ユニセフ(UNICEF)は国連の下部組織の一つで、日本にも民間部門の窓口となっている「日本ユニセフ協会」という組織が存在します。
ユニセフという名前が入っていることからユニセフに関係した組織であることはわかりますが、ユニセフの出先組織なのか独立している日本の組織なのかわかりにくい部分もあります。
そこで今回は、日本ユニセフ協会とはどのようなものなのかについて紹介していきたいと思います。
UNICEF(ユニセフ)とは?寄付や募金の方法、支援内容について紹介
UNICEF(ユニセフ)とユニセフ日本協会の関係とは
日本ユニセフ協会は正式には「公益財団法人日本ユニセフ協会」といい、東京都に本部がある日本の公益財団法人です。
世界34の国と地域に存在しているユニセフ国内委員会の1つとして存在しており、国際連合児童基金(UNICEF)の活動を支えています。
日本には、この日本ユニセフ協会とは別に「ユニセフ東京事務所」という組織も存在しています。
こちらはアジア太平洋地域で日本と韓国の政府機関向けに存在しているUNICEF本部の一つとなっています。
ユニセフの「顔」「代弁者」として
UNICEFのホームページ(英語)では、Japanを選ぶと日本ユニセフ協会のページに飛ぶようになっており、ユニセフ国内委員会はユニセフのグローバルネットワークの一員として紹介されています。
各国のユニセフ協会(国内委員会)は、UNICEFと「協力協定」と呼ばれる公式文書を締結しており、同協定は「ユニセフ協会(国内委員会)は各国の市民社会においてUNICEFの利益を代表し、かつ促進する、UNICEFの唯一のパートナーである」と定められています。
日本ユニセフ協会の主な活動内容
日本ユニセフ協会は様々な活動を行っています。
ここではそれらについて紹介していきます。
募金活動
一口に募金といっても都度募金するものから毎月定期的に行うものなど様々です。
また、日本ユニセフ協会への寄付金は所得税や住民税、相続税、法人税の税制上の優遇措置を受けられます。
ユニセフ・マンスリーサポート・プログラム
これは支援を必要としている子どもたちを定期的に支援していきたいという人向けの募金方法です。
毎月決まった額をクレジットカードからの支払い、もしくは口座振替を利用して寄付をしていきます。
一度登録すれば毎月募金の手続きをする必要がなくなりますので、継続的に募金をしていきたいという人におすすめです。
インターネット募金
インターネットでの募金は、クレジットカード、コンビニ払い、インターネットバンキングですることができます。インターネットバンキングで募金するには、インターネットバンキングをそれぞれの金融機関で使用できる状態にしておく必要があります。
利用できる金融機関は都市銀行(ゆうちょ銀行を含む)、ネット銀行、地方銀行、労働金庫、信用組合と幅広い金融機関が利用できます。
申込金額は500円~10,000,000円までとなっていますが、実際の振込上限金額は登録しているインターネットバンキングの利用限度額が優先されるので、そちらを確認しておく必要があります。
遺産寄付プログラム(遺贈・相続財産寄付)
遺産に関する寄付の方法もあります。
これには大きく分けて3つの種類があります。
これは1999年に始まったプログラムで、遺産の全額または一部を世界の子どもたちへ寄付できるシステムです。
年々利用者が増えてきている方法でもあります。
外国コイン募金
出張や旅行先で使用しきれずに持って帰ってきた外国の紙幣やコインを寄付するシステムです。
これは現在流通している通貨に限られますが、こうしたコインを海外に輸送することでUNICEFの活動資金にするというものです。
その方法は大きく分けると4つの方法があります。
空港で募金する
国内の主要な国際空港(成田、羽田、関西、名古屋(中部)、福岡、千歳、仙台、広島)には外国コイン募金用の募金箱が設置されています。
それぞれの空港の税関検査場に設置されていますので、外国コイン募金をする場合はそちらを利用しましょう。
郵送で募金する
郵送もしくは宅急便などを使って外国のコインを日本ユニセフ協会に送ることで募金するということもできます。
コインを厳重に梱包して、内容物欄に「メタル」と記入します。
そして郵送すれば募金完了です。
〒108-8607 東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
(公財)日本ユニセフ協会 外国コイン募金係
