環境問題の一つである土壌汚染は、地道な調査によってその実態を把握していく必要があります。
この記事では、日本国内で実施されている土壌汚染の調査結果から、その現状を紹介していきます。
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各都市の土壌汚染調査結果が報告されている
日本では、「土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果」が環境省によって公表されています。
これは毎年都道府県や政令市が確認している土壌汚染の事例を把握してまとめ、現状の理解とその後の資料として活用することを目的とした調査です。
平成30年の調査では47都道府県、111の政令市が調査対象となり、各都市における土壌汚染の状況が確認されています。
この調査は「土壌汚染対策法」に基づいて行われ、その施行状況を確認する形で実施されています。
日本における土壌汚染の現状を把握するには、この土壌汚染対策法についての理解が重要となるでしょう。
土壌汚染対策法とは?
土壌汚染対策法とは、平成14年5月22日に成立し、その後29日に公布された土壌汚染に関する法律です。
有害物質による土壌汚染の事例が増加していた当時、健康への影響などといった不安が高まっていたことが成立の要因とされています。
国民の安全と安心を守ることを目的とした土壌汚染対策法は、今もなお続く調査の基本的な柱として機能していると言えるでしょう。
土壌汚染対策法は、主に以下の要素を構成するものとして概要が作られています。
上記のような特徴を持つ土壌汚染対策法は、国内の土壌汚染を知り、具体的な対策を取るための基準となっています。
今後も土壌汚染の調査において、土壌汚染対策法は重要な位置づけとなるでしょう。
最新の土壌汚染調査内容について
平成30年の土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果では、1,051件の土壌汚染調査結果が報告されています。
内訳は法第3条が243件、法第4条が460件、法第14条が348件です。
過去数年の結果は以下になっており、比較することで現状の土壌汚染がどのように進行しているのかが分かります。
平成26年 | 826件 |
平成27年 | 754件 |
平成28年 | 831件 |
平成29年 | 839件 |
平成30年 | 1,051件 |
数値だけを見れば去年よりも増加していますが、土壌の汚染状況が指定基準を超過して「要措置区域」に指定されたのは70件となり、これは前年度の84件よりも減少しています。
形質変更時要届出区域(土壌汚染の摂取経路がない区域)は387件となり、これも前年の470件から減少しているのです。
基準不適合となった特定有害物質を見てみると、平成30年度の事例においては以下になりました。
土壌汚染の調査結果を確認することで、様々な情報が把握できます。
今後の土壌汚染調査状況にも、注目が集まるでしょう。
(出典:環境省「平成30年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果について」,2020)
(出典:環境省「平成30年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果」,2020)
どんなときに土壌汚染の調査が必要となる?
土壌汚染対策法では、以下の3つのパターンにおいて土壌汚染の調査を行うべきとしています。
それぞれの内容から、土壌汚染の調査がどのようなタイミングで行われるのか確認しましょう。
有害物質使用特定施設の廃止時
有害物質使用特定施設があった土地の所有者・管理者は、その施設の使用が廃止された際に土壌汚染の調査義務が発生します。
有害物質使用特定施設とは、「水質汚濁防止法第2条2項の特定施設」を指し、一般的には特定有害物質(VOC、重金属、農薬など)の製造や使用を行う施設のことです。
万が一特定有害物質が土壌に染み込んだケースを考慮して、調査が義務化されているのでしょう。
この土壌汚染調査結果は、「法第3条」として周知されます。
一方で土地の利用方法によっては、土壌汚染から健康被害等につながる可能性が低いと判断され、都道府県知事の確認の下で調査義務が一時的に免除されることもあります。
ただし、調査義務が一時的に免除された場所で900平方メートル以上の土地の形質の変更(宅地の造成や土地の掘削など)を行う場合には、所有者は都道府県知事に対して事前に届け出を行う義務があるなどの制約が出てきます。
一定規模以上の土地の形質の変更を届け出たとき、土壌汚染の可能性があると都道府県知事等が認める場合
一定規模以上の土地の形質の変更を行う場合、事前に届け出を行う義務があります。
その届け出が出された土地に対して、以下のような理由から都道府県知事等が土壌汚染の可能性を認める場合、土壌汚染状況調査の実施命令が出されるのです。
- 特定有害物質によって汚染されている土壌が、「土壌溶出量基準」もしくは「土壌含有量基準」に適合しないことが明確な場合
- 特定有害物質が地下に浸透している場合
- 特定有害物質の使用や製造がされていた場合
- 特定有害物質が貯蔵・保管されていた場合
- その他にも上記と同じくらいに特定有害物質による汚染が考えられる場合
上記のような理由を軸に、行政が持つ情報を使ってその都度判断されます。
一定規模とは3,000平方メートル以上と規定されていますが、有害物質使用特定施設があった土地に関しては900平方メートル以上から対応が必要です。
この調査結果に関しては、「法第4条」として確認できます。
土壌汚染による健康被害が起こる可能性があると都道府県知事等が判断した場合
都道府県知事等が、何かしらの理由でその土地に対して健康被害の可能性があると判断した場合も土壌汚染調査は行われます。
土地の所有者に対して土壌汚染状況調査の実施命令が出され、実際の調査に進むことになるでしょう。
上2つのパターンに調査のきっかけを限定するのではなく、別途臨機応変に対応できるように備えていることが分かります。
(出典:環境省「土壌汚染対策法の概要」)
土壌汚染調査の必要性とは?
日本でも長く続いている土壌汚染調査ですが、そこにはどのような必要性が見出せるでしょうか。
一般市民である私たちにとってもメリットがあるのか、以下から考えていきます。
生活における安全性を確保することにつながる
土壌汚染調査は、私たちの生活における安全性が確保されることにつながります。
土壌汚染調査が行われることで、その土地にどのような特定有害物質が浸透し、どの程度の危険性があるのかが客観的に分かるのです。
これは土壌汚染の危険性を把握するだけでなく、無闇に土壌汚染に怯える必要もなくなります。
土壌汚染は目に見えないものです。
そのため客観的に判断できるデータがなければ、根拠のない恐れが生まれることもあるでしょう。
環境省が提示する土壌汚染の調査結果は、このような恐れを排除する理由になります。
そういった点では、土壌汚染の調査は私たちの生活にメリットを与えていると考えられるでしょう。
まだまだ調査結果の実績が足りないとも言える
「土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果」は、土壌汚染対策法が施行されてからの平成15年以降に本格的に始められたものです。
そのため、まだ16年分の結果しか出ておらず、調査データとしてはさらなる実績が求められるとも考えられます。
今後も土壌汚染対策法の下で、土壌汚染の調査は実施されていくでしょう。
そのデータが積み重なっていったとき、土壌汚染調査の必要性は改めて高くなるかもしれません。
土壌汚染の調査結果を確認することで今の問題を知る!
日本では、土壌汚染の調査が積極的に行われています。
目に見えない土壌汚染を調査することで、数値として客観的に見ることができるため、私たちの安心安全にもつながっています。
まだ16年分と調査データが多いとは言えませんが、今後も調査を続けることで成果が見えてくるでしょう。
実際のデータから、現状の土壌汚染がどのような方向に進んでいるのか確認してみてください。
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