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SDGsの目標1「貧困をなくそう」で解決するべき問題や世界の現状とは

この記事を要約すると

SDGsの目標1「貧困をなくそう」は、途上国における絶対的貧困の撲滅に留まらず、先進国における相対的貧困の撲滅も目指したものです。

「貧困をなくそう」という課題は、SDGsの様々な目標のなかでも、他の目標との関わりが最も多い目標です。貧困は様々な要因から生じている問題であることから、世界的に包括的な取り組みが必要です。

この記事では、SDGsの目標1「貧困をなくそう」について詳しく解説します。

持続可能な開発目標・SDGsの目標1「貧困をなくそう」のターゲットや現状は?

SDGsの目標1「貧困をなくそう」が目指す世界

SDGsのなかで、1番最初の目標として掲げられているのが「貧困をなくそう」です。これは、目標1「貧困をなくそう」が他の全ての目標とも繋がっているためです。
図:ターゲット相互関係

(出典:国際開発センター公式サイト)

SDGsによって解決を目指している貧困とは、単に経済的な貧困に留まりません。

確かに、全世界で極度の貧困の中で暮らす人の数は、1990年の19億人から、2015年の8億3,600万人へと半分以下に減少しましたが、未だに多くの人が、人間の基本的ニーズを満たせないでいます。

しかし、貧困は、教育をはじめ多分野に渡る基本的サービスへのアクセス不足、社会的な差別や排除、意思決定からの除外など、多様な形態を取ります。
SDGsの目標1では、こうした形態の貧困からも世界中の人々が解放されることも目指しています。

様々な形態をとる貧困問題を解決するためには、脆弱な状況の中で暮らす人々に対象を絞り、基本的な資源とサービスへのアクセスを改善し、紛争や気候変動関連の災害で被災したコミュニティを支援することが必要です。

こうした貧困を解決する取組みを行うためには、経済成長が一部の層に偏らず、包摂的なものになるような国内的・国際的な枠組みが重要となります。

(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)

世界の貧困状況と深刻な国


世界の貧困率を測る国際貧困ラインは、2011年の購買力平価にもとづき、一日当たり 1.90 米ドルで生活している人とされています。
全世界で、2015年には8億人以上が今でも1日1ドル25セント未満で暮らし、十分な食料やきれいな飲み水、衛生施設を利用できない人々がいました。

全世界で考えると、2002年から2012年にかけて、貧困ライン以下で暮らす人々の割合は、世界人口の26%から13%へ半減しています。
今後も過去10年間の経済成長率が維持されると仮定すると、2030年までに4%へと低下することが見込まれています。

しかし、貧困人口の分布は地域格差が大きく、中国やインドなどの国々では、経済の急成長によって、数百万人が貧困から抜け出しましたが、その進捗は男女間で一様ではありません。

女性は雇用や教育、資産へのアクセスの不平等により、貧困状態に陥る確率が男性よりも高くなっています。
また、サハラ以南アフリカでは、2013年時点で人口の41%、3.9 億人が貧困ライン以下での生活を余儀なくされており、1990 年から1.1 億人も増加しています。
貧困ライン以下で暮らす人々の 50%はサハラ以南アフリカの人々、ついで、33%が南アジアの人々であるなど、気候変動や紛争、食料不安により新たな脅威が生じる中で、この割合は今後、さらに上昇すると見られています。

(出典:国際連合公式サイト)
(出典:国際労働機関(ILO)駐日事務所公式サイト)

日本の貧困状況


それでは、日本の貧困状況はどのようになっているでしょうか。

日本の貧困状況は、上で説明したような貧困の形態とは異なっています。
日本には公式な貧困ラインはありません。しかし、OECD(経済協力開発機構)の作成基準 4に基づいて相対的貧困ラインを算出すると、年収122万円以下で暮らす人々は貧困であると考えることができます。

相対的貧困とは、ある地域のなかで、大多数の人の生活レベルよりも経済的に貧しい状態のことを言います。

日本で年収122万円以下で暮らす人々は、2015年には15.6%にものぼります。貧困ラインは1997年の149万円をピークに下降するなど、厳しい状態が続いています。

この数字から、日本はOECDに加盟している37カ国中、7番目に貧困率が高い国でした。

相対的貧困は、様々な問題を引き起こす原因となるものです。お金がないと病気になっても病院に行くことはできず、教育を受けるチャンスも限られてしまいます。

進学をあきらめて家計を助けるために働いたり、貧しいために他の人から差別される原因になることも少なくありません。社会の様々なサービスから取り残されて、貧しさが貧しさを呼ぶことになってしまいます。

