本でもニュースなどで取り上げられていますが、数年前から中国では深刻な大気汚染が起こっています。これは隣国だけの問題ではなく日本にも影響を与えるため、重大な問題として扱われています。
中国の大気汚染を引き起こしているPM2.5とはどのようなものなのか、日本にはどのような影響があるのか、この記事で解説します。
大気汚染の原因や人への被害につて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>大気汚染は生産・消費活動が原因の可能性も?人に及ぶ被害や影響について知ろう
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中国の大気汚染問題
隣国である中国では非常に深刻な大気汚染が発生しています。首都北京では高濃度のPM2.5が空気中に浮遊し、中国都市部ではスモッグで視界がほとんど利かない状況に陥りました。
この状況は世界で最も大気汚染が深刻な地域として問題となっており、中国では様々な対策が行われています。
PM2.5については後述しますが、非常に細かな粒子であることから、窓枠やドアのわずかな隙間からも進入するため目張りが必要であり、空気清浄機の設置とこまめなメンテナンス、大気汚染情報を得るアプリの使用などが不可欠でした。
高濃度スモッグに覆われているときに空気清浄機を1週間回せば新品のフィルターが変色してしまうほどです。2013年度のモニタリングによると、深刻汚染と呼ばれる高濃度に達する日が15日、重度汚染は26日あり、年平均は日本の環境基準の7倍もの値が計測されました。
PM2.5とは
中国で深刻な大気汚染を引き起こすPM2.5とは細かい固体や液体の粒である粒子状物質の中でも、2.5マイクロメートル以下の非常に小さな粒である微小粒子状物質のことを指します。
ただし2.5マイクロメートル以上の粒子が全く含まれないという意味ではありません。 PM2.5は、微小なサイズから吸引によって肺の奥に入り込みやすいため、呼吸器や循環器への健康被害が指摘されています。
日本でも2009年にPM2.5の大気環境基準が新設されており、被害の実態についてはまだ研究段階ですが、徐々に健康に対しての影響が明らかになっています。
北京や天津、河北やその周辺の地域ではいずれも2013年の計測値から半減していますが、依然として濃度が高い日もあることから、今後も大気汚染問題に対して取り組みを続けていく必要はあります。
- 中国では深刻な大気汚染が起こっており日本にも影響を与えるため、重大な問題として扱われている
- PM2.5とは細かい固体や液体の粒である粒子状物質の中でも、2.5マイクロメートル以下の非常に小さな粒である微小粒子状物質のこと
- 2013年以降の対策などで段階的な改善がみられたが、日本の環境水準と比較すればまだまだ高い濃度である
(出典:在中国日本国大使館「中国における大気汚染に関する注意喚起(更新),2018」)
(出典:在中国日本大使館「中国における大気汚染について」)
中国のPM2.5は日本にも影響を与えている
中国で発生するPM2.5は海を越えて日本にも影響を与えます。 微小な粒子であることから風に流されやすく、容易に海を越えることが可能であるためです。
特に地理的に中国に近い九州では中国から飛来するPM2.5の被害を大きく受ける地域であり、大気汚染物質拡散シミュレーションによる動態の予測などが行われています。
このように偏西風に乗って海や国境を越え、日本にも影響を与えることを越境汚染といいます。
越境汚染とは
大気汚染の原因物質が数百、あるいは数千km離れた発生源から気流に乗って運ばれてくることを長距離輸送と言います。
長距離輸送のうち、国境線を越えるものを越境汚染、または越境大気汚染、越境輸送とも言います。 日本では偏西風に乗って、中国大陸や朝鮮半島から及ぼされる越境汚染について研究がなされてきましたが、PM2.5もこの越境汚染によって、日本国内の大気汚染に影響を与えています。
日本への影響
偏西風によって運ばれてきたPM2.5は日本でのPM2.5の濃度を上昇させ、大気汚染に影響を与えると考えられています。
またこれらを吸い込むことにより、肺の奥深くまで達することで、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系疾患や循環器系疾患のリスクも上がると言われています。
