先進国や開発途上国を問わずに持続可能な開発を目指すSDGsですが、日本では地方自治体ごとに積極的に取り組む自治体もあります。
ここでは自治体SDGsの概要やその取り組みについて紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsとは?17の国際目標やターゲットなどを解説
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自治体SDGsとは
SDGsとは2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」において採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」を指します。
17のゴールと169のターゲットが設定されるとともに230ほどの指標が提示されています。これらを活用することで行政、民間、市民などでの共通認識を持つことが可能となり、連携が促進されるとされています。
自治体がSDGsに取り組む意義とは
地方には少子高齢化や地域の人口減少、それらによる経済規模の縮小など様々な課題があります。
自治体SDGsの目標の目標は、持続的に成長していける力を確保しつつ、人々が安心して生活ができるようなまちづくりを行うことです。
地方創生を継続して進めていくために、政府は長期的に計画された持続可能な開発、まちづくりが必要だと考えています。
それぞれの地方では地方創生分野における「SDGsモデル」の構築が進められています。
平成30年6月には地方公共団体によるSDGsの達成に向けての優れた取組を提案した29都市を「SDGs未来都市」として選定しています。
さらにその中で特に優れている取り組み事業10事業を「自治体SDGsモデル事業」として選定し、この事業の展開を進めているところです。
(出典:内閣府 地方創生推進室公式サイト)
自治体SDGsの具体的な取り組み
ここではいくつかのSDGs未来都市の取り組みを紹介します。
石川市白山市
白山市では白山ユネスコパーク及び白山手取川ジオパークの理念と合致する継続開発の理念に基づいて事業計画がなされています。
山間部を開発拠点とし、産業、学界、官営、民間などが連携して「環境に調和した持続可能な経済発展や豊かな生活を実現し、その成果を市全体に還元するサイクルの確立」を目指しています。
白山地域の共同体「白山ソサエティ」では、女性が家庭や子育てを両立させながら仕事に活躍できる場が構築され、企業の理解も進み、様々な形で女性が社会で活躍しています。このことにより、女性の移住定住の促進が図られ、これまで減少していた山間部の人口に歯止めがかかっています。
(出典:白山市 「第2期白山市SDGs未来都市計画(令和3年3月策定)」)
長野県
長野県では「学びと自治の力による自立・分散型社会の形成」という目標を掲げ、ステークホルダーが主体的に学び、協働することで地域が抱えている課題解決に取り組んで多様な地域の個性を活かす自立・分散社会を目指しています。
以下は長野県が掲げている計画です。
- 学習支援や食事提供、悩み相談等を行う信州こどもカフェにより、学用品のリユースや冷暖房等の集約による環境負荷の低減を図るとともに、奨学金の給付等による経済的困難を抱える子どもの就学支援も合わせ、親の安定就労や子どもの学力向上を通じて産業人材を育成、確保する。
- 長野県立大学(平成30年4月開学)ソーシャルイノベーション創出センターにおいて、公開講座等の実施により社会人の大学へのアクセスを促進するとともに、地域のイノベーションの実像をロールモデルとして学生に提示することで、次世代の地域社会のイノベーターを養成する。
- 経済・社会・環境の課題について学ぶ講座や高齢者の社会参加活動を促進する講座により、持続可能な社会を支える人材を育成するとともに、図書館・公民館やオンラインを活用した学ぶ人同士の連携・交流を促進し、新しい社会的価値を創造する「学びのエコシステム」を構築する。
(出典:長野県「SDGs未来都市計画」)
(出典:長野県 長野県SDGs未来都市計画(2021~2023))
北海道
北海道では、まず北海道全体が「SDGs未来都市」に選定された他、札幌市、ニセコ町、下川町、上士幌町が同じく選定されています。
