アフリカにおいては、保健医療サービスの不足が、妊産婦死亡や新生児死亡を増加させる要因の一つとなっており、医療サービスの質と安全の確保は今日の途上国の保健医療システムの直面している最も重要な課題の一つです。
特にアフリカの保健医療施設においては、医師や看護師などの医療人材、医療機器や材料、医薬品、施設運営費などの資源不足、患者記録や臨床指標、疫学データなど情報不足という問題を抱えており、このような状態では十分な医療サービスを提供することはできない状態となっています。
このようなアフリカの医療問題を解決するためには、他の地域からの支援が必要です。
この記事では、アフリカ医療の現状を知り必要な支援について考えてみましょう。
アフリカの医療の現状を知り、子どもや妊婦の命を守るために必要な支援を考えよう
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医療へのアクセスが難しいアフリカ
アフリカの医療問題の根本は、患者が医療へアクセスするまでのハードルが非常に高いことだと言われています。
そのハードルの高さによって、さらに患者が医療から遠ざかるという悪循環を招いています。
アフリカの医療における最も重要な問題が医師・医療従事者不足していることです。
アフリカの人口数に対して、圧倒的に医師・医療従事者の数が足りていません。
アフリカの国々の中には、人口1,000人当たりの医師数が0.1に満たない国が多くあります。日本は2018年時点で2.3、世界ではヨーロッパの国々が4.0を超えており、高い水準となっています。
人口に対して医師数が少ない国々では、きちんとした医療が行き届かないことが原因で、たくさんの命が失われています。
医療スタッフ不足が深刻なため、南部アフリカ全域において、HIV/エイズ治療の質と利用できる度合いが低下しているという報告もあり、一人の医師や医療従事者が複数の患者を診なければならない状況にあるため、医療サービスの質を確保することは非常に困難な状態です。
医師1人あたりに対する患者数が多いことから、患者一人当たりの診察に当てられる時間はあまりに短く、具合の悪い患者は必要以上の苦痛を味わっています。
このような人材不足による危機は広く認識されていますが、現地において具体的な対策はほとんど取られていないことが現状です。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
(出典:総務省統計局「世界の統計2018」,2018)
医療費の捻出ができない
アフリカは世界の中でも特に貧困率の高い地域です。そのため、医療サービスを受けたくても家計から医療費を捻出できないという人が大勢います。
そのため、ぎりぎりまで自宅で療養し、病院に運ばれてきたときには手遅れになっているということも少なくありません。医療費を用意できたとしても、家財の切り売りや借金をして用意していることが多くあります。
その結果として、さらに生活が苦しくなり貧困状態が続いてしまうのです。
お金が用意できない患者は、感染しても病院へ出向くことはありません。その結果として、感染の広がりを監視する力(疫学的監視)が弱まってしまい十分な対策ができず、パンデミックが生じることもあります。
病院までの距離が遠い
アフリカでは、患者の生活圏で利用可能な病院が限られています。
緊急を要する場合であっても、緊急医療を提供できる病院はほとんどありません。
都心部から離れれば離れるほど、病院の数は少なくなり、病院をはじめとする医療機関が全く存在していない地域もあります。
道路などの交通インフラが整備されていないので、救急車のようなインフラも整備されていません。
こうした状況では、都市部以外に住む人々が医療サービスにアクセスすることがそもそも困難な状態です。
現在、アフリカでは十分な医療設備が整っている病院は都市部にしかなく、治療を受けたいと希望する人が、十分な医療サービスを受けることが難しい状態となっています。
医療の質が高くない
アフリカにおいては、基本的に医療の質が高くないのが現実です。
アフリカの都市部における医療レベルは、アフリカにあっては高レベルと言えるかもしれませんが、それでも日本や欧米諸国のような医療を提供することはできていません。
アフリカで暮らす貧困層・中間層の人々の多くは、医療資源の足りない公的病院でしか診療を受けることができず、たとえ満足な治療が受けられないと知っていても、その病院で治療を受けるほかありません。
質の良い医療を受けようと思った場合には、都市部の私立病院に行かなければなりませんが、私立病院は治療費が高額となるためほとんどが富裕層向けとなっているのが現状です。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
(出典:外務省「世界の医療事情」)
アフリカは5歳未満児や妊産婦の死亡率が高い
ユニセフ、世界保健機関(WHO)、世界銀行および国連経済社会局(UNDESA)より構成される国連の「死亡率推計に関する機関間グループ(IGME)」が2017年に発表した報告書では、2016年には5歳未満児が亡くなった数は毎日約1万5,000人にも相当し、その46%にあたる7,000人は生後28日以内に亡くなっていることが報告されています。
加えて、この報告書のなかでは、現在の傾向が続けば、2017年から2030年の間に5歳未満児6,000万人が亡くなることになり、その半数が新生児となることが指摘されています。
アフリカで高いのは5歳未満字の死亡率だけではありません。妊産婦の死亡率についても他の地域よりも高くなっています。
WHO、ユニセフ、UNFPA(国連人口基金)による妊産婦死亡率についての新たな調査結果によると、サハラ以南のアフリカに暮らす女性は、妊娠中あるいは出産時に16人に1人の割合で亡くなっていることが明らかとされています。