こうした貧困の連鎖を断ち切らなければなりません

(出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」,2017)

貧困をなくすために行われている取り組み


貧困層や社会的弱者を対象とした社会的保護を実施することは、貧困削減の有効な手段です。非営利団体や行政による様々な支援が行われているほか、企業による貧困削減への対応も重要な役割を果たします。

企業による貧困削減への取り組みは、社会貢献や企業のCSR(Corporate Social Responsibility:社会的責任)という観点の取り組みが多くみられます。

企業が社会的責任を果たすとともに、本業を通じた新たなビジネスの可能性を追求することで、企業価値の向上と世界の持続的開発に貢献することが可能です。社会的保護に関連したサービスでは、健康診断サービスや介護サービス、医療機器・設備の提供、バリアフリー関連製品の販売、高齢者向け交通・移動サービスの提供、食品等の宅配サービスの提供等があります。

若年層の所得向上には、職業訓練の提供や雇用マッチングを行っている企業もあります。

以下では、様々な分野における貧困をなくすための取り組みを具体的に紹介していきましょう。

日本国内での取り組み

社会的環境の支援

経済的に厳しい環境で育った子どもが、本来なら均等に享受することができるはずの教育機会を逸してしまうことは、貧困の連鎖に繋がりかねません

このような状況を受け、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることがないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図ることが重要です。

日本においては、2013年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立し、2014年に「子どもの貧困対策に関する大綱」が閣議決定された。

また、政府は2015年10月に「子どもの未来応援国民運動」を始動し、同年12月には「子どもの貧困対策会議」において「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」を決定しています。
こうした法律や施策にもとづいて、現在までに様々な施策が実行されてきていますが、財政制約から予算規模が小さく、対症療法に偏った対策に留まっているのが現状です。
そのため、貧困層および脆弱層に対する社会保障制度の確立を支援するような社会的環境を構築することが重要です。

(出典:国際開発センター公式サイト)
(出典:内閣府公式サイト)

教育分野

貧困を撲滅するためには、教育分野に関する取り組みを促進する必要があります。
教育サービスを受けることができなければ、大人になってからも貧困から抜け出せない可能性が高くなるためです。

そのため、貧困を撲滅することを目的として、教育分野では、ICTを活用した通信教育やe ラーニング、障害のある子どもが教育を受けやすくなるようなバリアフリー関連製品の販売・学校施設の改修、専門的技術を修得できる職業訓練サービスや生涯教育の提供が行われています。

(出典:国際開発センター公式サイト)

日本が行う海外での取り組み

保健分野

世界が健康と教育の改善に向けた行動を取らなければ、2030年までに1億6,700 万人の子どもが極度の貧困の中で暮らすことになると発表してます。

貧困撲滅のためには保険分野と教育分野における取り組みは非常に重要な分野です。

保健分野では、ポリオや結核等の予防ワクチンの開発・販売、学校給食のサービスの提供、健康補助食品の製造・販売による栄養改善、通信回線を通した遠隔医療、医療・介護人材プラットホームの提供といった取り組みが実施されています。

世界各国においては、最低限の基準を含む社会制度の構築が進められており、2030年までに貧困層および脆弱層に対して十分な保護を実施することになっています。

(出典:ユニセフ、世界銀行グループ「極度の貧困を撲滅する:子ども中心に (Ending Extreme Poverty: A Focus on Children)」,2016)
(出典:国際開発センター公式サイト)

金融分野

金融サービスでは、貧困層を対象に小口の融資や貯蓄などのサービスを行うマイクロファイナンス、日本証券業協会や民間証券会社による子どもの貧困解消を目的とする基金の創設や融資などがあります。

資本市場は長期で見ると環境問題や社会問題の影響から逃れられないため、こうした問題が資本市場に与える負の影響を減らすことが必要です。

(出典:国際開発センター公式サイト)

深刻な貧困問題をみんなで解決しよう


貧困は、途上国だけの課題ではなく、先進国においても重要な課題です。

貧困問題は様々な問題と複雑にからみあった問題であるため、それぞれ個別に対応する対症療法ではなく、包括的な取り組みが重要となります。

一つの企業、一つの国、または一人で解決できる問題ではなく、色々な組織や人が積極的に関わりあいながら解決するために、深刻な貧困問題について一人ひとりが考え、行動に移すことが大切です。

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