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日本における子どもの貧困、どのように変化している?

この記事を要約すると

日本は現在、経済的に回復してきていると言われています。
しかしそれは数字上での話であり、家計レベルでは本当に回復しているのかはあまり実感できない方もいるでしょう。
それでもかつての不況真っ只中の時代よりは、幾分か良くなっているかもしれません。

2008年、不況の煽りを大きく受けた時代です。この年、リーマンショックの影響により、世界規模で経済が大きく傾きました。
しかし、この年に日本社会を驚かせたのはリーマンショックだけではありません。
子どもの貧困率というものに焦点が当たった年でもあり、世間に大きな衝撃を与えました。

それから10年余りが経ち、その間の経済状況の変化とともに、子どもの貧困状態を取り巻く環境も大きく変化を遂げました。
ここではそんな子どもの貧困が、時代とともにこれまでどのように変化してきたのかをご紹介していきます。

子どもの貧困問題とは?国内・海外で貧困に苦しむ子どもが増えている現状や支援方法とは

2008年に子どもの貧困・再発見

2008年は「子どもの貧困・再発見」の年と呼ばれることがあります。
これはこの年に子どもの貧困に関する書籍が数冊同時に発表されたことも関係していますが、そのことによってマスメディアによって取り上げられ注目を浴びたことが起因とされています。
また、日本において子どもと貧困という二つの言葉が繋がらないという思いが人々の中にあったからかも知れません。

日本は教育制度の整備、保育所の施設、保険による医療制度など、子どもが生活していく上では不自由なく、むしろ子どもには優しい社会であると思われがちです。
しかし、厚生労働省の調査では2018年の時点でも7人に1人の子どもが貧困であり、1人親世帯ではその割合は半分にも及びます。

2008年当時の政府は、貧困率を認めようとはせず、格差は存在するものの貧困は存在しないなどのと発表していたことから、あまり認識はされていなかったのかもしれません。
確かに日本は不況の煽りを受けており、リーマンショックが起こった年でもあるため、経済状況が一気に悪化した年でもあります。
それにより、子どもの貧困率はさらに上がることとなってしまった年でもあるのです。

皮肉なことに、再発見された年には子どもの貧困率というものをしっかりと認識しなければいけない年となってしまったのです。

政府や自治体の対策とは

この子どもの貧困率に対して、政府や自治体はどのような対策をとっていったのでしょうか。
まず政府が行った対策としては、児童手当や社会保障給付が挙げられます。
当時はばら撒き政策などと揶揄されていましたが、それでも貧困層にとっては大きな支援であり、これによって一時的にでも子育てに対する負担が軽くなったのは確かなのではないでしょうか。

また保育・幼児教育の無償化、待機児童問題など保育面の改善など、保育や幼児教育にかけられる資源の改善も行われていきました。
まだまだ世界的にみても日本はこれにかける予算は少ないですが、それでも法制定を行い、改善をはかっていきました。

それと同時に経済政策にも力を入れています。
そして2013年には「子どもの貧困対策法(正式名称は子どもの貧困対策の推進に関わる法律)」が制定されました。
これは子どもたちが生まれ育った環境によって左右されることのない社会を目指すと言うものを基本理念として掲げています。

基本的な方針としては、貧困の世代間連鎖の解消と積極的な人材育成を目指すこと、第一に子どもに視点を置いて、切れ目のない施策などに配慮することを示しています。
子どもの貧困に関する複数の指標を設定し、それに対して貧困率を定めることで、現状を把握していき、教育支援、生活支援、就労支援、経済的支援の4つの観点で支援を行っていく形になっているのです。

教育支援では、学校を貧困対策のプラットフォームと位置づけ、総合的な対策の推進と教育費の負担の軽減を図るように掲げています。
同時に放課後予習や地域学習支援など、福祉関連機関との連携も視野に入れています。

生活支援では社会的孤立の深刻化を防ぎ、保護者の生活支援も併せて家計相談事業の実施や家庭生活支援員の派遣などを行うことで、子どもを取り巻く生活の確保を支援で行うとしています。

就労支援は、直接的な子どもに対する支援ではなく、保護者への支援となります。
経済的な支援という面もありますが、家庭で家族が接する時間を確保することや、1人親家庭が抱える様々な問題に対する課題の対応など、生活支援的な側面も持っています。

経済的支援は貧困の根本的な解決として必要であり、児童扶養手当や公的年金との併給調整、母子福祉資金貸付金、入学料、入学考査料の支給などを行うとしています。
これが政府の基本的な政策として行われていますが、もっと身近な自治体レベルだとどうでしょうか?

