絶滅危惧種(陸)

陸で絶滅危惧種が増える原因とは?対策についても考えよう

私たちの周りには多種多様な動植物が息づいています。地球上には様々な環境で、そこに適した生物が存在しますが、その中には環境の変化や乱獲などいくつかの要因を受けて個体数を減らし、絶滅するおそれがある生物も存在しています。
なぜ絶滅にまで追いやられてしまったのか、陸で絶滅危惧種が増える原因や対策などを、こちらの記事で紹介します。

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陸の絶滅危惧種とは?レッドリストにある動物の種類・数、原因と対策についても紹介

陸の絶滅危惧種は想像以上に増えている


私たち人間を含め、この陸地には多くの生物が生息しています。その数は非常に多く、アマゾンなどでは新種が発見されるなど、まだまだ知らない生物がいるほど多種多様な生物が共存しています。生物多様性は生態系の多様性や種の多様性、遺伝子の多様性の3つで成り立っています。
しかしこの生物多様性が絶滅危惧種の増加により失われようとしています。もし生物多様性が失われれば、連鎖的に他の生物にも影響が出ることから、これまで絶滅危惧種とされてこなかった種まで、絶滅の危機に瀕する可能性があります。
私たちも例外ではありません。人間も生物多様性の中に組み込まれており、生物多様性から得られる恵み「生態系サービス」を受けています。
生物多様性が失われれば、生態系サービスも得られなくなることから、私たちの生活は立ち行かなくなり、絶滅へと進む可能性もあります。

加速する絶滅危惧種の増加

現在の地球上には175万種の生物が確認されており、未知のものも合わせると3,000万種もの生物がいると言われています。
これだけの生物が今も息づいていますが、その中には絶滅危惧種として危機的な状況に陥っている生物も存在し、その増え方は加速していると見られています。
かつて恐竜がこの地球にいた時代は1種の生物が絶滅するのは1,000年ほどかかっていました。しかし1975年から2000年の25年の間には平均4万種、13分間に1種の生きものが絶滅したと言われています。
将来的にはさらに現在の10倍もの速さで絶滅が進むと予測されており、その予備軍として危機に瀕しているのが、絶滅危惧種として認定された動植物なのです。

  • 生物多様性は生態系の多様性や種の多様性、遺伝子の多様性の3つで成り立っている。
  • 生物多様性から得られる恵みを「生態系サービス」といい人間にとって欠かせないものである。
  • 1975年から2000年の25年の間には平均4万種、13分間に1種の生きものが絶滅したと言われている。

  • (出典:札幌市「知っていますか?生物多様性のこと」,2019)
    (出典:京都府「レッドデータブックとは」,2015)

    絶滅危惧種が増加する原因とは


    なぜ絶滅危惧種は増え続け、絶滅は加速度的に進んでしまっているのか、その原因は私たち人間の生産活動にあります。
    私たちは生きていく上で様々な活動を行います。田畑を耕して野菜などの食物を生産し、農場では牛や豚、鳥などを飼育するというような生産活動だけではありません。
    住む場所を広げるために野山を切り開く、干潟や砂浜、海を埋め立てるなど自然の環境を人間の手によって大きく変えてしまうことがあります。
    あるいは狩猟などによる乱獲、外来種を持ち込むことによる在来種への影響なども人間による被害です。
    また地球温暖化や気候変動も私たちの生活だけなく、動植物にも大きな影響を与えています。
    それぞれどのように影響を与え、絶滅危惧種を増やす原因となっているのか、紹介します。

    (出典:環境省「生物多様性を考えよう」)

    土地の開発

    陸に住む生物の中には森林の中に生息するものが多数存在します。森林は生物多様性を構築する上では必須とも言える環境であり、動植物が森林を住処として種をつないでいます。
    しかし人間が生息域の拡大やレジャーの開発など、様々な理由で開発を進めることで、森林伐採などが行われています。
    環境に配慮した山の開発であれば、そこに住む生物への影響は最小限になるかもしれませんが、実際には広く木々を伐採し、整地してしまうため多くの生物が住む場所を追われることになります。生物多様性は失われ、適した環境がなくなってしまうことで生きていけなくなった生物も少なくありません。

    土地の汚染

    農作物を生産する上で農薬や化学物質を使うことがあります。現在は健康に配慮し、農薬などの使用は控えられていることもありますが、これらはその土地に住む生物にとっては毒であり、土地や水質を汚染することで多くの生物が死ぬ、あるいは弱ってしまうなどの被害を受けています。

