地球温暖化などの影響で増えている大雨による災害や、東日本大震災以降、各地で頻発する地震。被害に遭った地域では救命や復旧のために、資金、人材、物資など多くの支援が必要となります。
このような時に被災地から遠く離れていてもできる支援が、義援金や支援金を送ることです。
しかし、義援金や支援金を送ろうと思うものの、
・義援金と支援金、どちらを選択したらいいの?
・寄付先にはどんな団体があるの?
と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、義援金や支援金について以下の内容をご紹介します。
- 義援金・支援金を受け付けている団体
- 義援金と支援金とは?寄付との違い
- 義援金・支援金の使われ方
被災地へ義援金・支援金を送ることを考えている方はぜひ最後までご覧ください。
能登半島地震の被災者への寄付を考えているあなたへ
被災地では様々な団体が支援活動を行っています。
寄付は、私たちがいますぐ行動に移せる支援です。
寄付を受け付けている団体や、行われている支援活動を詳しく解説します。
義援金・支援金とは?寄付との違いも分かりやすく解説
災害が起きた時に被災地をお金で支援する手段の主なものとして義援金と支援金があり、それぞれ使われ方や性質が違います。
【義援金】
- ・国内の被災地の方へお悔やみの意味を込めて贈るお金
- ・寄付の100%が公平・公正に被災者に配布される
- ・内閣府、自治体、赤十字、赤い羽根募金、TV局などによって集められる
「国内の」と書きましたが、海外の被災者を救援する目的で募集する寄付金は「救援金」と呼ばれています。ただし義援金と違い個人に分配されるのではなく、各国で必要な物資や支援に変えられ役立てられます。
※義援金は広義では「義捐(ぎえん)のために寄付する金銭」のことです。災害支援に限定されている言葉ではなく、慈善などの趣旨でお金を差し出すことを指します。しかしほとんどの場合、災害支援の趣旨に使われる言葉です。
【支援金】
- ・被災地での救命や復旧活動などあらゆる支援に使われる
- ・寄付先の団体の判断で使い道が決められる
- ・応援したい団体や分野を自分で選んで寄付
より詳しい内容は、こちらの記事でご紹介しています
では、義援金・支援金と寄付はどう違うのでしょうか?
寄付とは、お金やモノを無償で第三者に譲渡する行為のことです。なので義援金と支援金は寄付の一種であり、寄付との違いはありません。
寄付についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
>>寄付とは?寄附や募金、義援金との違いも解説
義援金・支援金のメリット・デメリット
被災地の支援をしようと決めた時、義援金と支援金どちらを選択したらよいのか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
そこで以下では、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
義援金のメリット・デメリット
【メリット】
- ・寄付の100%が公平・公正に被災者に配布される
- ・被災者個人に配布されるため、個人が使い道を決められる
【デメリット】
- ・被災者の正確な情報の把握や分配作業に時間がかかるので、実際に被災者に届くまで時間がかかる
- ・混乱する被災自治体が配布作業を担当するため、被災地に負担がかかる
- ・個人へ配布されるため、大きな事業には使われない
支援金のメリット・デメリット
【メリット】
- ・応援したい分野や団体を、自分で選んで寄付できる
- ・その道のプロである各支援団体が、被災者のニーズに対し柔軟に用途を決められるので迅速に被災地の役に立ち、最大限に有効活用される
- ・各団体が支援金の使途や収支の報告を行なっており、透明性が確保されている
【デメリット】
- ・被災者一人ひとりの意志は、直接使い道に反映されない
それぞれ性質が違うためどちらにもメリット・デメリットがあり、寄付をする側の想いや目的によって選択すると良いと思います。
義援金・支援金を送るにはどこがいい?ジャンル別におすすめの団体を紹介!
ここでは、「被災地に義援金・支援金を寄付したい」と考えている方へ向けて、寄付アドバイザーの河合さんのおすすめコメントとともに、受け付けている5つの団体を紹介します。
支援金を受け付けている団体3つ
【支援金寄付先1】公益財団法人 日本ユニセフ協会:知名度の高さが信頼に
ユニセフはこんな人にオススメ!
