土壌汚染への対策として、国内では土壌汚染対策法を軸にした様々な対応が行われています。
土壌汚染対策法はこれまでに改正が行われてきましたが、その多くは土壌汚染への対応における問題点の解決が目的となっていました。
この記事では土壌汚染対策法の過去の改正内容を確認し、土壌汚染に起こり得る問題について紹介します。
公害との関係についてもチェックし、土壌汚染対策が持つ問題の大きさを改めて把握しましょう。
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土壌汚染の問題点を知るために
土壌汚染の問題点を知ることは、現状の理解と今後の対策を考えるきっかけになります。
土壌汚染対策に必要となってくる行動を把握したり、不要な要素を排除したりといったことにつながるでしょう。
国や行政だけでなく、私たち一人ひとりが、土壌汚染がどのような問題を抱えているのかを知ることは重要です。
土壌汚染対策の必要性を理解できれば、自らも積極的に注意する気持ちになれます。
土壌汚染対策は土地の所有者が積極的に調査をすることで成り立っている面もあるため、そのような意識の確立は大切でしょう。
土壌汚染の問題点を把握するには、土壌汚染そのものについて知ること、土壌汚染対策法の成り立ちや改正について知ることが重要です。
国内における土壌汚染問題が公害とどう結びついているのかなど、その根本的な内容を知ることで、問題点は明確になっていくと予想できます。
以下から土壌汚染の基本と土壌汚染対策法を確認し、問題の根本を探っていきましょう。
土壌汚染とは
土壌汚染とは、生活に必要な土壌が有害物質によって汚染された状態です。
何かしらの理由で土壌汚染が進むと、有害物質を含んだ地下水や食料などを摂取するリスクが高まります。
それは人体への健康被害を引き起こす可能性があるため、一般的に避けるべき状態となるでしょう。
土壌汚染は水や大気に含まれているものと比べて、その場に留まりやすい特徴があります。
状況が目で判別しにくい点も合わさって、知らず知らずのうちに定着して長期間影響を及ぼす可能性もあるのです。
そのため早めの発見と対策の考案が、土壌汚染においては重要となります。
そこで注目されるのが、土壌汚染対策です。
土壌汚染対策への理解は、公害問題などの把握にもつながります。
引き続き土壌汚染対策についても確認し、問題の理解を深めていきましょう。
土壌汚染対策法ができた理由は?
土壌汚染対策法とは、土壌汚染によって起こり得る健康被害を防止するための法律です。
土壌汚染を発見して対策(除去などの措置)を取ることで、深刻な被害の拡大を防ぐ役割があります。
そのために必要なルール作りなどが、土壌汚染対策法によって考えられているのです。
この土壌汚染対策法が作られた理由は、農用地の汚染問題に遡ります。
最初に土壌汚染が問題視されたのは、農用地での汚染だったと言われています。
農畜産物に汚染の影響が及ぶことを避けるために、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」などによって対策がされていました。
その後工場の跡地などの調査を行うようになったことで、どんどん土壌汚染の問題が明らかになり、そのような流れが、環境省の土壌汚染対策法の施行につながっていきました。
土壌汚染のために行われてきたこれまでの対策
土壌汚染のために行われてきたこれまでの対策を見てみると、そこに公害の存在を発見できます。
例えば1968年にイタイイタイ病が明らかになり、その後1970年に「公害対策基本法」が改正されて土壌汚染が公害の一つとして認定されました。
同年には農用地の土壌の汚染防止等に関する法律が制定され、土壌汚染問題が広く浸透しました。
その後も「水質汚濁防止法」「土壌の汚染に係る環境基準」「地下水の水質汚濁に係る環境基準」「土壌・地下水汚濁に係る調査・対策指針」「ダイオキシン類対策特別措置法」など様々な法令が制定・改定されています。
そして2002年、土壌汚染対策法の制定が行われました。
土壌汚染のこれまでの対策を見ると、公害がキーポイントになっていることが分かります。
土壌汚染によって発生する公害が、現代の土壌汚染対策に大きな影響を与えていると言えるでしょう。
(出典:環境省 公益財団法人日本環境協会「土壌汚染による環境リスクを理解するために」)
土壌汚染によって発生する公害とは?
