「かものはしプロジェクトへの寄付を考えている」
「でも怪しくない?本当に寄付して大丈夫?」
そのように思う方のために、gooddo編集部が「かものはしプロジェクト」について調べました。ホームページでの活動内容チェックやSNSでの口コミリサーチ、寄付の専門家にインタビューした内容を紹介します。
結論から申し上げると、かものはしプロジェクトは寄付先として信頼できる団体です。
その理由は、
・寄付者や支援者からの口コミ評判は良いものが多い
・様々なNPOを知る専門家からの評判も高い
・編集部で寄付の使い道や活動実績をリサーチしても十分な信頼が得られた
という点です。
かものはしプロジェクトへの寄付を考えていた方は、前向きに検討して大丈夫です!
かものはしプロジェクトの良い口コミ評判まとめ
かものはしプロジェクトの口コミ評判の良い面、悪い面の両方を紹介していきます。
まずは良い口コミについて紹介します。
かものはしさんの、素敵な取り組み。身近なアクションで、想いを馳せるところから。
(Twitterより)
アジアの人身売買については以前から気になっていたので,サポーターとしてささやかな支援をすることにしました。今の若い人もすばらしいですよね。(Twitterより)
かものはしプロジェクト理事長/JANIC理事長の本木さん。小さいNGOが必ずしも大きくなることによって社会的インパクトの増大を目指す必要はなく、むしろ小さいNGOとして現場と一緒に悩みぬくみたいな特性を大事にしていくことのほうが大事なのではないかという指摘。ナットク感が高い。(Twitterより)
日本のNPOセクターの最先端を常に走っているかものはしプロジェクト。だからこそ、こんな大胆なピボットを成し遂げられる。(Twitterより)
リサーチした結果、「かものはしプロジェクトは日本のNPOの最先端を走る素晴らしい取り組みをしている」という趣旨の投稿が確認でき、おおむねかものはしプロジェクトへの口コミ評判は良いものと確認できました。
かものはしプロジェクトの悪い口コミ評判まとめ
一方、かものはしプロジェクトの悪い口コミ評判 を紹介します。
悪い口コミ評判は、とても少なかったです。が、あえて悪い口コミ評判を挙げれば、このようなものがありました。
かものはしプロジェクトという広告を見てしまいました。僕のできることの小ささと、大きな無駄を垂れ流してしまっているところはすぐに寄付してやってほしいと思ってしまいます。(Twitterより)
つまり、「広告費に支出しないでその分を支援に回してほしい」という点が気になる書き込みと言えます。
専門家から見たかものはしプロジェクトの評価は?インタビューで徹底取材
悪い口コミ評判を踏まえ、かものはしプロジェクトについて大きく気になる点は2つ。
- かものはしプロジェクトの特徴は?
- 広告費を支出するくらいなら支援にまわすべきでは?
この点について、NPOに詳しい寄付アドバイザーの河合さんにお話を伺いました。
寄付アドバイザー:河合将生(まさお)さん
非営利団体の運営支援コンサルタント。寄付の講座を開催しその魅力を伝えている。
数々の団体の経営に携わりながら、自らもNPOに寄付を続ける。
※詳細なプロフィールは文末に掲載
インタビュー結果まとめ:かものはしプロジェクトは支援者との丁寧なコミュニケーションが特徴。組織として絶えず進化し、信頼もできる!
寄付アドバイザー河合さんへのインタビュー結果を先に紹介します。
問)かものはしプロジェクトの特徴は?
・どんな支援が必要かを絶えず問い進化している
・寄付者、支援者との丁寧なコミュニケーション
問)広告費を支出するくらいなら支援にまわすべきでは?
寄付を集めるには、広報活動を行う必要がある。
広報により課題や活動が多くの人の目に触れ、より多くの支援が集まる可能性が高まる。多くの支援が集まれば、多くのニーズに対応した活動を実現することができる。
詳しく紹介していきます。
インタビュー詳細1:かものはしプロジェクトの特徴は?
