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データで見る教育格差。子どもの貧困問題がますます深刻化している実状とは

この記事を要約すると

現在日本では貧困問題が横たわっています。「先進国である日本で…」と驚かれるかも知れませんが、これは事実なのです。
その中でも深刻なのが子どもの貧困問題です。
「子ども」というワードと「貧困」は繋がらないかもしれませんが、大きな社会問題として注目されています。

この問題は対岸の火事などではなく、私たち1人1人が向き合うべき課題なのです。
こちらではそんな子どもの貧困問題をデータで紐解き、そこに生まれる教育格差とその影響についてご紹介していきます。

子どもの貧困問題とは?国内・海外で貧困に苦しむ子どもが増えている現状や支援方法とは

子どもの貧困はどうして起こる?


現在、日本では全体の7人に1人もの子どもたちが貧困状態にあると言われています。その人数は国内でおよそ280万人です。
そもそも貧困とはどのような状態を指すのかというと、経済協力開発機構(OECD)が定める相対的貧困率を月収で表した場合、親子2人世帯が月に約14万円以下で生活していることを指します。
貧困は世代間で連鎖するといわれており、親世代が貧困であれば子どもの生活にも影響を与えます。特に成長過程での影響は大きく、身体だけでなく心にも影響を与えてしまいます

貧困を理由に、子どもは教育や社会経験の機会を失ってしまい、結果として学力不足の子どもや精神的に未成熟なまま大人になり、低所得あるいは所得がない生活を送るケースが多いため貧困は連鎖してしまうといわれています。
この連鎖が続けば続くほど子どもの貧困は深刻化の一途をたどります。

貧困による教育格差を数字で知ろう


貧困による教育格差は特に深刻です。現在は学校だけでなく、塾や習い事など学校外での教育を受ける機会が多くなっています。
そのため、塾や習い事などをさせることで子どもの教育の幅を広げていかなければならないのですが、これには少なからず教育費用が必要です。

先述しましたが、子どもの貧困の定義は月収14万円以下の暮らしをしている子ども
月々の収入から生活費や家賃などを捻出した余剰分から塾や習い事の金額を出すのはかなり困難なことです。
そうなると学校外の習い事を諦め、子どもは他の子どもたちに比べ教育の機会が少なくなり放課後の時間を一人で過ごすことも増えてしまいます。

実際に子どもの貧困対策に取り組む団体が行ったアンケートによると経済的な理由で塾や習い事を諦めた家庭は68.8%にものぼります。
これだけなら、経済的に厳しいのだから諦めるのは仕方ない、と思うかもしれません。しかしこの影響は教育格差の上ではかなり深刻です。

貧困による子どもの教育格差は10歳ごろから偏差値に現れる


※2017年11月日本財団が発表したデータより
年齢別に見る経済的に困窮している世帯の子どもと、困窮していない世帯の子どもの偏差値の推移を見てみると、如実に現れます。
国語での推移を見てみると、8歳から9歳頃にかけてはそれほど大差はありませんが、10歳になると困窮していない子どもが50.6なのに対して困窮している子どもは45.1と5.5も離されています。

その差は10歳以降も埋まることなく、中学2年生にあたる14歳は困窮してない子どもが53.1なのに対して困窮している子どもは47.3と5.8も離される結果となっています。

困窮していない子どもは緩やかなカーブを描いて成績を伸ばしていますが、困窮している子どもは年齢の違いはあれど偏差値が大きく伸びにくいことがわかります
これは学校外で教育を受ける機会が失われているためであり、貧困による影響で学習に集中して取り組む時間が減り、結果として学力に差が生まれてしまうのです。

子どもの貧困率は7人に1人

先述しましたが、子どもの貧困率は実に7人に1人にのぼります。これでも2008年から子どもの貧困は再び問題視され、一時期は6人に1人まで落ち込んだ子どもの貧困はここまで回復したとも言えます。
しかしそれでも日本全体で280万に存在し、これは先進国の中で見ても有数の悪さだといえます。

経済協力開発機構(OECD)には34の加盟国があり、その中には先進国も含まれますが、この中でも日本は子どもの貧困率で10位であり、アメリカやイタリア、ギリシャに次いで高い順位となっています。それだけ先進国の中でも悪い状況なのです。

立ちはだかる10歳の壁?


貧困による学力の低下には「10歳の壁」というものが存在するといわれています。
これは先ほどもご紹介した経済的に困窮している世帯と困窮していない世帯の子どもの学力調査を基にして得られたデータです。
8歳から9歳ではそれほど離れていなかった偏差値が、10歳で大きく離される結果となりました。

これは10歳(小学校4年生)になることで学習する内容が増えるのが1つの転換点となっているのかもしれません。
小学校4年生ではそれまでなかった理科や社会といった教科が増えます。これらは暗記を必要とし、また知的好奇心を抱けるかどうかで成績が変化します。

