日本では各地で大きな地震が発生し、多くの被害が出ている地域があります。
日本のどこに住んでいても発生する可能性のある地震。いつ起こるかわからない恐怖と不安を感じながら過ごしている人も多いのではないでしょうか。
その中でも懸念されているのが、「南海トラフ巨大地震」の発生です。
日本では南海トラフ巨大地震が発生したら想定される震度や津波など、想定される被害が発表されています。
恐怖と不安を感じるだけではなく、起こりうる巨大地震を想定した対策を行っていくことが被害を最小限に留めるためにもとても重要です。
そこで今回は南海トラフ巨大地震で想定される震度や被害、それに備える対策について説明します。
地震・震災の対策や津波発生時の注意点は?地震保険や南海トラフ巨大地震の想定被害も解説
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南海トラフ巨大地震とは
まずは南海トラフ巨大地震とはどういうものかについて説明します。
私たちが住む日本には、北米プレート、太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートと呼ばれる地球の表層部を覆っている巨大な1枚の岩盤のようなものが4つあり、それぞれのプレートが圧力をかけながら動き続けています。
4つあるプレートのうち、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに押し曲げられつつ動いており、その境界線となるものを南海トラフと呼んでいます。
この南海トラフがフィリピン海から小笠原諸島東部にまで伸びていると言われており、南海トラフが押し曲げられながら動く中で、負荷に絶えられなくなると地震を起こすのが南海トラフ巨大地震なのです。
(出典:気象庁公式サイト「地震発生のしくみ」)
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南海トラフでは繰り返し巨大地震が起きている
南海トラフでは、過去にも100~200年という周期でマグニチュード8クラスの巨大地震が発生しています。
南海トラフによる大地震が発生したと記録で残っているものは、以下の通りとなっています。
年代 | 地震 | 前回の地震との間隔 |
684年 | 天武地震 | – |
887年 | 仁和地震 | 203年 |
1096年 | 永長東海地震 | 209年 |
1099年 | 康和南海地震 | 3年 |
1361年 | 正平(康安)東海地震 | 262年 |
1361年 | 正平(康安)南海地震 | 0年 |
1498年 | 明応地震 | 137年 |
1605年 | 慶長地震 | 107年 |
1707年 | 宝永地震 | 102年 |
1854年 | 安政東海地震 | 147年 |
1854年 | 安政南海地震 | 0年 |
1944年 | 昭和東南海地震 | 90年 |
1946年 | 昭和南海地震 | 2年 |
(出典:文部科学省研究開発局地震・防災研究課 地震本部公式サイト)
(出典:NHK命を守る情報サイト「災害列島」)
直近で起こっている南海トラフ巨大地震は、東海・南海と同じような時期に大きな規模の地震が2度起こっていることがわかります。
どの地震も多くの被害と犠牲者をもたらし、M8.0以上のものとなっていました。
この周期から次に起こる大地震は、2070年前後ではないかと言われていましたが、文科省の地震調査委員会が調査した結果、それよりも早まると予測されています。
今後30年間で「南海トラフ地震」が起こる可能性は、70%~80%とし、最大でM9クラスの地震が発生するのではと予測されているため早期の対応が必要と言われています。
(出典:内閣府防災情報のページ 我が国で発生する地震)
(出典:南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会「南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性について」)
(出典:文部科学省研究開発局地震・防災研究課 地震本部公式サイト)
南海トラフ巨大地震の発生確率・想定被害
南海トラフ巨大地震の起こる発生確率と、どのくらいの被害が生じるのかの想定被害について説明します。
南海トラフ巨大地震が起こる確率は、今後30年以内に70%~80%で、予測されるマグニチュードは8~9と言われています。
今後30年以内南海トラフ巨大地震が起こる確率の高さは、実際にいつ地震が起こってもおかしくないところまで南海トラフへの負荷が限界に近づいているということがわかります。
また、その大地震の大きさはマグニチュード8、もしくはマグニチュード9もあるのではと言われていることから、地震による家屋の倒壊や、道路や橋、線路などの寸断、あらゆる場所の液状化などが想定され、さらに10mを超えると予測される大津波の襲来など想定できる被害の大きさは計り知れません。
