人身取引

人身取引・売買される子どもたち。ネパールからインドへ渡るのを阻止するために必要なこととは

ネパールは世界の中でも貧困な国と言われています。そのため特にインドとの国境に住む子どもたちは仕事を得るために甘い誘惑に乗ってインドへ行き、売春宿などに売られてしまうのです。この事を重く見た両国は対策を強化していますが、被害が減っているわけではありません。

この取引や売買を阻止するためにはどのようにすればいいのでしょうか。また日本に住んでいる私たちでも何かできることはあるのでしょうか。

人身取引・売買問題とは?
子どもの強制労働や売春、誘拐への対策や支援について知ろう

また、人身取引などのない平和な社会の実現へ少しでも貢献したいという思いのある方は、平和構築に関連する団体の支援を体験してみませんか?

約30秒のアンケートに回答いただくと、さまざまな国で平和の実現へ活動する団体に10円の支援金が届きます。記事を読み進める前にぜひお試しください!

\たったの30秒で完了!/

ネパールからインドへ年間1万人以上の子どもが取引・売買されている

ネパールでは2015年4月に大きな地震が起きました。山岳部では復興がなかなか進まず、 これまで以上に貧困が深刻化しています。

生活環境が悪化していく中で、子どもがよりよい環境で生活できることを親に期待させて、子どもを手放すように説得する人身売買業者がいます。しかし、期待とは裏腹に多くの子どもが虐待や過酷な状況に置かれることになるのです。

人身売買は地震発生前からネパールでは横行しており、ILO(国際労働機関)が2001年に調査した結果、毎年約1万2,000人の子どもたちがネパールからインドへ売られているようです。

女の子は売春させられたり、家庭で奴隷のように働かされ、男の子は強制労働をさせられています。

(出典: ユニセフ公式サイト「ネパール大地震緊急募金 第23報 ネパール大地震 災害後に高まる人身売買の危険 施設が子どもの売買や違法な養子縁組の温床に」,2015)

ネパールとインドの開かれた国境

ネパールとインドの国境線は「オープン・ボーダー」と言われ、お互いにビザやパスポートがなくても国境を通過することができます
ネパールの少女たちが、この「オープン・ボーダー」を超えてインドへと売られていくのです。

被害者の少女たちは、貧しい家庭、低カースト、少数民族である傾向が見られます。また、教育を受けていない子が多く、文字が読めないことから得られる情報が少なく、騙されて人身売買の犠牲になっていくのです。

売春宿に売られた少女たちに与えられるのは、わずかな食事と小銭だけです。性感染症の危険にさらされ、客や売春宿の経営者からの暴行を受け、精神的ストレスにさいなまれ、計り知れない苦痛の中で生活しているのです。

(出典: 一般財団法人 アジア・太平洋人権情報センター公式サイト「ネパールの人身売買被害者を支援する施設を訪ねて」)

  • 2015年4月の地震後、山岳部では復興がなかなか進まず、貧困が深刻化
  • 生活環境が悪化していく中で、人身売買業者に子どもが良い環境で生活できると説得され、親が子どもを手放す
  • 「オープン・ボーダー」を超えて、インドへ売られていく少女が多数いる

PCの買い替えを考えている方へ:NHKなど大手メディアでも取り上げられている、環境負荷のもっとも少ないエシカルなパソコンをご存じですか?

インド・ネパールで子どもを取引・売買させないために

それではインドやネパールで罪のない子どもを、取引させないためにはどのようなことが必要なのでしょうか。またこの状況が起こっているのはどういったことが原因なのでしょうか。

すでに行われている対策を含めて紹介します。

人身取引・売買を食い止めるために世界中からも支援の手が

インドやネパールに対しては、世界中の多くの団体から人身取引や売買を食い止めるために様々な支援や活動が行われています。

インド警察とネパール警察は、国境付近で人身取引につながる行動を阻止するためにインドへ入国する審査を厳しくしたり、国境に人身取引に対応している団体を配置することにより人身取引の撲滅に務めています。

また人身取引のターゲットになってしまう、地震後に仕事を失った人たちに対して、雇用の場を提供したり、教育が受けられる環境を作るなどの取り組みが行われています。

これらの団体は世界中から集まり、世界中の人々が協力し支援をしている状況です。

インドやネパールで人身取引や売買が行われている理由

ネパールはインドと中国の間にあり、寺院が多く落ち着いた風景が特徴的な国です。また日本の田舎のように人と人とのつながりが深く美しい国でもあります。
しかし、一方では人身売買が多く行われており、その原因の多くが家庭が貧しいことや社会的に少数民族であり、立場が低いことが挙げられます。

ほかにも教育制度が十分ではなく、仕事ができる環境や世界の情報を得ることができない状況の中、高額の仕事があるとだまされて売春宿などに売られてしまい、過酷な生活を強いられています。

