【メタディスクリプション】トランスジェンダーの方が職場や公共施設のトイレで抱える困りごとと、2023年最高裁判決(経産省事件)以降の動き、企業・自治体・国の対応事例を、公的データと一次情報をもとにわかりやすく解説します。

「自認する性に合うトイレに入りづらい」「同僚や利用者にどう見られるか怖い」
当事者の方が職場や外出先のトイレで直面する悩みは、毎日続く深刻な負担です。2023年7月の最高裁判決(経産省事件)をきっかけに、企業や行政の対応も大きく動き始めています。
そもそもトランスジェンダーという言葉の意味については〈意味とよくある疑問をやさしく解説した記事〉で、性同一性障害との違いやLGBT全体での位置づけについては〈性同一性障害との違いを扱った解説記事〉で詳しく扱っています。基礎知識についてはこの2記事をあわせてご覧ください。
本記事では「トイレ」というテーマに焦点を絞り、当事者の方が抱える悩みと、企業・公共施設で実際に進んでいる対応事例の両面から、現状と打ち手を整理していきます。
トランスジェンダーがトイレで直面する現状

結論からお伝えすると、トランスジェンダーの方の多くは、職場や公共施設でトイレを利用するたびに、周囲の視線・トラブル・健康面のリスクを天秤にかけている状態にあります。まずは公的・準公的な調査データから、トランスジェンダーの方が置かれた現状を客観的に確認していきましょう。
トイレで困った経験を持つ当事者の割合
住宅設備機器メーカーTOTOが公開している「性的マイノリティのトイレ利用に関するアンケート調査」(2018年)では、トランスジェンダー当事者の約65%が「外出先のトイレで困ったことがある」と回答しています。背景として、自認する性のトイレに入ると周囲からとがめられる不安、出生時の性別のトイレに入ると自分の心が傷つくジレンマが挙げられています。
(出典:TOTO株式会社「性的マイノリティのトイレ利用に関するアンケート調査」)
トイレ我慢による健康被害
認定NPO法人 虹色ダイバーシティが毎年実施しているLGBTQ当事者向け調査「niji VOICE」でも、トランスジェンダー当事者が「トイレに行きにくいので水分を控える」「我慢を続けて膀胱炎を発症した」といった健康上の影響を抱えていることが繰り返し報告されています。この課題は単なる利便性ではなく、当事者の健康と業務遂行能力に直結する深刻な問題です。
(出典:認定NPO法人 虹色ダイバーシティ「niji VOICE 2023 報告書」)
社会全体の認知ギャップ
一方で、社会全体ではこの問題への理解が追いついていない側面もあります。Ipsosの国際調査「LGBT+ Pride 2023」では、「トランスジェンダーが自認する性に合うトイレ・更衣室を使えるべき」とする日本の回答率は43%にとどまり、調査対象30カ国のなかでも低水準でした。当事者の体感する困難と、社会全体の理解度に大きなギャップがあることが見て取れます。
(出典:Ipsos「LGBT+ Pride 2023:Global Survey」)
・トイレ我慢による膀胱炎など、健康被害の実例が当事者調査で繰り返し報告されている
・「自認する性に合うトイレ使用に賛成」とする日本の回答率は43%で国際比較では低水準
当事者が職場・公共施設で抱える5つの困りごと

