日本では時折、極めて強い台風の暴風によって停電に陥ることがあります。台風のような自然災害が原因の大規模停電は、各地で電力の復旧に時間を要したり、停電範囲が被災した地域以外にも広がったり混乱や不安を招きます。
この記事では、台風で停電が起こる原因や復旧時間の目安、家庭でできる停電対策について紹介します。万が一の災害に備えて、家庭での停電対策を万全にしましょう。
大雨・台風による被害や防災対策は?日本であった過去の災害とは
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台風などの災害で停電が起こるのはなぜ?
ほかの先進国と比べて日本の停電は各段に少ないです。停電を経験したことがないという人や、そもそも停電が起こる原因を知らないという人もいるのではないでしょうか。
まずは、停電が起こる様々な原因について理解を深めていきましょう。
台風や大雨
台風や大雨は、停電が発生する可能性があります。
例えば、台風の強風で飛ばされた物によって電線が損傷したり、大雨で生じた土砂崩れで電柱・電線が損傷したりすることが原因で停電が発生することがあるのです。
また、大雨の被害を受けた地域では電気設備などが浸水することで停電になり、長期化した事例もありました。
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地震
地震の発生時にも、停電が起こることがあります。
地震時は、地面の液状化や家屋などが倒壊する影響によって、電柱や電線、地中に埋設されたケーブルが損傷し、停電が生じます。
また、被災した地域が広範囲に及ぶ場合、電力の復旧までには長い時間がかかるケースも珍しくありません。
落雷
落雷時にも、停電は起こります。
雷が電線などに落ちると、電線・変圧器といった電気を送るための設備が損傷し、各家庭に電力を送れなくなり停電が発生します。
電柱の破損
停電は送電線である電柱の破損などにより、電気の流れる経路が途絶することでも起こります。
電柱や電線などの破損による送電設備故障で生じた停電は、停電する地域が限定的であるため、復旧までの時間は比較的短いと言われています。
ただし、台風や大雨、地震などの自然災害では1ヶ所のみの破損ではないことがあるため、復旧までに時間がかかることもあり、注意が必要です。
需要・供給バランスの乱れ
停電は自然災害だけではなく、電力の需要と供給のバランスの乱れによっても生じます。
電気は貯蔵することができないことから、発電量と消費量は常に均等であることが必要です。
しかし、電力需要が供給能力を上回ってしまうと周波数が低下することから、発電機は自身を守るために電力供給系統から離脱します。
発電機が離脱すると電力の供給力が失われてしまい、需要のバランスがさらに悪化して広域な大停電に至りかねません。
発電機がすべて供給系統から切り離されてしまうと、復旧作業は至難の業となり、完全復旧までには数日を要します。
(出典:経済産業省「台風」と「電力」〜長期停電から考える電力のレジリエンス」,2020)
(出典:経済産業省「送電線「空き容量ゼロ」は本当に「ゼロ」なのか?~再エネ大量導入に向けた取り組み」)
(出典:経済産業省「日本初の“ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか」,2018)
台風による停電!復旧までにかかる時間の目安は?
台風による停電が生じたときに気になるのは、復旧までにかかる時間の目安です。
電力復旧までにかかる時間の目安は、台風の規模や被災した地域によって異なります。
経済産業省によると、2019年の台風15号では、電力復旧までに4日の期間を要しました。
台風の規模や被害状況によって、電力の復旧までに長く時間がかかることがあるため、台風時は停電に備えた対策を万全に行う必要があると言えるでしょう。
(出典:経済産業省「台風15号・19号に伴う停電復旧プロセス 等に係る個別論点について」)
台風による停電に備えて家庭でできる対策とは?
