人種差別とは?世界で起こっている問題、その原因とは


この世界には様々な人種や民族が生活しています。言語や文化、肌の色など異なる部分はいくつもありますが、それでも同じ人類であることには変わりありません。

しかしそんな中にも差別は生まれます。その差別によって苦しむ人や、格差などへと広がっていることは大きな問題となっています。
この記事では人種差別とはどのようなものなのか、世界で起こっている問題や原因について紹介します。

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世界に広がる人種差別とは


世界では今日も人種を理由とした差別が起こっています。年齢や性別を問わずに行われるその差別は根深く広がり、自己と違うという偏見から差別を続けることも少なくありません。
自分とは異なるものを受け入れられないことによる不平等は、国や人々の間で起こります。

差別の歴史は帝国主義による植民地支配が広がる以前からありました。紛争などの原因になることもしばしばあり、アフリカやアジアだけでなく、アメリカやヨーロッパといった先進国でも起こっており世界中で問題として取り上げられています。
これは日本でも例外ではありません。詳しくは後述しますが、差別に疎いと評される日本人も海外から日本に移り住んできた人への差別だけでなく、北海道に古くから住んでいたアイヌ民族や江戸時代に存在した穢多(えた)・非人(ひにん)への差別意識が残っています。このように多くの差別が日本国内にも存在しています。

世界に見る人種差別

世界に起こる人種差別を知るためには、19世紀後半にまで遡る必要があります。この頃はヨーロッパでは帝国主義が顕著となり、黒人に対する差別が存在し、今も根強く残っています。
それはアフリカなどを中心として、列強と呼ばれていたヨーロッパの国々が植民地として、原住民を従えていた歴史があるためです。

しかし2020年時点では植民地はなくなりましたが、様々な場所で人種差別は見られます。スポーツの世界でも人種差別は顕在し、その中でもサッカーの歴史の中には人種差別による問題がしばしば見られました。
特にヨーロッパではサッカーが盛んであり、大小様々なプロリーグの中で、それぞれの国から集まった高いレベルと人気を誇るプレイヤーが戦っています。

しかし栄光が煌く影には、兼ねてからある人種差別が見え隠れしていました。
それまでは大きな問題になることはなかったものの、1995年の「ボスマン判決」によって、ヨーロッパの各リーグやクラブチームの姿勢を大きく変えることになりました。
この判決内容自体は画期的であり、EU(欧州連合)内のプロ選手は、所属するチームとの契約満了と同時に自由な移籍が可能となりましたが、これが後に人種差別を広げる要因にもなりました。

特に多いのはサポーターによる選手への人種差別を交えた応援や野次です。
それは試合中だけでなく、日常生活においてもSNSの発展により、選手に多くの侮辱的メッセージが届くようになった事例も報告されています。
また互いに切磋琢磨し、技量をぶつけ合い高め合うはずの選手間でも、エスカレートしたことにより、試合中に侮辱発言やジェスチャーをするといった人種差別も発生しました。
アメリカ同様に白人が多くを占めるヨーロッパでは、有色人種、特に黒人への差別行為が目立っており、ユダヤ人や日本人の選手に対しても行われることがありました。
それまでも燻っていた人種差別は、ボスマン判決による自由な移籍により、一気に広がることとなりました。

もちろんこのような人種差別の横行に対して、行為そのものを撲滅するための取り組みも行われました。その一例として挙がるのが1998年に開かれたワールドカップです。
この大会では、それまでアパルトヘイトという人種隔離政策が続いたことで国際的な非難を受け、国際大会の参加資格を得られなかった南アフリカがはじめてナショナルチームとして参加できた大会となりました。
しかしその一方で、同大会中にフランス代表の選手が、相手チームの選手に人種差別要素が入っていると推察される挑発を受けたことにより、試合中に頭突きによる報復をしたことで退場するという事件がありました。

このような衝撃的な事件もあり、2006年にはワールドカップの一つのテーマとして、「Say no to racism(人種差別にノーを)」が掲げられています。
ヨーロッパでは特にサッカーにおける不安は、社会の歪や不安定さにも直結することから、サッカー連盟や、各リーグ、各クラブチームによる人種差別撲滅との戦いが続いています。

