プラスチックごみ

日本政府が策定した「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」とは

現在、海洋ではプラスチックを含む多くのごみが環境に影響を与え、生態系を壊し始めており深刻な問題となっています。

それに伴い、海洋資源を利用する多くの国がこの問題に向き合い、既に行動を起こしています。そして日本も取り組みを始めています。

その中の1つに日本政府が策定した「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」というものがあります。
これは海洋環境の改善、そして生態系の保護を目的とした活動ですが、どのような課題と対策を講じているのか紹介します。

海洋プラスチックごみ問題とは?日本や海外の取り組み、私たちができることを解説

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世界で深刻な海洋プラスチックごみ問題


海洋には私たちが出したごみが流れ着き、環境や生態系に影響を与える海洋ごみが増え続けています。
その海洋ごみの大半はプラスチックを使用した製品であり、海洋プラスチックごみが深刻な問題となっています。

プラスチックごみはビニール袋や容器、家庭用品など、私たちが身近に利用しているあらゆるものから発生しており、それらはポイ捨てや不適切な処理をされたり、風や雨などにより海に流れ着きます。
このような問題は、世界中の課題となっておりプラスチックを使った製品の販売禁止や無料提供の禁止などの様々な取り組みが行われていますが、未だに世界中で毎年最低800万トンのプラスチックごみが流出していると言われています。

また、プラスチックごみが劣化や時間が経つことで小さくなり5ミリ以下になったものをマイクロプラスチックと言いますが、マイクロプラスチックは一度海洋生物が食べてしまったら取ることは難しいため、食物連鎖への影響も発生します。
プラスチックごみは海という大切な環境を壊すだけでなく、海洋の生態系などにも影響を与えてしまいます。
他にも景観の悪化や船舶航行の障害、そして海の魚類を食べる私たちにも甚大な被害を及ぼすことになるのです。

(出典:政府広報オンライン「海のプラスチックごみを減らしきれいな海と生き物を守る!」,2019)
(出典:環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」,2018)

日本が行う「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」とは


日本では、海洋プラスチックごみを削減するために「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を2019年に環境省が策定しています。

これはプラスチックの有効利用を前提としつつ、海洋の新たな汚染を生み出さないため取り組みを徹底していくと言うプランです。

プラスチックごみの回収から適正処理の徹底ポイ捨てや不法投棄、非意図的な海洋流出の防止、既に流出してしまったプラスチックごみの回収まで多角的に取り組む計画です。

またプラスチックごみが海洋に流出しても、微生物などに分解され海洋への影響や負担が少ない素材の開発や、その素材への転換などを推進していく取り組みなども計画、推進されています。

海洋プラスチックごみ対策アクションプランは、これらの課題と取り組みを8つに分けて計画し、動いているのです。

廃棄物処理制度等による回収・適正処理の徹底

この対策分野では2つの課題が挙がっています。

1つはアジア各国の廃棄物禁輸措置に対応した国内処理体制の増強、もう1つは漁具などの適切な回収です。

中国を始めとしたアジア諸国ではこれまで廃プラスチックを輸入し、再利用する形でプラスチック製品を製造していました。

しかし東アジア地域の海洋プラスチックごみによる汚染が深刻であること、そして人体や環境に多大な影響を与える危険があることから、中国は廃プラスチックを含む廃棄物の禁輸を決定し、他のアジア諸国も次々とそれに続いています。

アジア諸国の決定により、これまで廃プラスチックの処理をアジア諸国に依存していた日本は、その行き場を失い国内での処理体制の確立を急務で行う必要が出たのです。

主な対策や取り組み

国内での廃プラスチック処理に対して、回収からリサイクルまでを徹底するため、対策を講じています。

国民の日々のごみ出しや分別回収までの協力を得て、廃棄物処理制度及びリサイク制度を徹底して行うことが挙がっています。

またそれらの処理体制を、最新技術を活用することで増強すること、そして発泡スチロール製魚箱などのリサイクル施設の整備や徹底にも取り組んでいます。

他にも関係団体と連携し農業由来の使用済みプラスチックの回収及び適正処理を行ったり、事業団体と通じた漁具などの陸での回収などを徹底するよう呼びかけたりしています。

ポイ捨て・不法投棄、非意図的な海洋流出の防止

海洋プラスチックごみの大半はペットボトルやレジ袋などのプラスチック容器包装によるものであり、ポイ捨てによる流出や、漁具などの海洋流出が原因となっています。
つまりこれを防止しない限り、プラスチックごみは増え続けることになります。

