パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に出てくる「ドーハ・ラウンド(交渉)」とは?

日本にとって資源や原料、食料を得るため、そして国内の農業や産業で生み出されたものを海外で売るためにも円滑な貿易は必須と言えます。これは日本だけでなく海外においても同じことが言えるでしょう。

円滑に貿易を行うためには、輸出国と輸入国双方が納得のいく条件で公平に行われなければいけませんが、それには交渉などが不可欠になります。そのために行われているのがドーハ・ラウンド(DDA)交渉です。

国連サミットで採択されたSDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」のターゲットには「ドーハ・ラウンド(DDA)」についての内容も含まれています。

この記事では「ドーハ・ラウンド(DDA)交渉」とは何か、その経緯などを紹介します。

持続可能な開発目標・SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」のターゲットや現状は?

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SDGs目標を達成するために不可欠なパートナーシップ

国連で2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)では、17の目標が掲げられ、その達成のために169のターゲットが設定されました。目標16までは今世界に起こる問題について取り上げていますが、目標17はそれらを達成するために必要な「実施手段の強化」と「パートナーシップの活性化」が挙げられています。

目標17には19のターゲットがあり、その実施手段として資金や技術構築、貿易、制度・政策などが分類されており、特に貿易には輸出と輸入という相互の協力が不可欠であり、そこにパートナーシップが必要となってきます。

そのパートナーシップの構築には輸出入国だけでなく、各国の合意に基づいたルールや規制も必要であり、円滑な貿易を目指さなければいけません。
また、先進国と新興国、途上国の間では国内の状況の違いから不公平な貿易も存在してきました。そのような問題を解決するため、SDGsでは公平で多角的貿易体制の促進がターゲットに定められています。

  • 国連で2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)では、17の目標が掲げられ169のターゲットが設定された
  • SDGsの目標17を達成するために必要ないくつかの実施手段の中で、特に「貿易」には輸出と輸入という相互の協力が不可欠であり、パートナーシップが必要となっている
  • SDGsでは公平で多角的貿易体制の促進がターゲットに定められている
  • (出典:国際開発センター「目標17 パートナーシップで目標を達成しよう」,2018)

    SDGs目標17のターゲットにある「ドーハ・ラウンド」とは

    ドーハ・ラウンドの紹介をする前に、まずはラウンドという言葉について説明します。
    ラウンドとは、鉱工業品や農林水産品の関税引き下げ、サービス分野の規制緩和など、幅広い分野について、総合的に行われる交渉を意味します。

    今はありませんが、関税および貿易に関する一般協定「GATT(ガット)」というものが存在し、過去8度にわたって集中的に多角的交渉が行われました。

    1960年に開始された第5回交渉(ディロン・ラウンド)以降、GATTにおける多角的自由交渉は「~ラウンド」と呼ばれ、以降は~に人名や地名を入れて命名されるようになりました。
    これ以降、何度もラウンド交渉が重ねられ、次々と関税引き下げが実現しました。また関税以外の貿易関連ルールも整備されています。

    第8回のウルグアイ・ラウンドでは、鉱工業品関税の引き下げ、農業やサービスの自由化、貿易ルールの強化、紛争解決手続きの整備など、それまで行われてきたラウンドの中では極めて包括的な内容を持つものとなりました。
    これを受けて1995年に現在の世界貿易機構(WTO)が発足しています。

    本題に戻ると、2001年11月にドーハ閣僚会議でWTO発足後初となるラウンドが開始されました。閣僚会議の開催場所にちなんで「ドーハ・ラウンド」と呼ばれていますが、途上国の意向により正式には「ドーハ・開発・アジェンダ(DDA)」と言います。