総務省によると、公害とは環境基本法(2条3項)によって定められるもので、以下のような特徴を持つと定義されます。
このような条件を満たすものを、一般的に公害としているのです。
公害は現在発生している問題だけでなく、将来引き起こされる可能性のあるものも含まれます。
大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭は、「典型7公害」とも呼ばれます。
土壌汚染は公害の観点からでも、大きな問題の一つとして広く認知されているのです。
公害苦情調査の実施
国内の公害問題を把握するために、公害等調整委員会は毎年全国の地方公共団体に対して公害苦情調査を行っています。
公害苦情相談窓口に寄せられた内容を報告書としてまとめ、その受付内容と件数を公表しているのです。
平成30年度の公害苦情調査結果報告書によると、公害苦情件数は6万6,803件で、前年よりも1,312件減少しました。
内訳は典型7公害が4万7,656件、典型7公害以外が1万9,147件であり、典型7公害とそれ以外では、2倍以上の差がありました。
公害の種類では騒音が最も多く、次いで大気汚染、悪臭の順に多く全体の8割を占めています。平成30年度の調査では悪臭の影響により、典型7公害の受付件数が12年ぶりに増加しました。
このように詳細なデータを見ることで、公害が現在進行形で問題になっていることが把握できるでしょう。
(出典:総務省「公害苦情調査」)
(出典:総務省「平成30年度公害苦情調査」)
土壌汚染対策法を実施したことによって見えてきた問題
長期にわたって土壌汚染対策法を実施したことによって、いくつかの問題が見えるようになりました。
土壌汚染対策はその問題を踏まえた上で、改定を行っています。
以下では平成22年の資料を参考に、実際に土壌汚染対策法においてどのような点が問題視されてきたのかを確認します。
法に基づかない土壌汚染が数多く発見されている
法に基づかない土壌汚染が数多く発見されていることは、土壌汚染対策法の問題の一つとして挙げられていました。
法律によって正しく確認できない等の問題が起きると、土壌汚染が適正に管理されるか不安が残ります。
そのような管理における問題が、土壌汚染対策法の改定の背景 にありました。
その後、法改正によって土壌汚染の可能性のある土地の形質変更時に都道府県知事が調査命令を出したり、土壌汚染に関する情報収集や整理・保存の努力義務といった制度の拡充が行われました。
掘削除去の偏重問題
土壌汚染対策の措置として、掘削除去ばかりが偏重されることも問題となりました。
これは土地の所有者の負担が大きくなったり、環境へのリスクを低減していく観点から問題となる除去の増加が問題視されています。
法改正では、土壌汚染の分類化と対策に必要な要素の明確化が進められました。
汚染された土壌を不適正に処理することによる汚染拡散
汚染された土壌を不適正に処理することによって汚染が拡散する問題も、土壌汚染対策法の課題となりました。
不適正な処理事案が増えたことで、その被害が余計に広がる懸念が出てきたのです。
改正によっての土壌の搬出の規制や管理票の交付・保存の義務化、土壌の搬出に関する処理業に許可制度を新設といった対策が実施されました。
(出典:環境省「土壌汚染対策法の一部を改正する法律案について」)
土壌汚染の問題点や公害の知識を身に付けよう
土壌汚染に関する問題点や公害に関する知識は、今の環境問題をより深く知ることになります。
また、この問題は環境だけでなく、私たち人間にも影響を及ぼします。
土壌汚染対策法ができ、健康被害を防止するための法律が制定されましたが、2018年の公害苦情件数は6万件以上となっており、まだまだ改善が必要な状況です。
土壌汚染対策法の改正により、改善や明確化、許可制度の新設などの対策が実施され、今後もこの法律は変化していくことでしょう。
まずは問題点や公害についてをこの機会に学び、土壌汚染をより理解するきっかけにしてみてください。
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