質の高い教育をみんなに

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の取り組み内容とは?

教育は誰もが平等かつ公平に受けられる基本的人権です。

しかし世界にはそのような教育を受けられない国や地域が存在します。また教育を受けられたとしても質が低い、発展がない教育が行われていることもあります。

そういった状況は将来への世界の発展につながらず、様々な弊害を生む可能性があり、改善されなければいけない問題です。

この記事では、そのような課題の解決のためSDGsで掲げられた「質の高い教育をみんなに」という目標への取り組み内容について紹介します。

持続可能な開発目標・SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」のターゲットや現状は?

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SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」とは


SDGsは持続可能な開発目標の略称であり、世界にある様々な問題を17の目標として掲げ、その下に169のターゲットと232の指標を定め、実現に向けた取り組みを国際的に行っています。

2015年に行われた国連サミットにて全会一致で採択され、2030年を期限としてこの国際目標を達成すべく動いています。

貧困や飢餓、保健やジェンダーなど様々な課題についても目標が定められ、目標を達成することで他の目標にも良い影響を与え、連鎖的に目標が達成できるようにもなっています。

その中でも教育に関しては他の目標に対しても大きな影響を与えられると考えられています。
SDGsの目標4には「質の高い教育をみんなに」が掲げられています。

この目標では全ての人に包摂的(※)かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進するためのターゲットが定められています。

※包摂的:一つの事柄を大きな範囲の事柄の中にとりこむこと。

開発途上国では高い貧困率や武力紛争、その他の緊急事態といった大きな課題により、子どもたちの初等・中等教育の就学率に格差があり、学校に通えていない子どもがまだまだいるというのが現状です。

2015年までを期限としたSDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)では、それ以前より就学率が改善し、全世界で学校に通えない子どもの人数は半減しました。

しかし、それでも全ての人が学校に通えているわけではありません。

アフリカや南アジアを中心に、約5,800万人が初等教育すら受けられない状況にあります。

その理由は家計や家事の手伝いをしなければいけない、近くに学校がない、紛争に巻き込まれている、女子への教育が軽視されている、障害者の教育環境が整備されていないなど様々です。

SDGs全体の目標でもある持続可能な開発は、将来的に継続して世界全体で行われていかなければいけないことであり、そのためには教育が最も有効かつ効果的な手段です。

そのため全ての人が包摂的で質の高い教育を受けることができれば、目標達成に大きく前進できることになります。

貧困や飢餓、ジェンダーといったあらゆる問題も、質の高い教育を受けることで、解決への糸口が開けるようになります。

教育を受けられることは基本的人権でもあるため、質の高い教育の整備は非常に重要な取り組みとして認識される必要があります。

  • 2015年までを期限としたMDGs(ミレニアム開発目標)では、それ以前より就学率が改善し、全世界で学校に通えない子どもの人数は半減したが、開発途上国では高い貧困率や武力紛争などの問題があり、まだまだ学校に通えない子どもがいる
  • アフリカや南アジアを中心に、約5,800万人が初等教育すら受けられない状況にある
  • 質の高い教育を受けることで、様々なSDGs目標達成に向けて前進することができる


(出典:外務省「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」,2020)
(出典:国連開発計画駐日代表事務所「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」)
(出典:国際協力機構「変わる、世界と日本の教育」,2018)

質の高い教育への取り組み内容


質の高い教育、というのは国や地域の状況により異なります。

例えば日本やアメリカ、ヨーロッパの国々においては基礎的な教育の環境は整えられていることから、質を高めるためにはその先を見据えた取り組みが必要です。

一方で学校教育がままならないアフリカや南アジアなどの地域で同レベルの教育を望むことはできません。

字の読み書きができる人の割合を表す識字率が低い地域や、基礎的な計算能力がない子どもたちがいる国もあります。

そういった国や地域にとっては、学校教育の環境を整え、識字率や計算能力の向上こそが質の高い教育と言えます。

ただどちらにも言えることは、初等・中等教育の場を無償で提供し、生涯学習し、生き方を考えていくための能力を身に付けることができる環境を得られることが、質の高い教育であるということです。

開発途上国での取り組み

アフリカや南アジアなど開発途上国では学校で教育を受けられる環境の整備が行われています。
これはユニセフや日本のJICA(国際協力機構)など各国の関連機関、支援団体などが協力して行っています。

特にユニセフでは「子どもにやさしい学校」を目指した取り組みを行っています。

そのために近隣に学校がない地域には新しい校舎を建設し、元々あった校舎が壊れていれば改修や修繕を行い、質の高い教育を行うため教員の研修なども行っています。

また経済的な問題を解決するため、教科書や学用品、奨学金の提供や、政府に小学校の無償化・義務化などを働きかけるといった取り組みがなされています。

もちろん地域の人々や保護者に教育の大切さを理解してもらうことも欠かせません。

男女別のトイレや手洗い場の設置とそれに伴う子どもたちに衛生習慣を身に付けてもらうことや、運動場、図書館、学校菜園など環境の整備にも力を入れています。

また学校を中退してしまった子どもへの補習授業や障害のある子どもの受け入れ体制の整備なども行っています。

>>ユニセフについて詳しく見る

さらにJICAが率先して行っているのが、「みんなの学校」プロジェクトです。このプロジェクトでは子どもたちを守り、質の高い教育の場を提供するため教員や保護者、地域住民の協働のもと、教育改善を目指した取り組みを実施しています。