ここからは、トランスジェンダーの方が具体的にどんな場面で困っているのかを、5つの代表的なテーマに整理して見ていきます。
自認する性のトイレに入りづらい
もっとも基本的な困りごとが、自認する性のトイレに入ったときの周囲の視線です。
トランス女性(MtF)の方からは「女性用に入ると『男性が入ってきた』と通報されるのではないかと毎回緊張する」、トランス男性(FtM)の方からは「男性用に入ると小柄な体格を二度見される」といった声が報告されています。
職場の場合は、同じフロアの同僚と毎日顔を合わせる関係性が、緊張をさらに強めます。
出生時の性別のトイレに入る心理的負担
逆に、出生時の性別の側を使い続ける選択をしても、自認する性と異なる空間に毎日入ることが、強い違和感や精神的疲労につながります。
ホルモン治療や性別適合手術が進むと、外見と出生時の性別の差が大きくなり、「もう以前の場所には戻りたくない」と感じるトランスジェンダーの方も少なくありません。
多目的トイレ(=バリアフリー設備)頼みの限界
当面の解決策として、多目的トイレ(現在の国の標準名称は「バリアフリートイレ」)を使うという選択肢があります。
ただし、施設に1〜2か所しかない場合がほとんどで、移動時間の負担が大きいうえ、本来必要としている車いす利用者・オストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)・ベビーケア利用者の利用機会を圧迫してしまう問題もあります。「いつも多目的の設備で申し訳なく感じる」という当事者の声は根強く存在します。
(出典:国土交通省「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(令和3年改正)」)
更衣室・健康診断・出張先での同種の困難
同様の構造の困難は、更衣室、健康診断、出張先のホテル、社員旅行・研修宿泊先など、性別で空間を分ける場面のすべてで発生します。
トイレで「自認する性での利用」が実現していても、健康診断の更衣室で受診を諦めたり、出張のたびにホテル予約で人事に相談したりするケースは少なくありません。
ハラスメント・アウティングのリスク
トイレ利用をきっかけに、本人の性別違和が周囲に伝わってしまうことも、トランスジェンダー当事者にとって大きな不安です。
2020年6月施行のパワーハラスメント防止措置では、性的指向や性自認に関する侮辱的な言動と、本人の同意なく性自認等を第三者に伝える「アウティング」が「個の侵害」型のパワーハラスメントに該当することが明確化されました。利用ルールの変更を巡って当事者の事情が広まる、といった事態は構造的に避ける必要があります。
(出典:厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」)
・多目的トイレ(バリアフリートイレ)に頼り切ることは、本来の利用者への影響と当事者の心理面で限界がある
・トイレを起点としたアウティングはパワハラ防止法上のハラスメントに該当し得るため、運用設計が重要
経済産業省事件・最高裁判決が示した実務上のポイント

職場のトイレ運用を考えるうえで、避けて通れないのが2023年7月11日の最高裁判決(いわゆる経済産業省事件)です。この判決の要旨を、当事者・人事担当者の双方の視点で整理します。
どんな事件だったのか
原告は、経済産業省に勤務するトランスジェンダー女性職員(性同一性障害の診断を受けた戸籍上は男性の方)です。
経産省は、同僚向け説明会の後に女性用更衣室・休憩室の使用は認めましたが、女性用トイレについては「執務階から2階以上離れた階のトイレに限って使用を認める」という制限を設けました。
原告は人事院に対しこの制限の撤廃を求める措置要求を行いましたが、人事院は要求を退ける判定を出しました。
(出典:最高裁判所第三小法廷 令和5年7月11日判決(経済産業省事件))
最高裁が違法と判断した理由
最高裁は、裁判官5名全員一致で人事院の判定を「違法」と判断しました。
理由として強調されたのは、下記の3点です。
- 職員が日常的に不利益を受けていたこと。
- 説明会から人事院判定まで約4年10か月の間にトラブルや女性職員からの異論が確認されていなかったこと。
- 人事院は「他の職員への配慮」を過度に重視し、原告の不利益を不当に軽視したこと。
判決は、人事院の判断を「著しく妥当性を欠く」と評価しました。
判決の射程と注意点
一方で、本判決には限定的な性質があることにも留意が必要です。
最高裁は「本判決は、トイレを含め、不特定又は多数の人々の使用が想定されている公共施設の使用の在り方について触れるものではない」と明示しています。
つまり、本判決は人事院による1つの行政処分の違法性を判断したものであり、公共施設や民間企業の運用全般に一律のルールを示したものではありません。
ただし、人事実務の観点では極めて重要な示唆を含んでいます。
- 職員個別の事情を踏まえずに一律の制限を継続することは大きな法的リスクとなる。
- 説明会や意向確認といったプロセスを行ったあと、運用を放置せず定期的に見直すことが期待される。
- 他の従業員への配慮は当然必要だが、それが当事者の不利益を一方的に上回ってよいわけではない
というメッセージです。
判決後の経産省の対応
判決後、経済産業省は2024年11月、最高裁判決から1年以上を経て、原告以外のトランスジェンダー職員にも女性用トイレの使用制限を撤廃する運用変更を行いました。
判決のメッセージが行政自身の運用に反映されるまでに時間を要した事実は、組織として迅速に制度更新を行うことの難しさと重要性を示しています。
(出典:経済産業省広報資料および各種報道(2024年11月))
・判決の射程は「人事院の1つの行政処分」に限定され、公共トイレや民間企業全般に一律のルールを示すものではない
・他方、企業の人事実務では『個別協議の徹底』『運用の定期見直し』『他従業員配慮との適切なバランス』が重要な示唆
・判決後、経産省も2024年11月にトイレ利用制限を撤廃し、運用更新の難しさと重要性が浮き彫りになった
当事者ができる工夫と相談先