  • 日本人も海外から日本に移り住んできた人だけでなく、アイヌ民族や穢多(えた)・非人(ひにん)への差別意識が残っている
  • 「ボスマン判決」により、自由な移籍が可能となったが人種差別を広げる要因にもなった
  • 2006年にはワールドカップの一つのテーマとして、「Say no to racism(人種差別にノーを)」が掲げられた
  • 日本国内でも起こる人種差別


    先述したように、差別は日本国内でも存在しています。それは女性をはじめとしたジェンダーの問題や子どもや高齢者に対する人権、障がい者やHIV、ハンセン病などの感染者に対する人権問題などです。
    これらは日本国内でも問題となっており、正しい知識や教育、といった差別をなくしていくための対策が求められています。

    ただこれらは様々な差別の例であり、人種差別とは異なります。日本国内にある人種差別は主に「アイヌ民族の人権問題」「外国人の人権問題」が挙げられます。

    アイヌ民族の人権問題

    アイヌ民族は北海道を中心として生活している狩猟や漁労、採取などを行っていた固有の民族でした。
    かつて北海道は日本の領土ではなく、アイヌ民族が住む未開の地となっていましたが、15世紀以降に和人(※1)に侵略されたのです。
    明治時代に入ると一方的な同化政策が行われて、アイヌの人々のそれまでの生活様式などはすべて廃止され、奪われていきました。

    旧土人として位置づけられたアイヌの人々は、法律の下、保護の名目で搾取と抑圧が行われていき、北海道の開拓を目的とした屯田兵という移住者の急増によって、和人によるアイヌの人々の差別が強まることになったのです。
    その後「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統に関する知識の普及及び啓発に関する法律」を新たに制定しましたが、アイヌ民族が求めた先住権については触れられておらず、法律が制定してもアイヌの人々への差別が解消するものではありませんでした。
    実際に生活や労働・就職、恋愛、結婚、学校生活などで差別的な経験をしたという人は今なお存在しています。

    外国人の人権問題

    日本には労働者、あるいは留学生や旅行者として様々な国の人々が訪れます。
    これはグローバル化する世界において、当然の光景ではありますが、外国人であることを理由に居住、就職を拒否する事例や、在日朝鮮児童、ハーフ、クォーターであることを理由とした嫌がらせなどが起こっています。

    もちろん日本全土で行われているわけではありませんし、偏見や差別を持っていない日本人もいますが、特定の民族や種族、国籍を持つことによりヘイトスピーチ(※2)などを受け、日本を訪れた外国人の尊厳を傷つけています。
    これは異なる言語や異なる文化や少数派を受け入れがたいという風潮もあります。
    2020年時点でも国によっては日本人であることから差別を受けることがある地域もあるとされており、差別が差別を呼ぶ環境が構築されているのかもしれません。

    ※1 和人:日本本島に住んでいた日本人
    ※2 ヘイトスピーチ:人種・民族・性別などに対して攻撃や侮辱する言動のこと

  • 日本国内にある人種差別は主に「アイヌ民族の人権問題」、「外国人の人権問題」が挙げられる
  • 実際に生活や労働・就職、恋愛、結婚、学校生活などで差別的な経験をしたという人は今なお存在している
  • 一部の人により、特定の民族や種族、国籍を持つことによりヘイトスピーチなど、日本を訪れた外国人の尊厳を傷つけられている
  • 人種差別が起こる原因とは


    人種差別が起こる原因は、偏見など意識的にある相手への不理解であると言えます。

    アメリカにおける黒人民権運動の高まりやアジア諸国によるヨーロッパの列強による植民地支配からの独立運動の広がりなど、民主化を象徴する出来事により、人種差別への見直しが始まりました。
    白人が、それ以外の人種に対して悪感情を抱き、軽視することに正当性はなく、その合理的な根拠もないことから、認められないという考えが広がりました。
    一方で多くの白人はそれまでの認識を改めず、今も人種差別を行う人の中には、このような考えが息づいていることが伺えます。

