質の高い教育をみんなに

SDGsの目標「質の高い教育をみんなに」における日本政府の取り組みは?

SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」を実現するために、日本政府は様々な施策を実施しています。

日本政府の取り組みは、日本の教育に関するだけではなく、国際的な協力・協働を促すものです。こうした取り組みが将来実現すれば、日本だけではなく、世界の平和や安定に寄与します。

この記事では、SDGsの目標4を実現するために、日本政府がどのような活動を行っているのか、わかりやすく解説します。
(出典:外務省公式サイト 「JAPAN SDGs Action Platform」)

持続可能な開発目標・SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」のターゲットや現状は?

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日本が考えるこれからの教育


SDGsの目標4として掲げられている「質の高い教育をみんなに」を実現するために、日本政府は様々な取り組みを行っています。

新興国の台頭、国際的・地域的ガバナンスの形成等が進んだことによって、国際教育協力の潮流は、これまでの「援助」という「垂直的」なものから、より「水平的」な「協力・協働」に移行しています。
つまり、国際的には、日本からの援助という支援ではなく、関係国との協力や協働によって、教育活動を推進していこうという流れになっています。

こうした流れのもとで、教育協力への参加者も、これまでの政府機関を中心に民間企業や NPO・NGO、研究機関等と多様化しており、様々な組織や人々が協力・協働しSDGsの目標4を達成するために重要性を増しています。

協力・協働の範囲が広がったことによって、教育活動は、学校教育という枠を超え、就学前教育、職業技術教育・訓練、防災・環境教育、保健・衛生教育といった多様なニーズに応えることが求められるようになりました。

その結果として、国際的な経済活動の拡大や、サービス・人の国際的な移動の増加を受けて、開発途上国と先進国双方の発展の基盤となる高度人材育成が必要となってきています。

日本政府としても、新興国・開発途上国を始めとする国際社会との協力関係を深化させ、その活力を取り込んでいくことが、自国の持続的な繁栄にとっても重要であると認識してます。
そのため教育そのものが社会の持続可能性、強靱性向上に貢献するという認識のもとで様々な活動に取り組んでいるのです。

国際教育協力が必要

日本政府としては、教育は分野横断的な課題であることを念頭におきつつ、これらの重点分野について積極的に支援を行っていくものとしています。

今後、日本政府としては、国づくりと成長の礎である人材育成を推進し、2030年の国際目標の達成を見据えて、教育分野全体を包括的に視野に入れつつ、途上国のニーズに応じた支援を行うことを目指しています。

SDGsにおいて、教育は17の目標のうちの一つと位置づけられ「すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを目指すとしており、そのなかで様々なターゲットが定められています。

SDGsの課題は、日本国内における課題としてはもちろん、国際的にも非常に重要な問題です。日本においては当たり前に行われている教育活動も、途上国においてはまだ十分に普及しているとは言えず、国際的な協力も重要であると日本政府は位置づけています。

そのなかで、以下について日本が重点的に取り組むべき課題として挙げています。

  • 無償の初等・中等教育の普及
  • 男女の平等な教育機会の確保
  • 質の高い技術教育
  • 職業訓練及び大学を含む高等教育への平等なアクセス
  • 障害者・少数民族・子どもを含む脆弱な人々への配慮
  • 読み書き能力及び基本的計算能力の向上
  • 持続可能な開発のための教育
  • 学習環境の改善
  • 奨学金の普及
  • 教員の質の向上等
  • (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    SDGsにおける教育分野への政府の取り組み


    日本政府は、学び合いを通じた質の高い教育の実現を目指し「みんなで支えるみんなの学び(Learning for All, All for Learning)」をビジョンとして掲げています。

    人間一人ひとりの尊厳を高めるという人間の安全保障の理念にもとづきながら「万人のための質の高い教育」を実現し、持続可能な開発のための教育を推進したいと考えています。

    「万人のための教育」とは、現在でも世界中に「読み・書き・計算」といった基礎教育を受けられない状態にある人々が多いため、各国が協力しながら、2015年までに世界中の全ての人たちが初等教育を受けられ、字が読めるようになる(識字)環境を整備しようとする取り組みです。

    一方、持続可能な開発のための教育とは、これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。

    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    包摂的かつ公正な質の高い学びに向けての教育協力


    上記で説明したビジョンを達成するために、日本政府は、国際的・地域的な枠組を通じて「学びの改善」の実現を目標としています。
    そのために必要な制度の構築を目指し、国際社会の成長・革新、さらには地域と国際社会の平和と安定に積極的に貢献していこうとしています。

    それでは、こうしたビジョンや原則を実現するために、日本政府は具体的にどのような活動を行っているのでしょうか。
    日本政府が具体的にどのような活動を行っているかについて詳しく解説します。