  • ラウンドとは、鉱工業品や農林水産品の関税引き下げ、サービス分野の規制緩和など、幅広い分野について、総合的に行われる交渉を意味する
  • 第8回のウルグアイ・ラウンドの後、1995年に現在の世界貿易機構(WTO)が発足した
  • 2001年11月にドーハ閣僚会議でWTO発足後初となるラウンドが開始され、閣僚会議の開催場所にちなんで「ドーハ・ラウンド」呼ばれている
  • (出典:経済産業省「ドーハラウンド」,2017)

    ドーハ・ラウンド(DDA)交渉とは

    ドーハ・ラウンドでは鉱工業品(NAMA)、農業、サービス、ルール、貿易円滑化、知的所有権(TRIPs)、開発、貿易と環境の8分野についての交渉が行われました。

    この交渉において最も重要な課題として挙がったのが、貿易を通じた途上国の開発です。WTOが発足してから13年で加盟国は153カ国に上りましたが、その中の5分の4が途上国です。WTOでは意思決定をコンセンサス方式(全会一致)で行うため、途上国の国々の声を無視して物事を進めることはできません。

    また、途上国の中には、国内産業と他国産業との競争条件を同等にすることを求めるWTOの規則や規律を遵守する上で、様々な困難に陥る国が多いという問題もあります。
    WTO協定実施の実効性は権利と義務の均衡の上に成り立っていることから、深刻な問題となっており、すべての参加国に適用される新たなルール作りを阻害する要因にもなっています。

    2001年11月にカタール・ドーハでの第4回WTO閣僚会議において宣言されたドーハ閣僚宣言では、先進国と途上国の置かれた状況の違いに配慮し、多くの国の錯綜する利害を1つにまとめようという壮大な試みが開始されました。

    ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の論点

    交渉の中で最も焦点が当たるのが、農産品の関税削減(農業市場アクセス)、国内農業保護のための補助金の削減(農業国内支持)、鉱工業品および水林産業品の関税削減(非農産品市場アクセス)の3つです。

    農業市場アクセスについては農業の多面的機能を理由として、鉱工業品のような関税率の一律削減ではなく、現実的且つ柔軟性がある削減方法を日本やEU、インドは主張しています。
    しかしアメリカやオーストラリア、ブラジルといった輸出国側は関税削減に向けた意欲的且つ柔軟性の少ない主張を行ってきました。

    一方で農業国内支持については、国内農家に多額の補助金を支給しているアメリカに対して、それ以外の国が、補助金の削減による公正な価格の農産品が市場に出荷されるよう要求しました。

    非農業品市場アクセスについては、ブラジルやインドなどが国内産業の保護を理由に高関税を維持するよう十分な柔軟性を主張していましたが、先進国は高いレベルでの関税削減を要求しています。

    どれも国益に直結することから、各国の主張には隔たりができ、膠着状態を打開できないまま、2006年7月に交渉が一時中断しました。
    2007年1月には交渉も再開しましたが論点は変わらず、2008年7月から農業および非農産品の関税削減方法への合意を政治的判断に委ねるべく、ジュネーブで非公式閣僚会合が開催されました。

    2008年以降の経緯

    ジュネーブの非公式閣僚会合でも農業や鉱工業品のモダリティ(※)に関しての合意には至らず、2009年11月に開かれた第7回閣僚会議では2010年内の合意を目指すことで一致しました。

    ただし2010年には閣僚会議は開かれず、2011年に第8回の閣僚会議が開かれました。
    この閣僚会議において、一括妥結は当面実現不可能であるとして、部分的合意などを積み上げる「新たなアプローチ」を試みることが採用され、全会一致で合意されました。

    2001年に話を戻しますが、ドーハ閣僚宣言についても、2003年に行われた第5回閣僚会議では閣僚宣言案が採択されず、2004年の一般理事会で交渉の枠組合意などがなされるなど、前途多難でした。そこには先ほど触れた先進国と途上国の状況の違いがあるにも関わらず、全会一致での意思決定を行うなどの問題があったことなどが要因となります。