    ただし現代において人種差別をするのはどの人種でも起こり得ることですが、それは人格において人間にある程度備わっている普遍的な歪みや異常性によるものが原因であると考えられます。
    また人種差別とは個人で行われているものではなく、一定の集団により行われ、その相手もまた特定の集団が犠牲となっています。
    個々人を取り巻く共通の集団や社会構造が、人種差別に影響を与えてしまっていると考えられます。

    個人のときと同様に、集団の間に競争関係があり、自身の所属する集団の目標達成がほかの集団によって阻害されるような状況に陥る、あるいは利益を脅かされる状況にあると、相手を攻撃し始めます。
    それが正当な競争によるものであれば別ですが、偏見や差別が生存競争を勝ち抜くためであるかのような考え方をもたらすこともあるのです。

  • 人種差別が起こる原因は、偏見など意識的にある相手への不理解と言える
  • 植民地支配からの独立運動などにより、人種差別への見直しが始まった
  • 人種差別を世界から撤廃するための条約


    世界中にある人種差別に対して、差別そのものをなくすために人種差別撤廃条約が1965年国連総会において採択されました*。
    正式名称は「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約(International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination)」であり、人種を理由とした差別を撤廃するための多国間条約になります。
    この条約では人種差別がどういうものなのか、ということを以下のように定義しています。

    「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的そのほかのあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」

    この中で世系とは、人種や民族から見た系統を表す言葉であり、日本でも使われる日系や黒人系などがこれにあたります。
    世界中にある人種差別を撤廃し、差別のない世界を実現するための締約国の義務や約束事をまとめたものがこの条約になります。

    (*出典:外務省「人種差別撤廃条約Q&A」)

    日本国内の人種差別への法整備

    日本は1995年に人種差別撤廃条約を批准した締約国であり、国内での人種差別への対策を行っています。
    しかし世界から見た日本の差別への問題意識は低いと言わざるを得ず、条約に定められたような立法による人種差別撤廃のための措置はそれほど積極的であるとは言えません。

    日本では近年起こるヘイトスピーチが問題視されていました。社会的関心が高まったこともあり、国会で制定されたのが「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律」、通称ヘイトスピーチ解消法です*。
    この法律によれば、不当な差別的言動は許されないものであるとされています。差別全般について言えることではありますが、特に海外から日本を訪れている人、居住している人、あるいはその子孫に対しての差別意識を助長、誘発するような言動について規制しています。

    人種差別を防止するという観点での法律としては機能し、厳しく対処することはできても、ヘイトスピーチを禁止できるものではありません。
    そのため真の意味で人種差別を撤廃できる法律であるかは疑問視されています。

  • 人種差別撤廃条約とは、人種を理由とした差別を撤廃するための多国間条約
  • 世界から見た日本の差別への問題意識は低い
  • ヘイトスピーチ解消法により、不当な差別的言動は許されないものであるとされ規制している
  • (*出典:法務省「ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動」)

    あらゆる形態の人種差別をなくすために


    人種差別への取り組みは、国際機関や行政などが行う一方で、潜在的な私たちの意識にある差別をなくしていかなければ、完全に解決することはできません。
    しかし、自己と異なるものや知らないものへの恐れは誰もが持つものです。根源的な部分で差別をしてしまうこともあるため、非常に難しい問題です。

    条約や法律で禁止したとしても、意識の中に人種差別が芽生える可能性があります。
    しかしすべての人が差別をしているわけではなく、そのような事例は一部です。
    実際サッカーのサポーターにしても、日本国内で起こる差別にしても、全員で行っているわけではなく、声高に叫ぶのは一部の人でしかありません。
    ただこの一部の声でも残っている限り、人種差別は広がる可能性があり、傷つく人が増えるかもしれません。

    そうならないためにも、人種差別がなぜ起こってしまうのか、そして解決のための一つの方法として相手を知り、理解を深めることが大切であることを心に留めておく必要があります。
    また今後の世代に人種を含むあらゆる差別が蔓延しないよう、教育現場だけでなく家庭などでも子どもとのコミュニケーションをとり、理解を深めてもらう必要があります。
    人種差別とは心の持ちようだけでも変わり、お互いが理解すればいつかは撤廃できる可能性があるのです。

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