    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    人間の安全保障と自立の後押しを重視した支援

    日本政府がSDGsの課題4を達成するために重視している人間の安全保障という概念は、現在の、そして新たに生まれつつある脅威、すなわち幅広く分野横断的な脅威に対応し、人々の生存、生活、尊厳を守ることを狙いとしたものです。

    現代では、先進国、途上国を問わず、全世界の人々が多種多様な安全を脅かされうる状況の下で暮らしており、こうした脅威は各国の政府や国民にとって、深刻な課題を突きつけられています。

    したがって教育分野においても、この人間の安全保障という考え方にもとづいて、基礎教育(初等・中等教育や識字教育)の役割を重視するとともに、教育による地雷回避教育(地雷はどのようなもので、見つけたらどうするべきかなどを教える)や、自然災害に備えるための知識を養う防災教育、さらにHIV/エイズから身を守るための健康教育なども重視されます。

    こうした教育は、人間一人ひとりの尊厳を高め、自立を後押しするものです。人間一人ひとりが自らの資質を開花させ、自らの運命を切り開いていく上で必要な技能、スキルの習得を目指しています。

    こうした考え方にもとづいて、日本政府も相手国の自助努力を後押しし、将来における自立的発展を目指すものとして、その姿勢を引き続き維持するとしています。

    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    教育の質確保(学びの改善)に向けた支援

    日本政府はこれまで、基礎教育分野の支援において、2011 年から行政・学校・コミュニティが一体となって包括的な学習環境改善支援を行う支援モデル「みんなの学校(School for All)」の下、多様な開発パートナーとも連携して、包括的な学習環境の改善を行ってきました。

    みんなの学校とは、例えば「学校運営委員会を作る」「住民集会で選挙を行い、運営委員を選出」「住民が学校運営をしていけるための活動計画の作成」「計画に沿って集会を開催し、より良い学校を作るために住民同士が話し合いを行う」「みんなで出した意見に優先順位を決め、一人一人が無理なくできるところから始める」など、その地域に住む住人が中心となり、自主的な教育施設をつくる活動を支援するプロジェクトです。

    みんなの学校の考え方を踏まえて、今後も日本政府は教育の質確保のために、様々な取り組みが行われる予定です。

    具体的には、学校教育に加え、ノンフォーマル教育や生涯学習等も視野に入れた「質の高い教育」「安全な学習環境」「学校運営改善」「地域に開かれた学校」「インクルーシブ教育」の5つの項目を重視し、各国のニーズに応じて適切な支援を実施することとしています。

    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    女子教育支援(教育におけるジェンダー格差の是正)

    日本は、2013年から提唱してきた「すべての女性が輝く社会」の実現に向け、すべての教育段階における女子の就学・修了率の向上と就業への連結、公衆衛生・母子保健等の教育に重点的に取り組むとしています。

    これまで機会に恵まれなかった女性が質の高い教育を受けられるようになれば、女性自身、家族、コミュニティの生活の質を高めることができ、社会の機能も強化することができるようになります。

    例えば、読み書き能力を向上させることは、公衆衛生やHIV/AIDS 等の感染症の正しい知識、予防に関する正しい知識へのアクセスを向上させ、また、適切な家族計画の策定の足がかりともなり、持続可能な社会を構築する上で極めて重要な意味を持ちます。

    また、女子教育に対する支援は、女性への職業訓練を通じた就業・起業支援を行うことにより、家の外で働くことが困難であった女性の社会進出を促すなど、女性の経済的エンパワーメントの促進にも繋がります。

    開発途上国における排泄環境の未整備も、女性・女児の教育機会を阻み、また女性が性暴力や誘拐の危険にさらされる要因の一つであることから、学校や公共施設における女子トイレの整備等を含めた教育環境の改善も喫緊の課題です。

    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    紛争影響国や貧困国・地域の子ども、障害者など、質の高い教育を受けられない人々に対応した支援

    日本政府は、持続可能な開発のための2030アジェンダを踏まえ「誰一人取り残されない」支援を念頭に、フォーマル教育のみならず、ノンフォーマル教育にも焦点を当て、特に脆弱な立場に置かれやすい子ども、障害者、女性、難民・国内避難民、少数民族・先住民などを対象に、識字能力や生きていく上で必要な技能、スキルの習得を支援することとしています。

    義務教育のようなフォーマルな教育だけではなく、より豊かに生きるための知識やスキルを身に付けることができるよう、ノンフォーマルな教育についても支援を行っていくことが明示されています。

    また、日本政府は2014年に障害者権利条約を批准しており、これを踏まえ、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進するためにすべての人に開かれた教育支援の取組を一層強化することも明示しています。

    世界には学校に通うことのできない子どもや基礎的な読み書きのできない成人が依然として多数残されており、最も脆弱で不利な立場に置かれた人を含むすべての人に質の高い教育へのアクセスを確保することは早急に解決すべき課題です。

