世界中で森林破壊が問題となっています。皆さんは毎週、東京都の面積と同じ位の森林が失われていることをご存じでしょうか。
世界の森林面積は陸地面積の約31%を占めていますが、近年特に、南米、アフリカ、インドネシアなどで森林減少が深刻化しています。
この記事では森林破壊の現状や、原因、生物多様性や気候変動など環境への影響・社会への影響、森林破壊を食い止めるための活動や取り組みを紹介します。
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森林破壊とは?
自然の回復力を上回るスピードで森林伐採や焼失などが原因となり、森林面積が減少している現象を森林破壊と言います。
国連環境計画協力センターによると、2000年以降、インドネシアでは森林地がパーム油を収穫する土地に転用されたため、大幅に減少したと報告しています。
また、WRI(World Resources Institute、世界資源研究所)によると、世界の森林面積は約40億ヘクタール(※1)で、陸地の31%を占めていますが、そのうち30%はすでに消失してしまい、20%は消失の危機にあり、原生林のまま残っているのはわずか15%しかないとされています。
※ヘクタール:1万平方メートル
(出典:WRI(World Resources Institute 世界資源研究所)「Forests」)
(出典:環境省 Forest Partnership Platform「世界の森林はいま」)
森林破壊の原因
森林破壊の原因は、一言で言えば開発です。人間活動のために様々な理由で木が伐採されたり森林が劣化しています。
森林破壊の主な原因として以下のものが挙げられます。
違法伐採
違法伐採とは、国の法令に違反して行われる伐採で、許可された量・面積・区域などを超えた伐採や、国立公園や保護区の森林伐採、所有権・伐採権がない森林を伐採する盗伐、許可を受けていない、または許可証を偽造した伐採や、木材取引・先住民族などの権利を不当に侵害する伐採などです。
国際森林研究機関連合(IUFRO)によると、丸太と製材に係る違法伐採木材の貿易額は世界で63億ドルに上ると報告しています。
違法伐採は、木材生産地の環境破壊、住民の暮らしや文化の破壊を引き起こすだけでなく、不当に安い価格で木材が国際市場に流通し、持続可能な森林経営を阻害してしまいます。
紙の原材料や燃料用木材として利用するための過剰な伐採
主に先進国で消費される紙の原料となるパルプを取るため、多くの樹木が伐採されています。また、アフリカや中南米では多くの家庭で調理をする際に木質燃料(薪や炭)が使われています。
非伝統的な焼畑農業の増加
焼き畑農業とは森林や草原を刈り払い、草木を燃やしてから、耕作する農業の手法です。数年間作付けした後に別の土地に移動して耕作を繰り返します。土地が回復したら元の農地を再利用する伝統的な農法で森林破壊の原因ではなく、持続可能なものだと言われています。
しかし、土地の回復力を考えない、持続可能ではない焼き畑農業が行われることがあります。こういった非伝統的な焼き畑農業は森林破壊の原因と一つとなっています。
森林を農地や放牧地、レジャー施設などに転用するため
世界の人口増加に伴う食料やエネルギー需要の増加に対応するため、森林が農地や放牧地、ゴルフ場やスキー場などがレジャー施設に転用されています。
例えば東南アジアでは、森林がアブラヤシのプランテーション(※2)などへ、アマゾンではサトウキビ農園や牧場などへの転換が行われています。
パーム油は世界で最も使われている植物油であり、アブラヤシの実から絞り採れる植物油です。フライドチキンやドーナツ、ポテトチップスやパンなどの加工食品、洗剤、せっけん、シャンプー、化粧品などに使用されています。
パーム油生産の拡大は、熱帯林を減少させるだけでなく、そこを住処にしている動物にも影響を及ぼします。
森林火災による消失
近年、地球温暖化による影響で森林火災が増加しています。2019年に起きたアマゾンやオーストラリアの森林火災は、私たちの記憶に新しいところです。
また、落雷などによる自然発火のほか、焚き火やタバコなどの不始末による人為的なものもあります。
※2 プランテーション:熱帯・亜熱帯地域で国際的に価値の高い単一作物を栽培する大規模な農園こと
(出典:環境省「国際的な森林保全対策」)
森林破壊が生む影響
森林は、木材や薬の原料、農作物の原種など、世界中の人々の暮らしに欠かせない恵みをもたらしてくれます。森林破壊はこうした人々の生活を奪い、人権を脅かす深刻な問題にもなっています。
気候変動、生態系、社会問題をキーワードにして、詳しく見て行きましょう。
