パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」にある「三角協力」とは?現状と課題について

世界では今、多くの問題を解決すべく各国が取り組みを行っています。
それは先進国だけでなく、途上国も含め、世界全体での取り組みが行われているのです。
しかし問題に対して一国では対応に限界があるため、相互協力を行うパートナーシップが必要となります。そこで三角協力という、先進国、新興国、途上国を巻き込んだ協力体制が生み出され、結果を出しています。

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」では、ターゲットに「三角協力」
に関する内容も含まれています。

この記事では、現在行われている三角協力について現状や課題を紹介します。

持続可能な開発目標・SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」のターゲットや現状は?

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パートナーシップの重要性

現代の世界において貧困や飢餓、教育やジェンダー、人権など様々な問題が取り上げられ、解決のための取り組みが行われています。その中心にあり、目指すべきゴールと取り組みの指針を決めたのが、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)です。

この目標では、世界に存在する問題を1から16の目標に分け、それぞれにターゲットを定めてどのように解決していくべきかを掲げています。また、目標17では1から16の目標を達成するために、実施手段の強化やパートナーシップの活性化を謳っており、ターゲットもどのような実施手段をとり、パートナーシップを元に目標を達成していくかを示しています。

このパートナーシップは先進国、新興国、途上国だけでなく、企業や学術界、市民などの自発的な活動の促進も目指しています。このようなパートナーシップを考えるとき、資金や技術力などがある先進国から途上国への供与・協力が浮かびますが、現在はそのような協力関係に留まりません。

先進国から途上国への協力は、先進国が北側に多く、途上国が南側に多くあることから南北協力と言われていますが、ある分野の開発が進んでいる途上国から他の途上国に協力を行う南南協力というパートナーシップも実施されています。
これは協力する双方にとって有益なものであり、お互いが発展しあうある分野の開発が進んでいる途上国から他の途上国に協力を行う南南協力というパートナーシップも実施されていますができる優れた方法として認められています。

しかし課題も存在しており、その課題を解決するために行われているのが「三角協力」と呼ばれる方法です。

  • 現代の世界において貧困や飢餓、教育やジェンダー、人権など様々な問題が取り上げられ、解決のための取り組みが行われている
  • 先進国から途上国への協力は南北協力、ある分野の開発が進んでいる途上国から他の途上国への協力を南南協力と言う
  • 南南協力での課題を解決するために行われているのが三角協力と呼ばれる方法である

  • (出典:国際開発センター「目標17 パートナーシップで目標を達成しよう」,2018)

    三角協力とは

    国際協力機構は、南南協力を「開発途上国が相互の連携を深めながら、技術協力や経済協力を行いつつ、自立発展に向けて行う相互の協力」と定義しています。
    ただこれには1つ課題があります。それは援助をする側の途上国が、能力上の制約を持ち、全ての協力が円滑に行えないことがあることです。
    例えば、取り入れたばかりの技術による経験や知識の不足、資金の不足などが挙がります。
    このような能力上の制約が足枷となってしまえば、優れたパートナーシップによる発展も上手くはいきません。

    そこでそれを補助するために導入されているのが、三角協力という方法です。
    三角協力では先進国から南南協力に対して、技術や資金、援助の経験や知識などを補うことで課題をクリアします。

    南南協力は援助をする国が援助についての経験や知識を蓄積することができるので、将来的には先進国だけでなく発展した途上国も積極的な援助を行い、世界的な発展を促進することができます。しかしそれも途上国が技術や経験、知識を持って自国の発展を遂げていなければ成立しません。
    そこで先進国から先行途上国として資金などの支援や技術などの移転を行い、その先行途上国から他の途上国に援助をしてもらうという好循環を生み出すことが三角協力の狙いでもあります。

    日本の三角協力の歴史

    三角協力は既に50年近くの歴史があります。
    1970年代以前にはまだ先進国から途上国への南北協力が主流でしたが、70年代に突入すると途上国のニーズと文化的な背景の多様化が進んだことで、途上国同士の協力の重要性が認識され、開発途上国同士で水平協力をする南南協力の動きが高まりました。
    しかし能力上の制約があることも、この時点で課題として出ていたことから、国連システムの中で三角協力を支援する枠組みが形成されました。