    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    産業・科学技術人材育成と持続可能な社会経済開発のための教育協力


    社会、経済の健全かつ持続的発展のためには、個々人の生計向上や雇用の確保に繋がるスキルの獲得も不可欠です。産業・科学技術の発展のためには専門的な知識の習得が必要で、それによって持続可能な社会経済開発が可能となります。

    こうした社会経済開発を実現するために、日本政府が行っている取り組みについて解説します。

    雇用確保・産業振興、生計向上に繋がる教育支援

    持続可能な社会経済開発のためには、個々人の生計向上や雇用の確保につながる知識やスキルの向上が不可欠です。

    そのため、初・中・高等教育支援の連続性を確保し、就労・起業に繋がる教育・職業訓練支援を重視し、日本企業を含む産業界との連携強化や汎用性のあるスキル(例:職業倫理,チームワーク)習得支援を含む包括的な職業訓練支援を実施しています。

    また、社会的弱者の生計向上を目指した職業訓練支援も重視しています。

    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    高度人材育成支援

    新たな産業を創出する創造性豊かな人材や、実践的な人材を育てることは、社会にとっても経済にとっても重要です。
    行政、経済、法律、国際開発分野など国づくりのための人材・行政官の育成や、科学技術振興のプラットフォームづくりのための人材育成を日本政府は重視するとしています。

    また、今後、高齢化社会の到来にあたって、労働人口が減ることを考えると、外国人留学生の受け入れを促進するとともに、日本企業でのインターンと修士課程留学を組み合わせた人材育成「ア フ リ カの若者のための産業人材育成イニシアテ ィ ブ(African Business Education Initiative for Youth):ABE イニシアティブ」を始めとする、長期研修制度や技能実習制度との連携を通じた高度人材育成も重要です。

    こうしたことからも、質の高い教育を提供すると共に、国際的に活躍する高度専門人材の双方向交流を拡大させたいとしています。

    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    理数科教育、工学教育を中心とした支援

    理数系科目は、新たな産業や技術の誕生のためには欠かせません。そうしたことを踏まえて、日本政府は、我が国が比較優位を有する理数科教育、工学教育支援を行うこととしています。

    これを実現するために、科学技術外交との連携、工学系拠点大学における教育・研究能力の向上、我が国の大学・高等専門学校のノウハウとネットワークを活用した支援や、教育の質保証制度の構築・普及を通じ、協力相手国における質の高い教育の提供に取り組んでいます。

    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    防災・環境教育支援を含む、持続可能な開発のための教育(ESD)推進支援

    日本は自然災害の多い国です。そのため、貧困、紛争、気候変動、自然災害、環境問題等様々な地球規模の課題が深刻化するなかで、これらの課題をしっかりと認識し、行動に移していける人材を将来世代への責任として育てていく必要があります。

    教育は、こうした人材を育てることを通じて、社会経済開発の基盤づくりの礎となるだけではなく、社会の強靭性を高める役割を担います。

    また、防災先進国として、我が国の知見と技術を世界に共有しながら、国際社会と共に、災害に対し持続可能で強靱な社会を構築するため、防災政策立案及び緊急災害支援のための人材育成・訓練・技術移転や、防災における女性のリーダーシップ推進のための研修等を含め、法整備及び制度の構築支援、防災に関するシステム整備のための技術協力・人材育成等を行うとしています。

    持続可能な開発のための教育(ESD)とは

    ESDとは、持続可能な社会づくりの担い手を育む教育のことを言います。ESDを実施するためには、人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むとともに、他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し「関わり」「つながり」を尊重できる個人を育むことが重視されます。

    こうした人材を育てる教育を実現するためには、環境や平和、人権等のESDの対象となる様々な課題への取り組みをベースにしつつ、環境、経済、社会、文化の各側面から総合的に取り組むことが重要です。

    (出典:文部科学省公式サイト「持続可能な開発のための教育」)
    (出典:外務省公式サイト「平和と成長のための学びの戦略」)

    日本政府は多方面にわたり様々な取り組みを実施


    日本政府は、SDGsの目標4として掲げられている「質の高い教育をみんなに」を実現するために、これまで紹介したような様々な取り組みを行っています。

    これらの取り組みを重点的に行うことを目的として、国際的・地域的な教育協力ネットワークの構築と拡大も同時に行っており、国外の様々な国々と協力・協働しています

    教育を支援することは、日本に限らず、将来の世界の平和と安定を目指すことに繋がります。
    教育に対する投資は、それが実るまでにかなりの時間を要しますが、必ず行わなければならない投資です。したがって、今後も、日本政府は「質の高い教育をみんなに」届けるための施策に継続的に取り組んでいかなければなりません。

    『紛争・貧困などによって困難に直面する子どもたち』
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    この記事を書いた人
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