森林破壊

森林破壊とは?具体的にどんな問題が発生しているかわかりやすく解説

人間の暮らしによって起きている森林破壊は、動物や植物などの生態系にも影響を及ぼします。
近年増加している森林火災も原因として挙げられますが、普段スーパーなどで見かける商品も森林の減少と関係しています。

この記事では、森林破壊によってどんな問題が起こっているのか説明します。

森林破壊の原因と対策は?身近にできることから考えよう

「環境保全活動を推進する」
活動を無料で支援できます!

30秒で終わる簡単なアンケートに答えると、「環境保全活動を推進する」活動している方々・団体に、本サイト運営会社のgooddo(株)から支援金として10円をお届けしています!

設問数はたったの3問で、個人情報の入力は不要。あなたに負担はかかりません。年間50万人が参加している無料支援に、あなたも参加しませんか?

\たったの30秒で完了!/

近年の森林破壊の要因とは?

20世紀前半、熱帯地域、亜熱帯地域の開発途上国では人口が増加しました。これに伴い開発途上国では貧困や飢餓といった問題を抱えていました。
増加する人口を養うための食料に乏しく、森林を伐採し、畑や農地、牧草地に変える現象が起きました。これにより森林が減少したとも言われています。

現在、世界では急速に森林が破壊されています。1990年時点で、世界には41.28億ヘクタールの森林面積がありましたが、2015年になると39.99億ヘクタールまで森林面積は減少しました。この25年間で実に1.29億ヘクタールもの森林が減少したことになります。これは南アフリカの国土面積と同じくらいです。

南米やアフリカでも大規模な森林の減少が起こっており、世界全体で考えると森林植生と森林減少を合わせても、毎年730万ヘクタールの森林が地球から失われています。
経済発展による森林伐採も森林破壊の一つですが、森林火災も破壊の一つの要因です。

森林火災で森林面積が減少

2019年に発生したオーストラリアの森林火災は約半年間燃え続け、多くの動植物が被害を受けました。この森林火災は2019年9月から続く森林火災が年末にかけて悪化し、オーストラリア史上最悪の森林火災となりました。
12月31日から年明け2020年の2日にかけて、数万人規模の住民や観光客らに避難勧告が発令されました。こちらもオーストラリア史上、最大規模の避難でした。

また、ブラジルを中心とするアマゾンの熱帯雨林地域でも森林火災が発生しました。2019年8月1日から8月24日にかけて4,000件近くの森林火災が確認されました。この森林火災はブラジルの熱帯雨林だけではなく、パンタナールの大湿地帯や、ボリビア、パラグアイにかけて広がるチキターノ森林、草原地帯などでも発生しました。アマゾンの熱帯雨林では世界最大の熱帯林が残っており、数千から数万種とも言われる野生動植物が住んでいます。

またそこには先住民族も野生動物とともに共存していますが、アマゾンの熱帯雨林の森林火災により先住民族の暮らしにも影響が出ています。
森林が破壊されることによる問題を詳しく見ていきましょう。

  • 世界では急速に森林が破壊されている
  • 1990年から2015年までの25年間で1.29億ヘクタールの森林が減少した
  • 近年の森林火災による森林の消滅も甚大なものになっている

(出典:環境省「国際的な森林保全対策」)
(出典:国立環境研究所 地球環境研究センター「Q5森林の減少と二酸化炭素吸収量」)

森林破壊の原因とは?

森林破壊の原因となるものは様々です。以下で詳しく説明します。

プランテーションによる開発、農地への転用

熱帯地域や亜熱帯地域は気候にも恵まれており、農作物を育てるにはかなり恵まれています。
そのような生産性の高い環境と熱帯・亜熱帯地域の国の安価な労働力に莫大な資本力を持つ企業は目を付けました。
広大な農地に莫大な資本(お金)を投入し、安価な労働力で人を雇いました。森林を伐採し、そこに国際的に価値の高い単一作物を栽培する大規模な農園を作ります。これをプランテーションと呼びます。

その農地・畑では、私たち日本人も日常的にスーパーで見かけるバナナ、コーヒー、紅茶、カカオ(チョコレート)などが生産されています。これらの多くの製品は日本の気候では生産が難しいものばかりで、熱帯・亜熱帯地域に頼らざるを得ません。私たちの生活に非常に馴染みがある製品ばかりですが、その生産現場を見ることは滅多にありません。

非伝統的な焼畑農業の増加

焼畑農業(焼畑農法)とは主に熱帯地域、亜熱帯地域の雨が多く降る地域で伝統的に行われている農業形態です。日本でも縄文時代末期から農業にこの手法が取り入れられてきましたが、現在ではほとんど見かけなくなりました。森林を伐採、樹木を倒木し、倒した樹木、草本などを燃やすことによって灰をその土壌の栄養素するものです。

焼畑農業は稲類、イモ類、雑穀類などを栽培・収穫するために行われています。熱帯地域では土壌が酸性のため、これらの作物を栽培するのに適していません。
そのような地域では焼畑農業を行い、灰が酸性の土壌と中和することで肥料の役割も果たし、栄養素のある元気な土壌を作ることができます。一度に草木を焼き払うことで害虫や病原体も駆除することができます。

