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公益社団・財団法人ってどんな法人?設立方法や運営方法とは

  • 2020年8月27日
  • 2022年7月20日
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公益を目的として、社会や地域、人々のために事業活動を行う公益社団・財団法人は、平成20年12月1日施行の「公益社団法人および公益財団法人の認定等に関する法律」に基づいて設立された法人のことを言います。

この記事では、公益社団・財団法人とはどのような法人なのか、設立方法や運営方法について紹介します。

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公益社団・財団法人とは?


公益社団・財団法人とは、一般社団・財団法人のうち、民間有識者からなる第三者委員会による公益性の審査を経て、行政庁(内閣府または都道府県)から公益認定を受けた法人です。
公益認定を受けると、「公益社団法人」「公益財団法人」という名称を使用できるようになります。

公益社団・財団法人と一般社団・財団法人の事業の違い

一般社団・財団法人とは剰余金の分配を目的としない社団・財団であり、登記によって法人格を取得できる一般的な法人で、事業の公益性は求められていません。

しかし、公益社団・財団法人は、活動費全体の50%以上を公益目的事業が占めることが公益認定を受ける上で必要な要件となっています。公的目的事業とは、公益社団および公益財団法人の認定等に関する法律に定められた、学術、技芸、慈善そのほかの公益に関する23種類の事業に限られています。

公益社団・財団法人と一般社団・財団法人の税制優遇の違い

公益社団・財団法人になると、一般社団・財団法人とは違い公益・財団法人として税制上の優遇措置を受けられるようになります。

法人自らにかかる税制

税制優遇措置の有無 公益社団・財団法人 一般社団・財団法人(非営利型法人) 一般社団・財団法人(非営利型法人以外)
収益事業課税(法人税)
※収益事業に関しても非課税
×
利子・配当などにかかる源泉所得税の非課税(所得税) × ×
みなし寄附(法人税) × ×

一般社団・財団法人の非営利型法人および非営利型法人以外と比較して、公益社団・財団法人は法人自らにかかる税金が優遇されています。

寄附税制

税制優遇措置の有無 公益社団・財団法人 一般社団・財団法人(非営利型法人) 一般社団・財団法人(非営利型法人以外)
個人の所得控除 × ×
法人の損金算入にかかる別枠措置(法人税) × ×
個人の税額控除(所得税) × ×
個人が財産を寄附した場合の譲渡所得税の非課税対象(所得税) ×
個人相続財産を寄附した場合の相続税の非課税対象(相続税) × ×

通常の一般社団・財団法人に個人や企業が寄付を行っても、税の控除はありません。
しかし公益社団・財団法人では、個人または企業が寄付を行うと、寄付者の税金が控除される税制優遇が受けられます。
つまり、公益社団・財団法人になることで、一般社団・財団法人よりも寄付金が集まりやすくなるということです。

  • 公益認定を受けると、「公益社団法人」「公益財団法人」という名称を使用できる
  • 公益社団・財団法人になることで、一般社団・財団法人よりも寄付金が集まりやすくなる
  • (出典:内閣府「公益法人制度とNPO法人制度の比較について」)
    (出典:内閣府「用語について : 公益法人と特定非営利活動法人(NPO法人)」)
    (出典:内閣府「公益法人制度とNPO法人制度の税制上の優遇措置の比較について」)

    公益社団・財団法人の設立方法とは?


    公益社団・財団法人はいきなり設立することはできず、一般社団・財団法人から申請・認定を受けて公益社団・財団法人に移行されます。
    公益社団・財団法人を設立する流れは以下の通りとなります。

    1. 一般社団・財団法人を設立する
    2. 行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)に公益認定申請を行う
    3. 行政庁によって18の公益認定基準で審査され、公益認定等委員会(国)および合議制の機関(都道府県)に諮問(意見を求める)
    4. 行政庁により、公益の認定(認定の可否が伝えられる)

    行政庁によって、公益の認定がされることで、「公益社団法人」「公益財団法人」といった名称を使用できるようになります。
    公益社団・財団法人を設立するときに、内閣総理大臣に申請をする団体は、以下の条件に当てはまる団体のみとなります。

  • 事務所が複数の都道府県にある
  • 複数の都道府県で公益目的事業を行うことを定款で定めている
  • 国の事務・事業と密接な関連がある公益目的事業をしており、政令で定めるものを行っている
  • つまり、上記以外の場合は都道府県知事に認証の申請を行うことになります。