    乱獲や密猟

    生物の中には製品の材料にされるものもいます。ペットや剥製、園芸、毛皮製品や漢方などに使われることもあり、高額で売買されることもあることから、乱獲や密猟などが行われます。
    そうすると個体数を劇的に減らしてしまい、絶滅の危機へと追いやられている種もあります。

    外来種の持ち込み

    乱獲や密猟にもつながりますが、ペットとして本来の土地ではない地域に持ち込まれることが原因となります。
    飼い主が責任を持って飼っていればいいですが、飼育の難しさから捨てられたり、逃げられたりすることで、その土地で野生化してしまうことがあります。
    天敵がいないことから大繁殖を行い、その地域の固有種や在来種に壊滅的な被害をもたらすことがあります。

    地球温暖化や気候変動の影響

    地球温暖化による気温の上昇や、気候変動も生物に大きな影響を与えます。
    本来生物は自らに適した環境の中で生息します。それは生物多様性の中にあって、餌や繁殖に適している場所ともいえますが、気温の上昇によりその生物が生きられない環境へと変化することがあります。
    そもそも暑さに弱い生物は温度上昇の影響を大きく受けることになりますし、そうでなくても周りの動植物が気温の変化で生息域が変わることで、影響を受けることになります。
    また気候変動による豪雨や二次災害となる洪水、土砂崩れも人間だけでなく、山や川に生きる動植物に影響を与えます。
    あるいは異常少雨や干ばつが起これば、生きるための水を得ることができず、植物は枯れ、動物は衰弱する、あるいは死んでしまうこともあります。

    里地や里山の放置

    里地や里山といった場所にも動植物は生息していますが、そのような場所が手入れされないままになると、環境が変化してしまい生物が住めなくなってしまいます。
    開発などにより人間が手を入れることも生物多様性にとっては問題となりますが、人間の働きかけの減少もまた影響を与えてしまいます。

  • 絶滅危惧種が増え続け、絶滅は加速度的に進んでしまっている原因は私たち人間の生産活動にある。
  • 絶滅危惧種を増やす原因として、土地の開発、土地の汚染、乱獲や密猟、外来種の持ち込み、地球温暖化や気候変動の影響、里地や里山の放置があげられる。
  • 気候変動による豪雨や二次災害となる洪水、土砂崩れも人間だけでなく、山や川に生きる動植物に影響を与える。
  • (出典:京都府「レッドデータブック for KIDS」)
    (出典:札幌市「知っていますか?生物多様性のこと」,2019)

    陸の絶滅危惧種を増やさないための対策


    絶滅危惧種は様々な原因で増加しており、その速さは加速度的に進行しています。こういった状況を打開するには国際的な機関や各国政府、地方自治体、支援団体だけでなく私たち一人ひとりも絶滅危惧種を保護するための活動に取り組んでいかなければいけません。
    現在も国際的な取り決めや国内での政府を中心とした取り組みなどが進められていますが、私たちにできることは何なのか、それぞれ取り組まれている対策も踏まえて紹介します。

    絶滅危惧種について世界で結ばれた条約

    国際的に主な取り決めとしては3つの条約が結ばれています。それが「ワシントン条約」、「二国間渡り鳥等保護条約・協定(通報種)」、「ラムサール条約」です。
    ワシントン条約は絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約を正式名称として、絶滅危惧種に指定された野生生物の国際取引の規制を行うための条約です。
    輸出国と輸入国が協力して規制を実施し、絶滅危惧種の保護をはかることを目的としています。
    二国間渡り鳥等保護条約は渡り鳥が行き来する国々で締結し、絶滅のおそれがある鳥類を相互に通報し、輸出入規制などを行う条約です。
    日本はアメリカとロシア、オーストラリア、中国とそれぞれ渡り鳥等保護条約を結び、協力して保護と規制を行っています。
    ラムサール条約は水鳥を含む様々な生物が生息する湿地の保全(再生)とワイズユーズ(賢明な利用)、そしてこれらを促進する交流、学習を3つの基盤として湿地とそこに生息・生育する動植物の保全を促進および賢明な利用促進のために締結国が取るべき措置などを規定した条約です。
    これらの条約を元に世界では多くの国が絶滅危惧種を保護するための取り組みを進めています。特にワシントン条約は2019年時点で182カ国および欧州連合が締結しており、それぞれ希少生物の輸出入規制に目を光らせています。

