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多次元の貧困とは?世界で6億6,200万人の子どもが貧困状態に

この記事を要約すると

貧困は様々な形態をとることから、一つの指標で貧困を測定してしまうと、この指標が捉えきれていない貧困を見落としてしまう可能性があります。

従来、貧困の測定には、所得額が用いられてきましたが、現実には貧困は所得だけで把握されるものではありません。

貧困の次元は、所得の域を大きく越え、健康と栄養の貧しさ、教育と技能の乏しさ、生活の貧しさ、住環境の悪さ、社会的排除、参加の欠如にまで及びます。

金銭を基準とする測定は重要ですが、その他の要素が貧困に絡んでいることも考慮に入れる必要があります。
そんな状況を改善するために導入された指標が多次元貧困指数(Multidimensional Poverty Index: MPI)です。MPIを改善することは、あらゆる形態の貧困に終止符を打つという、持続可能な開発目標(SDGs)1の課題によりよく対応することに繋がります。

この記事では、多次元の貧困についてわかりやすく解説します。

持続可能な開発目標・SDGsの目標1「貧困をなくそう」のターゲットや現状は?

多次元貧困指数(MPI)とは


多次元貧困指数(Multidimensional Poverty Index: MPI)とは、国連開発計画の支援を受けてOPHI(オックスフォード大学オックスフォード貧困人間開発イニシアティブ)が開発した貧困に関する指標です。

この指標は社会で最も恵まれない人々が様々な種類の貧困に苦しめられている実態を浮き彫りにするために導入されました。
人が同時にいくつの種類の貧困に直面しているかを明らかにすることにより、多次元貧困の発生率とその強度の両方を映し出すことができる指標です。

MPIは従来、貧困の測定のために重視されてきた所得面だけでなく、人々が複数の側面で同時に経験する貧困の実態を把握するための指数です。

健康、教育、生活水準の3つの主要な次元において、水や衛生施設(トイレ)、十分な栄養または初等教育を欠くなど、人々がどのように取り残されているのかを明らかにすることができます。

MPIを構成する要素全体の3分の1以上で欠乏状態にある人々は、多次元貧困層と定義され、多次元貧困状態にある人の割合、および多次元貧困状態にある世帯が直面している貧困の深刻さを映し出します。

「多次元貧困指数」を構成する項目

(出典:内閣府公式サイト「国連開発計画『多次元貧困指数』を構成する項目一覧」)

MPIは、多次元貧困状態にある人の割合(発生率)および、その人たちが直面している貧困形態の平均数(強度)をとらえられ、多次元貧困を構成する貧困形態の内訳も把握することができます。

そのため、地域や民族によって多次元貧困の構成要素がどのように異なるかを知ることができるというメリットがあり、貧困撲滅のための政策立案などのために役立てることができるのです。

貧困をもたらす様々な要因について理解が深まることによって、政策担当者は効率的に資源を活用し、政策を設計することが可能となります。どの地域や集団が重度の貧困に直面しているかがMPIを通じて把握することによって、その効用はとりわけ大きくなります。

世界の貧困の半分は18歳未満の子ども


2019年度版のグローバルMPIは、世界人口の約76%を占める57億人が暮らす101か国を対象として、多次元の貧困を明らかとしています。
この結果によると、多次元貧困層の3分の2を超える8億8,600万人は、中所得国で暮らしており、MPI貧困層の約3分の1に相当する4億4,000万人は、低所得国で暮らしていることが明らかとされました。

深刻なのは子どもの貧困です。2018年「多次元貧困指数(MPI)」の推計によれば、貧困の中で暮らす人々の半数が18歳未満の子どもであることが示されており、低・中所得国を中心に104か国で、6億6,200万人の子どもが多次元の貧困に陥っていることが明らかとされています。

また、子ども全体の半数が貧困に陥っている国は35か国もあり、子どもの貧困は衝撃的な水準に達しています。
MPI貧困層13億人のうち、ほぼ半数(計6億6,300万人)は子どもであり、10歳未満の子どもは、その32%(4億2,800万人)を占めていることが示されています。
3人に1人の子どもが、多次元貧困に陥っているのに対し、成人の割合は6人に1人で子どもの貧困率は、成人の2倍です。

子どもは成人よりも、多次元貧困に陥り、すべての指標で貧しくなる確率が高くなっていることから、貧困の深刻度が高いことが示されています。

(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)

サハラ以南のアフリカと南アジアに83%が集中

また、多次元貧困層の割合が最も高いのは、サハラ以南アフリカと南アジア(多次元貧困層全体の84.5%がこれら2地域に存在)であったものの、多次元貧困率には、各国間で大きな差があることも明らかとされています。

2019年の結果から、サハラ以南アフリカでは、南アフリカの6.3%から南スーダンの91.9%、南アジアでは、モルディブの0.8%からアフガニスタンの55.9%までの開きがあることがわかりました。

この結果は、貧困撲滅のために一つの政策を行なうだけでは解決できないことを示しています。
相対的に貧しい国々は、多次元貧困層の数が多いだけでなく、各人がより多くの指標において困窮しているという意味で、深刻度も高い状態にあるのです。

(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)

貧困が深刻な地域と原因は?


