経済的に生活が困窮する、という自体は誰にでも起こる可能性があります。
それは単純にその人の就労状況や環境だけでなく、国や世界的な経済状況など、様々な理由で収入が下がる、あるいは得られなくなる危険性が少なからずあるためです。
実際に、すでにそのような状態に陥っている人はいます。そして、そのような人の状況を把握し、適切な支援を行う事業が存在しています。
この記事ではそのような支援を行う、生活困窮者自立相談支援事業について紹介します。
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生活困窮者の実態
生活困窮者とは高齢者や児童、障害者などこれまでの支援の対象にならず、かつ各々の理由により生活に困窮している人を言います。
そのような人を支援する法律や制度は近年までなかったため、生活保護を受けることしかできませんでした。
しかし、生活保護を受けるための条件は厳しく、人によってはその条件に該当しないこともあり、支援もあまり望めない人も多くいました。
こうした生活困窮者を救うために2015年に施行されたのが、生活困窮者自立支援法であり制度です。
この対象者は経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することが困難であり、生活保護を受けていないが生活保護に至る可能性がある人で、自立が見込まれる人としています。
そして実際に法整備が行われ制度がスタートし、2017年までに約45万人の生活困窮者が来訪したということが分かっています。
相談に訪れると実際にすべての人が相談に訪れたわけではなく、経済状況などで生活困窮者は増加する恐れがあるため、これ以上に生活に困窮している人がいると考えられています。
(出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援法について」,2015)
(出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の現状と課題について」,2017)
生活困窮者自立相談支援事業とは?
生活困窮者の自立支援を行うために2015年4月から生活困窮者自立支援法が施行され、自立支援制度がスタートしました。
生活困窮者は様々な理由で生活に困窮した人々です。そうなると決められた支援だけですべての生活困窮者の状態を改善できるわけではありません。
過去の支援方法の要件に合わず、生活困窮を脱することができなかった人がいたことからも分かる通り、生活に困窮している様々な理由に対して対応した支援方法を提案する必要がありました。
例えばこれまでは高齢者や児童、障害者など分野に分けた支援は行われてきました。
しかし生活困窮者の中にはどの分野にも属さない人も多数存在し、その人たちの支援が行えないことが問題になっていました。
あるいは生活保護においても、生活困窮者が微妙に要件に該当しないため支給を受けられなかった人というも少なくありません。
つまり既存の法律や制度では支援できない人が生活困窮者として苦しむことになったのです。
そのような人たちを支援するための新たな法整備が必要であると判断されたことから、生活困窮者自立支援法が成立し、制度がスタートしました。
この法律および制度において、最も重要な事業として挙げられるのが「生活困窮者自立相談支援事業」です。
生活困窮者自立相談支援事業の取り組み内容
自立支援制度において、最も重要とされるのが生活困窮者自立相談支援事業です。
生活困窮者の支援には、現在の状況把握と課題の整理は必須となります。
その現状と課題を改善し、自立してもらえるよう支援していくのがこの法律と制度の目的です。
まずは生活困窮者から現状の聞き取りを行える窓口が必要であり、それを都道府県や市区町村など各自治体の福祉担当部署や社会福祉協議会、社会福祉法人、NPOなどに設置しています。
ここで自立相談支援事業が行われており、支援員が生活困窮者の相談を受けています。
しかしただ相談を受けることだけが、この事業の役割ではありません。
この自立支援制度においてその他事業へ移行するのも、自立相談支援事業の役割です。
生活の困りごとや不安などを解消できる支援事業を生活困窮者と支援員とで考え、具体的な支援プランを作成し、支援メニューを提案するまでが、この事業の役割となります。
つまりこの自立相談支援事業がなければ、支援制度全体が成り立たなくなるため、この制度において非常に重要な事業であり、必須事業として扱われています。