制度的な動きと並行して、トランスジェンダーの方が今日から取れる選択肢を整理します。「我慢する」以外の選択肢を知っておくこと自体が、心理的な負担を軽くする第一歩です。
自分の希望を整理しておく
会社や学校に相談する前に、まず自分の希望を言語化しておくと、対話がスムーズになります。
具体的には、下記3点を整理しておくと、人事との協議が現実的なものになります。
- どの設備を使いたいか(自認する性のトイレ/個室化された場所/バリアフリートイレ等)
- どんなタイミングで運用を変えたいか(すぐに/医療的移行が進んでから等)
- 誰に伝えたいか(直属上司のみ/人事/同フロアの同僚)
人事・産業医・社外窓口に相談する
社内では、まず信頼できる直属上司、または人事部の担当者に相談する選択肢があります。一人での相談に不安がある場合、産業医面談を活用するのも一案です。産業医は守秘義務があるため、健康面の影響をきっかけに人事と協議を始める導線として活用できます。
社外では、各都道府県・政令市の人権相談窓口、厚生労働省委託「総合労働相談コーナー」、よりそいホットライン(LGBTQ+専門ライン)が主な相談先です。匿名で相談できる窓口が多いため、社内で開示する前段階の整理にも使えます。
法的根拠を踏まえて伝える
人事との協議では、感情論ではなく、判例・法令・公的ガイドラインといった共通言語で話すと建設的に進みやすい傾向があります。
具体的には、2023年7月の経産省事件最高裁判決の要旨・LGBT理解増進法に基づく事業主の努力義務・パワハラ防止法上のアウティング禁止、の3点を要約した1枚資料を準備しておくと有効です。
支援団体への相談
企業や行政の窓口で十分に対応されなかった場合は、専門NPOへの相談という選択肢があります。認定NPO法人 虹色ダイバーシティ、認定NPO法人 ReBit、NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク(SMN)などは、相談支援に加えて、企業との橋渡しや研修提供も行っています。
寄付やボランティアで関連団体を応援したい方は⦅gooddoマガジンの 団体を探すページ⦆から、テーマ別に支援先を検索できます。
・社内では人事・産業医、社外では人権相談窓口・総合労働相談コーナー・よりそいホットラインが主な相談先
・経産省事件判決・LGBT理解増進法・パワハラ防止法の3点要約は、社内交渉の共通言語として有効
企業に求められる対応【人事・ファシリティ担当者向け】

