生活困窮者

生活困窮者自立支援法の現状や課題は?支援状況について見てみよう

生活困窮者を十分に支援し、自立していけるように法整備が行われ施行されたのが、生活困窮者自立支援法です。
この法律は施行されてまだ数年ですが、成果を上げています。一方で課題もあり、改正の余地を残した法律でもあります。
この記事では、生活困窮者自立支援法の現状や課題、支援状況などを紹介します。

生活困窮者とは?どのような状態のことを言うの?

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現代社会が抱える生活困窮者の問題とは

現在の日本において生活困窮者という言葉は、私たちの身近にあるものであり、社会が抱える問題の1つでもあります。
生活困窮者は働きたくても仕事がない人、家族の介護のために仕事ができない人、再就職に失敗して雇用保険が切れた人、社会に出るのが怖くなった人などを理由として、生活に困窮してしまった人のことを指します。

2015年以前の法律や制度では要件を満たさないことから十分な支援が行えず、多くの生活困窮者を生んでしまいました。そこでこのような人たちを対象として、2015年4月に施行されたのが生活困窮者支援制度です。
しかし始まってまだ数年しか経っていないことから、あまり知られていない制度であり、その支援の対象となる条件も周知されていません。
また、この制度は行政だけの取り組みでは成り立たず、私たちの協力や支援も必要となります。
それはこの法律の現状や課題から見えてきたことではありますが、実際どのような状況になっているかなどを見ていきましょう。

  • 生活困窮者は身近にあり、社会が抱える問題の1つ
  • 2015年4月に施行されたのが生活困窮者支援制度
  • 生活困窮者支援制度は、行政だけの取り組みでは成り立たず、私たちの協力や支援が必要
  • 生活困窮者自立支援法の現状は?

    生活困窮者自立支援法では、生活保護受給者あるいは世帯になる可能性がある人の状況を把握し、それぞれの課題を評価・分析して、自立に必要な支援プランとメニューを提供しています。
    提供された支援メニューを行いつつ、支援員のサポートや定期的な相談、評価などを実施し、調整しながら自立に向けた支援を進めます。
    このような支援を行う法律が2015年に施行されました。支援が始まって数年が経ち、現状どうなっているのか、どのような課題があるのか、生活困窮者を取り巻く状況などを元に説明します。

    生活困窮者を取り巻く現状

    生活困窮者を取り巻く現状を知る上で、現在の世帯構成などを知っておく必要があります。
    厚生労働省のデータによると、2015年時点で単身世帯は3割を超える1,800万世帯が存在しています。これは高齢者単身世帯やひとり親世帯とともに増加しており、今後も増加が予想されています。

    また50歳時の未婚割合、これを生涯未婚率と言いますが、こちらも近年上昇を続けており、2030年には男性が約3割、女性が約2割となると予想されています。
    これらの世帯構成は生活困窮世帯となる可能性があり、世帯数の増加は生活困窮者の増加につながることが懸念されています。

    生活保護受給者及び世帯については、2017年時点で約213万人が生活保護を受給しています。2015年3月のピーク時よりは減少していますが、世帯数で見れば2017年時点で約167万世帯あり、このうち高齢者世帯の増加により世帯数が増加しているという事実があります。

    一方で相対的貧困率は、近年緩やかに上昇していたものの、2015年に行われた国民生活基礎調査では低下しており、子どもの貧困率についても同様の現象が見られています。
    こうした貧困についてのデータとともに、生活困窮者自立支援法の対象となり得る人を調べたとき、福祉事務所来訪者のうち、生活保護に至らない人は2017年時点で約30万人いることが分かっています。

    またホームレスは約6,000人、経済・生活問題を原因として自殺した人が約4,000人もいました。
    さらに離職期間1年以上の長期失業者は約76万人、引きこもり状態にいる人は約18万人、スクール・ソーシャル・ワーカーの支援を受けている子どもは約7万人もいます。
    それぞれの事情に分けてもこれだけの人たちが生活困窮者となっており、自立支援法の対象となり得るということです。
    これだけの生活困窮者を日本社会が生み出しているという現状があります。

    生活困窮者自立支援法の施行後の状況

    自立支援法の施行後、この法律による自立相談支援事業への相談に訪れた新規相談者は、2017年までの2年間で約45万人にも上り、その中で自立支援プランの作成により継続的な支援を実施した人は約12万人となっています。
    継続的な支援を行った人で、支援開始から約7ヶ月のステップアップ状況を調べると、以下の3つのいずれかのステップアップが見られました。