住民の選挙により地域に開かれた学校運営委員会を設置し、学習の現状や課題について保護者や教員と対応策を議論して、教育を改善する活動へとつなげています。
これもまた質の高い教育を作り上げるための1つの方法として評価されています。

他にも、認定NPO法人e-Educationではバングラディシュやフィリピンなどの途上国で映像による教育の提供を行っています。
日本の予備校モデルを応用し、途上国の農村部などの教育機会に恵まれない地域に住む子どもたちにも高い水準の教育を届けています。
>>e-Educationについて詳しく見る

認定NPO法人国境なき子どもたちも、発展途上国の子どもたちの教育を支援しています。
教育だけでなく、衣食住の提供や職業訓練の実施なども行うことで子どもたちが自立をサポートしています。
>>国境なき子どもたちについて詳しく見る

先進国での取り組み

先進国では子どもの教育を行う場が整いつつありますが、一方で正規教育における学校インフラ以外の課題が顕著となってきています。

現在世界では都市部を中心として、急速な核家族化や両親の共働きの傾向が加速しています。

このような社会的な変化に伴い、乳幼児に対しての養育や教育需要が高まっており、日本でも保育園・保育所および保育士の不足が問題視されました。

多くの国や地域では、この就学前教育の制度について社会の変化に追いつけておらず、深刻な課題となっています。

保育所や幼稚園に入所・入園できない待機児童の増加や、子どもの引き取りのために早期退社しなければいけないワーキングマザーやシングルマザーの増加がその一例です。

このような問題に対して、認定NPO法人フローレンスでは小規模保育や病児保育、さらに政府への提言を行い問題の解決を目指しています。

フローレンスの取り組みにより「小規模認可保育所」は国策として制度化され、一定の成果を上げています。
>>フローレンスについて詳しく見る

さらに、各国では保育所や幼稚園の制度についての見直しを迫られています。

同時に労働条件や基準の見直し、職場やその周辺の保育所や幼稚園の施設、柔軟な勤務時間の採用などが行われています。

また社会の変化としては、SDGsの目標達成のための人材育成やグローバル化への対応など、先を見据えた教育にも力を入れています。

日本の教育に目を向けてみると、世界に対しての関心や世界とのつながりへの意識が低いことが懸念されています。

そこで持続可能な社会の創り手の育成とグローバル化への対応を踏まえた取り組みが新学習指導要領として2020年以降重視されます。

世界の課題と日本との関係を知り、自らの問題としてその解決に向け、主体的かつ積極的に取り組める人材の育成を目指した取り組みです。

その取り組みの例として挙げられるのはESD(持続可能な開発のための教育:Education for Sustainable Development)です。

この教育では人格発達や自律心、判断力、責任感などの人間性を育み、他人や社会との関係性、自然環境との関係性を認知して「関わり」や「つながり」を尊重できる個人を育成することを重視しています。

これにより、全ての人が質の高い教育の恩恵を享受し、持続可能な社会作りの担い手を育んでいくことを目標に取り組まれています。

  • 質の高い教育、というのは地域の状況により異なる
  • 生き方を考えていくための能力を身に付けることができる環境を得られることが、質の高い教育
  • 日本の教育では世界に対しての関心や世界とのつながりへの意識が低いことが懸念されているため、持続可能な社会の創り手の育成とグローバル化への対応を踏まえた取り組みが新学習指導要領として2020年以降重視される


(出典:国際協力機構「変わる、世界と日本の教育」,2018)
(出典:国連開発計画駐日代表事務所「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」)
(出典:公益財団法人日本ユニセフ協会「アフリカに教育支援が必要な理由」)
(出典:国際開発センター「目標4 質の高い教育をみんなに」,2018)

SDGs目標4の達成に向けて質の高い教育への取り組みを大切に


質の高い教育は政府や関連機関、教育現場だけが取り組むべき目標ではなく、その恩恵は子どもたちだけが受けるものでもありません。

世界的に教育が普及し、質の高い教育が受けられるようになれば、現在の世界に蔓延する課題や問題などを解決する糸口になります。

それは貧困や紛争の問題、経済的な課題など様々ですが、それらを解決できるのであれば、世界全体が発展する可能性は高いです。

現在の世界は停滞の兆しにあり、あらゆる面でのステップアップが求められます。

日本も経済的な格差や労働、社会保障の問題など解決すべき問題は山ほどありますが、それらを担っていくのは将来がある子どもたちです。

私たちは今ある問題を解決できるよう取り組みつつ、未来を子どもたちに託さなければなりません。

彼らが大人になったとき、私たち以上に社会について考え、持続可能な社会を作り出せるよう、質の高い教育が受けられる環境を整えてあげることが重要です。

SDGsは教育以外にも、全部で17の目標を掲げており、現在の世界をより良いものにしていくために一つ一つ解決していくことが必要です。SDGsの概要や残りの16の目標については以下の記事をご覧ください。
>>持続可能な開発目標・SDGsとは?17の国際目標やターゲットなどを解説

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