土壌汚染

土壌汚染を防ぐための対策とは?どんな取り組みがあるの?

日本国内では、現在進行形で土壌汚染に関する様々な問題が発生しています。
そこで重要となるのが、土壌汚染を防ぐための具体的な対策です。
この記事では環境省の情報を元に、どのような対策が実施されているのかを確認します。 

土壌汚染とは?土壌汚染対策法や支援策について徹底解説

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土壌汚染によって考えられるリスクとは?


土壌汚染と聞いても、具体的にどのような問題につながるのか分からないこともあります。

環境省は、土壌汚染による健康被害はすぐに起こるわけではないとしながらも、そのリスクを以下の2つの場合に分けて考えています。

  • 地下水などを経由して摂取されるリスク
  • 直接触れて摂取されるリスク
  • このようなリスクを排除することを目的に、土壌汚染対策法をはじめとした様々な対策が行われています。
    まずは土壌汚染が持つ身近なリスクについて考え、対策の必要性を確認しましょう。

    地下水などを経由して摂取されるリスク

    環境省は土壌に染み込んで広まった有害物質が地下水に影響し、それを摂取することで健康被害が生じるとしています。
    例えば地下水から汲み上げる井戸や蛇口を使うことで、有害物質が体に摂取される可能性もあるのです。
    土壌汚染が地下水への汚染につながる懸念が、リスクの一つとして数えられるでしょう。

    直接触れて摂取されるリスク

    土壌に含まれる有害物質を直接摂取することでも、健康に関するリスクは生じます。
    風などで汚染された土壌が飛散し、肌や口の中に触れることが危惧されているのです。
    特に、外で遊ぶ機会が多い子どもに対してのリスクが心配されています。

    土壌汚染の被害は増えている

    環境省が毎年公開している土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果によると、土壌汚染の判明事例件数は年々増加しています。

    全体の調査事例件数は平成26年度から2,000件を超えており、平成29年度には2,200件を超える結果になりました。
    これは土壌汚染が広がっている見方もできますが、環境省のグラフを見ると、土壌汚染対策法の施行が行われた時期や、改正された土壌汚染対策法を施行した時期に数値が伸びていることが分かります。
    積極的な調査を行っている考え方もできるため、土壌汚染はこれからも注視されるものでしょう。

  • 土壌汚染のリスクは、「地下水などを経由して摂取されるリスク 」「直接的に触れて摂取されるリスク」の2つに分けられる
  • 地下水などの経由や直接体内に入ることで健康被害につながる可能性がある
  • 土壌汚染の判明事例件数は、平成26年度から2,000件を超えていて、平成29年度には2,200件を超える結果となった
  • (出典:環境省「土壌汚染対策法のしくみ」,2019)

    土壌汚染を防ぐためにどのような対策が行われている?


    具体的に、土壌汚染を防ぐために日本でどのような対策が取られているのかを確認します。
    土壌汚染が及ぼすリスク回避につながる対策を知って、国内の現状を把握しましょう。

    土壌汚染対策法の活用

    土壌汚染対策としてまず挙げられるのが、「土壌汚染対策法」の存在です。
    土壌汚染対策法とは、土壌汚染の現場把握を行い、健康被害を防止するための措置を進めることを目的とした法令です。

    有害物質使用特定施設が利用停止した際や、一定規模を超える土地の形質の変更が届け出された際に必要に応じて土壌汚染の調査が実施されます。
    調査の結果土壌汚染の状態が指定された基準を超えてしまった場合、その場所を「要措置区域」もしくは「形質変更時要届出区域」に指定して、汚染の除去が行われるのです。

    土壌汚染対策法では、都道府県知事などが汚染された土地の所有者に対して以下の除去措置(計画の作成及び提出)を指示することができます。

  • 地下水の水質の特定や、汚染土壌を封じ込めて汚染の拡散を防止する
  • 汚染された土壌の除去・浄化を行う(掘削除去や原位置浄化など)
  • 土壌汚染の現場を把握することは、その後の拡大を防ぐのと同時に、その結果をノウハウとして蓄積し、新規での土壌汚染を防ぐことにもつながります。
    土壌汚染対策法は、そういった意味で土壌汚染を防ぐための基本的な取り組みと言えるかもしれません。