- ・子どもが笑顔でいられる社会になってほしい
- ・世界の色々な国で多くの問題があるので、どこを支援したらいいかわからない
- ・活動歴が長い団体には安心を感じる
ユニセフは190の国と地域で子どもたちの命と健やかな成長を支えるため、保健、栄養、水と衛生、教育、児童労働などからの子どもの保護、緊急支援・人道支援の分野で活動しています。
活動を通して「すべての子どもの権利が実現される世界」を目指しています。
寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!
- 国連機関ならではのスケールの大きな質の高い支援ができる。2019年のワクチンの供給数は24億回
- マンスリーサポートでできることが具体的に示され、支援の成果の報告が充実
- 著名人、企業・団体などユニセフの多くの支援者の存在が活動を支えている
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】ユニセフの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
【支援金寄付先2】認定NPO法人ワールド・ビジョン・ジャパン:恐怖の中にいる子どもたちを支援
ワールド・ビジョン・ジャパンはこんな人にオススメ!
- ・戦争や内戦の被害を受ける子どもの命を守りたい
- ・パレスチナをはじめ世界の最も危険な地域での活動を支援したい
- ・サポーターとして世界の子どもを継続的に支援したい
ワールド・ビジョン・ジャパンは、約100カ国において保健、水衛生、生計向上、教育、栄養の分野での開発援助や緊急人道支援を通して、困難な状況で生きる子どもたちのために活動しています。
国連機関に公認・登録された世界最大級の子ども支援専門の国際NGOです。
gooddo編集部の注目ポイント3つ!
- パレスチナ、ウクライナ、シリアなどで緊急の支援を必要とする子どもたちの命を守り、未来を救うための活動に特化している
- 「病気・栄養不良、教育機会の損失、児童労働・児童婚・搾取など、自然災害や紛争の影響を受けた子どもたちのニーズに幅広く対応している
- 世界各地で185以上の事業で成果をあげており、各国政府や国連とも連携事業を行う信頼できる団体
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
【実際どう?】ワールド・ビジョン・ジャパンの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
【支援金寄付先3】認定NPO法人 カタリバ:ナナメの関係で支援者と伴走
カタリバはこんな人にオススメ!
- ・教育の可能性や重要性を信じている
- ・実績や社会的な信頼は大事だと思う
- ・家庭や学校で困難を抱える子どもでも、成長の機会を得られる社会になってほしい
カタリバは、自身ではどうすることもできない家庭環境などの課題を抱える子どもたちを対象に、居場所・学習・食事を地域と連携しながら届ける活動などを行っています。
活動を通じて「すべての10代が意欲と創造性を育める未来」の実現を目指しています。
寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!
- 「ナナメの関係という共成長モデル」「10代に伴走」「個人の成長を支える強い組織文化」が強み
- 安心できる居場所の提供、学習支援、食事支援、災害時の居場所の提供や学習支援、探求学習の実践支援などの活動を、全国で展開
- 活動に関わった10代の声の紹介、カタリバの仲間紹介、支援者/企業紹介など、いろんな人や支援者の関わりの特徴が伝わってくる
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>>【実際どう?】カタリバの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
義援金を受け付けている団体2つ
【義援金寄付先1】日本赤十字社:世界192の国と地域に広がるネットワークを生かして活動する
「人間を救うのは人間だ」をスローガンに国内において災害救護活動、献血などの血液事業、救急講習会の開催、海外では紛争や自然災害における緊急時救援活動、復興支援、予防活動などを行っています。赤十字の活動資金の受付とは別に、災害義援金の受付も行っています。
国内外における人道支援活動の“要”となり、日本の地域医療・血液事業の中核を担うことを目指しています。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- 緊急事態・大規模災害発生時に備え、いつでも出動可能な専門家と、すぐに医療や給水衛生活動などが開始できる資機材をセットにしたチームERU。30,000人を対象に、緊急時の予防・治療・地域保健などの医療サービスの提供が、展開後1カ月間、外からの支援を得ることなく可能。
- 「いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守る」という使命に基づき「救急法」はじめとして各種講習会を開き、救命手法の啓発を行っている
- 1877年の西南戦争の最中に設立された「博愛社」という救護団体が前身の歴史ある団体
【義援金寄付先2】社会福祉法人中央共同募金会:赤い羽根をシンボルとする共同募金運動核とした活動
全国47都道府県共同募金会の連合体で赤い羽根をシンボルとする共同募金運動の全国的な企画、啓発宣伝、調査研究、都道府県共同募金会の支援等を行っています。
参加と協働による「新たなたすけあい」の創造を目指しています。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- 各都道府県内のさまざまな地域の課題解決のために役立てられ「赤い羽根共同募金」。45,000件を超える市民による地域福祉活動を支援している
- 災害時の義援金、災害発生後の緊急活動や復興活動への寄付、歳末助け合い募金の募集を行う
- 公的制度やサービスでは十分に対応できない地域課題や、制度のはざまにある社会課題の解決に取り組む事業に、1事業につき年間最大1,000万円の助成をする「赤い羽根福祉基金」。社会課題解決のための基盤やしくみづくりに貢献している
上記以外には被災地の各自治体が受け付けています。
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義援金・支援金に関するよくある3つの疑問
ここからは、義援金・支援金の寄付においてよくある3つの疑問について解説します。
【義援金・支援金の寄付でよくある3つの疑問】
- 義援金・支援金の使い道は?
