日本にいる生活困窮者は、これまで各支援の対象になりにくく、十分な支援を受けられない状況にありました。
また、実際に生活に苦しんでおり、支援がなければ生活が成り立たないという人もいます。
そのような人を支援するための法整備がなされ、施行されたのが生活困窮者自立支援法です。
この記事では、生活困窮者自立支援法によってどのような取り組みがなされているのか、自立支援法の概要とともに紹介していきます。
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経済の変化による生活困窮者の増加が問題に
生活困窮者とはどのような人なのか、そこから理解しておく必要があります。
これまで政府では高齢者や児童、障害者などを支援していく法整備や制度の施行を行ってきました。
そのような人々にとって、住みやすい国や地域づくりがなされてきましたが、一方では、その枠組みで支援できない生活困窮者が出てきました。
生活困窮者とは、下記のような理由で生活に困窮してしまった人のことを言います。
このような人々は経済的あるいは社会的な変化によって発生しやすく、今も一定数の生活困窮者が存在しています。
2015年から生活困窮者を支援する制度が始まっていますが、この支援を行うために整備されたのが、生活困窮者自立支援法です。
また、開始後から2017年までに45万人もの人が相談に訪れています。
(出典:政府広報オンライン「様々な事情で暮らしにお困りの方のための相談窓口ができます!」)
(出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の現状と課題について」,2017)
生活困窮者自立支援法とは
生活困窮者自立支援法は第185回の国会で可決・成立し、2013年12月13日に公布、2015年4月1日に施行された法律です。
先述したように、生活困窮者は様々な理由で陥る状態であり、これまで行われてきた高齢者や児童、障害者といった分野ごとに分けた枠組みでは支援できない、あるいは十分な支援を行えない人たちを自立支援するために整備された法律です。
この法律に則り、生活困窮者自立支援制度を実施しています。
自立支援法では生活保護に至る前段階の自立支援策の強化を図るために、生活困窮者に対して自立相談支援事業を実施し、住居確保給付金の支給など、一人ひとりに合わせた様々な支援を行うための所用の措置を講ずることを目的としています。
自立支援法の概要
自立支援法では、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある人を対象としており、その対象者について自立支援を行うために必要な事業などの策定や費用負担などを定めています。
大まかには4つの項目に分かれており、その1つが必須事業とされている自立相談支援事業の実施及び住居確保給付金の支給です。
自立相談支援事業は自立支援法及び制度の主要部分であり、福祉事務所設置自体は自立相談支援事業を実施することを法律で定めています。
この自立相談支援事業は就労やその他の自立に関する相談支援、事業利用のためのプラン作成などを行います。
また離職などにより、住居を失った、またはそのおそれが生活困窮者に対し、家賃相当の住居確保給付金(有期)を支給します。
この自立相談支援が生活困窮者の自立支援を行うための第一歩となっており、必須であるということです。
2つ目は任意事業となっている就労準備支援事業、一時生活支援事業及び家計相談支援事業等の実施です。
生活困窮者は様々な理由で困窮した状態に陥っています。そのため一人ひとりに合わせた事業を組まなければいけません。
いくつもの調査の元、必要となりそうな事業を4つに分けて策定しており、生活困窮者の状況に合わせてその事業を提案します。
概要の3つ目は都道府県知事等による就労訓練事業の認定です。これはいわゆる中間的就労のことです。
自立支援制度の就労事業では生活困窮者に対して、就労の機会の提供を行うとともに、就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練などを行う事業を実施しなければいけません。
その申請に基づき、一定の基準に該当する事業であることを、都道府県知事や政令市長、中核市長、事業者が認定するという法的措置を定めています。
4つ目が費用についてですが、各事業や給付金について、国庫からどれだけの負担や補助が出るかが定められています。