    汚染物質ごとの対策

    汚染物質の種類ごとにも対策が行われており、それぞれの特性に合わせた方法が実施されています。
    具体的にはVOC(揮発性有機化合物)、重金属、硝酸・亜硝酸性窒素で分けられ、以下の方法で汚染への対策が行われています。

    VOC

  • 汚染された土壌や地下水をその場で浄化する「原位置浄化」による対策方法
  • 汚染土壌のガスを抽出する対策方法
  • 汚染された地下水を「揚水」し、有害物質を分離する対策方法
  • 汚染土壌を掘削し、除去する形で廃棄する対策方法
  • など

    VOCに関する対策技術には、いくつかの種類があります。
    土壌ガス吸引、地下水揚水、二重吸引法、エアースパージング、鉄粉法、高圧洗浄揚水曝気処理、バイオレメディエーションなどがあり、特別な技術による対策が講じられています。

    重金属

  • 汚染土壌や汚染された地下水を原位置(その場で)で浄化し、処理を行う対策方法
  • 汚染地下水を「揚水」して対象物質の分離を行う方法
  • 汚染土壌を直接掘削除去する対策方法
  • 汚染された土壌を「固形化」、もしくは「不溶化」して封じ込めを行う対策方法
  • など

    重金属への対策にも、いくつか技術が使われています。
    例えば地下水揚水、掘削除去、不溶化、封じ込め、遮水工と遮断工封じ込めなどが、土壌汚染・地下水への対策として利用されている技術です。

    硝酸・亜硝酸性窒素

  • イオン交換膜を汚染された部分に通過させ、硝酸イオンを除去する対策方法
  • 微生物の働きを活用して、硝酸イオンを窒素ガスに還元して除去する対策方法
  • 硝酸・亜硝酸性窒素の場合にも、対策のための特別な技術が用いられています。
    浄化対策としては「物理化学的方法(イオン交換樹脂法、逆浸透膜法、電気透析法など)」と生物学的方法(従属栄養細菌・独立栄養細菌を使っての生物脱窒法)に分けられます。

    このような種類ごとの対策方法と技術がきちんと決められていることが、現在の土壌汚染対策の特徴です。
    一律で対策を講じるのではなく、それぞれのケースごとに適切な方法を選択できる点は、土壌汚染への効果的なアプローチになるでしょう。

    相談窓口の設置

    全国の各市町村は土壌汚染対策の一環として、相談窓口の設置も行っています。
    一般的な問題・疑問に関する応対を行っているため、専門家でない人たちも土壌汚染への対策が取りやすくなっているのです。
    土壌汚染の問題が取り立たされるなか、一人ひとりの具体的な問題をサポートできる体制の存在は有効な対策になります。

    土壌汚染は決して日常的な問題とは言えないため、実際の当事者にならない限り詳しいことは分からないケースも珍しくありません。
    そのため相談窓口の設置も、有効な対策の一つとして数えられるでしょう。

    ガイドラインの見直しなどによる効率化

    環境省は、2017年に土壌汚染対策法を改正しました。
    現在の課題や現状を加味しての改正が実勢される点も、土壌汚染対策につながると考えられます。

    調査や対策を実施した経験を活かして、新たに契機の追加や対象物質の変更などを行うことは、より効率的な土壌汚染対策につながります。
    土壌汚染に関する新しい技術の発見も考えられるため、積極的な改正はプラスに働くことが多いでしょう。
    今後も土壌汚染対策法を軸に、どのような改正によって制度が変化していくか確認していくことが重要です。

  • 土壌汚染対策法とは、土壌汚染の現場把握を行い、健康被害を防止するための措置を進めることを目的とした法令
  • VOC、重金属、硝酸・亜硝酸性窒素の特性に合わせて対策が行われる
  • 各市町村には土壌汚染の問題・疑問に関する対応を行う相談窓口がある
  • (出典:環境省「土壌汚染対策法のしくみ」,2019)
    (出典:環境省「揮発性有機化合物による地下水汚染対策に関するパンフレット「地下水をきれいにするために 5.調査・対策技術」)

    土壌汚染は対策が重要な課題


    土壌汚染は、防ぐための対策とその後の対策が重要なポイントになります。
    どのような取り組みが実施されているのかを確認し、現状の対策について理解を深めておくと良いでしょう。
    土壌汚染対策と聞くと規模の大きな取り組みに思われますが、実際には私たちの生活に直結する身近な問題です。
    この機会に土壌汚染の対策方法を把握して、その問題・課題の重要性を認識してみてください。

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