子どもの貧困対策として政府が行っている施策に生活支援や経済的支援による取り組みがあります。
貧困による子どもの教育環境の悪化は将来的に人材の損失にもつながると危惧する声が高まっていることもその取り組みをあと押ししています。
少子化は現時点では止められず、超高齢化から超高齢化社会を迎える日本では子どもたちの育成に真摯に取り組むことが喫緊の課題でもあるのです。
日本政府は、すべての子どもたちが安心して成長できる社会を目指す取り組みに着手しています。
子どもの貧困問題とは?国内・海外で貧困に苦しむ子どもが増えている現状や支援方法とは
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政府が取り組む生活・経済支援とは
政府が行っている生活・経済支援は下記の4つが挙げられます。
- 児童扶養手当
- 母子父子寡婦福祉資金の貸付
- 養育費及び面会交流に係る相談支援の実施
- 養育費及び面会交流に係る相談支援の実施
児童扶養手当はひとり親家庭の生活の安定と児童の福祉の向上のために、地方自治体から支給される手当です。
ひとり親が扶養している児童の人数や所得に応じて算定されます。
これまでは母子家庭に対してのみの支給でしたが、平成22年8月1日より父子家庭にも支給されるようになりました。
現在でも母子家庭の過半数が経済的に困窮している状況ですが、父子家庭でも貧困に陥る状態が少なくないことも明らかになっています。
これは非正規雇用の増加やリストラや病気による失業など、働き盛りの世代の男性ほど仕事による身体的な負担が大きいこともその要因となっています。
母子父子寡婦福祉資金の貸付とは、母子家庭や父子家、または寡婦に対しての低利子による貸し付けです。
生活資金や教育資金を貸し付けて自立や経済的な安定を支援することが目的です。
養育費及び面会交流に係る相談支援の実施では厚生労働省の委託事業として行われているもので、「養育費と面会交流は子どもの健やかな成長を支える車の両輪」であることを掲げています。
離婚後も、離れて暮らす親子が面会することは子どもの健全な育成には望ましいとされています。
さらに、離婚後に適正な養育費も受け取るための相談支援も行っています。
- ひとり親家庭の生活の安定と児童の福祉の向上のために、様々な手当が設けられている
- 児童扶養手当は平成22年8月1日より父子家庭にも支給されるようになった
- 母子父子寡婦福祉資金の貸付とは母子家庭や父子家、または寡婦に対しての低利子による貸し付け
(出典:厚生労働省「児童扶養手当について」)
(出典:男女共同参画局「配偶者からの暴力被害者支援情報」)
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ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト
政府は、ひとり親家庭のためにひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトを立ち上げています。
プロジェクトの概要は、地方自治体に設置したひとり親家庭の相談窓口で、子育て・教育・生活から就業までをワンストップでの相談できる体制にするものです。
この特徴として自治体内の各窓口で連携し、支援ナビを活用したり、スマホでも検索できるポータルサイトを作ったりすることで支援を強化しています。
携帯メールアドレスを登録することで、自治体から定期的にメール配信による支援情報を提供しています。相談予約の受け付けも携帯メールを活用して双方向型の支援を行っています。
また、毎年8月の実施する児童扶養手当の現況届の際に、子育て・生活、就業、養育費の確保までの多岐にわたってひとり親が抱える悩みを相談できる支援体制を整え、自治体の窓口のワンストップ化の推進にもなっています。
児童扶養手当
ひとり親を対象としていますが、その対象は東京都福祉保健局の公式サイトでも確認できます。
また、支給対象も次のいずれかに該当する18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある児童(一定以上の障害の状態にある場合は20歳未満)を監護している母又は監護しかつ生計を同じくする父、もしくは父母に代わってその児童を養育している方に支給されます。
具体的な支給額は下記(記事執筆時点の情報、最新情報は公式サイト参照のこと)の通りです。
児童1人の場合(本体月額) | 児童2人目の加算額 | 児童3人目以降の加算額(1人につき) | |
全額支給 | 月額43,070円(所得制限額未満) | 10,170円 | 6,100円 |