かものはしプロジェクトの特徴的な点は、以下の2つだと思います。
②寄付者、支援者との丁寧なコミュニケーション
順番に説明します。
①どんな支援が必要かを絶えず問い進化している
そもそもですが、非営利活動のゴールを設定するのは難しいものです。
どこまで問題や状況が変化するのか、最終的に問題が解決に向かったら活動を終えるのか、他に違う解決のアプローチを探索するのか、自ら問い続ける必要があります。
その点かものはしプロジェクトは、
・「より子どもが売られてしまう危険が高い層=農村部の最貧困層への支援」にシフトすることを長い議論の末に意思決定する
・新たな支援事業モデルを検討しながらコミュニティファクトリー事業を立ち上げる
・サポーターを募って支援する方式を採用する
・インドでの活動を開始するにあたり、2010年から調査を進め、2012年6月の総会で会員とともに決める
・カンボジアでは根本解決を目指し人身売買をなくすために現地警察と連携する
など、どんどん自分たちの活動内容を進化させて今に至ります。
今自分たちに何が求められ、何をすべきかを問い続けているという「取り組む課題の解決への真摯な姿勢、ストイックさ」が、かものはしプロジェクトが自分たちの活動を進化させられる理由かと思います。このような点は、とても特徴的だと思います。
②寄付者、支援者との丁寧なコミュニケーション
サポーターの数が多い、という事実は結果として素晴らしい点です。また団体目線ではなくサポーター目線に立っているとのいうも大きな特徴です。
「インド事業を開始する決定を総会で会員とともに決めた」というエピソードも「サポーター目線に立っていること」を象徴するものの一つでしょう。また団体の歴史も、サポーターの広がりとともに活動の展開が表現されており、サポーターとともに進めてきている印象を持ちます。
大きなイベントを開催して運営するのではなく、一見手間に思えるような丁寧で地道なコミュニケーションを選んでいる点も、初めて寄付する人からすると安心しやすいのではないでしょうか。
インタビュー詳細2:広告費を支出するくらいなら支援にまわすべきでは?
そもそも、NPOやNGOが支援事業を立ち上げて実施する場合はもとより、事業を続けていくうえで、寄付は、助成金や委託費、事業収益を充当することが難しい事業やそれらでは十分な財源を確保することができない場合、必要な財源となります。
そして、その寄付を募るための(活動)費用(ファンドレイジングコストとも言います)をかけることができるかどうかで、寄付を募るための活動がどのくらいできるかが変わってきます。
つまり、支援に必要な費用は、ただ待っていれば集まるわけではありません。費用を集めるには、広報活動を行う必要があります。
広報活動をすることで、課題や活動が多くの人の目に触れ、より多くの支援が集まる可能性が高まります。多くの支援が集まれば、多くのニーズに対応した活動を実現することができます。
そこで、効果的な手段の一つが「広告」を出すことです。もちろん、メディアに紹介してもらったり取材記事が出ること(無料でできること)も多くの人の目に触れる機会にもなります。
しかし、お金をかけて広告することで、伝えたいメッセージをきちんと団体側の意図と内容で掲載し、支援の必要性をより多くの人により効果的なタイミングと方法で届けられるのです。
また、広報にかけた費用に見合う寄付が集まっている(費用対効果がある)からこそ、広告などの有料の宣伝活動が行うことができている/継続して行われているとも言えるでしょう。
とはいえ団体のポリシーや予算の考え方、活動内容、事業や活動の規模、ファンドレイジングの目標金額等によって、広告費の割合はそれぞれです。
寄付を募るための費用(ファンドレイジングコスト:広告費や広報活動の人件費、通信費など)は「集めた/集める寄付金額の20%くらい」としている団体もあります。
かものはしプロジェクトの広告費もこの20%の水準に収まっています。
かものはしプロジェクトは怪しい?信頼できるかを調べてみた
次に気になるのは、かものはしプロジェクトは信頼できる団体かどうか?という点だと思います。
かものはしプロジェクトについての信頼性を確かめるために、編集部が独自に以下の3点について調査しました。
- 寄付の目的と使途が整合しているか?
- 情報開示を行っているか?
- 認定NPO法人を取っているか?
寄付の目的と使途が整合しているか?
かものはしプロジェクトでは、寄付金を以下のように使うとしています。
- インドで子どもが売られない仕組みをつくる
- 日本で虐待や貧困に苦しむ若者を支援する(2020年より)
2020年度支出は、全体で約3億3,000万円、そのうち6割以上がインド事業に充てられています。
寄付の使途について説明通りに使われていることが分かります。
また、支出の内、管理費は約19%。管理費は通常、団体の運営や広告活動に使われます。
一般的に助成金で認められている管理費の割合は2〜3割です。
かものはしプロジェクトでは、適正またはそれ以上の割合が事業費に使われていることが分かります。
つまり、かものはしプロジェクトは説明通りに寄付を使い、また支援活動に十分支出していることからも、信頼できる団体だと判断できます。
情報開示を行っているか?
