地球温暖化への対策は様々なところで行われています。なかでも電気事業は発電などの観点から二酸化炭素を排出する原因にもなるため、取り組みも一層力を入れています。
この記事では、電気事業で実際にどのような取り組みが行われているのか紹介します。
地球温暖化のメカニズムや原因、現状は?私たちへの影響やすぐにできる対策も解説
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地球温暖化対策としての電気事業の取り組み
地球温暖化は温室効果ガスの発生が原因となり起こります。
温室効果ガスの成分には二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素、フロンガスがありますが、特に主成分でもあり大量に放出されて影響を与えているのが二酸化炭素です。
二酸化炭素は私たちの生活にとって欠かせないエネルギーを得る過程で発生するものが半数以上を占めています。
また森林伐採や土地利用変化なども二酸化炭素の増加に関係しており、私たちは生活していくうえでの二酸化炭素の発生について考えなければいけません。
エネルギーは私たちが節電などを心がければ、抑えることが可能です。同時にエネルギーを作り出して販売している電気事業も、取り組みを行うことで二酸化炭素を抑えることができます。
そこで、電気事業連合会加盟会社や電源開発株式会社など電気事業者が協力し、低炭素社会の実現に向けた自主的枠組みとともに、「電気事業における低炭素社会実行計画」を策定し、電気事業では低炭素社会に向けた取り組みを2015年に開始しました。
またその実行計画で掲げた目標の達成に向け、取り組みを推進するために、2016年には電気事業低炭素社会協議会も設立しています。
地球温暖化対策の基本的な考え方
電気事業における低炭素社会実行計画では、協議会や会員事業者としてPDCAサイクル(※)の推進することで、目標達成の実効性を上げていくことを取り組みの主幹としています。
そのうえで、S+3Eの同時達成と最適なエネルギーミックスを求め、低炭素社会に向けた需給両面の取り組みを進めてきました。
S+3Eは安全性(Safety)を地盤として、安定供給確保(Energy security)、経済性(Economy)、環境保全(Environmental conservation)の3つをまとめたものになります。
これらを同時に満たせるエネルギーミックスを、PDCAサイクルを持って追求していくことが基本的な考え方の一つです。
需給両面の取り組みについては需要面と供給面の2つに分けられます。
需要面では、低炭素社会に資する客への省エネ・省CO2サービスの提供や革新的技術の開発への取り組みが進められています。
また供給面では安全の確保をした原子力発電の活用や再生可能エネルギーの活用、火力発電の高効率化などが挙げられています。
※PDCAサイクル:方針・計画(Plan)、実施(Do)、点検(Check)、是正・見直し(Act)の4つのプロセスを繰り返し行うこと
地球温暖化対策の具体的な取り組み
低炭素社会実現への実行計画は、国内の企業活動における取り組み、主体関連系の強化、国際貢献の推進、革新的技術の開発の4つに分けられています。
国内の企業活動では、非化石エネルギーの利用を広げることや電力設備の効率向上、省エネ・省CO2サービスの提供が計画に盛り込まれています。
安全の確保をした原子力発電や再生エネルギーの活用が非化石エネルギーの利用拡大のための取り組みです。
またエネルギーを主に生成している火力発電に関しても、高効率化を行うことで二酸化炭素の発生を抑えつつ、多くのエネルギーを作り出せるように取り組みが行われています。
主体関連系の強化とは、高効率電気機器などの普及や省エネ・省CO2のPR・情報提供、電気使用の効率化のためのスマートメーターの導入など省エネルギーを行うための連携が挙げられています。
加えてオフィス消費電力や自社保有車輌消費燃料の削減を電気事業者が使用者として取り組みを行っています。
国際貢献の推進としては、国際パートナーシップ(GSEP)活動で途上国の低炭素化の支援や、電力技術の開発・導入などによる地球規模での低炭素化などを国際的な取り組みとして推進してきました。
そして革新的技術の開発としては原子力利用のための技術開発、環境への負荷を減らす火力技術、再生可能エネルギー大量導入への対応などの研究開発が行われています。
このような計画が2016年にはすでに動き始めていましたが、2017年には会員事業者数42社となり、販売電力量の実に98.1%もカバーして取り組みが進められてきました。
(出典:気象庁「温室効果ガスの種類」)
(出典:経済産業省「電気事業における地球温暖化対策の取組み」,2017)
地球温暖化対策の目標と進捗評価
地球温暖化への対策としての電気事業者による取り組みは、初年度からCO2排出量に対して変化もたらしました。
CO2の排出量が2015年には4.41億トンだったものが2016年には4.31億トンとおよそ1,000万トンもの削減に成功しています。
これは電力量が2015年の8,314億kWh(キロワット時)から2016年の8,340億kWhまで増加しての結果のため、着実な成果を残していることが分かります。
また電源別電力量などの実績を見ても、火力によるエネルギー販売量は2015年の7,239億kWhから7,013億kWhと減少し、原子力発電やそのほかの発電が増加することで補っているというデータもあります。
一方で初年度の課題は、FIT電源を含む再生可能エネルギーの電力量がわずかに減少していることです。
火力発電と比べても、その電力量は5分の1から6分の1程度であり、今後火力発電を支えるエネルギーミックスの新たな主役としては残念な結果となりました。
このような結果を元に、国内の電気事業による取り組みでのCO2削減目標は、2つ掲げられています。
1つ目は2030年度における政府が示す長期ネルギー需給見通しに基づき、国全体の排出係数を0.37キログラム-CO2/kWh程度を目指すことが挙げられています。
これは電力使用において1kWhで二酸化炭素が0.37kg程度に抑えられるようにするということです。
2つ目は、火力発電所を新設する際に経済的に利用可能な裁量の技術を発電施設の規模に応じて活用し、約1,100万トン-CO2の削減を見込むものとしています。
(出典:経済産業省「電気事業における地球温暖化対策の取組み」,2017)
地球温暖化対策は一人ひとりが意識して取り組むべき問題
電気事業では地球温暖化への対策を講じ、評価をしていくことで効果的な取り組みを進めています。
現状では結果も出てきていますが、電気事業者だけが地球温暖化への取り組みを行えば問題が解決するわけではありません。
地球温暖化の原因は私たちの生活も関係しています。私たちが行う人間活動についても対策を講じて、温室効果ガスの発生を抑えるための取り組みを進めていくことが解決につながります。
一人ひとりが意識した取り組みをするためにも、どのような取り組みが行われており、自分たちが協力できることは何なのか考えたうえでの行動を取ることが必要です。
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