生活困窮者の早期支援と地域ネットワークの強化
自立相談支援事業では上記以外にも与えられた役割があります。
1つは訪問支援を含めた、生活保護に至る前段階での早期支援の模索です。相談は必ずしも窓口だけで行うわけではありません。
様々な情報から生活保護に至る可能性がある家庭、あるいは生活保護は受けられないけど困窮状態にある家庭に出向き、支援員が話を聞いて支援へとつなげていくこともあります。
生活保護の条件は厳しめであり、その状態に至るまで苦しい状況が続く可能性があります。
また、一度生活保護にまで行ってしまうと、自立するまでにかなりの時間を有する可能性も出てきます。
困窮している状況を早期に改善するためにも、早めに相談を行い、必要な支援を行っていくことが重要です。
ただ、制度自体が始まって数年であり、生活に困窮するに至った理由によっては相談窓口まで出向けない可能性もあります。そのような生活困窮者を早期に見つけ、すぐにでも支援事業を進めて行けるようにするのも、この事業の役割の1つです。
もう1つは地域ネットワークの強化など、地域づくりも担っています。生活困窮者の各支援事業は各自治体などの主導のもと行われますが、最終的には地域住民などを含むネットワークの構築と協力は必要不可欠です。
そのため地域のつながりの強化も自立相談支援事業の大切な役割となっています。
生活保護法に基づく事業との連携も
生活困窮者自立相談事業では、相談窓口あるいは訪問支援にて生活困窮者の現状の把握を聞き取ります。
その理由や状況は様々ですが、人によっては既に生活保護対象となっている可能性もあります。
そうであるにも関わらず、生活保護を受けられることを知らず、生活に困窮しているということもあるため、必要によっては生活保護に確実につなげていくことも、自立相談支援事業の役割となっています。
生活保護により一時的な困窮状態の脱却ができたとしても、その後生活保護が受け取れなくなり、再度生活に困窮してしまっては元も子もありません。
そのため、自立支援法に基づく事業と生活保護法に基づく事業を連携することで、生活困窮者の自立を促せるよう、支援プランやメニューを組んでいくことが自立相談事業に求められています。
自立相談支援事業の流れ
自立相談支援事業がどのような流れで行われるかも触れておきましょう。
この事業は先にも触れたように福祉事務所を設置している自治体が直営あるいは委託によって実施します。
相談窓口あるいは訪問支援にて生活困窮者の相談を受け、生活困窮者の抱える課題を評価し、分析(アセスメント)を行い、どのような支援が必要なのかニーズを把握します。
それをもとに、ニーズに応じた支援が計画的かつ継続的に行われるように、自立支援プランを策定します。
同時に各種支援が包括的に行われるように、支援調整会議による調整を行い、法定サービスに係る自治体の支援を決定していきます。
これにより各分野支援事業や支援機関による、法に基づいた支援や法以外の支援、民生委員※による見守りなどのインフォーマルな支援などを実施してもらい、必要に応じてアセスメントによる評価やプランの見直しを実施して、さらに調整を行っていく流れになります。
これにより生活保護に至る前段階からの早期自立支援を行い、福祉事務所の負担軽減や社会資源の活性化、地域全体の負担の軽減などを、生活困窮状態からの脱却とともに期待する効果としています。
※民生委員:地域福祉をサポートする相談相手
(出典:政府広報オンライン「様々な事情で暮らしにお困りの方のための相談窓口ができます!」,2015改定)
(出典:厚生労働省「制度の紹介」)
(出典:厚生労働省「(参考3)生活困窮者自立支援法の概要等」)
生活困窮者自立のために相談支援事業の取り組みを応援しよう
生活困窮者というのは意外にも身近な存在です。2017年時点でも45万人の人が相談に訪れるなど、その世帯数や人数はかなりのものとなっています。
また経済的あるいは社会的な問題や変化によって増加する恐れがあり、私たち自身も生活困窮者になる可能性があります。
支援する側にも支援される側にもなり得ることから、この生活困窮者支援法や制度をしっかりと理解しておく必要があります。
その上で、今生活に困窮していなかったとしても、その立場に置かれている人を支援できる方法を考え、取り組んでいくことが大切です。
助け合うことで生活困窮者は減り、自らが陥ったとしても自立できる環境が作れることを理解しておきましょう。
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