ジェンダーの平等は現在様々な国で問題になっている課題です。これを実現するために2015年に定められたSDGsの目標の中にも盛り込まれています。
このジェンダーの平等は日本でも大きな課題であり、様々な取り組みが行われていますが、意外にも知られていないことは多く、改善が見られなければ経済の発展も停滞してしまい、日本は衰退の一途を辿るといっても過言ではないでしょう。
ジェンダーの平等のために日本が行っている取り組みなどをご紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」のターゲットや現状は?
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ジェンダーの平等は日本の大きな課題
世界で共通の目標として掲げられる「持続可能な開発目標(SDGs)」のゴール5にはジェンダーの平等と女性の能力強化が謳われています。
このジェンダーの平等は日本でも当然取り組まれていますが、現状は厳しく、大きな課題を抱えた状態です。
ジェンダーの平等を語る上で、ジェンダーギャップ指数はそれを判断するための1つの指標として用いられます。このジェンダーギャップ指数とは男女格差指数とも言い、世界経済フォーラムで2006年から公表しているレポートにて、各国の男女間の不均衡を示す指標であり、スコアがランキング形式で発表されています。
経済、教育、健康、経済の4つの分野のデータを分析して作成されており、このスコアは0が完全不平等、1が完全平等を意味しています。
2022年7月に公表された世界経済フォーラムでは「The Global Gender Gap Report 2022」*が公表され、日本は総合スコア0.650とされています。これは146カ国中116位と先進国の中でも非常に低くG7でも最下位のスコアとなっています。分野ごとの指数は以下の通りです。
スコア | 順位 | 前年スコア | |
経済分野 | 0.564 | 121位 | 0.604 |
教育分野 | 0.983 | 1位 | 1.000 |
健康分野 | 0.973 | 63位 | 0.973 |
政治分野 | 0.061 | 139位 | 0.061 |
(*出典:内閣府男女共同参画局 「共同参画」2022年8月号)
健康と教育分野では高めの順位ではあるものの、経済や政治分野では非常に低いのが目立ちます。
実際、政治ではまだまだ男性の参画が多く、女性の政治家が少ない、あるいは女性の政治参加が少ないのは見て取れます。
また経済分野でも役職などに女性が就くようになったものの、全体で見れば平等とはいえないのも頷けるでしょう。
こういった現状は、今も女性蔑視や偏見が残っているからとも言えるかもしれません。
女性差別や権利の侵害といった問題の現状や解決に向けて取り組んでいる寄付先の団体については、下記の記事で詳しく解説しています。女性の権利問題について取り組んでいる団体を知りたい方は、ぜひご一読ください。
>>差別や権利を侵害される女性を助けたい!5つの寄付先や支援方法、現状を解説
それでも前年よりもスコアはやや改善しているのがわかります。総合スコアも前年は144カ国中114位であったことから少しずつ改善していると言えます。
それでも課題が多く、いち早くこの状態を是正することを求められており、政府をはじめとした各機関で様々な施策が行われています。
また、日本では無意識にジェンダー意識に欠けた発言や表現を目にすることがあります
下記の本は、ジェンダー表現のリテラシーを高める手引き書です。
「悪気はないのだけれど、誰かを傷付けてしまった」となる前に、ぜひ以下の本を読んで欲しいです。
(出典:内閣府男女共同参画局)
日本の様々な機関がジェンダーの平等への取り組みを実施
この不平等な状態を抜け出し、ジェンダーの平等な社会を作り上げるため、政府では次のような基本原則を掲げ、具体的な取り組みにあたっています。
-
- 女性と女児の権利の尊重・脆弱な状況の改善
- 女性の能力発揮のための基盤の整備
- 政治、経済、公共分野への女性の参画とリーダーシップ向上
特に課題となっている政治、経済の分野への取り組みへ重点が置かれているのがわかります。これは日本国内だけでなく、世界への支援も見越した基本方針ではありますが、今の日本の課題を考え取り組むべき課題となっています。
この原則のもと、国内では以下のような取り組みが行われています。
もちろんこれだけではなく、他にも様々な施策が行われていますが、その中でも代表的なこの4つの取り組みについてご紹介します。
ポジティブ・アクション