気候変動をもたらす
近年、世界的に被害の大きな大雨や干ばつなどの異常気象にも、森林破壊は深く関わっています。それは、森林の樹木が、育つ過程で空気中にある二酸化炭素を取り込んで、大量に蓄えているためなのです。
火災や伐採によって、森林が失われると空気中にある二酸化炭素の取り込みができなくなります。空気中にある二酸化炭素濃度が高まると、気候変動、地球温暖化が助長され、異常気象による水害を引き起こし、森林火災の長期化といった被害がもたらされます。
世界の温室効果ガス排出量の約11%は、森林が農地など他の用途に転用されて起こった森林破壊が原因とされています。
森林破壊によって温室効果ガスの排出が増加し、地球温暖化が進むと、地域よって干ばつが進行したり、集中豪雨や洪水が起こりやすくなるとされています。
また、森林破壊は森林が持つ保水効果を奪うため、地滑りや土砂崩れなどの二次災害をもたらす危険が増します。
生態系をくずす
森林の消失は、生態系を破壊し、多くの野生生物を絶滅の危機に追いやる大きな原因になっています。
森で暮らしている野生生物は、食物連鎖などで他の野生生物とつながっているため、森林破壊により、食物連鎖のリズムを壊してしまい、生物多様性の危機を生んでいます。このように、森林は生物多様性を保全する上で重要な役割を担っているのです。
また、上記のような気候変動の悪化に対応し、森林で暮らす野生生物だけでなく、海洋に住む多くの生物も、生息域や季節的活動、移動パターン、生息数及び生物種間の相互作用を変異せざるを得ない状況になっています。
森林の減少を抑制し、生物多様性が豊かで質の高い森林を増やすことで、森林による二酸化炭素の吸収や排出を抑え、気候変動を緩和させることは、非常に重要な課題になっています。
森林と陸の生物を守ることはSDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」になっています。目標の詳細を知りたい方はこちらの記事もご一読下さい。
>>持続可能な開発目標・SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」のターゲットや現状は?
社会問題を引き起こす
森林破壊は上記のような環境問題だけではなく、社会問題も引き起こします。
世界には森林に依存して生計を立てていると言われている人が、人口の4分の1の約16億人います。
森林が失われると貧困や児童労働、強制労働、売春の増加などが懸念されます。
(出典:国連森林戦略計画2017-2030(仮訳))
(出典:環境省「世界の森林を守るために」)
世界の森林の現状
2020年にFAO(国連食糧農業機関)が、「世界森林資源評価(FRA)2020」を公表しました。
FAOは、1946年から加盟国と協力して世界の森林資源を定期的に分析・評価しています。 FRA2020は、1990年~2020年までの30年間を森林関連指標の現状と傾向を分析した報告書です。
FRA2020は、各国の正・副連絡員、国別チーム、専門家グループ、森林資源共同調査票のパートナー、国際専門家及び組織、FAOスタッフ、コンサルタント、そして世界各地のボランティア等の様々な関係者との協同によってまとめられました。
それによると、世界の森林面積は約40億6,000万ヘクタール(陸地の31%)で、そのうち45%は熱帯に分布しています。
1990年以降、世界の森林は1億7,800万ヘクタール減少しましたが、減少速度は1990年から2020年にかけて低下しています。
1990年から2000年には年平均780万ヘクタール減少しており、2000年から2010年には520万ヘクタール、2010年から2020年には470万ヘクタールと減少速度は低下しています。
2010年から2020年において森林の純減する速度が最も高い地域はアフリカ(毎年390万ヘクタール)で、次は南米(毎年260万ヘクタール)です。
アフリカでは森林が純減する速度は、この30年間で加速していますが、南米では半減しています。
一方で、森林が増えている国もあり、温帯地域の中国やインド、ベトナムなどでは、植林活動が活発なため森林面積が増加しています。
アジアに次いでオセアニア、ヨーロッパでも森林が増えています。
アジアとヨーロッパでは2000年代に比べると純増の速度は低下していますが、1990年、2000年代には森林面積は純減していたオセアニアでは森林面積が増加しています。
(出典:FAO(国連食糧農業機関)「世界森林資源評価2020主な調査結果(仮訳)(FRA2020Keyfindings)」)
日本の森林破壊の現状は?