- 義援金・支援金を送ると確定申告は必要になる?
- お金だけでなくモノの寄付もできる?
1.義援金・支援金の使いみちは?
前述したように、義援金は寄付の100%が公平・公正に被災者に配布され、最終的な使い道は受け取った被災者が決められます。
一方で支援金は、受け取った団体が使い道を決めます。
- ・人命救助
- ・インフラ整備
- ・人材派遣
- ・医療支援
- ・水・衛生環境の整備
- ・シェルター提供
- ・物資支援・食糧支援
- ・心のケア
- ・女性や子どもの保護
- ・教育支援
- ・支援方法の決定のための現地調査や情報収集
活動例1:ユニセフ
支援金の受付をしている団体のひとつユニセフでは、
- ・支援物資の配布
- ・保健衛生支援
- ・保健システムの再構築
- ・栄養治療食の提供
- ・家族と離ればなれになった子どもたちを家族と再会させるための支援
- ・スポーツや遊びを通じて、傷ついた心を回復させるレクリエーションキットの配布
- ・43種類の教材や遊び道具が入ったECDキット(箱のなかの幼稚園)の配布
など各国で様々な活動を行っています。
活動例2:ワールド・ビジョン・ジャパン
ユニセフと同様、世界各地の自然災害被災地で活動するワールド・ビジョン・ジャパンでは、
- ・支援物資の配布
- ・保健衛生支援
- ・農業復興
- ・住居支援
- ・こどもの心のケアのための施設チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)の運営
などの支援活動を行っています。
活動例3:カタリバ
主に日本で、10代の居場所と出番をつくるための活動をしているカタリバでは、
- ・災害時子ども支援「sonaeru」において災害後すぐに思春期世代のサポート
- ・東日本大震災の被災地、女川、大槌町、双葉郡において小中学生に学習指導と心のケアを行う施設の設立と運営
などの活動を行っています。
3.義援金・支援金を送ると確定申告は必要になる?
寄付をした場合、確定申告は必ずしも必要ありません。ただし寄付金控除を適用する場合は、確定申告が必要です。
義援金、支援金それぞれの場合の寄付金控除について説明します。
義援金は下記の場合に個人住民税の控除と、確定申告により所得税控除を受けられます。
- ・被災地方公共団体に対する義援金
- ・被災県下の災害対策本部に対する義援金
- ・日本赤十字社などの義援金受付口座への支払他、最終的に被災地の地方公共団体に支払われることが明らかな義援金
ふるさと納税ワンストップ特例制度により、条件によっては確定申告が不要となるのでお住いの自治体に確認してみてください。
また海外への救援金は、所得税の控除対象にはなりますが、住民税の控除対象ではないのでご注意ください。
支援金は、寄付先の団体が認定NPO法人を取得しているなど控除対象の団体の場合、確定申告をすることで控除を受けられます。
災害支援と寄付控除についての詳細は下記の記事をご覧ください。
>>災害支援活動に寄付しよう!寄付金控除も適用できる団体5選
>>寄付金控除の仕組みとは?確定申告の方法も紹介
3.お金だけでなくモノの寄付もできる?