しかし経済的に困窮している子どもたちの多くは勉強に集中する力が徐々に失われ、何かに興味を持つという機会が失われていることで、新しい教科に興味を示せないことが原因となり成績が大幅に落ち込むのではないかと考えられています。
一度低下してしまった学力を逆転させるのは至難の業です。そこからは困窮していない世帯の子どもに少しずつ離され、高校受験時にはその結果を持って学校を決めることになるのです。

学力の差が与える心への影響

学力差はやがて精神的にも影響を与えます。この学力の違いというのは、認知能力と呼ばれるIQや学業達成などを学力テストで測定した能力として数字に現れます。
しかし、子どもの成長でもう1つ重要とされているのが「非認知能力」です。

非認知能力とは協調性、外向性、自己肯定感、自己有用感、自制心、勤勉性など生きる上で必要な能力とされています。
学力の差はやがて自信の喪失へとつながり、更なる低学歴になるだけではありません。朝食が食べられないといった生活習慣や、夢中になれることがないといった日常生活も関係してくるのです。
心身ともに健やかに成長し、自信を持って生きるために必要な要素も奪われてしまうことになります。
これが続けば、自己肯定感の欠如や自信喪失、協調性がなくコミュニケーション不足へとつながり、社会へ出ても上手く馴染めない人間性になってしまいます。

貧困家庭の子どもの大学進学率は全世帯の半分以下

貧困による経済格差や学力差は、もちろん進学率にも影響します。
全世帯の大学進学率が73.2%なのに対して、生活保護世帯の進学率は半分程度の33.1%まで落ち込みます。

大学受験は高校受験以上にシビアであり、試験の良し悪しが進学の合否に大きく影響します。
そのため、教育格差の影響を受けて育った子どもたちが大学進学できる可能性も少なくなります。
仮に大学に合格し進学できたとしても、今度は経済的な問題が立ちはだかるケースも多いのです。

大学進学では入学金や授業料、教材代など様々な費用が必要になります。
国立の大学でも標準学は入学金で282,000円、授業料が535,800円とされ、文科系学部と理系学部でも違いが生まれます。
そして卒業までには2,425,200円かかると言われ、私立大学はさらに高額になります。

奨学金などの制度もありますが、借金という形で借りるものも多く、大学卒業後から返済が始まります。
この場合、負担として重くのしかかり、大学を卒業してある程度の給与を得られる企業に進学できたとしても、この奨学金の返済で持っていかれ、貧困状態に陥ることも少なくないのです。

子どもの貧困問題による生涯年収格差が8,000万円以上との結果も

貧困は将来的な収入格差にも影響してきます。学力的、経済的な問題で大学進学が叶わなかった場合、最終学歴が「高校卒」で働くことになります。
日本では最終学歴によって初任給などが代わり、その後のキャリアアップなどにも影響します

数字で見るとその差は明らかであり、高卒者の月給は、大学・大学院卒の6割程度しかありません。
これがそのまま続いてしまえば、生涯年収で見ると男性の場合8,000万円、女性の場合は約1億円もの差へ広がると言われています。

つまり子どもの頃に少しずつ生じた学力差は、やがて年収の差となり格差はさらに広がってしまいます。
結局貧困世帯の子どもは、親になっても再び貧困になってしまう可能性があるという負の連鎖を起こしてしまうのです。

子どもの貧困で生じる経済損失は43兆円

子どもの貧困が起こることで生じる経済損失は実に43兆円※とも言われています。
先ほどご紹介した様に、貧困による学力格差は、大人になれば経済格差に繋がります。
そのため生み出されるはずの所得が減ってしまうため、日本経済は縮小することになるのです。

所得が減るということはその人たちの経済が困窮するだけではありません。政府が徴収する税収や社会保険料の収入も減少します。それどころかそうした貧困の人たちを助けるために、生活保護や失業給付、職業訓練など、政府が支出しなければいけない費用の増加にも繋がります。
その費用は私たちの税で賄われているので、さらに国民の税負担が増え、大きな損失へと繋がっていくとされています。

※日本財子どもの貧困対策チーム「子どもの貧困の社会的損失推計」の調査より

子どもの貧困を改善するために私たちができること


子どもの貧困をこのままの状態にしておけば、不自由なく暮らせる子どもの数が減り、日本中の様々な面に影響を及ぼします。

それでは子どもの貧困の改善には私たちができることはなんなのでしょうか。それは意外と身近にあります。

まずはこの記事でもご紹介したように子どもの貧困の実情を知り、他人事ではなく当事者意識を持たなければいけないということです。
社会全体がこの問題に取り組まなければ改善できず、このままでは日本経済の損失はさらに大きいものとなってしまいます。
そしてこの問題に関して取り組む団体のサポーターになることで、改善を進めることができます。

一人ひとりにできることが限られます。しかしこのような状況を改善しようと動いているNPO法人や自治体の方々がいるのです。
そんな団体の活動資金は寄付や補助金であり、人のチカラも不足しているため多くのボランティアを必要としています。
寄付であれボランティアであれ、何かしらのサポートを行えば、支援の輪は広がっていき、子どもの貧困を改善する糸口が生まれます
貧困で苦しむ子どもたちを1人でもなくすために、私たちができることは何かを考え実行してみてはいかがでしょうか。

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