(出典:文部科学省研究開発局地震・防災研究課 地震本部公式サイト)
南海トラフ巨大地震の想定被害
南海トラフ巨大地震が発生すれば、その範囲は茨城から沖縄まで約2,000km以上の範囲で超巨大地震を起こすと言われています。
もしも予測通りに南海トラフ巨大地震が発生すると、以下の災害が予想されており、死者は23万人を超え、国民の半分が被災者になると想定されるくらい深刻な状況に陥るとも言われているのです。
さらに、人的被害以外にも建物やライフライン、道路などのインフラに与える被害は関東エリアから西の地域40都府県にも及び、以下のような被害が想定されています。
また燃料不足も深刻化し、緊急車両が必要とする現場に思うように到着できないなど救助や支援にも支障が出ることが予測されます。
そして被災者となった人たちの食料は、約1週間で家庭や行政で備蓄している分が底をつくとも想定されているため被災者の生活が心配されます。
南海トラフ巨大地震が起こる時間帯によっても被害の起き方に変化が起こると言われています。
例えば、南海トラフ巨大地震がお昼の時間帯に発生すると、交通網が遮断されることとなり、大阪や名古屋周辺では自宅に帰ることのできない帰宅困難者の数が約380万人にも及ぶと想定されています。
また、エレベーターの中に閉じ込められるであろう人の数は、23,000人にも及ぶと言われているためその被害は甚大です。
昼間の人が活動している時間に南海トラフ巨大大地震が発生すると各地での火事も懸念されます。
そして、政府の予想によると南海トラフ巨大地震による経済的損失は東日本大震災の約10倍を超えると想定され、被災から復興までに必要となる金額は最大で国家予算の2倍以上の220兆3,000億円にものぼると言われています。
もしも今、南海トラフ巨大地震が起こってしまうと、経済的にも日本は最悪な状態へ陥ることがわかります。
(出典:国土交通省発表資料「国土が抱える災害リスク」)
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対策次第で被害の大幅減が見込める
南海トラフ巨大地震が起こることによって起こると予測される被害は、これまで経験したことのないものではあるものの、これまで起こった大地震の状況から専門家による様々な分析が行われています。
そして導き出された結果として、地震発生と同時に多くの人が一刻も早く避難することができた場合、津波からの犠牲者はおよそ80%も減少させることができるといわれています。
また、現在の建物の耐震化を速やかに進め耐震化率を上げれば、建物の倒壊とそれによる犠牲者をおおよそ40%減少させることができるとも発表されています。
内閣府は2019年5月に最新データを公表しており、南海トラフ巨大地震による想定の死者数を3割減少の約23万1,000人とし、全壊または家事により焼失する建物は1割減少の約209万4,000棟となるとしています。
想定される死者数、建物の損壊の減少は、東日本大震災によって地震や津波に対する意識が向上したことが大きな一因となっています。
また、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災で犠牲となった方の原因の多くは、家屋や建物の下敷きとなったことを受けて日本国内では対策が講じられています。
各自治体では日本中の建物、特に学校などの公共施設に対して耐震診断や改修を行っていることも被害の減少につながる要因なっているようです。
また、個人の備えとして、以下の物などを、家庭単位では1週間分以上確保しておくことが最低でも必要となります。
定期的に備蓄している食料・飲料水は賞味期限などを確認し、入れ替えるようにすることで今どのくらいの備蓄があるのか、必要なものは他にないかなどの確認をすることができるようになります。
令和元年5月31日の政府の中央防災会議では、南海トラフ巨大地震の発生に繋がる恐れのある現象を観測した場合、気象庁による「巨大地震警戒」に関する情報を臨時的に発表し、その後首相により津波の被害に遭う恐れのある沿岸部に住む住民に対して1週間程度の事前避難を促すことと変更されています。
(出典:中央防災会議における発表資料)
(出典:首相官邸「防災の手引き」)
巨大地震に備えて対策はしっかりと
地震が頻発している現在の日本において、南海トラフ巨大地震がいつ、どのタイミングで起こるかわからないものの、多くの人がそう遠くない未来に起こるだろうという不安を抱いているのではないでしょうか。
南海トラフ巨大地震の発生した時は冷静に対処し、最善な対策を行うことができるように備えておくことが大切です。
そのために今できること、自分自身の命を守るためにできることをシュミレーションする習慣を身に着けておくようにしましょう。
特に沿岸部に居住している人、勤め先があるという場合は避難経路を確認し、避難場所へ最短で行くことのできる方法を常に確認しておくことで身を守ることができます。