被災地への寄付はお金以外にも、食品や毛布などの物品の寄付を受け入れる場合があります。
ただし災害が起きた場合、現場が混乱状態になりがちで、必要なものが必要なタイミングで必要な場所に届かないことが多くあります。また、保管場所の確保や余った場合の廃棄処分にお金がかかるものです。
やはり、被災地のニーズや状況に合った柔軟な支援は、お金での寄付がおすすめです。
手元にある物で誰かの役に立ちたいという場合は、物をお金に替えて寄付金にするサービスがあるので、利用してみてはいかがでしょうか。
どうしても災害地へ物資を寄付したいという場合は、寄付先の団体や自治体の受け入れ状況をホームページ等で確認することをおすすめします。
義援金・支援金への寄付は簡単にできる!
ここまで、被災地への義援金・支援金の受付を行っている団体紹介や義援金と支援金の特徴、よくある疑問の解説をしました。ここで、紹介した内容をまとめます。
- 義援金は被災者に公正公平に分配され、支援金は受付けた団体の判断で被災地支援に使われる
- 支援金の使い道は団体の活動の特徴により様々
- 義援金・支援金は条件によって寄付金控除の対象になる
被災地の支援は、義援金や支援金を通じて手軽にできます。「寄付を通じて被災地をサポートしたい」という方は、ぜひ参考にしてくださいね。
▼支援金を寄付できる団体
団体名 | 寄付アドバイザーが見た注目ポイント |
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日本ユニセフ協会 | ・国連機関ならではのスケールの大きな質の高い支援ができる。2019年のワクチンの供給数は24億回 ・マンスリーサポート(月2,000円など、寄付額は任意)でできることが具体的に示され、支援の成果の報告が充実 ・著名人(親善大使を担う人もいる)、企業・団体などユニセフの多くの支援者の存在 |
ワールド・ビジョン・ジャパン | 【gooddo編集部の注目ポイント3つ!】 ・パレスチナ、ウクライナ、シリアなどで緊急の支援を必要とする子どもたちの命を守り、未来を救うための活動に特化している ・「病気・栄養不良、教育機会の損失、児童労働・児童婚・搾取など、自然災害や紛争の影響を受けた子どもたちのニーズに幅広く対応している ・世界各地で185以上の事業で成果をあげており、各国政府や国連とも連携事業を行う信頼できる団体 |
カタリバ | ・ナナメの関係という共成長モデル」「10代に伴走」「個人の成長を支える強い組織文化」が強み ・魅力的なプログラム開発、活動を全国8か所で展開 ・活動に関わった10代の声の紹介、カタリバの仲間紹介、支援者/企業紹介など、いろんな人や支援者の関わりの特徴が伝わってくる |
▼義援金を寄付できる団体
団体名 | 寄付アドバイザーが見た注目ポイント |
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日本赤十字社 | ・緊急事態・大規模災害発生時に備え、いつでも出動可能な専門家と、すぐに医療や給水衛生活動などが開始できる資機材をセットにしたチームERU。30,000人を対象に、緊急時の予防・治療・地域保健などの医療サービスの提供が、展開後1カ月間、外からの支援を得ることなく可能。 ・「いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守る」という使命に基づき「救急法」はじめとして各種講習会を開き、救命手法の啓発を行っている ・1877年の西南戦争の最中に設立された「博愛社」という救護団体が前身の歴史ある団体 |
中央共同募金会 | ・各都道府県内のさまざまな地域の課題解決のために役立てられ「赤い羽根共同募金」。45,000件を超える市民による地域福祉活動を支援している ・災害時の義援金、災害発生後の緊急活動や復興活動への寄付、歳末助け合い募金の募集を行う ・公的制度やサービスでは十分に対応できない地域課題や、制度のはざまにある社会課題の解決に取り組む事業に、1事業につき年間最大1,000万円の助成をする「赤い羽根福祉基金」。社会課題解決のための基盤やしくみづくりに貢献している |
記事の内容は以上です。
災害支援の様々な方法についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
>>災害支援活動に寄付しよう!寄付金控除も適用できる団体5選
被災地支援をすることは決めたけど、
「どの団体に寄付するか決めかねている・・・」
「寄付先の選び方を知りたい・・・」
とお思いなら、寄付アドバイザーが「あなたに合う寄付先の選び方」を解説する人気記事をおすすめします。
気になる方はぜひ以下のリンクからどうぞ!
>>寄付先のおすすめNPO団体は?失敗しない選び方を専門家が一覧から徹底解説!
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。