日本では手入れや管理されなくなった人工林が、森林の荒廃や、「緑の砂漠」という問題を引き起こしています。
スギやヒノキなどの人工林の周りには、他の種類の植物が生えてこず、シカやイノシシの餌となる木の実も少なくなるため、それらの動物が人間の田畑に出没して被害を及ぼします。
生物多様性の面では砂漠のように枯れ果てていることから、「緑の砂漠」とは、一見すると緑に覆われた里山が、実は荒廃していることを揶揄したものです。
森林保全のための活動や取り組み
「世界森林資源評価(FRA)2020」によると、全世界では、4億2,400万ヘクタールの森林が生物多様性を守るために指定されています。その増加速度は直近の10年では鈍化しているものの、1990年以降、1億1,100万ヘクタールの森林が生物多様性保全の目的に指定されています。
また、水土保全のための森林が増加しています。3億9,900万ヘクタールの森林が水土保全が主な目的として指定されており、1990年以降1億1,900万ヘクタールの森林が指定されました。
そして、全世界では、1億8,600万ヘクタールの森林がレクリエーション・観光・教育・文化や宗教の保全など、社会サービスのために指定されています。
森林が増え続けている中国は、30年以上も砂漠化防止の活動、「砂の移動防止」に成功しています。 砂漠化した土地に植物が育たないのは、黄砂が移動して根が張れないためですが、砂漠に「PLA」と呼ばれる砂の移動を防止するホースを設置したり、スナヤナギを植えて砂の移動を50%以上も防止しています。
オーストラリアやインドなどでも、緑化活動が盛んに行われています。
日本の取り組みとして、環境省は森林保全対策事業「フォレスト・パートナーシップ・プラットフォーム」を実施しています。
フォレスト・パートナーシップ・プラットフォームでは、世界の森林が減少・劣化を続けている現状を憂慮し、その保全に貢献したいと考えている企業と、海外で保全活動を行っているNGO/NPO等との連携を促進し、世界の森林の保全活動を推進することを目的としています。また、違法伐採問題や森林認証制度の普及啓発にも取り組んでいます。
各国政府だけではなく民間の団体も森林保全事業を行っています。
例えば一般社団法人グリーンピース・ジャパンは、世界55以上の国と地域において、環境課題への解決策を作り出すために、サポーターやボランティアとともに提言活動、調査・分析活動を行っています。
月1,000円からの継続寄付で、地球と暮らしを守るための調査や報告、政府や企業への働きかけを支援できます。
>>グリーンピース・ジャパンについて詳しくみる
(出典:FAO(国連食糧農業機関)「世界森林資源評価2020主な調査結果(仮訳) (FRA2020Keyfindings)」)
森林破壊を防ぐために私たちにできること
森林破壊を少しでも抑制するために、私たちにどんなことができるでしょうか。
具体例を挙げてみましょう。
世界中で様々な取り組みが行われていますが、森林破壊を抑制するためには私たち一人ひとりの意識や行動を変えることが重要です。
一人の力は小さいかもしれませんが、この森林破壊の問題に向き合う人がさらに増えることで大きな力となるはずです。
この機会に森林破壊について理解し、周りの人や子どもたち、友人などとともにできることから始めてみてはいかがでしょうか。
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