貧困への対策や子どもに十分な教育を

インドやネパールの人身取引の原因が、貧困によるものや子どもたちが十分な教育を受けられず職に就くことができないことであれば、まずはこれらの対策をする必要があります。十分な生活支援や教育環境を作るだけでなく、被害にあった子どもたちの精神回復の支援を行う必要があるのです。

インドやネパールの人身取引の対策をしている団体

インドやネパールの貧困対策をするため、子どもたちに教育を受けさせたり十分な食料を提供する団体が世界中に多くあります。

また売春婦として強制的に働かされた女性や子どもに対して、メンタルケアの支援や裁判で戦うための費用を支援するなどバックアップなどもされています。

  • インドやネパールに対しては、世界中の多くの団体から人身取引や売買を食い止めるために様々な支援や活動が行われている
  • 人身取引のターゲットとなってしまう人のために雇用の機会や教育を受けられる環境を創出している
  • 人身取引の被害者に対し、メンタルケアの支援や裁判で戦うための費用を支援するなどバックアップも行われている

(出典:国際家族計画連盟(IPPF)「人身売買の被害者を支援する」)

(出典:認定NPO法人かものはしプロジェクト

人身取引・売買を減らすために、日本で暮らす私たちにできる支援

世界各国で行われている人身取引や売買を減らすための活動ですが、日本で暮らしている私たちにも支援をすることができます。

世界で活動を行うNPO・NGOに支援をすることもできますし、日本で活動している団体もあります。人身取引や売買を防ぐための活動は資金が必要であるため、支援の積み重ねが大切なのです。

人身取引問題

人身取引は世界中で深刻な問題になっていることもあり、日本でも人身取引の問題を専門に取り扱う団体もあります。

人身取引問題は日本も他人事ではありません。世界各国から日本に出稼ぎのために来る外国籍の女性や子どもたちも大勢いるのです。また残念ながら日本でもそのような人々が被害にあうような事件も起こっています。

人身取引問題は、決して貧困の国だけの問題ではないのです。しかしこれらの団体を通して人身取引をなくすために取り組む団体への支援ができます。

人身取引・売買の問題を広める、狙われる子どもたちに知識を与える

人身取引の問題を解消するために、子どもたちの安全を守ることや子どもの権利条約などの法的権利について世界中の人たちに分かってもらうための活動もされています。

また学校に行けないような子どもたちに教育を受ける環境を作ったり、食料を提供する活動もさかんに行われています。

日本で暮らす私たちもそうした活動の支援ができるため、ネパールの子どもたちが人身取引や売買にあわないための活動に貢献することができます。

人身取引にあってしまう大きな原因は貧困や情報を得られない環境であるため、これらを解消することによって少しでも人身取引が少なくなることにつながるのです。

日本に逃れてきた難民を正社員として雇用。エシカルなPCでSDGs「つくる責任つかう責任」に取り組みませんか?

人身取引・売買を未然に防ぐための支援

貧困な状況にいる子どもたちに、いかに人身取引が危険であるか、また甘い誘惑には乗らないような説明をします。それだけではなく生活を少しでも安定させるため、雇用の提供をしているのです。

そのほか、人身売買の被害にあってしまった子どもたちの経済的な支援と、これ以上の被害を増やさないための活動も行われています。

  • 人身取引問題は、決して貧困の国だけの問題ではない
  • 人身取引を未然に防ぐため、また被害者の支援を行うNPO・NGOはたくさんある
  • 私たちもそうした団体へ寄付をすることで支援に参加することができる

人身取引・売買からネパールの子どもたちを救おう

ネパールは2015年に大きな地震が起こってから、いまだに復旧していない地域がまだまだあります。特にインドとの国境である山岳地帯は復旧が進んでおらず、より貧困な住民が増えている状況です。そのため犯罪組織に目をつけられるようになり、特に未成年の少女がインドに行けばより生活が良くなるとだまされ売春宿に売られてしまう現状となっています。

売春宿に売られてしまうと少女や女性への賃金はほとんど入ってこず、精神的な圧力や肉体的な暴力に耐える日々となり人間らしい生活をすることができません
ネパールやインドの警察も対策に力を入れているのですが、 実際に救出できる子どもたちはごく一部であり、仮に救出できたとしても精神的な回復をするまでに相当な時間がかかります。

そこで世界中でこれらの子どもたちを守るための団体が多くあります。その中には日本の団体も含まれており、日本で暮らす私たちにもできる支援がたくさんあります。ほんの少しの積み重ねが子どもたちの将来を守ることができるのです。

この記事を書いた人
gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。 なお、掲載されている記事の内容に関する「指摘・問い合わせ」「誤字脱字・表示の誤りの指摘」につきましては、こちらの報告フォームよりご連絡ください。

- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