    2013年12月には第9回閣僚会議がバリで行われました。ここでは貿易円滑化や農業、開発に関しての3分野において部分合意やドーハ・ラウンドの今後の作業計画策定を含む「バリ合意」が妥結されました。

    ただし貿易円滑化協定議定書だけは、一部の国の反対により第9回閣僚会議で合意された2014年7月に行われた一般理事会までの採択という期限が守れませんでした。

    これは協定履行に係る支援への不安などから、採択を憂慮していた一部の途上国に同調する形で、インドが食料安全保障目的の公的備蓄に関する作業が遅れていることを理由に、途上国にとっての問題が解決されない限り議定書のコンセンサスに参加できないと主張したためとされています。

    同年には貿易交渉委員会や一般理事会などにおいて状況打開のための議論が交わされました。しかし、進展は見られず、APEC閣僚会議及び首脳会議で貿易円滑化協定の実施に関する行き詰まりに対して重大な懸念が表明されたことで、バリ合意事項を軌道に戻すため他の加盟国各国での作業を進めていくことを決めていくことで一致しました。

    その後アメリカとインドが二国間で貿易円滑化協定に関する議定書の採択に合意し、同時に食料安全保障目的の公的備蓄の扱いについての相互理解に達したことから、11月に開催された一般理事会において、全会一致でバリ合意が採択されました。

    それに加え、この理事会でバリ合意の改正を採択し、WTOの全加盟国の3分の2が受諾した日に発効するとして、2017年に要件を満たしたことで協定発効がなされています。

    その後、2016年にケニアで開かれた第10回閣僚会議では、夜を徹した交渉が行われ、各国が歩み寄ったことで農業や開発分野での合意を含む閣僚宣言を採択しました。しかし、それ以降は交渉の進展を警戒する新興国や途上国から開発に焦点をあてた主張が展開されたことで、議論は停滞しました。

    2017年に開かれた非公式会合では、電子商取引や漁業補助金、農業の国内補助金、中小企業、投資の円滑化等といった課題が挙げられました。しかし表立った動きはなく、外務省の公式サイトの更新も2017年9月8日を最後に止まっている状況です。

    ※モダリティ:CTやMRIなどの医用画像を撮影する機器

  • ドーハ・ラウンドにおいて、最も重要な課題として挙がったのが、貿易を通じた途上国の開発である
  • 交渉の中で最も焦点が当たるのが、農産品の関税削減(農業市場アクセス)、国内農業保護のための補助金の削減(農業国内支持)、鉱工業品および水林産業品の関税削減(非農産品市場アクセス)の3つである
  • 2016年にケニアで開かれた第10回閣僚会議以降、交渉の進展を警戒する新興国や途上国から開発に焦点をあてた主張が展開されたことで、議論は停滞した

  • (出典:外務省「WTOとドーハ・ラウンド(DDA)交渉」)
    (出典:外務省「WTOドーハ・ラウンド交渉~自由貿易体制の共通インフラ強化~」)
    (出典:経済産業省「ドーハラウンド」,2017)

    SDGs目標達成に必要な「ドーハ・ラウンド(DDA)」を知ろう

    ドーハ・ラウンド(DDA)交渉は先進国、新興国、途上国問わず公平に貿易をする上で重要な交渉です。しかし自国の農林水産業を守るために、国内の状況などを鑑みて最善の交渉を行わなければいけません。

    それは日本だけでなく、各国が思うところであり、それぞれの状況も異なるため交渉が難航してしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
    それでも途上国で不公平な貿易に苦しむ人たちを守るためにも、このような交渉を重ねていくことが今の世界には必要なこととなっています。

    SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、目標1から16までを達成するための「実施手段の強化」と「パートナーシップの活性化」に向けた目標を掲げており、ドーハ・ラウンド(DDA)交渉により、公平に貿易をすることでパートナーシップの構築につながっています。

    それは開発途上国への発展につながり、世界中の環境がより良くなることにつながります。
    まずはSDGsの目標や現状を知り、できることから始めてみましょう。

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