ここからは、企業の人事・労務・総務・ファシリティ担当者の方に向けて、優先度の高い対応領域を5つに整理します。すべてを一気に整える必要はなく、自社の現状に合わせて段階的に進めることが現実的です。
一律ルールではなく『個別協議型』の運用に切り替える
経産省事件判決を踏まえると、「トランスジェンダー社員には◯階のバリアフリー設備を使ってもらう」といった一律ルールを設けることは、それ自体が法的リスクです。
代わりに、本人の希望を聞き取り、職場の状況・施設の状況・他の従業員の意向を踏まえて個別に協議し、運用方針を定期的に見直すプロセスを就業規則や社内ガイドラインに明文化することが推奨されます。
施設対応:個室化と『性別共用個室』の検討
施設面では、「すべての従業員が安心して使えるトイレ」という発想で再設計を進める企業が増えています。具体策としては下記のような選択肢があります。
- 既存の男女別エリアの完全個室化(扉と仕切りの強化)。
- 男女別エリアに加えて『性別共用の個室』を1〜2室併設する。
- バリアフリートイレの数と配置を見直す。
LIXILの新本社では、利用者が選択肢の中から自分にあった場所を選べる「オルタナティブ・トイレ」が設けられています。
(出典:LIXIL「LIXIL Park-Front 〜オルタナティブ・トイレの設計思想」)
先進企業の取り組み事例
PRIDE指標で最上位ゴールドを継続的に獲得している企業を中心に、トランスジェンダー対応のガイドラインや相談窓口の整備が進んでいます。
野村ホールディングスは「野村グループ倫理規程」でLGBTQへの差別禁止を明記し、トランスジェンダーの働き方を支援する社内ガイドラインと相談窓口を設置しています。
NTTグループ、LIXIL、武田薬品工業、協和キリン、トランスコスモスなども2024年のPRIDE指標でゴールド認定を受けており、各社が施設・制度・研修をパッケージで進めています。
(出典:一般社団法人 work with Pride「PRIDE指標2024」結果発表)
研修・社内コミュニケーションの設計
制度や設備を整えても、現場の理解が追いつかなければ運用は機能しません。
全社員向けの基礎研修、管理職向けのケース研修、人事担当者向けの実務研修の3層構成で、定期的にアップデートしていくことが効果的です。設備に「LGBT用」と表記を加えるような、当事者を特定するピクトグラム変更は逆効果になりやすいため、サイン計画は専門家と共に設計するのが安全です。
就業規則・社内ガイドラインへの明文化
LGBT理解増進法(2023年6月施行)は、事業主に対し、性的指向・ジェンダーアイデンティティに関する研修・啓発、相談機会の確保、就業環境の整備を努力義務として定めています。罰則はありませんが、判決リスクとレピュテーションリスクの両面から、就業規則・服務規律・ハラスメント防止規程を見直し、差別禁止・アウティング禁止・施設利用に関する個別協議プロセスを明文化する企業が増えています。
(出典:性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(LGBT理解増進法、2023年6月23日施行))
社会課題に取り組む企業の最新事例は、gooddoマガジンの 企業事例カテゴリ と、関連サービスの discover.gooddo.jp からも検索いただけます。
・施設対応は『個室化』『性別共用個室の併設』『バリアフリートイレの再配置』の3軸で検討する
・野村HD・NTT・LIXIL・武田薬品など、PRIDE指標ゴールド企業の取り組みは設計のベンチマークになる
・LGBT理解増進法・経産省事件判決を踏まえ、就業規則・ガイドラインへの明文化が進んでいる
公共施設のトイレ整備と国の最新ガイドライン

公共施設のトイレ整備についても、国レベルで新しい方針が出されつつあります。職場の議論にも関わるため、概要を整理しておきます。
「多目的トイレ」から「バリアフリートイレ」へ
国土交通省は、建築設計標準(令和3年改正)で、これまでの「多目的トイレ」「多機能トイレ」という名称を、用途を明確にする観点から「バリアフリートイレ」へ統一する方向に整理しました。
これは、本来の優先利用者(車いす利用者・オストメイト・ベビーケア等)以外の利用が集中し、必要な人が使えない実態を踏まえたものです。
(出典:国土交通省「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(令和3年改正)」)
性別共用の個室空間(オールジェンダートイレ)
バリアフリートイレに加えて、性別共用の個室(オールジェンダートイレ・ジェンダーニュートラルトイレ)を併設する方針も、各種ガイドラインで言及され始めています。完全個室であること、男女別を廃止するのではなく『追加する』設計とすること、サイン計画を分かりやすくすることが、設計上のポイントとして整理されています。
一方で、新設の商業施設で、男女別を廃止して『男女共用化』した事例が利用者から不評を受け、運用見直しに至ったケースも報じられています。設計時は『男女別を残しつつ選択肢を増やす』アプローチが、当事者・非当事者双方の利便性を損なわない現実解として支持されています。
(出典:国土交通省「共生社会におけるトイレの環境整備に関する調査研究」報告書)
利用者の多様な特性に配慮したトイレ整備の今後
国土交通省は2023年以降、「利用者の多様な特性に配慮したトイレ整備のあり方と適正利用の推進に関する協議会」を設置し、性的マイノリティを含む多様な利用者への配慮、女性用トイレの不足、バリアフリートイレの集中利用などを総合的に検討しています。設計基準の改定は段階的に進められており、設備改修や新築を検討する企業は最新のガイドラインを継続的にフォローすることが重要です。
(出典:国土交通省「バリアフリー:トイレ設置数の基準と適用のあり方に関する協議会」)
・国交省の協議会で多様な利用者への配慮を含むトイレ整備基準が継続的に議論されており、最新動向のフォローが重要
知っておきたい関連法律・制度の動向

