パーム油は私たちの生活の中で使用される様々な商品に使われています。
それは日本だけでなく、世界中で日々大量に消費されており、なくてはならない存在です。
パーム油の需要は増加し続けているため、生産する国では大規模な農園を作って生産し続けていますが、これが森林破壊につながるとして問題視もされています。
この記事ではパーム油の生産がもたらす森林破壊とその対策について紹介します。
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パーム油とは?
パーム油と言われると、その名前に馴染がないかもしれませんが、多くの家庭で使われている植物油です。
パーム油は市販されている油だけでなく、食器・洗濯用洗剤、掃除用洗剤、シャンプー、石鹸にも利用されています。生活の中でパーム油という名前を見かけないのは、原材料名において様々な名称で表記されているためです。植物油をはじめ、植物油脂やショートニング、マーガリンというような名称で表されています。
そもそもパームとは植物の「ヤシ」を意味する言葉であり、パーム油はアブラヤシの果肉から得られる植物油です。
また、種子からはパーム核油という植物油も得られることから、無駄が少なく大量に生産され、様々な商品に使える汎用性の高さから世界中で消費されています。
さらに、近年では火力発電やディーゼルエンジンなどバイオマス燃料としても使用されている例もあり、その需要は増加しています。
なぜパーム油が森林破壊をもたらすのか
パーム油は、私たちが生活の中で消費する様々な商品に含まれており、日本だけでなく、世界中で使われています。
そのため、消費量は植物油の中で世界一です。
人口増加に伴い、増加が予測される需要を満たすために生産されるパーム油の量は相当なものです。
パーム油は大量生産が可能で、生産効率が良いことで知られていますが、汎用性の高さから増加する需要に対応するため、どれだけ生産効率が良くても広大なアブラヤシ農園が必要になります。
世界の需要に対して、供給を行うために必要なアブラヤシ農園の拡大こそが、森林破壊をもたらす原因となっています。
熱帯林や泥炭地の減少
パーム油の原料であるアブラヤシは主にインドネシアやマレーシアで生産されています。
世界でも有数の広大な熱帯雨林を持つ国であり、生物多様性も豊かな森林が広がっています。
その気候故に、アブラヤシの生産も盛んに行われていますが、国土は限られてきます。そうなると世界に供給するアブラヤシ農園を確保するためには、より広い面積が必要となるため、これまでも熱帯林や隣接する泥炭地を切り開いて開墾し、農園へと変えています。
特にインドネシアの熱帯林減少は深刻なレベルに達しています。
インドネシアのスマトラ島は、パーム油の生産が盛んな地域として世界でも有数の知名度を誇りますが、熱帯林を伐採し、泥炭地などを耕して農園にしています。
森林減少は現在も続いており、低地の森は失われつつあります。
熱帯林は二酸化炭素を吸収し、蓄積するだけでなく多様な生物が生息する環境として存在するなど、多くの機能と役割を担っています。
その熱帯林がアブラヤシ農園の拡大により伐採されて、さらに面積が減少すれば、空気中の二酸化炭素のさらなる増加や貴重な野生動物の絶滅危機、自然災害の増加など様々な危機が訪れる可能性が出てきます。
アブラヤシ農園の拡大については、インドネシアとマレーシア、ブルネイの3カ国が持つボルネオ島の広大な泥炭地についても影響を受けており、徐々に面積を減らしています。
農園の開墾で発生する火災
インドネシアやマレーシアなどで行われるアブラヤシ農園の開墾では、火入れをすることで熱帯林などの植物を焼き払い、土地を開発する光景がしばしば見られます。
この火入れによって、想定以上の森林が燃やされ、失われることがあります。
特に乾季においては火が回りやすい気候のため、火災が発生すると広がりやすく、大規模な森林火災が発生することも少なくありません。
熱帯林に隣接する泥炭地でも同様であり、水が抜かれた泥炭地では気候と相まって非常に火災が広がりやすい状況にあることから、熱帯林まで拡大することもあります。
広がった火は人の手では完全に消し去ることは困難であり、雨期が来るまでは完全な消化ができないことが多いです。
火災により森林破壊が進行し、熱帯林を含む多くの自然が失われることにもなります。
それだけではなく、熱帯林や泥炭地の火災は多くの二酸化炭素を発生させます。
この二酸化炭素の影響により地球温暖化が進めば、各地に存在する森林にも影響を与え、生息地の変化や樹木が枯死してしまう可能性もあります。
他にも発生した煙が隣国にも達し、被害をもたらすことがあることから、国際的な問題になることもあります。
火入れ自体は法律で禁止されていますが、安くて素早く開墾を行えることから、法律を守らず行う人が後を絶たない状況です。
パーム油生産における森林破壊を防ぐために
パーム油の需要増加と、それに伴うアブラヤシ農園の急速な拡大から起こる環境への様々な影響が問題視されてきました。
このままいけばアブラヤシ農園だけでなく、森林の減少は止まらず、世界全体の環境が脅かされる危険があるためです。
そのような問題を解決するために、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議:Roundtable on Sustainable Palm Oil)という組織が2004年に設立されました。
RSPOでは持続可能なパーム油が基準となるように市場を変革することを目的として、パーム油生産業や搾油・貿易業、消費者製品製造業、小売業など、7つのセクターの関係者によって運営されています。
パーム油およびパーム核油を対象製品として、様々な原則と基準による審査を行い、認証と、その農園から作られた認証パーム油を示すことで、環境などに配慮した持続可能なパーム油の生産を進めてきました。
パーム油を扱う日本企業の中にもRSPOに参加しているメーカーがあり、森林保全に配慮した持続可能な生産や生物多様性への取り組みの提唱や活動などが行われています。
また、マレーシアではパームオイル庁という行政機関があり、MSPO(マレーシア持続可能なパーム油)やISPO(持続可能なパーム油のインドネシア国内規定)による認証制度が確立されています。
徹底された認証体制や厳しい規制により、森林の減少防止や温室効果ガスの削減など着実に目標を達し、状況の改善に取り組んでいます。
(出典:環境省「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」)
(出典:環境省「第4節 グリーン経済を支える自然資本」)
パーム油による森林破壊の進行を防ぐことは重要な取り組み
パーム油は私たちの生活にとってなくてはならないものですが、同様に森林もその存在がなくては人類を含む生物は生きていけません。
どちらも必要なものではありますが、直接的な需要から森林ではなくパーム油を生産するアブラヤシ農園の拡大が優先されます。
しかしこの状況を続けていけば、さらに地球環境への影響は大きくなります。
すでに気候変動や地球温暖化という形で現れ始めていますが、世界中でその被害は拡大の一途を辿っており、取り返しのつかない状況になる恐れもあります。
そうならないために森林破壊を防ぐことが求められており、アブラヤシ農園についても環境に配慮したものでなければならないことから、行政機関などを中心に対策が行われています。
私たちがパーム油を使わないという選択をすることもできますが、パーム油が最も効率が良く、大量に生産できることからパーム油なしという生活は難しいのが現状です。
そのためMSPOやISPOなどの認証を受け、環境を守りつつ作られているパーム油による商品を購入することを心がけるなど、できることから取組を始めてみてはいかがでしょうか。
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