世界ではいま、貧困やジェンダーに関する問題が発生しており、各国がその改善のために取り組んでいます。
これは持続可能な開発目標(SDGs)でも取り上げられており、2030年の目標達成に向け世界レベルで行っている最中です。
日本でも貧困並びにジェンダーに関する問題として女性の貧困問題が起こっています。
これは男性との格差が原因となっているのですが、日本の女性の貧困問題、そして男性との格差とはどのような状況なのか、解説します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標1「貧困をなくそう」のターゲットや現状は?
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日本の男女間の賃金には格差がある
ジェンダーの格差における問題は世界でも注目されており、各国の男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数などの数値として表されることもあります。
この指数は経済や教育、健康、政府の4つの分野のデータから作成されており、0が完全不平等、1が完全平等を意味しています。
このデータによると2018年の日本のスコアは以下のようになっています。
総合 | 0.650(116位) |
経済分野 | 0.564(121位) |
教育分野 | 1.000(1位) |
健康分野 | 0.973(63位) |
政治分野 | 0.061(139位) |
(出典:内閣府「共同参画」,2022)
経済・政治分野はとりわけ不平等を示す結果となっています。
経済・政治分野は前回の数値より上昇が見られるものの、労働参加率の男女比や同一労働における賃金の男女格差が改善したことが上昇に寄与していると考えられます。
その一方で、元々はさらに大きな格差があったことが伺えます。
このような結果から、日本では女性の賃金が低いことが分かり、女性の貧困率が高いことを伺わせます。
(出典:男女共同参画局「共同参画 2019年1月号」,2019)
男性との格差が生まれる理由
男性と女性において格差が生まれてしまう理由は男女間の職階の差であり、勤続年数の差も影響が出ていると言われています。
男女間の賃金格差の要因を数値化したとき、労働時間での格差は低く、学歴でもそれほど大きな差は見られません。
しかしこれを勤続年数で見ると差が開き、職階では大きな差が見られるようになります。
勤続年数や職階に男性との差が生まれてしまうのは、出産による職場からの離脱が要因の一つとなります。
女性は結婚した場合、出産から子育てを行うことによって長期で職場を離脱、あるいは離職してしまうことがあり、勤続年数がそこで止まってしまいます。
また女性の参画に対して、まだ差別的な扱いがあり、女性の役職への起用が妨げられているという実状もあります。
男女共同参画社会を謳うようになり、改善こそされているものの、不平等なく職に就く、役職に就くのは難しい現場もあるのです。
このような実状から男女間で格差が生まれてしまい、賃金に差ができてしまっています。
さらにそれ以外にも要因としては以下の内容が挙げられます。
(出典:厚生労働省「男女間の賃金格差が生じている原因はなんですか?」)
指導的地位や特定の職業に占める女性の割合が低い
上述したように職階による男性との差はどうしても出てきてしまいます。特に課長相当職以上の指導的地位についている女性や、専門的あるいは技術的職業のうち特に専門性が高い職業に占める女性の割合が低いです。
これらの指導的地位や特定の職業には男性が占める割合が多いことから、賃金にも差が開いてしまっています。
(出典:男女共同参画局「男女共同参画白書(概要版) 平成30年版」)
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女性の方が家事に費やす時間が多い
家事に費やす時間、これを家事関連時間と言い、これに対して女性が費やす時間が多いのも要因の一つとなっています。
2011年から2021年にかけて男性の家事関連時間は増加し、男女の差は縮小していますが、依然としてその差は大きいままとなっています。
(出典:総務省「平成 28 年社会生活基本調査」)
(出典:総務省「令和3年社会生活基本調査」,2022 )
女性の非正規雇用の多さ
女性の非正規雇用の多さも要因の一つです。2022年における非正規雇用の割合を見てみると男性が22.2%なのに対して女性は54.4%と大きく差が開いています。
2021年よりもその割合はやや低下したとのことですが、それでも女性が多いのは確かです。
非正規雇用では正規雇用と賃金に大きな差が生まれます。女性の割合が多いということは、それだけ男性との賃金差が生まれやすいということになります。
(出典:男女共同参画局「第1節 就業をめぐる状況」)
女性の貧困に対する日本の取組みとは
女性の貧困は日本だけでなく、世界でも問題となっています。そのため持続可能な開発目標(SDGs)では目標1「貧困をなくそう」の中で、貧困状態にある全ての年齢の女性の割合を半減させることもターゲットにしています。
このSDGsの目標達成も踏まえた上で、日本では女性の貧困のためにいくつかの施策が実施され、取り組まれています。
これは男女共同参画白書30年版に記されており、貧困など生活上の困難に直面する女性への支援として決められている取り組みです。
2015年に算出された日本の相対的貧困のラインは、1人世帯において可処分所得が年間122万円未満しかない人とされています。
日本では特にシングルマザーの貧困が深刻な状態であり、2018年に行われた調査によると、シングルマザー世帯の貧困率は5割を超え、可処分所得が122万円の半分にも満たない世帯が13.3%にものぼると発表されています。
貧困に陥りやすいといわれる女性に向けて行われている取り組みの内容について見ていきましょう。
(出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 プレスリリース)
就業・生活の安定を通じた自立に向けた取組
就業や生活の安定を通じた自立を促すため以下の取り組みが進められています。
これに男性も含めた働き方の見直しを含むワーク・ライフ・バランスの推進が働き方改革などによって進められています。
この中には非正規雇用を巡る問題への対応や公正な処遇が図られた多様な働き方の普及なども含まれており、女性が陥りやすい非正規雇用に関する対策などを進めています。
他にも配偶者からの暴力の被害者に対する支援や複合的な課題を抱える生活困窮者の状況に応じた包括的な支援とその自立の促進も行われています。
ひとり親家庭等の親子が安心して生活できる環境づくり
貧困な状態にある女性の多くはひとり親家庭であることが調査によりわかっています。
このようなひとり親家庭などの親子が安心して生活できる環境づくりが求められ、それに対する取り組みも行われています。
その実状に応じた母子家庭等就業・自立センターなどを通じた一貫した就業支援や学び直し支援、ひとり親家庭が安心して子育てをしながら生活できる環境整備なども行われています。
またひとり親家庭を対象とした支援情報、特に子ども養育費の問題についての幅広い情報提供を行うことや、生活貧困世帯などの子どもへの学習支援、幼児教育の無償化など、子育てに関する支援も同時に行われています。
子ども・若者の自立に向けた力を高める取組
就職する際の男女間の知識・技術の差を極力減らすため、子どもや若者の自立に向けた力を高める一環として社会人・職業人として自立できる人材育成としてキャリア教育や職業教育を体系的に充実させる取り組みが進められています。
特に女性が長期的な視点に立って人生を展望し、働くことを位置づけ、準備できるような教育を推進する支援が行われています。
(出典:国連開発計画 駐日代表事務所(UNDP)「目標1: 貧困をなくそう」)
(出典:男女共同参画局「 貧困、高齢、障害等により困難を抱えた女性等が安心して暮らせる環境の整備」)
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男女の格差をなくそう
男女間の格差は、根深い問題として取り扱われてきました。その差は徐々にではあるものの縮小傾向をみせているものの、まだまだ差は大きく開いています。
この格差があることにより、女性の貧困が問題として起こってしまっており、ひとり親家庭による貧困が、将来を担う子どもたちにまで影響を与えてしまっています。
女性が政府や行政の援助を受けることなく自立し、活躍できる社会を作っていくためには、この男女格差をなくすことが何よりも重要になります。
私たちの意識から変わることがあります。この問題に向き合い、格差をなくす努力をしていくことが何よりも大切です。