SDGsという言葉をご存知でしょうか。これは世界的に取り組まれている目標であり、2030年を期限として各国政府や関連機関、企業などが積極的に取り組んでいます。
その普及活動にも力が入れられていますが、抽象的な説明だけだといまいち浸透しないという課題もあります。
そこで開発されたのが、SDGsを楽しみながら学べるカードゲームです。
この記事ではそのカードゲームについて紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsとは?17の国際目標やターゲットなどを解説
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SDGsとは
まずSDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称であり、頭文字を取ってエスディージーズと呼ばれます。
こちらは2015年9月に国連サミットにおいて全会一致で採択された目標であり、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性(※1)のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際開発目標と169のターゲット、232の指標が定められています。
この前身としてMDGs(ミレニアム開発目標:Millennium Development Goals)というものがありました。
この目標は2001年に国連で専門家間の議論を経て策定されており、2000年に採択された国連ミレニアム宣言と1990年代の主要な国際会議で採択された国際開発目標を統合したものになります。
発展途上国向けの開発目標として、貧困・飢餓、初等教育、女性、乳幼児、妊産婦、疾病、環境、連帯の8つの目標を、2015年を年限として設定しました。
このMDGsは極度の貧困の半減や、HIV・マラリア対策など一定の成果を上げていますが、一方で乳幼児や妊産婦の死亡率に関しては未達成のものもあり、サブサハラアフリカなどで達成に遅れなどが見られました。
そこで新たな目標として掲げられたのが、SDGsです。MDGsの目標に加え、達成できたものはさらなる目標を、達成できなかったものは課題を整理して改めて再設定を行い、追加した目標を含め、17の国際目標が定められています。
また、今度は発展途上国向けではなく、先進国を含めた世界全体が取り組むべき目標とした普遍性を持たせています。
包摂性に関しては人間の安全保障の理念を反映した「誰一人取り残さない」ことを掲げ、全てのステークホルダー(※2)が役割を持つ参加型としました。
また社会・経済・環境に統合的に取り組む統合性や定期的にフォローアップする透明性に関しても重視しています。
※1包摂性:1つの事柄を一定の範囲に取り込むこと
※2ステークホルダー:企業の経営活動に関わる利害関係者のこと(経営者、従業員、株主、消費者など)
(出典:外務省「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」,2020)
SDGsを学べるカードゲームがある
SDGsは、世界各国の政府が主体となって取り組む国際的な目標ではありますが、政府だけでなく、関連機関や企業、そして私たちも主体的に取り組んでいかなければ2030年までに達成することはできない目標ばかりです。
しかし、肝心のSDGsについてその理念や考え方、取り組み方を理解していなければ、足並みを揃えることはできません。
ただ、このような理念や方法というのは浸透しにくいため、立場やケースに合わせてSDGsを理解してもらい、目標達成までの道程について考えてもらえるように作られたのがSDGsを学べる「カードゲーム」です。
カードゲームにすることで遊びながら理解してもらえるように工夫が為されています。
実際に環境省では環境行政に非常に大きな意味があるものとして、環境省職員向けにカードゲームの体験会を開き、その実用性や重要性を実感しています。
SDGsのカードゲームは3種類開発されており、それぞれ使えるケースが異なるため、それぞれのカードゲームについて紹介していきます。
2030SDGs
2030SDGs(ニイゼロサンゼロエスディージーズ)は、SDGsにおける環境・経済・社会の三側面の同時達成を目指して、2030年までの道のりを体験するカードゲームとして作られています。
ルールを簡単に説明しておくと、チームを結成し、それぞれの割り当てられた目標達成に向けて様々なプロジェクトを実施します。
その中でお金や時間の使い方、実施したプロジェクトが環境や経済、社会にどのような影響を及ぼすのかを体感することができます。
SDGsは持続可能な開発目標であり、この「持続可能な開発」と言うのがどういうものなのか、知ってもらう必要があります。それが体験できるカードゲームであり、SDGsを実社会で推進するためにどのような要素が必要なのか、考えることができるゲームでもあります。
