大雨や台風の際に様々な情報を伝えてくれるのが気象庁や市区町村の発表ですが、わかりやすい目安の一つに「大雨特別警報」「警報」「注意報」というものがあります。
しかし、それらの情報はそれぞれどれほど危険度が高いのか、取るべき行動などを知っている人はまだ多くないという現状があります。
そこで、ここではそれらについて紹介したいと思います。
大雨・台風による被害や防災対策は?日本であった過去の災害とは
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大雨に関する警報や注意報とは
気象等の特別警報・警報・注意報などは防災気象情報と呼ばれ、大雨や暴風などによって発生する災害の防止・軽減のために発表されています。
これらの情報は防災関係機関の活動や住民の安全確保行動の判断を支援するために関係機関が常に意見交換を行い、発表のタイミングが決定されています。
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大雨特別警報・警報・注意報の違いは?
気象庁では対象となっている現象や災害の内容によって段階に分けて発表をしています。
それぞれの種類は以下の通りです。
発表情報 | 種類 | 警報級の可能性事象 |
特別警報 | 6種類 | 大雨(土砂災害、浸水害)、暴風、暴風雪、大雪、波浪、高潮 |
警報 | 7種類 | 大雨(土砂災害、浸水害)、洪水、暴風、暴風雪、大雪、波浪、高潮 |
注意報 | 16種類 | 大雨、洪水、強風、風雪、大雪、波浪、高潮、雷、融雪、濃霧、乾燥、なだれ、低温、霜、着氷、着雪 |
早期注意情報 (警報級の可能性) | 4種類 | 大雨、暴風(暴風雪)、大雪、波浪 |
(出典:気象庁公式サイト)
警戒レベルと取るべき行動
警戒レベル | 行動を促す情報 | 発令機関 | 取るべき行動 |
警戒レベル5 | 災害の発生情報 | 気象庁 | 命を守る最善の行動 |
警戒レベル4 | 避難勧告・避難指示 | 気象庁 | 避難 |
警戒レベル3 | 避難準備・高齢者避難 | 気象庁 | 高齢者は避難 |
警戒レベル2 | 注意報 | 気象庁 | 避難行動の確認 |
警戒レベル1 | 警報級の可能性 | 気象庁 | 心構えを高める |
(出典:気象庁公式サイト)
それぞれの警戒レベルで取るべき行動について説明します。
警戒レベル5相当
大雨特別警報
災害がすでに発生していることを示す警戒レベル5に相当します。
何らかの災害が、すでに発生している可能性が極めて高い状況となっています。
命を守るための最善の行動を取ることが求められます。
警戒レベル4相当
土砂災害警戒情報、高潮特別警報、高潮警報
地元の自治体が、避難勧告を発令する目安となる情報です。
避難が必要とされるのが警戒レベル4に相当します。
災害が想定されている区域等では、自治体からの避難勧告の発令に留意するとともに、避難勧告が発令されていなくても危険度分布等を参考に、自ら避難の判断をしなければいけません。
警戒レベル3相当
大雨警報、洪水警報、高潮注意報
地元の自治体が、避難準備・高齢者等避難開始を発令する目安となる情報です。
高齢者等の避難が必要とされるのが警戒レベル3に相当します。
災害が想定されている区域等では、自治体からの避難準備・高齢者等避難開始の発令に留意するとともに、危険度分布等を参考に高齢者等の方は自ら避難の判断をしましょう。
警戒レベル2相当
大雨注意報、洪水注意報、高潮注意報(警報に切り替える可能性に言及されていないもの)
避難行動の確認が必要とされる警戒レベル2です。
ハザードマップ等により、災害が想定されている区域や避難先、避難経路を確認してください。
警戒レベル1相当
災害への心構えを、高める必要があることを示す警戒レベル1です。
最新の防災気象情報等に留意するなど、災害への心構えを高めてください。
(出典:気象庁公式サイト)
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気象警報の発表基準とは
気象庁が発表する気象警報や気象注意報などの発表基準は、その時に起こっている災害に密接に結び付いた指標(風速、潮位、雨量指数など)を用いた上で設定されています。
警報や注意報の基準は、それぞれの市町村ごとに過去に起こった災害を全体的に調査した上で参考にし、重大な災害に発展する可能性がある値を警報の基準に、災害が発生する可能性がある値を注意報の基準に設定しています。
過去のデータによって、「風速がこの値を超えたら」「雨量がこの値を超えたら」というのが基準となるのです。
また、特別警報に関しては「数十年に一度」という極めてまれな状態を対象として設定されています。
特別警報の発表基準には「降水量、積雪量、台風の中心気圧、最大風速などについて過去の災害事例に照らして算出した客観的な指標を設け、これらの実況および予想に基づいて判断をする」とされており、以下のものが参考とされます。
(出典:首相官邸「特別警報と警報・注意報」)
(出典:気象庁公式サイト)
流域雨量指数
流域雨量指数とは河川の上流域に降った雨の量によってどれだけ下流域の対象となる地点の洪水危険度が高まるかを把握するための指標です。
全国約20,000の河川を対象にして、河川の流域を1km四方の格子に分けて測定されます。
そのマス目に降った降水量が地表および地中を通って河川を通じて流れ出し、河川を流れていく水量をタンクモデル、運動方程式を利用して数値化していくものです。
この流域雨量指数自体は相対的に見た洪水危険度を示す指標となりますが、ここで出た指標を大雨警報や洪水警報といった基準値と比較し、合わせて考慮することで洪水、水害の発生の危険度が判断しやすくなります。
流域雨量指数の計算については、全国の20,000ほどの河川流域の地表面を1km四方に分けたマス目で、それぞれの河川の上流域に降った雨が、河川に流出する量をタンクモデルを用いて計算を行います。これが「流出過程」です。
そして、河川に流出した水量が、河川を流れていく量を運動方程式などを使って計算します。
これが「流下過程」です。
こうして、計算で導かれる流下量の平方根をとった数値が、「流域雨量指数」となるのです。
ここで、計算に使用する地理的な資料としては国土数値情報における河川流路、地質、傾斜、土地利用などが参考にされます。
(出典:気象庁公式サイト「流域雨量指数」)
土壌雨量指数
土壌雨量指数とは、降った雨により土砂災害の危険度の高まりを知るための指標です。
大雨・豪雨などによって発生する土砂災害は、その時に降った雨だけでなく、それまでに降った雨によって土壌に含まれている水分量も関係してきます。
すでに降った雨が土壌中にどれくらい貯まっているのかをタンクモデルを使用して数値化したものです。
この指数は、各地にある気象台が発表する大雨警報、土砂災害、土砂災害警戒情報などの判断基準に利用されています。
ここで算出される指数自体は、相対的な土砂災害危険度を示した指標でしかありませんが、この指数と大雨警報などの基準と合わせて判断することで、土砂災害の発生の危険性を判断することができるようになります。
これらの判断基準は、それまでに起きた過去の土砂災害発生時の土壌雨量指数などを調査した上で設定されていますので、数値だけでは表されない地盤の崩れやすさなども、一定程度は反映されるようになっています。
土砂災害発生の危険度を判定した結果は「大雨警報(土砂災害)の危険度分布」を見れば確認できます。
(出典:気象庁公式サイト「土壌雨量指数」)
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命に関わる大事な情報を見逃さないように注意!
気象庁が発表する大雨特別警報、警報、注意報は災害時には安全を守るために非常に重要な情報となります。
テレビやラジオ、スマホなどを使ってこういった情報を的確に集めていくことが重要なのです。