日本では、台風を番号で呼ぶことがほとんどですが、名前がついていることを知っている人は多くないのではないでしょうか。
実はすべての台風に番号と一緒に名前がつけられていました。
この記事では、台風の名前はどのように決められているのか、なぜ命名されるのかを紹介します。
大雨・台風による被害や防災対策は?日本であった過去の災害とは
なお、大雨・台風などの大規模災害の被災地支援に関心があるという方は、まずは気軽に支援に参加してみませんか?
約30秒のアンケートに回答いただくと、救助・救命活動を行う、医療を軸とした災害緊急支援プロジェクトに10円の支援金が届きます。記事を読み進める前にぜひお試しください!
\たったの30秒!/
台風には名前がつけられている!
近年、毎年のように猛威を奮い、様々な被害をもたらしてきた台風ですが、台風を呼称する上で使われるのが番号です。
「令和○年台風第○号」のように気象庁が発表し、気象庁の公式サイトや天気予報など各メディアで報道されます。
そのため一般的には番号で認識されますが、各台風には名前がつけられており、気象庁では台風の番号と同時に名称も公表しています。
【簡単3分スタート】毎日使う電力を節約しながら自動的に社会のために活動する団体に寄付
なぜ台風にアジア名をつけることになったのか?
台風が発生した際には、番号だけでなく名前も付けられますが、その由来はアメリカにあります。
アメリカでも多くのハリケーンが発生します。その際、アメリカでは人名(女性名)を付けることが慣例となっています。
国土交通省によると、1946年から1952年までの6年間はアメリカの占領下に置かれていたため、その慣例にならい、台風にも番号のほかに英語名をつけることを強要されていたと言われています。
実際、アメリカの占領下にあった6年間に発生した台風の中でも、カスリーン(1947年)・アイオン(1948年)・キティ(1949年)・ジェーン(1950年)・ルース(1951年)は番号ではなく台風名が正式名称として残っています。
これらの5つの台風は、甚大な被害をもたらしたものとして記録され、英語名が残ることとなりました。
その後も台風に名前をつけるという慣習は続きましたが、北西太平洋や南シナ海で発生した台風防災に関する各国の政府間組織として位置づけられている台風委員会が、2000年から、この領域で発生する台風に共通のアジア名をつけることで統一しました。
この委員会には日本を含む14ヶ国などが加盟しています。
このように統一するに至った経緯は、国際社会への情報に台風委員会が決めた名前を利用することで、アジア各国や地域の文化の尊重と連帯の強化、相互理解を推進することを目的としています。
また、アジアの人々に馴染みのある名前をつけることで、人々の防災意識を高めることも意図しています。
(出典:気象庁「台風の番号とアジア名の付け方」)
(出典:国土交通省「台風の名前は外国人女性!?」)
台風の名前と番号のつけ方
台風委員会では、アジアで使う名前のつけ方(アジア名)にルールを定めています。
番号については気象庁からも発表されており、毎年1月1日を切り替え日として設定しているのです。
1月1日以降に最も早く発生した台風を第1号として、発生順に番号をつけています。
ただし一度発生して勢力が衰え、「熱帯低気圧」になった後、再度発達して台風になった場合は同じ番号をつけます。
台風の名前(アジア名)は一覧から命名
台風委員会では、加盟している14ヶ国などから提案された名前を一覧として140個の名称をリストにしたものが用意されています。
このリストの1番から順に、台風が発生した際の名前をつけていきます。
例えば、2000年の台風第1号にはカンボジアで象を意味する「ダムレイ」という名前がつけられました。
各加盟国から10個ずつの提案された名前を1から140まで14個で1セットとし、140個の名前が使用されたら、また1に戻るという形式です。
台風の年間発生数は平年値で25.6個なので、140個だと約5年で台風のアジア名が一巡することになります。
日本が提案した名前とアジア名の使用上のルール
台風委員会でリストにした140個の中には日本から提案した10個の名称も含まれています。
このアジア名として採用する基準として文字数が多すぎないこと、音節が多くなくて発音しやすいこと、ほかの加盟国や地域の言語で感情を害するような意味を持たないことなどが条件です。
