持続可能な開発目標(SDGs)では、現在世界で起こっている様々な問題に対して目標を立て、ターゲットを定め各国で取り組みを行っています。
その中の1つに教育の問題があります。
日本では幼稚園や保育園にあたる就学前教育(幼児教育)、そして小学校にあたる初等教育が受けられない子どもがいる国が数多くあります。
教育に関する問題には様々な要因が関わっていますが、教育が受けられない子どもたちの現状やその理由について紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」のターゲットや現状は?
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子ども成長に合わせて教育の呼び方が変化
日本では学制と呼ばれる教育のステージは子どもの年齢に合わせて変化します。世界でも同様に年齢で区分分けされ、それぞれのレベルに応じた教育が施されます。
このステージは国によって年齢の区分が異なりますが、基本的には就学前教育、初等教育、中等教育、高等教育の4つに分かれます。
日本の学制を例に年齢区分を説明すると以下のようになります。
教育区分 | 年齢区分 | 教育機関 |
---|---|---|
就学前教育 | 0~5歳 | 幼稚園、保育施設等 |
初等教育 | 6~12歳 | 小学校 |
中等教育(前期中等教育) | 13~15歳 | 中学校 |
中等教育(後期中等教育) | 16~18歳 | 高等学校 |
高等教育 | 19~ | 大学、短期大学、専修学校等 |
上記の区分で呼び方が変わります。他国も概ね同じような年齢区分で決められていますが、わずかに前後することがあります。
(出典:文部科学省「諸外国の教育統計 平成(2017)年版」,2017)
就学前教育を受けられず大きな格差に
幼稚園や保育園の就学前教育は日本では多くの子どもたちが受けられていますが、世界に目を向けるとそれが叶わない子どもがいる国もあります。
就学前教育では、その後の子どもの教育の基礎が形成されます。つまり将来の子どもの人生に大きな影響をおよぼすと考えられているのです。
就学前教育を受ける機会を失うと、中等教育、高等教育などで留年あるいは中退するといった弊害が起こることにもなり兼ねません。
そして、就学前教育を受けられた恵まれた同級生との間に大きな格差が生まれることになります。
例えば、就学前教育を受けた子どもが初期の読み書きと算数の計算スキルなどを順調に習得する可能性は受けていない子どもの2倍以上になるとの見方もあります。
こうした影響は国によっても異なり、2019年に発表された報告書では、ネパールではその可能性が17倍にまで膨れ上がると言われています。
つまり、就学前教育を受けられないということは将来に対して非常に大きなリスクとなるのです。
(出典:ユニセフ「学びへの準備:質の高い想起幼児教育を優先する」,2019)
世界では1億2,000万人以上の子どもが小・中学校に通えていない現状
現在世界に目を向けると、2018年時点で1億2,000万人以上の子どもが初等教育・中等教育を受けられていない現状があります。
これには様々な理由がありますが、主な要因の一つが貧困です。
最貧層の初等教育学齢期の子どもが学校に通えない可能性は最富裕層の同年齢の子どもと比較して4倍高いと言われています。
他にも紛争や自然災害に見舞われた場合でも学校に行くことは困難になります。
世界の初等教育を受ける学齢期で学校に通えていない子どもの半数以上が、自然災害や紛争など緊急事態の影響を受ける国に暮らしています。
就学前教育だけでなく、初等教育も受けられないことで中等教育や高等教育を受けられるだけの学習能力を身につけることができず、教育格差はさらに開くことになります。
長期的に教育を受けられなければ、将来質の高い職場に就くことはできず、満足のいく収入が得られないため、貧困の連鎖が続いてしまうことになるのです。
(出典:ユニセフ盗まれた将来「学校に通っていない子どもたち」,2018)
子どもたちが学校へ通えない理由
先述したように子どもが学校へ通えない理由には先述した通り貧困や紛争、自然災害が挙がります。
貧困は特に深刻であり、子どもを学校へ通わせるお金が捻出できない家庭もあります。
また、貧困であることから労働力として働きに出される子どもも少なくありません。
特に地域によっては就業前教育や初等教育を満足に受けさせてもらえず仕事や嫁ぎに出される女の子も多くいます。
また、両親が働いているため、子だくさんの家庭では兄や姉が幼い弟や妹の面倒を見なければいけないというケースもあります。
さらに、学校が近くに無い、先生がいないという問題を抱える地域もあります。
貧困国では満足に学校施設を建てられない、先生の育成ができない、先生に給料が払えないといった問題が起こり、教育を受けられる環境にない子どももいるのです。
他にも衛生環境の悪さから重病にかかり学校に通えない、紛争や自然災害などで学校施設が破壊された、紛争や内戦の少年兵として駆り出されるなど様々な要因が関係しています。
教育は子どもの将来に大きな影響を与えるため、こうした問題に対し、解決に向けて様々な取組が行われています。
(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA(「学校に行けない子どもたち」)
世界の現状を知り、私たちにできることを考えよう
就学前教育や初等教育は、日本では多くの人が受けることができ、特に初等教育は義務教育として誰もが享受できる権利です。
就学前教育に関しても通常の保育園や幼稚園だけでなく、幼児教育の習い事などへ行かせることもできます。
先述したように、12歳程度にいたるまでの教育が、その後の学習能力の形成に多大な影響を与えます。
これは日本だけでなく世界でも同じであり、先進工業国の多くが就学前教育や初等教育に重きを置いて取り組んでいます。
しかし貧困国などは政府に教育を整備するだけの余力が無い国や地域があるため、満足に教育を受けられない子どももいることが分かります。
質の高い教育を整備する国がある中で、教育すらまともに整えられない国もあるのが今の世界の現状です。
今世界ではこのような教育を受けられない子どもへの支援が行われています。それは国家間での支援や人道支援団体による取り組みなど様々です。
まずは世界の状況をしっかりと把握し、私たちができることを考えててはいかがでしょうか。
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