主な対策や取り組み

この課題に対しては廃棄物処理法や海洋汚染等防止法、ポイ捨て禁止条例などの違反監視を徹底しています。

また全国不法投棄監視ウィークによる国及び自治体の監視パトロールの強化、自販機などの横にリサイクルボックスの設置、事業者団体漁業者による漁具の適正管理の徹底が行われています。

陸域での散乱ゴごみの回収

海洋プラスチックごみが発生する原因は、陸地から海洋へ流れ出てしまうことです。そのため、ごみが海に流出する前に陸で止めることが大切です。
この課題としては、陸域で散乱しているごみの回収が必須となってきます。

主な対策や取り組み

住民や企業等により、分担して街中や河川、海浜での清掃活動やボランティア・サポート・プログラムの推進を実施。
また新たに設定された「海ごみゼロウィーク」において、全国一斉清掃アクションを展開するなどの取り組みが行われています。

海洋に流出したごみの回収

既に海洋に流出しているプラスチックごみも回収をしなければいけません。

しかし目に見えない粒子となったマイクロプラスチックは回収がほぼ不可能です。
そのため、マイクロプラスチックになる前の大きなプラスチックごみを回収することも、海洋プラスチックごみを削減していくためには必須となってきます。

主な対策や取り組み

海岸漂着物処理推進法に基づく対策推進事業の展開や、自治体による漂着物の回収処理の推進を行っています。
また漁業者により海洋ごみの回収や処理を行ってもらうための支援や海洋環境整備船や港湾管理者によるそれぞれの担当区域の浮遊ごみの回収などにも取り組んでいます。

代替素材の開発・転換等のイノベーション

どれだけ徹底していても、海洋に流出しやすいプラスチックごみはあります。
しかし海洋生分解性プラスチックなどに代替した製品であれば流出しても影響は少なくなるため、このような素材への転換が急務となっています。

主な対策や取り組み

「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ」に基づいた官民連携での技術開発に取り組んでいます。

実際に生分解性プラスチックの開発は進んでおり、今後様々な商品の素材転換が期待されています。

また素材転換事業の推進のため、政府からの支援も行われているほか、プラスチックの製造及び利用関係企業の「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」や企業や団体と研究者での「海洋プラスチック官民イノベーション協力体制」の構築などを行っています。

関係者の連携協働

海洋プラスチックごみを減らすための活動をする上で関係者の連携協働は不可欠であり、国民をはじめとして各界、各層の取り組み拡大のための施策を行っていかなければいけません。

主な対策や取り組み

海洋プラスチックごみ対策の課題に関しては「海ごみゼロアワード」による取り組みが優秀であった事例への表彰や、「海ごみゼロ国際シンポジウム」での情報発信を行うほか、「業種別プラスチック関連目標」「プラスチック資源循環アクション宣言」を通しての取り組みの促進を行っています。

途上国などにおける対策促進のための国際貢献

目を向けるべきは国内だけではありません。
途上国ではプラスチックなどの廃棄物管理などに多くの課題があります。そのため途上国での対策促進も必要です。

こうした国際貢献も現在の海洋環境を改善する上では課題となります。

主な対策や取り組み

途上国に対して、廃棄物法の制定や、廃棄物管理に関する能力及び制度の構築、海洋ごみ国別計画の策定など様々な支援を実施しています。

また「ASEAN+3海洋プラスチックごみ協力アクション・イニシアティブ」に基づいたASEAN諸国への支援、海洋プラスチックごみモニタリング人材の育成支援なども行われています。

実態把握・科学的知見の集積

これらの対策を行う上で、実態把握や科学的知見の充実は必要不可欠です。
ただ闇雲に対策を講じて取り組むのではなく、必要な課題に必要な取り組みを行うことが大切であり、そのためには現状の把握、集積は重要な課題となります。

主な対策や取り組み

東南アジア数カ国と調査の実証実施や人材育成研修を行うなどモニタリング手法の国際調和を行っています。

また国内における排出量や排出経路、漂着物や浮遊プラスチック類の調査及び推計、マイクロプラスチックを含む海洋プラスチックごみの人体や海洋生物などへの影響の調査も進めています。

(出典:内閣官房公式サイト「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」)
(出典:環境省公式サイト

海洋プラスチックごみを減らすために私たちにもできること


海に流出する海洋プラスチックごみは、海の環境や生態系を破壊するだけでなく、魚介類を摂取することによって人体にも被害を及ぼす危険性があります。

日本では、「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」のような海洋環境改善と生態系保護に取り組む方々・団体がありますが、継続して活動を行うためにはまだまだ活動資金や人材が足りていません。

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