ポジティブ・アクションとは、わかりやすく一つの定義をすることは難しいのですが、社会的あるいは構造的な差別によって不利益を被っている人に対し、一定の範囲において特別の機会を提供するなど、実質的な機会均等を実現する暫定意的な処置、と政府では定義しています。
例えばジェンダーの問題の一つに男女の能力差による差別が挙げられますが、これは個人の能力や努力によらない格差があることは否めず、このような不平等な機会を平等にするため、特別な機会を確保して提供することで、実質的な平等機会を得るという考え方です。
男女間の差別はあくまで一例であり、他にも様々なジェンダー問題に対して多様性の確保も求められており、政府そして民間でこのような機会を提供するよう取り組んでいます。
その手法は主に3つであり、それぞれ以下のとおりです。
アムネスティ・インターナショナルでは、LGBTQ+の人々などを人権侵害から救うため、人権のために行動する人たちを支援しています。
ジェンダーフリーな世界を目指し、国際的なコミュニティーとして活動している団体です。具体的にどのような活動を行っているのか、気になる方はぜひチェックしてください。
女性に対する暴力の根絶
女性に対する暴力は現在も後を絶ちません。配偶者などからの暴力や性犯罪、ストーカー行為、売買春、人身取引やセクハラなどは暴力行為に他なりません。これらの暴力を根絶する取り組みもジェンダーの平等として行われています。
女性が力の弱い立場にあり、暴力を振るわれても声をあげられない人もいます。そのような人のために相談ができる窓口を設け、どのように対処するか相談できるのも一つの取り組みです。
他にも「女性に対する暴力をなくす運動」の啓発としてパープルリボンの着用など広く認知してもらえるような取り組みも行われています。
育MEN(イクメン)プロジェクト
育MENプロジェクトとはその名の通り、育児を行う男性を推進していくプロジェクトです。子育ては女性がするものというイメージが強く、これにより女性は子どもを生んだら仕事を辞めたり育児休暇に入って長く仕事場から離れたりする傾向が強く、雇用にも影響し不平等な状況ができてしまいがちです。
それを是正するため、男性も育児に参加し、育児休暇を取得できるよう政府も働きかけています。2021年度の男性の育休取得率は13.97%*です。今後の目標は、2025年までに30%*に上げることなどを目標に掲げ、ワーク・ライフ・バランスを実現させるために民間連携して取り組んでいるのです。
女性応援ポータルサイト
女性が社会に積極的に参画してきたのはここ数年から数十年のことです。そのため不安なことやわからないことも多く、なかなか踏み出せない人がいるのも現状です。そういった人たちを応援し、また積極的に参加していくためのサポートをするために作られたのが、女性応援ポータルサイトです。
ここでは子育てから介護といった女性が抱えることが多い問題、就職や出産後の再就職、企業や地域での活動の支援、健康などあらゆる情報を得られるサイトです。こういったものを用意することで、女性が社会に参画しやすい環境づくりを進めています。
また企業経営においては、多様性を重視した経営が重要な課題のひとつになっています。
下記の本では、企業になぜ多様性が必要なのか、日本で多様性が遅れている理由や多様性に対する企業の取り組み事例をわかりやすく解説しているので、気になった方はぜひ読んでみませんか。
(出典:内閣府男女共同参画局)
(*出典:厚生労働省 「イクメンプロジェクト趣旨」
日本のジェンダーの平等のために私たちができること
日本のジェンダーの平等は上記のような取り組みを行うことで、改善へと少しずつ向かっています。
しかし、政府や関係機関が動くだけでは完全に改善するとはいえません。私たち一人ひとりが意識して生活し、身の回りでもできることをしなければ改善はなされないでしょう。
例えば、結婚されているのであれば女性に家事などをすべて任せていないか、職場などであれば立場が弱い人にきつい事を言っていないか、いろいろと見えてくることがあるのではないでしょうか。
そういった細かなことでも少し意識して変えるだけで、ジェンダーの平等の機会を増やしていくことに繋がるのです。もちろん男性だけでなく、女性の立場でも見えてくることはあります。そういった私たちができることを取り組んでいくことで日本のジェンダーの平等は着実に改善されていくことでしょう。
また、下記の本では、大学生の視点からジェンダーについての疑問とその答えがわかりやすく解説されています。ジェンダーについてより理解を深めたい方は、ぜひチェックしてみてください。
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