かものはしプロジェクトは、17年分の年次報告書と財務報告書を作成し、ホームページ上で公開しています。
また、活動ブログで活動の様子や団体の考え方をこまめに発信したり、各ソーシャルメディアも活用しています。
積極的に情報公開及び発信をしていて、透明性が高いことがうかがえます。
認定NPO法人を取っているか?
かものはしプロジェクトは認定NPO法人を取得しています。
【認定NPO法人を取得するための要件】
- 運営組織及び経理が適切であること
- 事業活動の内容が適切であること
- 情報公開を適切に行っていること
- 事業報告書等を所轄庁に提出していること
- 法令違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと
認定NPO法人を取得するには、認定基準を満たした運営と体制が必要であり、公益性や信頼性などが前提となっています。
つまり認定NPO法人を取得しているかものはしプロジェクトは公益性があり信頼性が高いといえます。
かものはしプロジェクトへの支援・参加の方法
かものはしプロジェクトにおける年間活動費の約8割は、私たちのような民間・個人からの募金でまかなわれています。
また2019年度のかものはしプロジェクトの募金総額は約3.7億円。
寄付金のうち9割以上が個人の寄付になります。
かものはしプロジェクトの支援方法は主に以下の4種類です。
- ・寄付で支援する
- ・問題や活動をさらに知る(イベントや説明会に参加する、活動の映像を見るなど)
- ・時間や知識を使って支援する(職員、ボランティア、インターンとして活動するなど)
- ・その他の支援(本を寄付するなど)
今回は、かものはしプロジェクトを寄付支援する方法を紹介します。
サポーター会員として支援する
子どもを守り、問題を解決するためには、継続的な支援が必要です。サポーター会員は月々1,000円から始められます。実際、寄付金額の内、会費による支援が66%を占めています。
毎月の寄付はクレジットカード払いまたは口座振替が可能です。経費を削減してより多くの寄付金を現地の届けるため、カードをお持ちの方はカード支払いがおすすめです。手数料も無料になります。
自由な額を寄付する
好きな金額から寄付できます。銀行振り込みなら100円から、クレジットカードなら500円から支援できます。
かものはしプロジェクトは認定NPO法人です。寄付金および会費は、特定公益増進法人への寄付金として税制上の優遇措置があり、寄付金控除を受けられます。
遺言によって遺産を寄付する
かものはしプロジェクトでは、遺言によって遺産を特定の団体に寄付する「遺贈」での支援を受け付けています。かものはしプロジェクトが発行する領収証を添えて申告手続きをすることで、寄付をした財産には相続税がかかりません。
相続・遺贈・お香典で寄付をすることで、感謝の気持ちとして「感謝状」が送付されます。詳しくは公式サイトをご覧ください。(かものはしプロジェクト社会のために想いを託す相続・遺贈・お香典での寄付)
上記の他にも様々な支援方法がたくさんあります。寄付方法の詳細とあわせて、下記のページでご確認ください。
≫相続・遺贈・お香典での寄付についてはこちら
かものはしプロジェクトとは?
ここでは参考までに、かものはしプロジェクトについてあらためて紹介します。
かものはしプロジェクトは、強制的に子どもが売られてしまう問題を防止するために活動しています。世界の子どもたちが未来への希望を持って生きられることを目指しています。
強制的に子どもたちが売られてしまう問題とは
世界では100万人の子どもたちが「商業的性的搾取」の被害にあっています。「商業的性的搾取」とは、子どもたちがお金やものと引き換えに性的な行為を強要され、搾取されてしまうことです。
「商業的性的搾取」は、国連の定義の中でも「最悪の形態の児童労働」であると言われております。
かものはしプロジェクトはその中でも、子どもの「性的搾取を目的とした人身売買」(子どもが売られてしまう問題)を解決するために活動しています。
インド(2012~)
カンボジア(2002~2018)
日本(2020~)※調査と実験的な活動のみ。2022年より本格始動予定
かものはしプロジェクトの活動内容
かものはしプロジェクトの主な活動であるインド事業について解説します。
インド事業
(公式ホームページより)
インドでの事業は主に以下の4つになります。(※2019年度)
- サバイバーのリーダーシップ育成
- 子どもが売られない社会の仕組みづくり(タフティーシュ事業)
- 人身売買撲滅のための政府諸機関・NGO連携促進モデルの開発
- エコシステムマッピング調査
詳細を紹介していきます。
サバイバーのリーダーシップ育成プログラム

人身売買の被害者が、社会を変えるリーダーへと成長するのをサポートする事業です。性被害にあった女性たちの心の傷を癒し、彼女たちが自分の人生を取り戻すために、一人ひとりに寄り添った支援を実施しています。
