土壌汚染対策法では、土壌汚染の原因となる物質として26種類(2020年時点)を特定有害物質として指定しています。
これらの有害物質にどのような基準があるのか、どのような用途で使われているのかを知ることは、土壌汚染への理解につながるでしょう。
この記事では、土壌汚染の原因になる有害物質についてそれぞれ紹介します。
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土壌汚染の特定有害物質とは?
土壌汚染における特定有害物質とは、土壌汚染対策法によって定義されています。
基本的に土壌に含まれることが起因して、健康被害を引き起こす可能性がある物質を有害物質として指定しているのです。
有害物質の数は、平成29年4月に1日にクロロエチレンが追加され、現在26種類となっており、それぞれに環境基準が定められています。
土壌に含まれる有害物質が健康被害を及ぼす経路は、「有害物質を含んでいる土壌を直接摂取する」「土壌に含まれている有害物質が地下水に漏れ出ることによって摂取する」の2パターンあると考えられています。
土壌汚染対策法では、この2つの経路に注目して特定有害物質が決められています。
土壌汚染が存在することだけが問題なのではなく、それを摂取する可能性のあるルートがあることもまた問題として捉えられています。
土壌汚染の有害物質には基準値がある
土壌汚染の有害物質には、指定基準値が設定されています。
この基準値をチェックすることが、土壌汚染の健康被害について考えるポイントになるのです。
土壌汚染の基準値には、「土壌溶出量基準」と「土壌含有量基準」があり(※1)、これらの基準を参考にすることは、汚染状況を把握することにつながります。
土壌溶出量基準と土壌含有量基準に適合しない土壌のことを、「基準不適合土壌」として設定します。
基準不適合土壌となった土地はいわゆる汚染された土壌となり、健康へのリスク等が考えられると判断されます。
基準値に則ったやり方によって、土壌汚染は確認されていることが分かります。
以下では「土壌溶出量基準」と「土壌含有量基準」についての基本をチェックし、土壌汚染における有害物質の考え方を確認します。
※1他にも地下水の水質汚濁を確認する「地下水基準」、措置をする際に使われる土壌溶出量の指標である「第二溶出量基準」もあります。
土壌溶出量基準とは
土壌溶出量基準とは、汚染された土壌から特定有害物質が地下水に溶け出し、それを飲むことで発生する健康リスクを定めます。
地下水経由のリスクについて考えるときには、この土壌溶出量基準が軸として確認を行うことになるでしょう。
土壌溶出量基準は、慢性毒性(※2)を考慮して設定されるのが特徴です。
仮に70年間に1日2リットルの地下水を飲み続けたとしても、一生涯にわたって健康に影響がない濃度を基準に設定を行います。
毒性の閾値(※3)がある有害物質に関しては、一生涯その地下水を飲んだとしても、リスクの増分が10万分の1になるレベルが基準値となります。
一方で、有害物質ごとの特性を考慮し、例外の設定も行っています(※4)。
有害物質が地下水に与える影響を考慮した、あらゆる内容が土壌溶出量基準には盛り込まれているのです。
土壌溶出量基準の測定方法は、まず土壌(重量:グラム)を10倍量(容量:ミリリットル)の水を使って対象物質を溶出させます。
その溶出液の濃度を基準にするのが、土壌溶出量基準の基本的な測定方法です。
万が一、土壌溶出量基準に適合しないことによって措置が必要になった場合、地下水の水質測定や封じ込めなどによって対処を行います。
土壌汚染における封じ込めとは、地下水が拡散しないように土壌を封じ込めて有害物質を閉じ込める対処法のことです。
原位置封じ込め、遮水工封じ込め、遮断工封じ込めといった種類があり、それぞれの方法から土壌溶出量基準を超えた土壌の措置を行います。
※2 慢性毒性:一生涯を通じた毒性のこと
※3 毒性の閾値:発がん性など
※4 鉛の幼児期の毒性や、シアンの急性毒性など
土壌含有量基準とは
土壌含有量基準とは、有害物質が汚染した土壌を直接摂取(飛散した土壌が口に入ったり、手についた土を摂取したりなどといった場合)することで発生する健康リスクを定める数値です。
有害物質が含まれた土壌を口にする可能性を考慮した上で、許容できる摂取量を決めています。
土壌含有量基準では摂取期間を「一生涯(70年)の間、土壌汚染された場所に住んだ場合」としています。
基本的にその摂取期間内でも、健康に問題のない有害物質の濃度が求められるのです。
1日あたりの土壌摂取量でいえば、6歳以下の子供の場合は200ミリグラム、大人であれば100ミリグラムが基準とされます。
基準値の設定方法は、土壌溶出量基準を決める際に考慮されている「地下水からの摂取量」と同じレベル設定となっています。
一方で、年に1・2回程度に見られる「幼児が意図しないで土壌を多量に摂食(1回で10グラム程度と推定)することによる急性の影響」でも、問題がないと考えられるレベルにすることが求められるのです。
土壌含有量基準に適合しない土壌には、盛り土などによって対応が行われます。
(出典:環境省「指定基準値の設定の考え方」)
土壌汚染の有害物質にはいくつかの種類がある
土壌汚染対策法などで指定される有害物質は、以下のような種類によって分類されています。
それぞれの特徴や物質名を知ることも、土壌汚染対策を理解するポイントです。
下記から有害物質の種類について、その内容を解説します。
第一種特定有害物質について
第一種特定有害物質とは「揮発性有機化合物(VOC)」とも呼ばれる有害物質です。
揮発性とは液体の蒸発しやすさのことを指し、大気において気体状となるという特性があります。
地下水に溶出しやすいことから、拡大範囲も広く、汚染された地下水を摂取することによって引き起こされる健康リスクが懸念されます。
そのため、各有害物質に土壌溶出量基準が設定されています。
第一種特定有害物質に含まれる有害物質は、以下のようになっています。
第二種特定有害物質について
第二種特定有害物質とは、重金属などを含んだ土壌汚染の有害物質です。
汚染された地下水による被害に加えて、土壌からの直接摂取によるリスクも考えられます。
平成27年度の「要措置区域などに指定された件数」を有害物質の種類別に見ると、重金属等の汚染が約8割と最も多いとされています。
地下水への溶出は比較的しにくく、拡大範囲も狭いとされています。
第二種特定有害物質に当たるものは、下記の9種類となります。
第三種特定有害物質について
第三種特定有害物質とは、農薬などを含んだ有害物質のことを指します。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)なども、その内容に含まれるのが特徴です。
農作物や飼料用植物の生育を阻害するものも土壌汚染とされることから、農薬を含んだ第三種特定有害物質にも注意が向けられています。
地下水への汚染によって起きる健康被害が考えられ、リスクの一つとして懸念されます。
地下水へは溶けにくく、拡大範囲も比較的小さいとされています。
第三種特定有害物質は、下記の5つが対象となっています。
(出典:環境省「改正土壌汚染対策法の説明会 ページ9」)
土壌汚染の有害物質を把握して原因を知ろう!
土壌汚染の原因となっている有害物質は、2020年時点で26種類指定されています。
これらの有害物質を知ることで、土壌汚染問題がどのような状況にあるのかを把握することもできるでしょう。
有害物質の名前は聞き慣れたものではないかもしれませんが、私たちの生活に根付いているものも多いです。
この機会に有害物質の特徴や内容を確認し、土壌汚染の原因についての知識を身に付けてみましょう。
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