    1975年には三角協力に対する各国政府の関与と技術協力プログラムの実施に関する方針「新局面(New Dimension)」を、1978年には「途上国間協力の推進と実施のためのブエノスアイレス行動計画(BAPA)」を採択し、南南協力の推進に関して取るべき行動を38項目の具体的な措置として勧告しました

    1980年以降は南南・三角協力について、活発な議論や活動が行われました。
    1981年には開発途上国間経済協力に関する「カラカス行動計画」、1997年にはその見直しとして「サンホセ行動計画」を含む各種南南・三角協力関連の決議・宣言を採択実施して、南側の集団的自助という観点から、南南・三角協力の推進を積極的に行ってきました。

    さらに2009年にはナイロビで開催された南南協力のための国連ハイレベル会合で、BAPAの評価を実施し、南南開発アカデミー、南南開発エキスポ、南南資産・技術交換の3つのプラットフォームを通じた南南協力への支援を実施することで合意されました。

    世界的な手続きとしてはこのような流れが生まれていましたが、日本は早い段階から三角協力に参画し、その実績を着々と積み重ねてきました。
    2003年に閣議決定されたODA大綱の基本方針には三角協力の重要性を取り上げた上で、これまで蓄積された支援の実績を積極的に発信してことを明記しました。

    日本は戦後の復興時に、援助される側であったこと、そして復興が進んで主要な援助国としての歴史を歩んできた経験から、南南協力を有効な手段と考え、三角協力にも積極的な姿勢を見せていました。
    日本は2002年以降、アジア地域内における三角協力推進のため、新たな南南支援枠組を構築し、対話促進と新興ドナーによる三角協力実施のための能力強化を図ってきました。

    三角協力の課題

    三角協力にも課題はあります。それはこれまで行われてきた三角協力に関する外務省や国際協力機構の過去の評価レポートから明らかになった内容であり、スキーム全体(※1)に関して指摘された課題です。

    それが「ニーズ重視」の視点の弱さ、課題解決型アプローチの弱さ、三角協力におけるリソース国(※2)、受益国のオーナーシップの不足(※3)、評価の重要性の認識不足です。
    これらに関しては対応策として提案や具体案が出されていますが、一朝一夕に解決できる課題ではないため、時間をかけた対応が実施されています。

    ※1 スキーム:計画・構想
    ※2 リソース:資源・資産
    ※3 オーナーシップ:当事者意識をもって向き合う姿勢

  • 三角協力では、先進国が技術や資金、援助の経験や知識などを補うことで南南協力での課題をクリアしている
  • 1975年には「新局面(New Dimension)」、1978年には「途上国間協力の推進と実施のためのブエノスアイレス行動計画(BAPA)」を採択し、南南協力の推進に関して取るべき行動を38項目の具体的な措置として勧告した
  • テキスト三角協力には「ニーズ重視」の視点の弱さ、課題解決型アプローチの弱さなどの課題である

  • (出典:JICA 独立行政法人国際協力機構「南南・三角協力」)
    (出典:外務省「南南協力と三角協力」)
    (出典:外務省「第3章 三角協力の概要」)
    (出典:国連開発計画 駐日代表事務所「南南協力・三角協力管理スキル・トレーニングの開催」)

    三角協力は世界の発展に必要不可欠

    三角協力は途上国の問題を解決し、先進国との経済的格差を是正する方法として有用であることが評価されています。
    そのため、現在は世界各国で三角協力に関わる討議や三角協力の推進、管理スキル・トレーニングの実施などが行われています。

    日本も様々な事業に積極的に協力して、蓄積してきた技術や経験、知識を提供し、貢献しています。
    途上国で起こる問題はどれも根深いものであり、即時解決できるものではありません。
    しかし南北協力や南南協力だけでなく、それらを補う三角協力を進めていくことで、時間はかかっても途上国の発展と、問題解決へ前進できると考えられています。

    世界全体が協力し合うことで、経済的にも発展し、持続的な開発ができる社会を構築していくことが望まれます。

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