こちらが環境省で体験会が開かれたカードゲームであり、事務次官以下、有志の約40人によって実施されており、ゲームを通じてSDGsを進めていくために何が必要なのか、どういうことが重要なのか、それぞれ得られるものがあったと環境省は報告しています。
現在はSDGsの普及に向けた取り組みが官民問わず増えており、積極的に参加することは17の目標達成にもつながるとしています。
SDGs de 地方創生
SDGs de 地方創生というカードゲームは、その名前にもある通りSDGsの考え方を地域の活性化に生かすことを特化して作られています。
地域創生を実現するためにどのような方法をとるべきか。参加者全員で対話して考えるためのゲームになっています。
持続可能な開発目標推進本部が2018年末に発表したアクションプラン2019の中には、SDGsを原動力とした地方創生と、強靭かつ環境に優しい魅力的な街づくりが明確に謳われています。
しかし実際にSDGsが浸透しきっていないことや、実際にSDGsの考え方を地方創生にどう活かすのか、など様々な疑問が出てきます。
そもそもSDGsは国際的な問題に対しての解決すべき目標であり、一地域の活性化につなげるのは難しいとされるかもしれません。しかし実際には世界が抱える問題と、日本の各地域
が抱える課題は根本原因が同じであり、それを直感的、体感的に感じ、次へとつなげることを目的としたゲームがこちらです。
このゲームではプレイヤーは行政担当者または住民と言う立場を取り、役割に応じてアクションを起こしていきます。
その行動が街の人口・経済・環境・暮らしに様々な影響を与えるため、具体的な施策を実践し、街が衰退しないように考えていくゲームです。
SDGsアウトサイドインカードゲーム
SDGsの取り組みは企業によっても行われています。
しかし実際に取り組むためにはSDGsについて深く知り、どのようにアプローチしていくかを考えなければいけません。そのために作られたのがSDGsアウトサイドインカードゲームです。
このゲームを説明するために、「アウトサイド・イン」の考え方について説明します。
アウトサイド・インとはSDGsのビジネス指南書「SDGコンパス」に記載されているビジネス用語です。
アウトは社会を、インは企業や組織を意味しています。これまでのビジネスアプローチは、企業が自社の製品やサービスを生かしてマーケットを開拓するプロダクト・アウト、あるいは市場のニーズに合わせて製品やサービスを開発するマーケット・インが主流となっていました。
アウトサイド・インはこのマーケット・インのベクトルを伸ばすことです。
アウトサイド・インではマーケット・インを進化させ、社会の声、つまり社会のニーズを聞くことで、企業にとっても独自のビジネスチャンスを創造できる手法であると期待されています。
このようなアウトサイド・インの考え方を学び、事業活動に活かしていきたいという事業者も増えたことから、考え方の学習とともに、新事業の創生や事業計画への活用のために生み出されたのが、このカードゲームです。
このカードゲームでは事業機会や実践事例、実践を阻害する組織面の要素または個人のメンタルモデル支援するツールの使い方などを学ぶことができます。
(出典:環境省「地球環境の限界と持続可能な開発目標(SDGs)」)
(出典:イマココラボ「環境省で2030SDGs -カードゲームで学ぶ持続可能な社会づくりとSDGs」)
(出典:SDGs de 地方創生「カードゲーム「SDGs de 地方創生」」)
(出典:SDGs Outside-in Card Game「アウトサイドインとは」)
カードゲームでSDGsを楽しみながら理解しよう
SDGsは国際的な課題に対しての目標であり、難しく考えがちですが、その内容はとても身近なものであり、私たちにも無関係なことではありません。
大々的に世界で行われていると言われると堅苦しいものであると感じるかもしれませんが、そんなことはなく、このようにゲームなどを通じて手軽で楽しく理解することができます。
私たちは様々な問題に対して、SDGsで行われていることを知り、そしてどのようにアクションを起こしていくか理解していくことで、一人ひとりがどのように取り組むべきかが分かってきます。
そのためにもゲームを取り入れて楽しくSDGsのことを学べるのはまたとないチャンスかもしれません。
そのような機会があるのなら積極的に参加することをおすすめします。あるいはSDGsのことを知ってほしいという人がいるのであれば、このようなカードゲームを導入してみるのも1つの手です。
私たちが取り組むべき課題について、カードゲームで楽しく理解し、未来へつなげていきましょう。
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