食品ロスの現状と問題点 | 発生する原因や日本と世界の取り組みを解説


 

世界では、飢餓による問題が深刻になっています。貧困や紛争など様々な要因で食糧が得られず、栄養不良などを起こしている人がたくさんいます。

その一方で生産された食糧を消費しきれず廃棄せざるを得ない「食品ロス」も国や地域によっては起こっており、問題視されています。
食品ロスは日本を始め、世界の先進国や途上国でも起こる問題であり、飢餓と同様に解決のため様々な取り組みが行われています。

この記事では、食品ロスとは何か、そしてその現状や行われている取り組みについて見ていきます。

消費や生産の問題点とは?リサイクルや食品ロスの問題について解説

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世界中で深刻な食品ロス(フードロス)とは?


世界ではおよそ79.5億人が生活していますが、2022年時点で10人に1人である約8億2800万人が飢えに苦しんでいます*。
後進国や途上国と言った貧困に苦しむ国や農業が主となる国で多く見られ、食糧不足により、飢餓に陥っています。

その一方で先進国では毎年多くの食糧が生産されていますが、すべて消費されるわけではなく、余ったものは廃棄されることが多いのです。
このように途上国では貧困や気候変動、紛争など様々な理由で食糧が不足する食の不均衡が起きており、先進国では過剰に生産され余ってしまった食糧が廃棄される「食品ロス(フードロス)」が起きています。

  • 世界人口の10人に1人にあたる約8億2800万人
  • 後進国や途上国では飢餓が深刻な状況にある
  • 一方先進国では消費されずに廃棄となる食品が多く「食品ロス」が問題視されている

(*出典: 国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)、国連世界食糧計画(国連WFP)による共同制作の報告書「世界の食料安全保障と栄養の現状」

食品ロス(フードロス)の現状


世界では毎年40億トンの食糧が生産されていますが、これは全人口の食を賄うには十分な量です。
にもかかわらず、実際は食料が余る国と食料が不足する国が存在するのは、食品ロスが原因の一つとされています。

食品ロスが多く起こる先進国では、人口の食料を賄うため大量に食料が生産され、自給できないものについては輸入を行います。
つまり40億トンもある食料の多くは、収入があり消費が見込まれる先進国に集中するのです。しかしこの食料は消費者自身や小売店などの流通の過程で余ったものは廃棄されてしまいます。

世界では食品ロスを含め食品廃棄物の量は13億トンにものぼり、年間の生産量を40億トンとすると、その約3分の1は廃棄されていることになります。
この食品ロスは何も先進国だけの問題ではありません。途上国でも同様に食品ロスが起こっています。
理由については後述しますが、先進国でも途上国でも食品ロスが起こっていることで、生産された食糧がすべて行き届かず、食糧不足となる地域ができてしまっているのです。

日本の食品ロスの現状

世界での食品ロスも大きな問題ですが、日本国内でも相当量の食品ロスが生まれています。
日本では2019年の食品廃棄物が年間2,510万トンも出ており、そのうちの570万トンが食品ロスとされています。

そして、その中でも261万トンは家庭から出た食品ロスであると報告されているのです*。
この問題は餓飢ゼロを掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の目標2の達成においても日本、そして世界が一丸となって解決すべき課題となっています。

  • 世界の食品廃棄物の量は年間13億トン
  • 食品ロスは先進国と発展途上国で原因が異なる
  • 日本は食品廃棄物が年間2,510万トン、そのうち食品ロスが570万トン(2019年)

(出典:国際連合世界食糧計画(国連WFP)「考えよう、飢餓と食品ロスのこと。」,2018)
(*出典:農林水産省 食品廃棄物等の利用状況等(令和元年度)

ここまで、食品ロス問題の現状についてご紹介しました。もし食品ロス問題について理解を深めたい方は、下記の本をチェックしてみるのもおすすめです。

食品ロス問題について、イラスト付きで分かりやすく解説されています

食品ロス(フードロス)が発生する原因と必要な対策


先述したとおり、食品ロスが発生する原因は先進国と途上国では異なります。
そうなると必要な対策もそれぞれ違ってきます。
食品ロスについて考えていくためにも、それぞれの立場での原因と必要な対策を見てきましょう。

