって発生しており、人体にも悪影響を及ぼすものばかりです。
ここからは大気汚染物質による健康被害について紹介します。

硫黄酸化物(SOx)

硫黄酸化物は石油や石炭などの化石燃料が燃える際に発生します。高度経済成長期に大気汚染を進行させた物質であり、酸性雨の原因にもなっています。
現在は濃度が減少していますが、人体に入ると気管支炎やぜんそくの原因となります。
四日市ぜんそくも石油コンビナートから、硫黄酸化物が排出されたことにより引き起こされています。

窒素酸化物(NOx)

硫黄酸化物の抑制に変わって大気汚染の主な原因となったのが、窒素酸化物です。これも燃料を高温で燃やすことにより発生します。
工場や火力発電所だけでなく、自動車や家庭からも発生することから、現在も排出ガス規制などにより排出量を減らす取り組みが行われています。
高濃度の二酸化窒素を吸引することで、喉や気管、肺などの呼吸器に悪影響を与えると言われていますが、詳しい作用はまだ分かっていません。

光化学オキシダント(Ox)

光化学オキシダントは、窒素酸化物や揮発性有機化合物が紫外線を受けることで化学反応を起こして生じる物質です。
高濃度の光化学オキシダントは目の痛みや吐き気、頭痛などを引き起こします。

粒子状物質(PM)

工場などから出るばいじんや、鉱物の堆積場などから発生する粉じん、ディーゼル車の排ガスに含まれる黒鉛、土ぼこりなどマイクロメートルの大きさの固体および液体の粒を指すのが粒子状物質です。
高度経済成長期には洗濯物や室内の汚れなどの被害が発生しており、高濃度の粒子状物質を吸引すると呼吸器疾患やガンなどを引き起こす可能性があると考えられています。

浮遊粒子状物質(SPM)

粒子状物質のうち、粒径が10マイクロメートル以下のものが浮遊粒子物質と呼ばれます。
吸引すると肺や気管に吸着しやすく、呼吸器に悪影響を与えるだけでなく、ガンや花粉症などのアレルギー疾患にも関連があると指摘されています。

微小粒子状物質(PM2.5)

浮遊粒子状物質の中でも、粒径が2.5マイクロメートル以下のものを微小粒子状物質と呼びます。
さらに小さくなったことで肺の奥まで入りやすく、呼吸器疾患だけでなく、肺ガンなどを引き起こすリスクがあると言われています。

アスベスト

アスベスト(石綿)による健康被害と言われているのが中皮腫です。この患者は年々増え続けており、2017年には中皮腫で死亡した人が国内で1,555名にものぼると報告されています。
中皮とは細胞が分化して組織が発生していく過程でできる細胞の1つであり、この中皮細胞から発生するガンが中皮腫と呼ばれています。

  • 大気汚染での死亡者は世界で増加している
  • 硫黄酸化物は石油や石炭などの化石燃料が燃える際に発生し、高度経済成長期に大気汚染を進行させた物質である
  • マイクロメートルの大きさの固体および液体の粒を指すのが粒子状物質であり、粒径が10マイクロメートル以下のものが浮遊粒子物質と呼ばれ、浮遊粒子状物質の中でも、粒径が2.5マイクロメートル以下のものを微小粒子状物質という

(出典:環境再生保全機構「主な大気汚染物質と人体への影響」)
(出典:環境再生保全機構「アスベスト(石綿)による健康被害の実態」)

大気汚染防止に対する取り組み

排気ガス

大気汚染による健康被害は深刻な状態です。それは日本だけでなく、世界全体で問題となっており、対策が急がれています。

日本でも明治時代から大気汚染が続き、高度経済成長期には四日市ぜんそくを皮切りに大きな問題となったため、様々な対策が行われてきました。

当時の大気汚染は硫黄酸化物を中心とした産業型大気汚染であったことから、その対策が着実な進展を遂げており、これには大気汚染防止法の制定が大きく関わっています。

1970年代には大都市を中心とした都市・生活型大気汚染に変遷していき、工場や事業所だけでなく、年々増加した自動車、特にディーゼル車から出る窒素酸化物や浮遊粒子状物質が原因となり、対策が必要となりました。

そのため自動車の排気ガス削減に関する取り組みやEST(環境的に持続可能な交通)が進められてきました。

(出典:環境再生保全機構「大気汚染防止対策(大気環境改善対策)」)

大気汚染防止法

大気汚染防止法は高度経済成長期の公害問題などを受け、それまであったばい煙規制法を強化する形で生まれた法律です。

環境基本法において、人の健康を保護し生活環境を保全する上で維持されることが望ましい環境基準が設定されており、その基準を達成することを目標に大気汚染防止法に基づいて規制を実施しています。

工場や事業場などの固定発生源から排出または飛散する大気汚染物質について、物質の種類ごと、施設の種類・規模ごとに排出基準などを定めており、大気汚染物質排出者はこの基準を遵守しなければいけません。

(出典:鹿児島市「第1章 大気汚染防止法」)

自動車の排気ガス削減に関する取り組み

自動車の排気ガス削減に向けて様々な取り組みが行われています。
交通の流れを良くするため、交差点や踏切道の整備、ETCの普及などにより、渋滞が起きにくい環境の構築や物流の効率化、公共交通機関の利用を促進することで自動車の使用頻度や交通量の抑制を進めています。

また少ない燃料で走ることができるハイブリットカーや大気汚染物質を排出しない電気自動車などのエコカー開発、普及も進められています。

(出典:環境省「大気汚染を防ぐために」)

EST(環境的に持続可能な交通)とは

EST(環境的に持続可能な交通)とは長期的な視野に立って、交通・環境政策を策定・実施する取り組みとして経済協力開発機構(OECD)が提案する政策ビジョンです。

現在の大気汚染は人の消費活動によって引き起こされているため、人々の生活そのもののあり方を変化させなければいけません。

交通のあるべき姿を示すことにより、人々の意識改革を促し、環境負担の少ない交通行動や生活様式を選択できる都市構造の創出などを行うことで、環境的に持続可能な交通を作り上げることを目的として取り組まれています。

この取り組みは地球温暖化に対して強い危機感を抱いている欧州を中心に行われていますが、日本でも取り入れられています。
その一環としてモデル都市や推進都市を選出し、次世代型路面電車システムの整備やバスの活性化など公共交通機関の利用促進、自転車利用環境の整備、低公害車の導入促進などの分野における支援策を集中的に講じるなど、連携政策を強化しています。

  • 高度経済成長期では、大気汚染硫黄酸化物を中心とした産業型大気汚染だった
  • 1970年代には大都市を中心とした都市・生活型大気汚染に変遷した
  • EST(環境的に持続可能な交通)とは長期的な視野に立って、交通・環境政策を策定・実施する取り組みとして経済協力開発機構(OECD)が提案する政策ビジョンのこと

(出典:環境省「EST 環境的に持続可能な交通」)
(出典:国土交通省「環境的に持続可能な交通(EST)」)

大気汚染による健康被害は社会的問題である

山

大気汚染による健康被害は社会的な問題として取り上げられています。世界的に見てもその被害は深刻であり、濃度が低いとされる日本でも、大気汚染による被害は実際に存在しています。

そのような被害をなくしていくためには、大気汚染を抑制していけるよう意識的に取り組む必要

があります。
現在の大気汚染の主な原因となっているのは、私たち自身の生活です。大気汚染はどのような行動が原因となっているのか、どういった影響が出ているのか、そしてどのように取り組むことで大気汚染を防止できるのかを知り、行動に移していくことが大切です。

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この記事を書いた人
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