自立支援法によれば、自立相談支援事業および住居確保給付金は国庫4分の3、就労準備支援事業および一時生活支援事業は国庫補助で3分の2、家計相談支援事業、学習支援事業その他生活困窮者の自立の促進に必要な事業では国庫補助で2分の1が拠出されます。
生活保護法との関係
これまで生活に困窮している状態にある場合、支援の1つとして行われていたのは生活保護の支給でした。
しかし生活保護は、生活保護法に則り、条件に合う人のみに支給される支援であったため、そこに該当しない人が生活困窮者として苦しい生活を過ごしてきました。
また、生活保護を受けていても、生活保護から脱せられるよう自立支援が行われますが、それにより多少立て直しても、再び生活保護を受けなければいけない状態にまで戻ってしまうケースもあります。
生活保護状態を脱し、生活困窮状態を抜けて、自立した生活ができるようになるためには、生活保護法に基づく事業だけでなく、生活困窮者自立支援法に基づく事業と連携して連続的な支援を行うことが重要であるとしています。
生活困窮者の自立相談支援事業で相談を受けた場合、生活保護が必要と判断するのであれば確実に生活保護につなぎ、そうでないのであれば、自立支援法に基づいた事業で適切な支援を行っていかなければいけません。
(出典:厚生労働省「(参考3)生活困窮者自立支援法の概要等」)
生活困窮者自立支援法に基づく事業とは
自立支援法では、必須事業となる自立相談支援事業および住居確保給付金の支給と、生活困窮者の状況に合わせた任意事業によって成り立っています。
自立相談支援事業では、訪問支援を含め、生活保護に至る前の段階から早期の支援を行うことを目的としています。
状況が非常に悪く、生活保護が必要という場合には生活保護への誘導も1つの支援になりますが、できればそのような状況になる前に早期発見を行うという試みです。
また、生活困窮者が自ら相談に訪れた場合も、聞き取りや支援の提案などを行えるよう、生活と就労に関する支援員を配置し、ワンストップ型※の相談窓口を設置することで、情報やサービスの提供拠点としての機能を期待しています。
この事業により包括的な相談支援として、聞き取りした状況を元に一人ひとりの状況に応じた自立に必要な支援プランを作成し、支援メニューを提供することをこの自立相談支援事業で行います。
加えて、自立支援には地域との連携も必要であることから、地域ネットワークの強化なども担っています。
この支援プラン及びメニューとして提供されるのが、居住確保支援や就労支援、緊急的な支援、家計再建支援、子ども・若者支援などになります。
いくつか例を挙げると、就職活動を支えるため居住確保が必要な人には住居確保給付金が有期で支給されます。
また就労支援としては就労に向けた日常や社会的自立のために必要な訓練として就労準備支援事業が行われます。
このようにその人にとって必要な支援および事業を複数提供し、生活困窮者の自立へつなげていくことを法整備したのが、この生活困窮者自立支援法です。
※ ワンストップ型:一カ所で様々な相談ができること
(出典:厚生労働省「(参考3)生活困窮者自立支援法の概要等」)
生活困窮者自立支援法を知って私たちもできる支援をしよう
生活困窮者は自らその状態に陥ったわけではありません。経済的あるいは社会的な様々な理由で生活に困窮するところまで追い込まれ、自らの力ではどうにもならない状況にまで落ち込んでしまっています。
これまではそのような人の中で支援の枠組みに入れなかった人は、ただ困窮した状態に苦しむしかありませんでした。
しかし、この生活困窮者自立支援法の施行によって多くの生活困窮者が自立できる可能性を持ち支援をしてもらうことで、1人ではどうしようもなかった状態を手助けを得ることで脱することができるかもしれません。
そのために自立相談支援事業などが各地に設置されていますが、そこで提案される支援プランや支援メニューの実施には各自治体などだけでなく、その地域に住む人々の協力も必要とされます。
つまり、私たちの協力もなければ、生活困窮者の支援は十分にできないということです。
生活に困窮する事態は誰もが陥る可能性があります。
支援する側にも支援される側にもなることから、私たちは生活困窮者や、それを支援するための法律、制度を理解して私たちにもできる支援方法を考えていくことが重要です。
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