呼吸器系あるいは循環器系の病気を持つ人や、高齢者や子どもなども影響を受けやすいため注意が必要です。
- PM2.5は微小な粒子であることから風に流されやすく、容易に海を越えることが可能
- 偏西風に乗って海や国境を越え、日本にも影響を与えることを越境汚染という
- 偏西風によって運ばれてきたPM2.5は日本でのPM2.5の濃度を上昇させ、大気汚染に影響を与えると考えられており、呼吸器系疾患や循環器系疾患のリスクも上がると言われている
(出典:政府広報オンライン「「PM2.5」による大気汚染 健康に及ぼす影響と日常生活における注意点」)
日中間での大気汚染に関する取り組み
PM2.5による中国の深刻な大気汚染、越境汚染による日本への影響から、日中で大気汚染に関する取り組みが行われています。 日中の都市間で連携協力によって2018年までの5年間で都市間や技術サポート機関を通して実施されました。
政府の取り組み
2014年度から日中間で行われた取り組みとしては、日本が持つ大気汚染対策分野における知見やノウハウを中国の主要都市部における能力構築や人材育成などに活用しました。
また2018年までの5年間で、揮発性有機化合物の測定方法の明確化や自主的測定や情報公開の仕組みの構築、発生源解析などによる重点対策地域の特定などにも日本の対策技術が導入されています。
これによりPM2.5の濃度など、中国国務院が2013年に制定した大気汚染防止行動計画の目標を全て達成するに至りました。
協力体制を構築するため、日本では11自治体、中国からは13地方政府が都市間の協力を行い、総合調整機関として日本側は公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、中国側は日中友好環境保全センターを指定した取り組みを行いました。
(出典:環境省「中国大気環境改善に向けた日中都市間連携協力による5年間の取組の成果について」,2019)
個人的にできる予防できる取り組み
政府間での協力による対策は必須ですが、個々人でできる予防で自分を守ることも大切です。
しかし改善策を行っても、すぐに全てのPM2.5が消え去るわけではないため、予防策を講じることで、PM2.5からの影響を最小限に抑える必要があります。 まずは居住地のPM2.5の濃度をチェックしましょう。
インターネットで検索すると濃度情報を公開しているサイトがあるため、この情報をもとに環境省暫定基準やAQI(空気室指数)を参考に行動することができます。
また外出時にはマスクを使用し、帰宅時には手洗い・うがいを必ず行うようにするのも重要です。 屋内においても暫定値を超えた場合は、換気や窓の開閉は極力避けるようにして、PM2.5に対応した空気清浄機を使用することも対策の一つです。
他にも非汚染地への旅行や通勤・通学手段を検討し、PM2.5に触れる時間を短縮するといった手段もあります。
- PM2.5による中国の深刻な大気汚染、越境汚染による日本への影響から、日中で大気汚染に関する取り組みが行われている
- 2014年度から日中間で行われた取り組みとして、日本が持つ大気汚染対策分野における知見やノウハウを中国の主要都市部における能力構築や人材育成などに活用した
- 改善策を行ってもすぐに全てのPM2.5が消え去るわけではないため、個々人でできる予防策を講じることで、PM2.5からの影響を最小限に抑える必要がある
(出典:環境省「PM2.5の健康影響と対策」)
中国の大気汚染は日本に住む私たちにも大きな問題である
大気汚染の影響が最も大きい時期に比べれば半減したとはいえ、中国の大気汚染の状況は改善が必要な状況が続いています。
中国の大気汚染は日本に住む私たちにも重大な問題として存在しています。現状は予防策を講じることしかできませんが、飛来してきてしまうものに対しては、予防することが最も有効な手段です。
その上でこのような大気汚染がなぜ起こるのか、PM2.5だけに限らず、日本や世界で起こる大気汚染の原因や影響を知っておくことが、今後の生活、そして環境問題解決のために役立ちます。
大気汚染は対岸の火事ではなく、私たち自身も取り組むべき問題であり、改善していくためには生活から見直していくことが必要です。
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