先進国の妊産婦の死亡率は2,800人に1人であるにも関わらず、アフリカではこれほど高い確率で亡くなっているのです。
アフリカ地域においてこうした死亡率の高さから抜け出すことができないのは、治療が必要な患者数に対して、医療従事者・薬剤・施設・情報について、質・量ともに圧倒的に足りないという現状があるからです。
こうした現状を打開しない限り、アフリカの医療問題を解決することは困難です。
以下では、アフリカで多くの人が医療を受けられるために必要な支援についてわかりやすく説明します。
(出典:IGME「Levels and Trends in Child Mortality 2018」(2018年度版 子どもの死亡における地域(開発レベル)別の傾向))
(出典:WHO「 Levels and Trends in Child Mortality 2017」(2017年度版 子どもの死亡における地域(開発レベル)別の傾向))
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
アフリカで多くの人が医療を受けるために必要な支援とは
アフリカにおいて多くの人が医療を受けるためには、様々な支援が必要です。
ここでは、どのような支援が必要かを解説します。
医師・医療従事者の育成
アフリカの医療問題を解決するためには、医師・医療従事者を育成しなければなりません。アフリカの保健医療サービスは公的サービスとなり、その財源は税金です。
しかし、政府からの医療費の配分が金額、時期共に適切になされないことから、国レベルや医療機関レベルで医療財源が不足しています。これを解決するためには、医師・医療従事者を育成しなければなりません。
栄養・食糧支援
アフリカの死亡率を下げるためには栄養の問題と食料の問題を解決しなければなりません。
アフリカの子どもたちの多くが栄養不足の状態となっており、その原因の多くが食料の問題に直結しています。つまり、食事を十分に摂ることができないため栄養不足に陥ってしまいます。
アフリカでは干ばつや紛争を背景とする大規模な食料危機が頻発しており、何百万人もの子どもたちが、栄養不良や感染症などで命の危険にさらされています。
こうした問題を解決するためには、食糧支援が必要です。十分な食料がアフリカの子どもたちに行き渡るようになれば、栄養問題も解決できます。
そのため、アフリカの医療問題を解決するためには食糧支援も重要な意味を持ちます。
水・衛生環境の改善
アフリカで亡くなる5歳以下の子どもたちの多くは、水・衛生環境の悪さが原因となって肺炎や下痢を患い亡くなっています。
アフリカ地域においては、水汲みは子どもたちの仕事です。
子どもたちは池や川、湖、整備されていない井戸などから水を汲み、不衛生な水を摂取した結果、抵抗力の弱い子どもたちはたちまち下痢を起こしてしまいます。
したがって、アフリカの医療問題を解決するためには、清潔な水と衛生環境を整備しなければなりません。
私たちにできることとは
遠いアフリカの子どもたちや妊産婦の人たちのために、私たちにもできることがたくさんあります。
以下では、アフリカの人々のために私たちができることを詳しく説明していきます。
寄付・募金
私たちでも身近にできることとして、寄付・募金を挙げられます。
支援団体への寄付は少額からできることが多く、一人ひとりが少額であっても多くの人が寄付をすることで、アフリカの人々を救う大きな助けとなります。
寄付や募金の方法も様々です。たとえば、寄付には都度の寄付や継続寄付などがあります。都度の寄付は、任意の金額を好きなタイミングで寄付をする方法です。
継続寄付では、定額を定期的に寄付します。こうした寄付は活動団体が活動するための資金となるものです。
医療機器を購入したり、ワクチンなどの薬を購入するための資金となります。
直接的にアフリカの人々を助けることはできなくても、支援団体への寄付を通じてアフリカの人たちを助けることができます。
ボランティア
ボランティアに参加することもアフリカの人々を救うことにつながります。
日本でもアフリカの人々のための募金を呼びかけたり、イベントに参加したりすることができます。
こうしたボランティア活動によって、アフリカの人々が抱えている医療問題が正しく認識されるようになり、募金してくれる人や寄付してくれる人が増えれば、アフリカの人たちを大いに助けることが可能です。
理解を深め周囲へ伝える
アフリカの人々が置かれている現状について理解を深め、周囲に伝えることも、アフリカの人々を助けるための立派な活動になります。
アフリカの人々に対する理解が深まることで、間違った理解や偏見を改めることにつながったり、共感してくれる人が増えれば支援の輪が広まります。
アフリカの医療問題のために私たちにもできる支援から始めよう
アフリカでは現在も多くの子どもたちが、治療すれば助かる病気により命を落としています。
医療機関が整っていない環境の中では、妊産婦の人たちは安心して子どもを生むことができません。
このような状況を改善するために活動をしている方々や団体があります。
一人でも多くのアフリカの子どもや妊産婦の人々を救うためには、まだまだ資金や人材が足りていません。
そこで、無理のない範囲であなたのお力を貸していただけませんか?
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一切負担はかかりません。
それだけで、貧困から子どもたちを守る活動をしている『ワールド・ビジョン・ジャパン』に本サイトの運営会社であるgooddo(株)から支援金として10円をお届けします。
お手数おかけしますが、お力添えいただけますようお願いいたします。
『紛争・貧困などによって困難に直面する子どもたち』
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