具体的には、
・職業研修等のリハビリプログラム
・政府の補償スキームにアクセスする為のサポート
・サバイバーに対するリーダーシップ支援
などです。
子どもが売られない社会の仕組みづくり(タフティーシュ事業)

被害にあった女性たちが権利・正義を取り戻せるよう、刑事司法制度や福祉制度の強化に取り組む事業です。活動内容は、主に以下の3つにわかれます。
人身売買取締警察への働きかけ
トラフィッカーに関する調査
インドにおける人身売買が解決されない大きな理由は、加害者が罰せられずに「野放し」になっていることです。
特に、貧困の多い農村地域から子どもや女性を買い付け、売春宿のある遠く離れた都会の州へ売り飛ばす「トラフィッカー」と呼ばれる人々は、これまで適切に処罰されることがほとんどありませんでした。
かものはしプロジェクトは、現地パートナーやサバイバーと共に
・インドにおける加害者の捜査・裁判の仕組み
・被害者を支援する仕組み
を変えていくことに取り組んでいます。
人身売買撲滅のための政府諸機関・NGO連携促進モデルの開発

かものはしプロジェクトはパートナー団体とともに、人身売買被害者に関わる政府諸機関で構成されるグループを立ち上げました。
参加機関が各々の責務を果たすことを促し、人身売買犯罪の有罪判決率をあげ、同犯罪をなくしていく活動をしています。
エコシステムマッピング調査

人身売買のエコシステム(生態系)を把握するため、以下の2つの調査の実施を実施しています。
マハラシュトラ州の赤線地帯で、性産業を取り巻く実態調査
上記の調査結果にもとづいて、リハビリ事業の強化など、新たな取り組みが提案されています。調査結果の一部は、年次報告書で確認できます。(年次報告書はこちら)
(参考)カンボジアでの活動

(公式ホームページより)
かものはしプロジェクトは2002年からカンボジアで活動を始め、
・最貧困家庭の暮らしを守るコミュニティファクトリー事業
・孤児院支援、警察支援
を通し、カンボジアでの「子どもが売られてしまう問題」の解決の道筋をつくる活動をしてきました。
2018年3月末をもって「かものはしプロジェクト」としての活動を終了し、4月からNPO法人SALASUSUとして活動を続けています。
村の女性が自分たちの村から通って働くことのできる職場になります。女性たちが売られる危険をなくし、家族が出稼ぎに出なくても生活できるよう、立ち上げた工房です。雑貨を生産・販売して生活を安定させています。
まとめ:かものはしプロジェクトへの寄付が向いている人はこんな人!
ここでは、かものはしプロジェクトの評判や活動内容の紹介、専門家へのインタビューなどを行いました。記事で紹介した内容をまとめます。
- ・かものはしプロジェクトは「子どもたちが強制的に売られてしまう問題」に取り組んでいる。この問題に関心がある人にはとてもおすすめの団体
- ・実際にカンボジアの問題を改善に導いてきたなどの実績がある
- ・様々な活動報告がされており、寄付金がどのように使われているか具体的に分かる
「人身売買」という問題は、ものすごくショッキングですし、目を背けたくなるような現実です。
厳しい現実から逃げずに真摯に問題に向き合い、解決への取組みを前に進めようとするかものはしプロジェクトには、強烈な覚悟を感じます。
「人身売買という辛い現実を放ってはおけない」と感じる人に向いている寄付先です。
かものはしプロジェクトは今自分たちに何が求められ、何をすべきかを問い続け活動し、寄付者や支援者とも丁寧なコミュニケーションを取っています。
「取り組む課題の解決への真摯な姿勢を応援したい」
「サポーターを大切にする寄付先として安心できる団体を支援したい」
と考えるはぜひこの団体の公式サイト、覗いてみてくださいね。
【参考】かものはしプロジェクトの基礎情報
団体名 | 認定特定非営利活動法人かものはしプロジェクト |
所在地 | 〒150-0012 東京都渋谷区広尾5-23-5 長谷部第一ビル402号室 |
代表者名 | 理事長 青木健太 |
活動内容 | 世界中の子どもや若者達に対して、強制的な商業的性的搾取を中心とした児童労働、人身売買の被害にあうことを防止するための事業を持続的かつ発展的に行い、より多くの子どもや若者達が未来への希望を持って生きられる世界を実現させることを目的とする。 その目的を達成するために、国際協力、地域安全、職業能力の開発又は雇用機会の拡充支援、災害救援、社会教育の推進、人権の擁護又は平和の推進を行う。 |
寄付先の選び方ガイド:河合将生(まさお)さん
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー
大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。