2019年度のグローバルMPIの結果は、アフリカや南アジアで特に貧困が深刻であることを明らかとしています。これらの地域においては、なぜ貧困が深刻となっているのかについてわかりやすく説明していきます。

サハラ以南のアフリカ

サハラ以南アフリカでは、2018年時点で約5億6,000万人(人口の58%)が多次元の貧困の中で暮らしていますが、そのうち3億4,200万人(多次元貧困層の61%)は深刻な貧困を抱えています。

サハラ以南のアフリカ地域は、予期せぬ生活の変化や影響に対して脆弱な家計が多く、これらの国の多くは十分な資産や貯蓄を所持していません。
そのため、食費、医療費、子どもの教育費を削減するといった方法をとらざるをえない状態です。

その結果として、将来の消費の平均水準が下がったり分散が大きくなったりと、厚生水準の低下を招く可能性があります。サハラ以南のアフリカでは、貧困に対する大きな進歩がみられていないのが現状です。
そのため今後も貧困状態が継続する可能性があり、効果的な対策が求められています。

(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)

サハラ以南アフリカの貧困な国とは

サハラ以南のアフリカとは、国連による定義によると、北アフリカ以外の全域と、北アフリカであるスーダンから成ります。

貧困が蔓延しているサハラ以南アフリカでは、2012年になっても、1日1.90米ドル未満で暮らす人々が全人口の40%を超えているのが現状です。  

2015年の時点で、世界の労働者とその家族の10%は1人当たり1.90米ドル未満で暮らしていますが、2000年にはこの割合が28%に達したことと比較すると、状況は改善されていることがわかります。

サハラ以南のアフリカの貧困状況をみてみると、貧困率はウガンダの首都であるカンパラの6.0%からウガンダ東北部の地域カラモジャの96.3%まで大きな開きがあります。
そのため、国内の各地域には、南アフリカと南スーダンという、サハラ以南アフリカのMPI最小値と最大値を示す国と同じだけの格差があることがわかっています。つまり、一つの国のなかにあっても、地域が異なるだけで大きな格差があるということです。

さらに、ブルキナファソやチャド、エチオピア、ニジェール、南スーダンでは、10歳未満の子どもの約90%以上が多次元貧困に陥っていることが示されていることから、こうした現状も打開しなければなりません。

サハラ以南のアフリカの貧困問題を撲滅するためには、経済成長を包摂的なものとし、持続可能な雇用を提供し、平等を促進する必要があります。

これを実現するためには、社会保障制度を導入し、災害が多い国での被害の軽減に役立てるとともに、大きな経済的リスクに対する支援を提供する必要があります。
こうした制度は、災害時に予期せぬ経済的損失に見舞われた人々による対応の強化に資するほか、最終的には最貧地域で極度の貧困に終止符を打つことにも役立つものです。

(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)

南アジア

一方、南アジアの多次元貧困層は5億4,600万人(人口の31%)で、うち2億人(37%)が深刻な貧困を抱えています。
2006年から2017年にかけ、平均寿命はサハラ以南アフリカで7年以上、南アジアで4年近く延びる一方で、小学校就学率は100%に近づいているものの、まだまだ解決すべき貧困問題が山積みとなっています。

(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)

南アジアも国内で大きな格差がある現状

貧困層内部での不平等が最も大きい国は、南アジアからパキスタンとバングラデシュが選ばれており、この2国は同じ国のなかでも、地域によって大きな格差があることが示されています。

困の深刻度が最も高い集団と、最も低い集団との間には、ニーズに大きな差がありうることから、南アジアのパキスタンのように平均的深刻度に大きな差がある国では、異なる貧困層集団に見合った政策を確保することが特に必要です。

(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)

世界が一丸となり貧困な人々への支援をしよう


貧困と不平等の現状を追跡するためには、多くの視点が必要です。その一つの手法としてMPIは開発されました。

貧困の全体像をつかむためには、その深さと広がりの両方を見ることが大切です。SDGsの目標1「貧困をなくそう」を達成するために、世界の様々な機関や支援団体が支援を行っています。

彼らが継続的に支援を行うためには、多額の資金が必要となり、私たちの寄付によりサポートできます。

まずは世界の現状を知り、私たちにできることから始めてみてはいかがでしょうか。

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