きれいな海に広がるサンゴ礁。日本では沖縄近海で見られるものが有名ですが、世界では様々な場所に分布しています。
しかしサンゴ礁は今、様々な要因により危機的な状況に陥っています。サンゴ礁は観光資源としてだけでなく、海洋生物や環境においても多くの役割を担っているため、これらが死滅することは私たちにも大きな影響を与えると考えられています。
では海でどのような問題が起こっており、サンゴ礁は危機的状況に陥ってしまっているのか、この記事で紹介します。
なお、海洋汚染の原因や現状については下記記事でも詳しく解説していますので、関心のある方はあわせてご一読ください。
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多様なサンゴが見られる沖縄の海
沖縄の海にはサンゴ礁が広がっていますが、その周りには多くの生き物も生息しています。
沖縄を含む琉球列島付近には日本に生息する約80%の造礁サンゴ礁(サンゴ礁を形成するサンゴ)が存在します。面積で見ると沖縄県で28,235.0 ha、全国で見ると35,345.3 haです。
また沖縄の造礁サンゴは約400種あり、そのうちの約380種が日本に生息しているというデータもあります。沖縄の海に生息する生き物にとってサンゴ礁は無くてはならない存在です。
それは海洋生物に留まらず、人間にも言えることです。サンゴ礁は生物の住み家としてだけでなく、他にも様々な役割があります。
サンゴ礁の役割は?
サンゴ礁は観光だけでなく漁業などの産業資源であり、生物多様性の保持を担い、物質循環による水質浄化や天然の防波堤としての減災機能などもあります。
特に生物多様性の保持は重要な役割となり、サンゴ礁の中では多くの生き物が住むと言われています。
例えば小さな海洋生物にとって天敵から身を隠すための場所は必須と言えますが、複雑に入り乱れるサンゴ礁の中は格好の隠れ場所となります。
藻類や小さな生き物が集まるため、それらを餌とする海老や大きな魚も集まり、生物多様性の場として様々な生き物の貴重な場所となっています。
サンゴ礁に住む生物は実に9万種類とも言われており、多くの生命を育んでいることが分かります。
これだけの生物が集まることから漁業も盛んになり、人々に食料を提供してくれる場としても重宝されています。
- 沖縄を含む琉球列島には、日本の約80%以上の造礁サンゴ礁が存在している
- サンゴ礁は生物多様性の保持するための貴重な場となっている
- サンゴ礁の周りには多くの海洋生物が集まるので漁業が盛んになる
(出典:環境省「豪州との連携による琉球列島のサンゴ礁保全と地域振興」)
沖縄県のサンゴ礁の現状とは
多くの役割を持つ沖縄のサンゴ礁ですが、現在危機的な状況にさらされています。
特に問題なのが、地球温暖化による海面上昇や海水温の上昇など環境ストレスに加えて、海洋汚染による富栄養価(窒素、リンなどの栄養塩類が増加すること)などの地域的な環境ストレスが複合していることです。
環境ストレスとは、海水温の上昇が原因のサンゴの白化、台風の巨大化に伴うサンゴの破壊、海洋の酸性化によるサンゴの石灰化機能の低下、天敵のオニヒトデによる被害など様々です。
このままサンゴが死滅し、サンゴ礁が壊滅的な状況にさらされ続ければ、世界の3分の1のサンゴが絶滅してしまう可能性があると見られています。
海水温の上昇によるサンゴの白化現象
海水温の上昇が起こると、サンゴと共生している褐虫藻(かっちゅうそう:海産無脊椎動物と細胞内共生する渦鞭毛藻類の単細胞藻類の総称)が体内から喪失するためサンゴの骨格が透け、白く見えるサンゴの白化現象が起こります。
一時的であれば問題ありませんが、長期的に褐虫藻がいなくなることで栄養を受け取ることができなくなると、死滅してしまいます。
サンゴの白化現象はサンゴ礁の衰退を招く大きな原因の一つですが、高水温以外にも低水温や強い光の照射、紫外線や低塩分など強いストレスによっても引き起こされます。
台風の巨大化によるサンゴの破壊
近年気候変動や異常気象により、台風が巨大化している傾向があります。
日本各地でも大きな被害が出ていますが、海中にいるサンゴにも影響を与えています。
巨大な台風が通過すると高波に比例して波圧や流速が増大するため、それを受けるサンゴが根本から折れ、破壊されることがあります。
通常の台風でもこのような現象は起こりますが、台風の巨大化によってその被害は増大すると危惧されています。
サンゴ礁は生物多様性の場であり天然の防波堤であることは先述しましたが、台風の巨大化、そして海面上昇による外洋の波浪エネルギーの到達によってサンゴ礁が破壊され、生物が住めなくなり防災機能も損なうと見られています。
海洋の酸性化によるサンゴの衰退の恐れ
二酸化炭素の増加は海洋を酸性化させます。海は大気の二酸化炭素を吸収する役割を持っており、その量が多くなれば必然的に取り込まれる二酸化炭素も増加します。
水と反応してpH(水素イオン濃度を指す指数)を低下させることで、本来アルカリ性である海水が中性に近づき「酸性化」が起こります。
酸性化は石灰化に必要な炭酸イオン濃度を下げるため、炭酸カルシウムを主成分とするサンゴや有孔虫、無節サンゴモ(炭酸カルシウムを大量に沈着した藻体)などの成長を阻害する恐れがあるのです。
地域的なストレスによるもの