トイレに直接関係する判決・法律に加え、当事者の権利全般に関わる重要な動きを4点整理します。
LGBT理解増進法(2023年6月23日施行)
正式名称は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」です。
罰則のない理念法ですが、国・自治体・事業主に対して、性的指向やジェンダーアイデンティティへの理解増進に関する施策を講じる努力義務を定めています。トイレ運用についても「就業環境の整備」のなかで配慮が求められる位置づけです。
経済産業省事件・最高裁判決(2023年7月11日)
前述のとおり、トランスジェンダー職員に対する一律のトイレ使用制限を違法と判断した、職場のトイレ運用に関する初の最高裁判決です。判決の射程は限定的ですが、人事実務に対するメッセージは強く、各企業の対応見直しが続いています。
性同一性障害特例法と2023年最高裁決定
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(2003年成立・2004年施行)は、戸籍上の性別変更要件を定めた法律です。2023年10月25日、最高裁大法廷は、同法の「生殖腺除去要件(いわゆる手術要件)」を憲法13条に違反すると判断しました。今後、関連要件の見直しが議論されており、当事者の戸籍上の性別と社内システム上の表記の連動も論点になり得ます。
(出典:最高裁判所大法廷 令和5年10月25日決定(性同一性障害特例法 生殖不能要件違憲決定))
パワハラ防止法とアウティング
2020年6月施行のパワーハラスメント防止措置(中小企業は2022年4月から義務化)では、性的指向・性自認に関する侮辱的言動や、本人の同意なく性自認を第三者に伝える「アウティング」が、職場の「個の侵害」型ハラスメントに該当することが明確化されました。トイレ利用ルールの変更や個別協議の運用設計は、アウティングを防止する設計と一体で考える必要があります。
LGBT・ジェンダー平等の基礎知識については、gooddoマガジンの〈LGBT・ジェンダー平等カテゴリ〉からも関連記事を確認できます。
・経産省事件最高裁判決は一律のトイレ使用制限を違法と判断し、人事実務に大きな影響を与えた
・性同一性障害特例法の手術要件は2023年10月に違憲判断を受け、関連要件の見直しが進んでいる
・パワハラ防止法によりアウティングは『個の侵害』型ハラスメントとして明確に位置づけられている
誰もが安心して使えるトイレ環境へ

トランスジェンダーとトイレをめぐる問題は、当事者一人の工夫だけでも、企業一社の対応だけでも解決しきれない、社会全体で取り組むべきテーマです。
当事者の方は「自分の希望を言葉にする」「信頼できる相談先につながる」ことから、企業の方は「一律ルールではなく個別協議に切り替える」「先進企業の事例を参考に設備・制度を見直す」ことから、一般の方は「正しい知識のアップデートと、関連団体への寄付やボランティアでの応援」から、それぞれ一歩を踏み出すことができます。誰もが安心して使えるトイレ環境を、一人ひとりの理解と行動で前へ進めていきましょう。
関連情報・支援の輪を広げるには
gooddoマガジンでは、LGBTQ+やジェンダー平等をはじめとする社会課題について、最新のデータと事例を発信しています。
あわせて、寄付やボランティアで関連団体を応援したい方は、団体検索ページから支援先を探すことができます。
(本記事はgooddoマガジン編集部が、公的データ・最新の判例・専門NPOの一次資料をもとに作成しました。記載のデータや法令は2026年5月時点の情報です。)