    (出典:外務省「ワシントン条約」)
    (出典:環境省「二国間渡り鳥等保護条約」)
    (出典:環境省「ラムサール条約とは」)

    絶滅危惧種を増やさないために日本国内で行われている取り組み

    日本国内では3つの条約に加え、1993年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」を施行して、野生生物の種の保存を行っています。
    この法律では国内希少動植物種における販売や頒布目的の陳列・広告、譲渡、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出などを原則禁止にするという個体の取り扱い規制が行われています。
    また生息地の保護として、生息・生育環境にある場所を「生息等保護地区」と指定し、保全や再生を行うだけでなく、個体の繁殖促進などの事業を推進するため「保護増殖事業計画」を策定して、保護増殖の取り組みを行っています。
    この保護増殖事業には地方公共団体や支援団体が協力し、取り組みを行っています。トキやシマフクロウ、ツシマヤマネコ、オガサワラシジミ、ハナシノブなど様々な動植物の繁殖への取り組みが進められており、少しずつですが順調に個体数を増やしています。
    このような取り組みを行う地方公共団体からは絶滅危惧種を保護するための寄付金基金も設けられており、活動の資金として充てられています。

    私たちにできる取り組みは?

    私たちにできる取り組みは様々あります。1つは上記の寄付金や基金などに協力し、活動を支援することが挙げられます。
    ただ保護活動を行われている生物はいいですが、そうではない生物が次の絶滅危惧種となってしまっては意味がありません。そういった根本の部分を解決するためには、原因を除去していく必要があります。
    原因から考えられる取り組みの1つは土地や河川の汚染を防ぐことにあります。農薬や化学物質による汚染を挙げましたが、それは何も農作業によるものだけではありません。
    私たちが出す生活排水や、ゴミなども汚染の原因になります。汚染につながる洗剤などの使用を控えることやゴミのポイ捨てや不法投棄をせず、適切に処理すること、リユースやリデュース、リサイクルなどの3Rを意識することが大切です。
    環境保全のために地域の清掃活動などに参加することも、土地や河川の汚染を防ぐことになります。
    また地球温暖化の原因も私たちの生活にあります。温室効果ガスは二酸化炭素を主としていますが、私たちが冷暖房器具や電化製品を使うことで発生します。
    これらの機器を使うと電力が消費されるため、火力発電による電力供給が必要となりますが、化石燃料を燃焼させるため二酸化炭素が発生してしまいます。
    そのためカーテンによる温度調節やクールビズ・ウォームビズを行うことで冷暖房器具の設定温度を控えること、そして節電を心がけることが二酸化炭素の排出抑制につながります。
    自家用車からも二酸化炭素が発生するため通勤や通学、買い物などでは公共交通機関を利用して自家用車の使用を控えることや、使用したとしてもアイドリングストップなどを行うだけで排出量は変わります。
    こういった取り組みを普段から行うことで、絶滅危惧種を守るための活動に間接的に助力することができます。

  • 国際的な機関や各国政府、地方自治体、支援団体だけでなく私たち一人ひとりも絶滅危惧種を保護するための活動に取り組んでいかなければならない。
  • 国際的に主な取り決めとして「ワシントン条約」、「二国間渡り鳥等保護条約・協定(通報種)」、「ラムサール条約」といった3つの条約が結ばれている。
  • 日本国内では、1993年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」を施行され、国内希少動植物種における販売や頒布目的の陳列・広告、譲渡、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出などを原則禁止にするという個体の取り扱い規制がされている。
  • (出典:環境省「種の保存法の概要」)
    (出典:環境省「日本の生きものたちをまもろう」,2017)
    (出典:気象庁「地球温暖化を緩やかにするために私たちにできること」)
    (出典:政府広報オンライン「海のプラスチックごみを減らし、きれいな海と生き物を守る!」)

    私たちの生活は生物多様性と共にある


    人間はこの地球に生きている以上、他の生物と無関係ではいられません。生物多様性の中にあり、共存していくことで暮らしは成り立っています。
    その多様性を私たちは知らず知らずのうちに壊してしまい、多くの生物が絶滅へと追いやられているのが現実です。
    このまま絶滅するのを眺めていれば、回り回って私たちにもしっぺ返しが訪れる可能性が高いです。
    絶滅危惧種を守ることは未来の私たちの生活を守ることにもつながります。政府や関連機関だけでなく、私たちにできることを1つ1つ行っていき、絶滅危惧種を保護することに協力していきましょう。

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