地域的な環境ストレスによってもサンゴはその数を減らしてしまいます。以下はその環境ストレスをまとめたものです。
ストレスの要因 | 概要 |
食害生物の増加 | オニヒトデやシロレイシガイダマシ類、ブダイなどの食害生物の増加により、サンゴの成長が阻害される。 特にオニヒトデの大量発生は広い範囲でサンゴの死滅をもたらす。 |
サンゴの加入量不足 | 白化現象や食害により親サンゴが広範囲で死滅すると、海域の総産卵量が減り受精の機会が減ってしまう。幼生が不足し、幼生の加入が難しくなる。 |
海藻類の増加 | 海中の富栄養化やアイゴ、タカセガイなどの植食動物の減少が原因で、海藻や微細藻類が繁茂し、これらが基質を優占すると幼生の加入が阻害される。 |
瓦礫の移動によるサンゴの破壊 | 波によりサンゴ瓦礫が大きく移動する海底では、サンゴ瓦礫が海底を磨耗するため、幼生の加入や成長を阻害したり、破壊したりする。 |
透明度の低下と浮泥の堆積 | 汚濁河川水の流入により、濁りが透明度を低下させ、長期にわたって光量不足が続くと成長が阻害される。 また浮泥の堆積は、幼生の加入や成長を阻害する。 |
赤土の流入 | 赤土の流入は濁りで透明度を低下させ、長期にわたって光量不足が続くと、サンゴの成長が阻害される。 また赤土の堆積はサンゴのへい死をもたらす。 |
富栄養化 | 農地から肥料や畜産ふん尿、あるいは生活雑排水が流入し、富栄養化となった海水は基質上には海藻類が繁茂し、幼生の加入や成長を阻害することがある。 また植物プランクトンが増殖しやすくなり透明度が低下し、サンゴの成長が阻害される。 |
過剰な観光利用・乱獲 | 海水浴やマリンレジャーは、故意ではなくても踏みつけやフィンなどでサンゴを折損・破壊することがある。 また、乱獲による水産生物の減少は、サンゴ礁の生態系に影響を与え、例えば藻食性魚類が乱獲によって減れば、海藻類が増えてサンゴが減少することがある。 |
サンゴの病気 | 近年、いろいろなストレスで弱ったサンゴにブラックバンドディジーズ(黒帯病=細菌による壊死)やホワイトシンドローム(サンゴの組織が帯状に白く壊死する病気)などの感染症や腫瘍(骨格形成異常)が広がっている。 |
沖縄の海からサンゴ礁が激減した理由や、私たちにできることについては、こちらの書籍でも詳しく解説されています。
沖縄のサンゴ礁の現状について理解を深めたい方は、お手に取られてみてはいかがでしょうか?
- 沖縄のサンゴ礁は環境ストレスにさらされ衰退している
- 海水温の上昇によるサンゴの白化現象は、サンゴの衰退の大きな原因の一つである
- このままサンゴが危険な状態であると、世界の3分の1のサンゴが絶滅すると言われている
(出典:水産庁「サンゴ礁の危機」,2016)
沖縄県のサンゴ礁を守る・再生するために行われている取り組み
沖縄県の、そして日本の周りに生息するサンゴ礁を守り、再生させるために環境省では「サンゴ礁生態系保全行動計画」を策定し取り組みを行っています。
まずサンゴ礁生態系保全の基礎となる取り組みとして、地域内の各主体や地域同士のネットワークを掲載し、活動や課題についての情報共有を行う連携を促進しています。
また、サンゴ礁生態系の重要性の認識と主体的な行動を促すためのエコツーリズムなどの活動も推進しています。
そして、重要地域の設定と管理や陸域とのつながりを考え、土砂や汚染物質の発生源への対策を行う総合的な管理、オニヒトデなどの食害生物の除去や活動支援、サンゴ増殖の実施など課題に対しての対策の整備と実施なども行っているのです。
サンゴ礁の生態系の利用には持続可能なための適正な管理と漁業や観光産業の利用に加え、保全運動の促進やルールの策定なども行われています。
- 環境省はサンゴ礁を守り再生させるための「サンゴ礁生態系保全行動計画」を策定して取り組んでいる
- 取り組みとして、情報の共有やサンゴ礁の重要性の認識と主体的な行動を促すためのエコツーリズムを推進している
- サンゴ礁の生態系の利用についても、持続可能なための適正な管理と漁業や観光産業が行われている
(出典:環境省「日本のサンゴ礁生態系と保全行動計画」)
沖縄県のサンゴ礁の現状を知り私たちができることとは
沖縄県の海に広がるサンゴ礁は、海の生物だけでなく、陸に住む私たちにとっても大切な存在です。
しかし、自然災害や気候変動、私たちの生活によって危機的状況にさらされています。
そのようななか、日本や海外では海洋汚染を防止するための様々な取り組みが行われています。
下記記事では、海洋汚染問題の解決を目指している団体の活動や私たちにできる支援方法などを紹介していますので、ぜひご参照ください。
さらに、世界各国では「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す」SDGsに向けた取り組みが進んでいます。
SDGsでは、「海の豊かさを守ろう」をはじめとする17の開発目標が掲げられているので、関心のある方はぜひ下記記事をご一読ください。
また、沖縄県のサンゴ礁を守るために活動している人々や団体がありますが、継続して活動を行うには資金や人材がまだまだ足りていません。
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