文字数が多すぎないことというルールに関しては「アルファベット9字以内」と定められています。
これらの条件をもとに、日本は「星座名」に由来する名前を提案しました。それが、「コイヌ・ヤギ・ウサギ・カジキ・カンムリ・クジラ・コグマ・コンパス・トカゲ・ヤマネコ」の10個です。
星座名にした理由としては、特定の個人や法人の名称、商標、地名、天気現象名でない「中立的」な名称であり、自然の事物であって比較的利害関係が生じにくく、天空に大気現象である台風のイメージ上の関連があり、人々に親しまれていることが挙げられています。
これらを含む140個が約5年で繰り返し使用されていますが、甚大な被害などをもたらした台風につけられた名前は、台風委員会の加盟国あるいは地域により要請を受けることで、以後使用しないように変更することがあります。
また、アジア名は台風委員会の管轄にある北西太平洋または南シナ海で起こった台風に使用される名称です。
そのため発達した熱帯低気圧が東経180度より東、あるいは東経100度より西の領域から北西太平洋に侵入してきた際は、各領域を担当する気象機関がつけた名前を継続して使用し、140個の中から名づけません。
実際にこれまで発生した台風の中には、リストに記載された名前がついていない台風もあります。
(出典:気象庁「台風の番号とアジア名の付け方」)
【簡単3分スタート】毎日使う電力を節約しながら自動的に社会のために活動する団体に寄付
日本独自で名前がつけられた台風
日本の気象庁でも台風が発生した際には、台風委員会がルールに則り、台風の名称を公開します。
ただし、その台風が日本の各地に甚大な被害をもたらした場合は、被害発生後に別の名称をつけることがあります。
かつては「洞爺丸台風」や「伊勢湾台風」など被害を受けた場所や地域を名称としていました。しかし近年は、「令和元年房総半島台風」や「令和元年東日本台風」のように元号と場所や地域を合わせて命名することもあります。
(出典:気象庁「気象庁が名称を定めた気象・地震・火山現象一覧」)
台風の名前を知り防災の意識を持とう
台風委員会では台風に対しての防災意識を持ってもらうため台風に馴染みのある名前を付けています。
台風は非常に危険な災害であり、勢力の強弱に関わらず警戒しなければいけません。
これまでに台風の接近や上陸、通過によって様々な二次災害が起こってきました。日本は特に台風がよく接近する島国であるため、災害の経験も多い国です。
そのため、気象庁などでは台風情報や予報、避難情報などが高い精度で準備されています。
しかし、これらの情報を私たちが防災意識を持って活用しなければ、命を守ることはできません。
気象庁では台風が発生する前の熱帯低気圧の発達段階から注意を呼びかけ、台風が発生すれば細かい情報を数時間おきに発信しています。
また、台風が接近すれば、注意報や警報も出されるため、市区町村はハザードマップに基づき、避難準備や避難勧告、避難指示を出し、警戒レベルでの発令も行っています。
これらをもとに安全に避難、行動して自分や家族の命を守らなければいけません。
気象庁や政府オンラインでは、食料品や飲料水の備蓄や非常用バッグとその中身の準備、ハザードマップを確認の上、避難経路と避難場所を複数確保しておくなど、事前に備えておくことを推奨しています。
台風が発生したら、最新の情報を注視し、窓や扉の補強、飛びやすいものの格納や固定なども行ってください。
また避難準備が出た時点で、雨風が強くなる前に避難をしてもいいでしょう。空振りに終わるかもしれませんが、それを恐れず命を守るために行動しましょう。
(出典:政府広報オンライン「大雨や台風の気象情報に注意して早めに防災対策・避難行動を行いましょう」)
(出典:気象庁「自分で行う災害への備え」)
【簡単3分スタート】毎日使う電力を節約しながら自動的に社会のために活動する団体に寄付
台風の名前と一緒に台風情報を確認して災害に備えよう!
台風には番号以外にも名前がついており、それは私たちの防災意識を持ってもらうことも理由に挙げられていました。
近年の台風は、私たちの生活を脅かすものも多く、多い年にはいくつもの台風が日本に接近、通過していきます。
台風への備えや避難は重要なことであり、私たちは常に台風の発生に対してその意識を持つことが必要です。
台風への興味や危機感を持って、最新の台風情報は常に気にしていけるように、高い意識を持ちましょう。