飛行機の中で募金する
日本航空の国際線では機内で募金を呼び掛けています。
外国コイン募金を行う場合は機内に用意されている封筒にコインを入れて客室乗務員に渡せば完了です。
銀行などで募金する
すべての支店ではありませんが、三井住友銀行、JTBグループ、日本航空、毎日新聞社などでは店頭にて募金箱が設置されており、外国コイン募金を行うことができるようになっています。
広報活動
日本ユニセフ協会はその活動内容を広く広報活動で公開しています。
それは出版物からweb、映像、SNSを使ったものや、実際に現場に人を派遣して活動をするものなど様々です。
例えば機関誌である「ユニセフ・ニュース」の発行や、ユニセフ年次報告など紙媒体の出版物から、ホームページ、ソーシャルメディア、動画など、公共CMなど様々です。
ユニセフの活動を伝える活動を発信するSNS
現地報告会や講演会、シンポジウム
年間を通して、ユニセフ職員などが現地報告会や講演会、シンポジウムなどを開催もしています。
2018年度は「報告会ロヒンギャ難民支援の現場から」など7回が開催されました。
最近は「ネット上で子どもを守る」「子どもに対する暴力をなくすために」「子どもにやさしいまち検証作業」など子どもに関する活動に重点を置いています。
人材育成・学習活動
国内活動で大きなウェイトを占めているのが学校現場と連携した学習活動です。
学校の外部講師による授業、研修会への講師の派遣などを積極的に行っています。
学校からの依頼があれば、「出前授業」「講師派遣」「出張授業」などを行い、そこではユニセフ資料の配布やビデオ・DVD・写真・パネルなどの貸し出しをして学習機会の増大を目指しています。
また、ユニセスハウスでは世界の子どもたちの暮らしやユニセフの活動を紹介している展示スペースが公開されており、ボランティアスタッフによる無料ガイドも行われています。
社会見学や修学旅行などの活動の一環に組み込まれることも多く、2018年度は15,000人以上が訪れました。
アドボカシー活動
アドボカシー活動とは特定の政策を実現するために社会的な働きかけをすることをいいます。
日本ユニセフ協会では子どもの権利条約に定められている子どもの基本的人権を実現することを目標として活動しています。
「持続可能な開発目標=SDGs」の啓発と推進に関する取り組み
年間を通じて持続可能な開発目標を基準にして日本を含む先進国の子どもたちの状況を比較したユニセフレポートカードの政策を支援して、省庁関係者や報道関係者を招いて国内発表会を開催しています。
また、「学校におけるSDGs教育」を推進するための副教材制作に、外務省と文部科学省とともに取り組みました。
この副教材は平成30年度秋に完成して全国の中学校に配布されています。
「子どもへの暴力」問題に関する取り組み
UNICEF本部が世界的に進めている「子どもへの暴力撲滅」キャンペーンへの取り組みを継続しています。
インターネット事業者などによるインターネット上の児童ポルノ画像を閲覧できなくなる「ブロッキング」「フィルタリング」などの取り組みにはこれらの事業を運営している委員会に協会員が専門委員として参画し協力しています。
また、近年では「リベンジポルノ」などへの問題の取り組みも行っています。
「インターネットと子ども」の問題に関する取り組み
子どもとインターネットの関係を調査するために世界26ヶ国で実施されたワークショップを大阪で開催しました。
また、UNICEF本部の事務局長や学生、インターネット事業者、報道関係者などを集めて「世界子供白書発表会」を開催し、それぞれとの協力関係を強固にして問題に取り組んでいます。
UNICEF(ユニセフ)は日本での活動も実施
2011年3月に起こった東日本大震災については緊急・復興支援活動が行われました。
これは2011年3月~2016年12月まで続けられ、総額48億5486万円ほどの募金が集まりました。
実際行われた支援は以下の6つの取り組みを柱としています。
(出典:日本ユニセフ協会「東日本大震災緊急・復興支援」)
日本ユニセフ協会を支援し世界の子どもたちを救おう
世界ではまだまだ貧困、病気、暴力、教育が受けられないなど様々な問題で苦しんでいる子どもたちが多くいます。また、日本を含む先進国ではそれらの情報が正しく伝えられていないという現状もあります。
こういった現状を日本ユニセフ協会の活動を通じて知り、支援することで世界の子どもたちを救うことができるのです。