北海道では道内において「個人、企業、団体、NPO、行政機関」などそれぞれにSDGsが浸透し、様々な分野や地域で具体的に取り組みが広がっていくように連携、協働するというネットワーク組織として「北海道SDGs推進ネットワーク」が設立されました。
SDGsの推進を支援できる人材のリストを作成・管理し、SDGsに取り組もうとする方々との
マッチングする「北海道SDGs推進人材バンク」の運営により、道内企業や学校等におけるSDGsの普及を図っています。
国際的なネットワークを有するJICA北海道などと連携し、道内におけるSDGsの取組状況等に
ついて世界に向けて情報発信も行っています。
(出典:北海道庁「北海道 SDGs 未来都市計画」)
(出典:北海道 SDGs 未来都市計画(2021~2023))
北九州市
北九州市では以下のようなまちを目指してして取り組みが進められていきます。
「真の豊かさ」にあふれ、世界に貢献し、信頼される「グリーン成長都市」
-
・社会課題解決につながる「持続可能なビジネスが生まれ、育つまち」
・ダイバーシティの推進による「みんなが活躍できるまち」
・SDGsを踏まえた教育の実践による「未来の人材が育つまち」
・環境と経済の好循環による「ゼロカーボンシティを目指すまち」
・アジア諸都市を中心とした「世界のグリーンシティをけん引するまち」
このための具体的な取り組みとして、新たなビジネスやイノベーションを起こすまちを目指して、風力発電関連産業の推進を行っています。
これはエネルギーを中心として技術力、市民力を活かした課題解決事業を展開し、国内外に向けて普及展開していきます。
低炭素エネルギーの新興、環境産業の活性化、女性や高齢者の活躍、エネルギーリサイクル産業の技術向上、海外展開が目指されています。
(出典:北九州市「北九州市SDGs未来都市」)
(出典:北九州市 第二期 北九州SDGs未来都市計画)
北海道下川町
北海道下川町では「下川町総合計画」において以下のような目標(ゴール)が設定されています。
- ・林業の川上から川下までのシームレス産業化事業
- ・畜産収益力向上クラスター推進事業
- ・農業振興事業(農業生産の拡大と農業所得の向上、担い手の確保)
- ・持続可能な地域経済社会システム調査研究事業
- ・地域内経済循環を促すポイントシステム事業
- ・地域中小企業成長・起業促進
- ・地域経済好循環化牽引機能
自然を重視しながらも町内の中小企業の発展を促進していくという方針を中心にして打ち出されています。
(出典:下川町 第2期下川町SGDs未来都市計画)
神奈川県横浜市
横浜では港湾都市・観光都市・工業都市である多様な魅力を活かし包括的に開発させていくということを目標としています。
「環境・経済・社会」の三つの側面における新しい価値創出が考えられており、継続開発を実現するポテンシャルが高い先導的な取り組みを行っていくとしています。
(出典:横浜市「SDGs未来都市」)
SDGs未来都市の2022年選定都市
2022年の「SDGs未来都市」としては以下の都市が選定されています。
- 宮城県大崎市
- 秋田県大仙市
- 山形県長井市
- 埼玉県戸田市
- 埼玉県入間市
- 千葉県松戸市
- 東京都板橋区
- 東京都足立区
- 新潟県
- 新潟県新潟市
- 新潟県佐渡市
- 石川県輪島市
- 長野県上田市
- 長野県根羽村
- 岐阜県恵那市
- 静岡県御殿場市
- 愛知県安城市
- 大阪府阪南市
- 兵庫県加西市
- 兵庫県多可町
- 和歌山県田辺市
- 鳥取県
- 徳島県徳島市
- 徳島県美波町
- 愛媛県新居浜市
- 福岡県直方市
- 熊本県八代市
- 熊本県上天草市
- 熊本県南阿蘇村
- 鹿児島県薩摩川内市
(出典:SDGs未来都市「地方創生に向けたSDGsの推進について」)
(出典:内閣府 「令和4年度SDGs未来都市 選定都市一覧」)
各自治体の取り組みにも目を向けてみよう
「経済・社会・環境の三側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市・地域として選定」されていく「SDGs未来都市」はそれぞれの地域にあった特徴を活かして開発が計画されています。
自分が住んでいる地域を始め、各自治体が行っている取り組みについて調べてみると面白いかもしれません。
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