    公益社団・財団法人の主な公認定基準

    公益社団・財団法人の主な公益認定基準は以下の通りとなります。

  • 公益目的事業を行うことが主たる目的か
  • 収支相償(公益目的事業にかかる収入が、実施に要する適正費用を超えないこと)が見込まれるか
  • 公益目的事業比が50/100以上(50%以上)の見込みがあるか
  • 遊休財産額が一定額を超えない見込みか
  • 事業を行う「技術的能力」があるか
  • 相互に密接な関係にある(同一親族など)理事・監事が総数の1/3以下か
  • 認定取り消しなどの場合、公益目的で取得した財産の残額相当額の財産を、類似した事業を目的とするほかの公益法人に贈与する旨を定款で定めているか
  • など

    公益社団・財団法人は国や県からのお墨付きを得られるため、厳しい条件が掲げられています。

    公益社団・財団法人の欠格事由

    公益社団・財団法人は行政庁が認証する法人ということもあり、欠格事由があります。
    主に挙げられている欠格事由は以下の通りです。

  • 暴力団員などが支配している法人
  • 滞納処分終了後3年を経過していない法人
  • 認定取り消し後5年を経過しない法人
  • つまり、公益社団・財団法人は高い公益性が求められます。

  • 公益社団・財団法人は、一般社団・財団法人から申請・認定されて公益社団・財団法人に移行される
  • 公益社団・財団法人は高い公益性が求められる
  • (出典:政府の行政改革「公益社団法人・公益財団法人とは?」)
    (出典:内閣府「公益法人制度とNPO法人制度の比較について」)

    公益社団・財団法人の運営


    公益社団・財団法人として認定を受けたときには、運営をしていく上で守らなければいけないことがあります。
    必ず守らなければいけない主な遵守事項は以下の通りです。

    1. 公益目的事業比率は50%以上を維持する
    2. 遊休財産額は一定額を超えないようにする
    3. 寄附金などの一定の財産を公益目的事業にのみ使用
    4. 理事などの報酬額など支給基準を開示する
    5. 財産目録などを備え置き、いつでも閲覧できるようにする
    6. 財産目録などを行政庁へ提出する

    など

    これらの遵守事項を守らない場合、監督措置として、委員会などが報告徴収や立ち入り検査を行います。
    また、必要な措置を講ずるように内閣総理大臣または都道府県知事に対して、第三者委員会から勧告が下り、認定が取り消される場合もあります。

    認定を受けたまま解散した場合

    公益社団・財団法人として認定を受けていても、人数不足や資金不足による運営難から解散を行う団体もあります。

    認定を受けたまま公益社団・財団法人を解散した場合、解散の日から1ヶ月以内に行政庁(国または都道府県)に届け出を出す必要があります。
    また、解散をした際に財産が余っている場合、定款で定めている類似の事業を目的としたほかの公益法人などに財産は帰属することとなります。

    認定が取り消された場合

    公益社団・財団法人であっても遵守事項を守らない場合、一般社団法人、一般財団法人として残りますが、監督措置から公益認定の取り消しが行われることがあります。

    公益社団・財団法人の認定が取り消された場合、公益社団・財団法人として取得した収益の残りはすべて手放すことになります。
    定款の定めとおりに公益目的取得財産残額相当額の財産を類似した事業を目的とするほかの公益法人などに贈与しなければいけません。1ヶ月以内に贈与しない場合、同額の金銭を国または都道府県に贈与することになります。

  • 遵守事項を守らない場合、認定が取り消される場合もある
  • 認定を受けたまま公益社団・財団法人を解散した場合、解散の日から1ヶ月以内に行政庁(国または都道府県)に届け出の提出・余った財産は帰属する必要がある
  • 公益社団・財団法人の認定が取り消された場合、公益社団・財団法人として取得した収益の残りはすべて手放すことになる
  • (出典:政府の行政改革「公益社団法人・公益財団法人とは?」)

    公益社団・財団法人について理解を深めよう


    公益社団・財団法人になるためには、非常に厳しい条件をクリアしなければいけません。つまり、公益性の高さを国や都道府県から認められた、社会的に高い信頼度のある団体と言えます。

    公益社団・財団法人は私たちの身近なところで、地域や私たちの生活をより良いものにするために、日々活動を行っています。公益社団・財団法人がどのような活動を行っているのかを理解することで、私たちにも協力できることが見つかるかもしれません。

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