一部支給 | 所得に応じて月額43,060円から10160円まで10円単位で変動 | 10,10円から5,090円まで10円単位で変動(所得に応じて決定されます) | 6,090円から3,050円まで10円単位で変動(所得に応じて決定されます) |
※児童扶養手当の額は、物価の変動等に応じて毎年額が改定されます(物価スライド制)
(出典:厚生労働省「児童扶養手当について」)
養育費の確保支援
ひとり親のうち、母子家庭の母親が離婚後に父親からの養育費を受け取っていない母子家庭の割合は、過半数以上という調査結果があります。
そのため離婚時に養育費を受け取ることができるよう相談の支援も行っています。
女性が離婚によってただちに貧困に陥るケースは、多く見受けられます。自立して経済的に安定している場合でない限り、婚姻生活が破綻していても離婚は難しいと考えて、子どものために仕方なく結婚生活を継続してしまう事例も多々あります。
離婚後の生活や養育費などの相談窓口として、地方自治体では弁護士による養育費相談を実施したり、離婚届書の交付時に養育費の合意書ひな形も同時に交付したりしています。
また、財産開示制度等に係る所要の民事執行法の改正も検討されている支援のひとつです。
離婚時の状況によっては面会交流や養育費の支払いが困難なケースも多いのが現実です。子どもにとって本当に必要な支援を確保するためには、行政や相談を受ける弁護士が、個々のケースで親とともに慎重に検討することが望まれます。
貸付金の利子の見直し
貧困家庭においては貸付が困難なケースも多いため、貸付条件の見直しがなされています。
返済の際の負担を軽減するために利子を無利子とすることや連帯保証人要件も緩和され、連帯保証人の確保が困難な母子家庭の実情を考慮し、連帯保証人のない場合も貸付を認められるというものです。
しかし、その場合は有利子貸付(1.0%)となります。
保育料の無償化や負担軽減
ひとり親世帯に対しては、保育所等利用における負担の軽減をしています。
年収約360万円未満世帯の保育料は、これまでの子どもの人数に係る年齢制限を撤廃しました。
新たに第2子は半額、第3子以降は無償化が実施されています。
年収約360万円未満のひとり親世帯等の保育料も第1子は半額、第2子以降は無償化となり就労、自立に向けた支援を整備しています。
教育費の負担軽減
生活困窮世帯の子どもに対する教育支援資金(生活福祉資金)も拡充して対応しています。
また、幼児教育の無償化へ向けて、教育費の保護者負担軽減を段階的に推進しており、多子世帯・低所得世帯への負担を軽減することを実施しています。
近年は認知度も高くなってきたフリースクール等を活用して学ぶ不登校児童生徒への支援も試験的に実施しています。
私立高校へ通う家庭の経済的負担を軽減する措置として、高校生等奨学給付金事業を整備し、非課税世帯への給付額を増額させるなどして手厚い対応を実現しています。
大学等奨学金事業では、無利子奨学金事業を整え、無利子奨学金の貸与対象人員を増やしています。
中でもひとり親家庭・多子世帯には重点的な支援を行い、大学等の授業料減免措置も対応しています。
高等学校卒業程度認定試験合格支援事業の対象を追加して合格のための講座の受講費用の2割(上限15万円)を支給しています※。
対象者はひとり親家庭の親及び子どもとなりました。
※受講開始時給付金及び受講修了時給付金と合わせて上限15万円。受講修了日から起算して2年以内に高卒認定試験に全科目合格した場合に支給
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学習支援の充実
生活困窮世帯等の子どもの学習支援では経済的な負担による高校中退を防止する目的で取り組みを強化しています。
家庭訪問などを行い、平成31年度までに年間3万人に学習支援を提供しています。
地域住民の協力やICTも活用等して、中学生等に対し原則無料での学習支援(地域未来塾)を拡充し、新たに高校生にも対象を広げています。
これについては可能な限り早期に5,000中学校区で実施することを目標にしています。
地域における子供の学習活動へのICT活用を支援する「官民協働学習支援プラットフォーム」も構築をすすめています。
学習支援は個人でもできます。自治体や有志により、こども食堂や地域の集会施設などでの無料学習塾が開かれている地域があります。ここでは、シニア世代や大学生がボランティアとして勉強を教えており、ボランティアを募集しています。各自治体に問い合わせて、子どもたちの力になってみてはいかがでしょうか。
(出典:内閣官房内公式サイト「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会」報告書)