持続可能な開発目標(SDGs)ではジェンダーの平等についての目標が掲げられています。
社会でのあらゆる男女格差の是正が目標となっていますが、教育における男女格差も解決すべき課題です。
世界では男女格差により教育が受けられない女性もいるのです。日本ではそのような格差は無いのでしょうか。
この記事では世界の教育の男女格差と日本の現状について紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」のターゲットや現状は?
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世界では教育の男女格差が顕著な地域も
世界の教育において、男女の格差はまだまだ大きいことが問題となっています。
2018年時点の初等教育就学を受けられない人数でみても、世界では約5,900万人いるうちの約3,200万人が女の子と半数以上であることがわかります。
また、男女格差は地域によって異なり、特に格差が大きい地域が多いのはサハラ以南のアフリカや南アジアです。
このような地域格差が顕著に現れるのには様々な要因があります。
女の子に教育が必要ないといった考えや妊娠可能となる年齢には結婚をさせるという社会・文化的習慣や規範なども要因の一つです。
国の不十分な法整備により女の子の教育が保障されていない国もあります。周りに学校や教員が不足していることにより、学校に行けないという地域もあります。
また、貧困などにより働かなければいけない、あるいは兄弟の面倒を見なければいけないといった家庭の経済的問題も関係しています。
他にもプライバシーが守られた男女別のトイレの欠如や安全が守られていない教室の存在、女性教員の不足なども要因として挙げられています。
女の子が教育を差別なく受けるためにはこれだけの課題があるということです。
(出典:ユニセフ「ジェンダーの平等」,2016)
(出典:ユニセフ「ユニセフの主な活動分野|教育」,2018)
日本の教育には男女格差は存在するの?
日本の教育の男女格差を知るためにはジェンダーギャップ指数をみていく必要があります。
ジェンダーギャップ指数は世界経済フォーラムにおける男女の格差の度合いを表す指数であり、その国の状況を知るための指標となる数値です。
経済、教育、健康、政治の4つの分野から生成され、0が完全不平等、1が完全平等であり、どちらに近いかで判断されます。
日本の教育に関するジェンダーギャップ指数は2018年の発表では0.994でした。ほぼ1に近いことから、初等教育や中等教育における男女格差はないと評価されています。
しかし、女性の生涯賃金や経済的な自立に影響する高等教育の就学率は2017年の結果より順位が下がっています。
経済分野では0.595、政治分野では0.081の指数を示すこともあり、義務教育におけるジェンダーギャップ指数から格差は見られないものの、社会での格差が生じていることがわかります。
(出典:男女共同参画局「「共同参画」2019年1月号」,2019)
日本の高等教育における男女格差
2018年時点の日本の高等教育における男女格差についてみていきましょう。
高等教育にあたる大学の前に、その前提の段階の後期中等教育(高校)の就学率は男性が96.3%、女性が96.9%と女性がやや上回っている状況です。
しかし大学進学率となると男性が55.6%、女性が48.2%と7%以上も差が出ます。
女性は全体の8.9%が短期大学へ進学していることもあり、大学進学率とあわせると57.1%となります。
また、専修学校への進学率は男性が18.9%、女性が25.8%であり、こちらも女性が高いことがわかります。
一方で大学(学部)卒業後、大学院へ進学する割合は女性が5.9%、男性が14.7%となっていることから、専攻分野によって男女の偏りがあるという結果が出ています。
(出典:男女共同参画局「第1節 教育をめぐる状況」,2017)
政治と経済においては男女格差が見られる
教育においてジェンダーギャップ指数に大きな差はみられません。
しかし、政治や経済分野では先述したように大きな格差があります。生涯賃金の差からもわかるように就業状況や収入、政治参加への機会など女性が活躍できる場において平等を目指すことが課題となっています。
特に収入では大きな問題に繋がります。現在、日本の課題の1つとしてシングルマザーの貧困が挙がります。
離婚などによって子どもを抱えながら仕事もしなければいけないシングルマザーが多く、その中では非正規雇用として働いている場合も少なくありません。
正規雇用として安定した収入を得られないこと、子育てと仕事の両立ができないことにより貧困状態に陥る可能性があります。
実際にこのようなシングルマザーを含む女性の貧困率は高いという結果が出ています。
つまり男女格差を是正していかなければ、このような女性の貧困率は高まるばかりです。
そしてひとり親世帯の場合は子どもの貧困にもつながるため、満足な教育などが受けられず、就業に必要な知識や技術が身につかないことで望む職につけなくて貧困が連鎖するという可能性もあります。
現在の課題、そして将来的な問題にも繋がっていくため、教育だけでなく経済や政治分野などでの格差是正も必要不可欠です。
(出典:総務省統計研究研修所「シングル・マザーの最近の状況」,2015 年)
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