地方公共団体ではより地域的な施策として、子どもの居場所作りを行っています。
ボランティアの講師による子どもの学習支援を行う自治体もあります。
これにより、塾に行けない子どもたちでも、学校外での教育支援を受けることができるのです。
地域とも密着しており、どのような状況なのかも把握しやすいため、子どもが栄養失調に陥ることや、学力不足に陥ることを防げる可能性が広がるのです。

そのほかNPO法人やボランティア団体が行っている「子ども食堂」の取り組みに対して地方自治体等が予算を組んで財政的に支援しているところもあります。
3食をまともにとれない家庭の場合、偏った食事のせいで栄養価の不足や、保護者の共働きで孤食となってしまう子どもたちのために開かれています。
これによって無料、あるいは安価で栄養価の高い食事を食べられ、さらに温かい団欒の機会を作ることができ、周りとのコミュニケーションを図れる機会が生まれるのです。

時代の変化とともに貧困はどう変わったか

子どもの貧困・再発見の年から10年余りが経過しました。この10年での対策で貧困状況は変わったのでしょうか。
数値上の結果から鑑みと、子どもの貧困率はこの10年で改善したと言えるでしょう
相対的貧困率で見てみると、2012年には16.1%、つまり6人に1人は貧困であると言う結果が出ていたのに対して、2015年には15.6%、7人に1人は貧困状態にあるという状況にまで改善しています。
しかしもちろん、貧困率が0にならない限り、貧困に苦しむ子どもが存在しているのは確かです。

2012年から2015年の子どもがいる世帯の平均所得金額についてみてみたところ、総所得が35万円増えている一方で、児童手当や社会保障給付が減少しています。
これは純粋に世帯の所得が増えたことによる改善であり、社会保障等の充実による改善ではありません。
政府の対策などが生んだ結果といっても良いのではないでしょうか。

(出典:厚生労働省、平成27年の国民生活基礎調査)

政府や自治体の対策の結果は?

政府や自治体によって児童手当や社会保障給付などで家計の子育て支援を行い、経済政策にも力を入れたことによって改善の方向へ向かっています。
また、総所得の増加によって児童手当などは縮小の方向へと向かいました。
これは低所得層の賃金が増加したため、子どもの貧困率が低下し、結果としてはわずかでも改善しているという見方ができます。

また、2013年に制定された子どもの貧困対策法によって、より具体的な貧困対策を行うように変化してきました。
子どもたちとそれを取り巻く環境を4つの支援で改善するという対策です。
また自治体レベルでは、より密着した子どもたちの居場所を作っていくことで、学習支援や食事の支援といった教育、生活に関しての支援を行うように変化してきています。
継続的に支援を行うことで貧困率は改善されてきていますが、それでも油断できないのが現状です。

多少改善しているがまだまだ対策は必要

改善の兆しが見られるからといって、現状の施策を続けるだけでは十分とは言い難いでしょう。
先ほども触れましたが、貧困率の改善は低所得層の賃金上昇を背景としています。
そのため、経済状況の悪化が再び起これば、貧困率の上昇は容易に起こってしまうのです。

また、政府支援も重要となってきます。
現状まだ貧困として残ってしまっている世帯は、先の対策だけでは改善が見込めなかったということです。
それはつまり経済政策や支援だけでは改善できないということであり、もっと多様化した支援が必要ということです。
その点においては子どもの貧困対策法はとても重要な政策となります。
経済的な貧困だけでなく、関係性の貧困、機会の格差、健康格差、リテラシー格差など多面的な面での問題を洗い出し、それぞれに対しての支援を行っていく必要があるのです。

子どもの貧困をなくしていくために私たちができること


子どもの貧困は改善しつつあります。それでもまだまだその流れは緩やかであり、現状苦しんでいる子がいるのも事実です。
もちろん政府や自治体、あるいはNPO法人が支援に励んでいますが、全てを任せきりにしていてはいけないのもまた事実にほかなりません。

私たちができることはそれほど多くないのかもしれませんが、何もできないわけではありません。
たとえばボランティアや寄付といった形で支援をすることも可能です。
小さなことかもしれませんが、その積み重ねによって、助かる子どもが増えていくことにもつながると言えるのではないでしょうか。

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