大きな台風が上陸した場合、停電はいつ発生するか分かりません。停電発生後、すぐに電力が復旧することもありますが、暴風雨の最中では復旧がままならないこともあるため、停電が長時間に渡り続く可能性も十分にあります。
そのため、万が一の災害でも慌てずに対処できるよう、台風に備えた停電対策を各家庭で行うことが重要です。
水や食料の備蓄の用意
台風では、電気だけでなく、ガス、水道といったライフラインが止まる可能性が十分にあります。
そのため台風が来る恐れがある場合は、飲料水や保存の効く食料や生活必需品など備蓄を人数分用意しておきましょう。
首相官邸が推奨している食料・飲料水、生活必需品の備蓄例(1人分)は以下の通りです。
非常用として防災食を用意すると便利ですが、台風などある程度災害の予測ができる場合には、普段の生活の中で利用している食品や飲料水を多めに備蓄しておくと良いでしょう。
ただし、大規模災害が発生すると、3日分の食料や飲料水では足りないこともあり、1週間の備蓄が望ましいと言われています。
また、飲料水とは別に、トイレなどで使う生活用水も必要となります。
台風が来るときは、お風呂の水を張ったり、水道水を入れたポリタンクを用意したりと、水を蓄えておきましょう。
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ろうそくやマッチ、カセットコンロの用意
ガスが止まってしまうと、火を使うことができません。そのため、ろうそくやマッチ、カセットコンロなども必要となるでしょう。
ただし、ろうそくやマッチ、カセットコンロは火災の原因となる可能性があるため、使用する際は最大限の注意を払うようにしてください。
避難用持ち出しバッグの用意
自宅が被災した場合、安全な場所に避難し、避難生活を送る必要があります。そのため、避難用持ち出しバッグを手の届く場所に用意し、いつでも避難できるようにしましょう。
首相官邸が推奨している避難用持ち出しバックの例(1人分)は以下の通りです。
避難場所やルートの把握
災害の種類によって安全な避難場所は異なります。
慌てず落ち着いて避難をするためにも、住んでいる自治体のホームページや防災ハザードマップから、避難場所や避難経路を事前に把握しましょう。
また、あらかじめ車のガソリンを満タンにするなど、移動手段を確保しておくことも大切です。
懐中電灯や家庭用蓄電池
台風では暴風により、停電が起こりやすくなります。いつ停電になっても良いように懐中電灯や家庭用蓄電池などを必ず用意しましょう。
特に夜間は明かりがないと転倒の危険性があります。台風が接近している深夜は、枕元に懐中電灯を置いて眠ることがおすすめします。
乳児用オムツや薬、非常用トイレなど
台風は事前に予測できる自然災害です。乳児用オムツや薬、非常用トイレなど、各家庭で必要なものは必ず用意をしておきましょう。
また、女性は生理用品なども多めに準備しておくと安心です。
ラジオやスマホアプリの活用
停電の被害が起こった場合、テレビは利用することができません。
最新の情報や復旧見通しを収集するためにもラジオやスマホアプリを最大限に活用しましょう。
あらかじめ充電は満タンにしておき、スマホの場合はバッテリーを低電力モードに切り替えて消費電力を抑えて使用すると良いでしょう。
(出典:首相官邸「災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!」)
(出典:首相官邸「災害の「備え」チェックリスト」)
(出典:政府広報オンライン「災害時に命を守る一人一人の防災対策」)
台風や停電で避難が必要かどうかの判断は?
台風で避難が必要か迷う人は、国や都道府県が出す防災気象情報、および市町村が出す避難情報の警戒レベルを見て判断しましょう。
警戒レベルは5段階に整理されており、避難が必要となるレベルは、警戒レベル3からとなります。
災害による危険の恐れがある場所に住む人は、警戒レベル3では「避難に時間を要する高齢者や障がいを持つ人など」、警戒レベル4では「全員」が安全な場所へと避難しなければいけません。
台風時は特に激しい暴風雨に見舞われるため、避難には十分な時間が必要となります。警戒レベル5はすでに災害が起きていることを示し、命を守るための最善の行動が必要です。警戒レベル4を確認したら、早めの避難を行いましょう。
(出典:内閣府「警戒レベル4で全員避難‼」)
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台風による停電対策は万全に!
台風による突然の停電時には、非常に不安な時間を過ごすこととなります。
しかし、台風は進路を予測することができるため、台風による停電対策をあらかじめ行うことができるでしょう。
台風の進行方向に住んでいる人は、停電対策をしっかりとって台風に備えていきましょう。