世界ではいまも多くの人が生活に困窮しています。貧困をなくしていくことが世界では求められており、SDGsでは目標1に掲げ、世界各国が様々な施策を講じて目標達成に向けて動いています。
貧困者を助けることができる一つの方法としてマイクロファイナンスという制度が登場しました。このマイクロファイナンスについて、また貧困者にどのようなメリットがあるのか紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標1「貧困をなくそう」のターゲットや現状は?
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マイクロファイナンスとは
マイクロファイナンスとは、貧困層や低所得者を対象として、貧困緩和を目的とし行われる小規模金融のことを指します。
小規模金融そのものは高利貸しや質屋といった形態など、様々な形で古くから各地域に存在しています。
しかし、小規模金融の利用が困難な人、利用しても所得改善が望めない人もいます。
そういった貧困層や低所得者を対象として、開発諸機関による小規模金融が様々な形で導入されるようになったものが「マイクロファイナンス」と呼ばれるようになりました。
また、貧困国と知られるバングラディシュのグラミン銀行では、マイクロクレジットと呼ばれる金融サービスが行われています。
マイクロファイナンスの1種であり、貧しい人々に無担保で少額の融資を行う貧困層向けのサービスです。
このサービスの導入と様々な革新的枠組みを持った計画(スキーム)を取り入れ、返済率の高い貧しい人々のための銀行設立に成功しました。
マイクロファイナンス自体は1990年代から存在していますが、マイクロクレジットの普及に努めてきたグラミン銀行と創始者であるムハマド・ユヌス総裁はその功績が認められ、2006年にはノーベル平和賞に選ばれました。
グラミン銀行の成功を受けて世界中で同じ様なマイクロクレジット機関が設立され、貧困層への融資が積極的に行われるようになったことで、マイクロクレジットは世界に普及したのです。
近年、クレジット(融資)だけでなく、保険などの幅広いファイナンス(金融)サービスも行われるようになったことから、マイクロファイナンスと呼ばれるのが一般的となりました。
(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA(「貧困緩和とマイクロファイナンス」)
(出典:日本貿易振興機構 アジア経済研究所「マイクロファイナンス 貧しい人々に、無担保で小額の資金を」)
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マイクロファイナンスの仕組みとは
グラミン銀行が成功をおさめたマイクロファイナンスの仕組みとして挙げられるのが「グループ貸付」と呼ばれる制度です。
斬新な枠組みの1つとして挙げられますが、無担保である代わりに5人のグループを作らせ、その中の誰か1人が返済できなければ、その他4人も今後一切借りられなくなるという連帯責任の仕組みです。この仕組みの利点は3つあります。
週に1回から月に1回のペースで少しずつ返済していくことにより、問題がありそうな借り手を早期発見し、手遅れになる前に適切な支援ができることなどから、グラミン銀行はマイクロクレジットによる成功をおさめることになりました。
そしてこれらの仕組みが成功事例として「グラミン方式」となり、現在展開されているマイクロファイナンスに広く採用されています。
(出典:日本貿易振興機構 アジア経済研究所「マイクロファイナンス 貧しい人々に、無担保で小額の資金を」)
マイクロファイナンスが貧困の緩和につながると言われている理由
マイクロファイナンスは上記のようなマイクロクレジットのグラミン方式を採用していること、そしてあくまで貧困状態を凌ぐためではなく、貧困層が行うビジネスに対しての融資であることを条件としています。
貧困を凌ぐためにお金を借りていては、その先に発展はなく貧困状態を抜け出すことはできません。
融資を受けることでビジネスを成功させて、貧困状態を改善させることを目的としています。
現在マイクロファイナンスを利用する人の多くは女性であり、女性の経済力向上を促すために組織化した開発団体もあります。
そして低所得層の家計安定化と投資構築のためには小口による貯蓄制度が必要であると認識し、貯蓄グループ作りをアフリカやインドで広く行っています。
これにより貧困削減はもちろんのこと、女性の社会的地位の向上や経済的自立の効果をもたらしているとも言われています。
また現在のタイやインドネシアではマイクロファイナンスのような小口融資制度がなければ、相当数の零細自営業者が順調な事業運営と拡大を期待することは困難であったとの判断ももたらしています。
一方で貧困層の事業拡大による貧困の緩和や、貧困の改善に伴う女性の新規事業立ち上げなどには成功の事例が報告されていることからマイクロファイナンスの貧困改善、緩和の効果はあると言われています。
(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA「貧困緩和とマイクロファイナンス」)
マイクロファイナンスと寄付の違い
マイクロファイナンスはここまで紹介してきた通り、融資をするものです。無担保あるいは担保制約が少ないこと、金額が小口であることが特質とされていますが、あくまで返済が伴います。
また融資であることから、将来性があることや返済の能力があることなどの一定の条件を満たしている必要があります。
マイクロファイナンスの資金調達は、政府からの支援や銀行からの借り入れ、ファンドからの調達、寄付などの方法があり、それらを貧困層の人に融資することで貧困改善や緩和を促進しています。
それに対して寄付はNPO・NGOなどを通して集められたお金で、様々な活動や物資調達に使われるお金になります。
マイクロファイナンスはこのようなNPO・NGOによっても行われていることがあり、寄付と混同されてしまうこともあります。
しかし、寄付は返済の必要性がなく、必要な人や場所を支援するために使われるため、マイクロファイナンスとは大きく異なります。
(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA(「貧困緩和とマイクロファイナンス」)
私たちもマイクロファイナンスを行う方法
マイクロファイナンスは上述の通り、NPOやNGOが行っているところもあります。またその資金調達方法の一つに寄付があります。
現在世界にはグラミン銀行の成功を皮切りに、多くのマイクロファイナンス機関が存在しており、貧困改善や自立支援を目的として活動しています。
このようなマイクロファイナンスに私たちも参加することができます。
その方法の1つは、マイクロファイナンスを行っているNPO団体などに寄付をすることです。NPO団体によっては投資という形で支援することも可能です。
さらに、ソーシャルレンディング事業者を通して支援することも可能です。
ソーシャルレンディングとは、お金を借りたいニーズとお金を貸したいニーズを結びつける金融マーケットになります。
日本国内でマイクロファイナンス案件を取り扱っているソーシャルレンディング事業者が存在するので、そこを通じて支援すると良いでしょう。
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マイクロファイナンスは生活困窮者が自立するための方法
マイクロファイナンスは生活困窮者が自立するための支援方法の一つです。これによって貧困を改善、あるいは緩和した例がいくつもあります。
だからこそ今世界ではこのマイクロファイナンスが必要とされており、実際に多くの機関が融資を行っています。
貧困は今や世界の問題となっており持続可能な開発目標(SDGs)の目標1にも掲げられる重大な課題です。
これらを解決するためにもマイクロファイナンスは必要なものの1つであり、その支援を私たちが行うことで、より多くの生活困窮者を自立する手助けができるかもしれません。
私たちが、マイクロファイナンスについてより知っていくことも大切だと言えるでしょう。