  • 意欲・関係性・参加に関する状況
  • 経済的困窮の改善に関する状況
  • 就労に関する状況
  • これらの3項目のいずれかのステップアップが見られた人が65.2%となっており、それぞれが抱える課題を着実に乗り越えていることが分かります。
    加えて、自立支援プランによる継続的な支援で、就労・増収した人は約6万人にも達しており、この自立支援法が生活困窮者の深刻化を予防する一定の効果があることが証明されました。

  • 生活困窮者自立支援法は、生活保護受給者あるいは世帯になる可能性がある人の状況を把握し、それぞれの課題を評価・分析して、自立に必要な支援プランとメニューを提供している
  • 生活困窮者自立支援法の対象となり得る人を調べたとき、生活保護に至らない人は2017年時点で約30万いることが分かった
  • 自立支援法の施行後、相談に訪れた新規相談者は、2017年までの2年間で約45万人、自立支援プランの作成により継続的な支援を実施した人は約12万人、自立支援プランによる継続的な支援で、就労・増収した人は約6万人
  • (出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の現状と課題について」,2017)
    (出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度について」,2015)

    生活困窮者自立支援法が抱える課題とは


    生活困窮者の自立に向けた支援で困窮状態を脱した人もいる中で、課題も見えてきています。

    先ほどの新規相談者は45万人いましたが、これはあくまで相談しに自ら訪れた人の人数であり、法律や制度を知らないばかりに相談に来ない人なども含め、まだ生活に困窮している人は少なからずいると考えられています。
    このような人については自立相談支援機関に所属する支援員によって訪問支援などによって早期発見と支援が必要だと言われています。

    また相談に来た45万人も、継続的な支援を行えたのは約12万人であり、状況の評価や分析、プランの見直しなどさらなる最適化が必要な状況です。
    実際に生活困窮者の自立を支える就労準備支援や家計相談支援については、十分な支援が行えていない自治体も存在するようです。

    生活困窮者が抱える家賃負担や連帯保証人、緊急連絡先の確保など、住居についての課題が制度開始後に明らかになっており、こちらも改善が必要です。
    自治体によっては地域の互助関係作りや就労の場を求め、地域との関係作りに試行錯誤をしているところも多く、安定した支援が行えていないところもあります。

    自立支援法では包括的な自立を的確に行える支援体系の構築が求められていますが、現状では自治体ごとにばらつきがあるという課題が浮き彫りになってきました。
    他にも貧困の連鎖を防ぎ、子どもの将来に向けた自立を支援することや、高齢の生活困窮者の生活をしっかり支えることが社会的な課題となっています。

  • 生活困窮者自立支援法の新規相談者は45万人いたが、法律を知らずに生活に困窮している人は少なからずいると考えられている
  • 相談に来た45万人も、継続的な支援を行えたのは約12万人であるため、プランの見直しやさらなる最適化が必要
  • 他にも、住居についてや貧困の連鎖を防ぐ取り組み、子どもの向けた自立の支援などが課題
  • (出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の現状と課題について」,2017)

    生活困窮者を支え、誰もが当たり前に生きられる社会に


    生活困窮者がいる状況は社会の問題であり、地域共生社会を実現するためには解決すべき課題でもあります。
    それは単純なものではなく、複合課題や制度の隙間など様々な理由で生まれており、早急な支援を必要としている人も多くいます。

    今自分がそうでなかったとしても、経済や社会の変化で容易に支える側から支えられる側に変わる可能性もあります。
    そうなったとき、助けてくれるのは自治体だけでなく、協力し合える地域社会です。
    そのためには自立支援法や制度に基づいた私たち地域住民や事業者の協力は不可欠であると考えられています。

    私たちができる支援はいろいろあります。例えば就労支援によって自分の職場に生活困窮者が訪れたのであれば、働きやすい環境を作って自立を支えていくのも良いでしょう。
    あるいはボランティアとして学習支援に参加し、子どもたちの貧困の連鎖を防止することに協力するのも1つの支援です。
    小さな支援でも、積み重なれば生活困窮者が減少する共生社会が作り上げられるはずです。
    自分でもできる支援を考え、生活困窮者を支えられる社会を作り上げていきましょう。

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    この記事を書いた人
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