数年間作付けした後に別の土地に移動して耕作を繰り返します。土地が回復したら元の農地を再利用する伝統的な農法で森林破壊の原因ではなく、持続可能なものだと言われています。

しかし、土地の回復力を考えない、持続可能ではない焼畑農業が行われることがあります。こういった非伝統的な焼畑農業は森林が減少している原因の一つと言われており、地球温暖化を助長しています。

人の暮らしへの影響

森林破壊は私たちに疫病を蔓延させることがあります。
森林破壊が急速に進行する地域では通常、野生生物の間でのみ発生する感染症が人間にまで広まる例が数多く見られます。

熱帯地域で森林破壊が進行すると通常、人里離れた森林に住みつくコウモリが牧草地や牧場に病衣原体を持って飛来し、その結果、家畜動物や人に感染する可能性が高くなります。コウモリだけではなく蚊もその原因の一つです。
森林伐採されたことにより水たまりが増え蚊の幼虫のボウフラが繁殖しやすくなるという現状もあります。

東南アジア熱帯とアマゾン川の流域では蚊が増えたことによってマラリアの流行が激しくなったという例があります。

  • プランテーションによる農地の開発や転用で森林が減少している
  • 非伝統的な焼畑農業は土地の回復力を考えず持続可能ではないため、森林破壊につながる
  • 森林破壊は私たちに疫病を蔓延させることがある

(出典:環境省「世界の森林を守るために 森林減少・劣化の原因」)
(出典:Forest Partnership「世界の森林はいま」)

実際に行われている対策とは?

森林破壊の問題に対し、世界中では持続可能な経済発展を遂げるため様々な取り組みが行われています。

持続可能なパーム油利用のために

森林破壊への対策としてパーム油を例にとります。パーム油は、アブラヤシの実から採れる植物油です。パーム油は約8割が食品油としてマーガリンや揚げ油、ショートニング、アイスクリームなどの食品に用いられています。残りの約2割は、石鹸や洗剤、化粧品、インクなどの原料として用いられます。
しかしアブラヤシのプランテーションが原因で森林に生息する動物が減少しています。

パーム油は私たちの生活に欠かせないものであり、生産や使用をやめることは難しいです。特にインドネシアにとっては、輸出産業として経済面でも重要な役割を担っています。
そこで、「持続可能なパーム油利用」のため、2004年に持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil:RSPO)が作られました。
パーム油に関係する企業や金融機関、NGOが集まった組織であり、規則を制定するなどして持続可能なプランテーションを目指しています。

違法伐採を取り締まる制度

違法伐採を取り締まることのできる法令・条約があります。現在、先進国には違法伐採された違法な材料(木材)が輸入されることが少なからず発生しています。そして違法に輸入された木材もまた、その先進国の経済を支えているのです。これを改めるため1990年代以降、輸入国側における違法材対策として、取引での合法性確認(デューディリジェンス)を要求する制度を作る動きが生まれました。この中には例えば、欧州連合のFLEGT及びEU木材規則、米国の改正レイシー法、日本のグリーン購入法およびクリーンウッド法などがあります。

持続可能な開発目標SDGs

包括的な取り組みとして持続可能な開発目標(以下SDGs)があります。

2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択さされました。
17のゴールと169のターゲットから構成されており、地球上の「誰一人取り残さない」ことが目標です。

SDGsは開発途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。SDGsの目標15には「陸の豊かさも守ろう」という項目があります。企業や私たちにとって今求められているのは、森林からの資源を過剰に消費しないようにすることです。

  • パーム油のためのプランテーションが原因で森林に生息する動物が減少している
  • 2001年に持続可能なパーム油のための円卓会議が作られた
  • 世界中で違法伐採を取り締まることのできる法令・条約が作られた

(出典:環境省「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」)
(出典:環境省「第4節 グリーン経済を支える自然資本」)

持続可能な開発目標SDGs

森林破壊には様々な原因があります。
普段見ているものや使っているものが森林を犠牲にして作られていることもあるのです。国によって森林破壊の影響は異なりますが、その原因のほとんどは私たち人間が引き起こしています。

対岸の火事だと思わずに、まずはどんな問題が起こっているのか理解して、小さなことからでも、何ができるのできるのか考えてみてはいかがでしょうか。

「環境保全活動を推進する」
活動を無料で支援できます!

30秒で終わる簡単なアンケートに答えると、「環境保全活動を推進する」活動している方々・団体に、本サイト運営会社のgooddo(株)から支援金として10円をお届けしています!

設問数はたったの3問で、個人情報の入力は不要。あなたに負担はかかりません。年間50万人が参加している無料支援に、あなたも参加しませんか?

\たったの30秒で完了!/

動画はこちら
この記事を書いた人
gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。 なお、掲載されている記事の内容に関する「指摘・問い合わせ」「誤字脱字・表示の誤りの指摘」につきましては、こちらの報告フォームよりご連絡ください。

- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