先進国で食品ロスが発生する原因

先進国での食品ロスが起こる原因は様々あります。
まず挙げられるのが、生産段階で需要を越える量を生産してしまう過剰生産です。
しかし農業である以上、凶作になる可能性も考えると、量の調整はなかなか難しいところがあります。

また先進国での食品ロスは生産段階よりも加工段階や流通・消費段階の方が多くなると言われています。
加工段階で生鮮食品に対して「外観品質基準」という厳しい基準が設けられているため、これに適さないとそれだけで廃棄につながってしまうのです。

本来であればここからリユースやリサイクルをすべきですが、コストがかかるため廃棄した方が安く済むというのも要因の一つです。
小売り段階では大量陳列と幅広い品数により、どうしても消費されない食品が出てきます。そうなると残ったものは廃棄されることになります。

さらに購入されたとしても無計画に購入すること、簡単に捨てる余裕があることから消費者は食品を余らせてしまい廃棄してしまうことが多いのです。
このように様々な要因が重なり、先進国の食品ロスは発生しています。

必要な対策

食品ロスを減らすためには様々な工夫をすることが大切です。
例えば外観品基準を満たさず商品として流通できないものでも、そのような商品でも購入する人はいるはずです。
そのため価格を抑えて売る、加工して外観に関係なく食べられるものにリサイクルを行うことでロスを抑えることができます。

また小売店舗では過剰に商品を陳列せず、マーケティングを行い、需要に合う品数を揃えることも大切です。
一方で、食品ロスの半分を占める消費者側の対策も重要となります。
家庭での取り組みとしては買い物前に冷蔵庫の中身などを確認し、過剰に食品を購入しない、必要な食べきれる量だけ購入するようにする工夫が必要です。

さらに消費期限と照らし合わせ、利用予定を立てることも同時に行っておくと良いでしょう。
ほかにも食品ごとに適切な保存方法をとることや、野菜を冷凍や乾燥などの下処理をしておく、残っている食材から使うなどの対策を行い、食品ロスを極力減らす努力が求められます。

途上国で食品ロスが発生する原因

途上国での食品ロスは生産や加工段階での廃棄が圧倒的に多いとされています。
収穫技術の問題で生産しても収穫しきれず腐って廃棄することになってしまいます。また保存設備や加工設備が不足していることから貯蔵や加工できず廃棄しなければならないものも出てきます。
輸送手段が整備されていないことから、生産しても過剰となってしまい、これもまた廃棄が発生する原因となってしまっているのです。

流通段階での廃棄も起こります。非衛生的な店舗であることから食品がもたないこと、マーケティングシステムが不十分で、必要な場所に必要な量の食品が行き渡らず、その分が余ると食品ロスとなってしまうこともあります。
ただ消費者の廃棄も含め、こちらはそれほど多くありません。

必要な対策

途上国では、農業に対する技術支援やインフラ、保存設備、加工施設などの整備などを行うことで大きく改善します。

生産段階、加工段階で食品ロスが出ている理由は明確であるため、そこを改善することが食品ロスを改善する近道です。
ただし食品が市場に多く出回るようになれば、そこでの食品ロスが増える可能性があるのでマーケティングシステムの構築も必要になります。

  • 食品ロスを減らすためには先進国、途上国ともに様々な工夫が必要
  • 先進国では小売・生産側の努力と消費者側の努力の双方が必須
  • 途上国ではインフラの整備や設備の拡充などが課題

(出典:政府広報オンライン「もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう」,2019)
(出典:国際連合世界食糧計画(国連WFP)「食品ロスと飢餓〜「食の不均衡」について考える〜」)

食品ロス(フードロス)を削減するための日本の法律


食品ロスを削減するため、日本では2つの法律が設けられています。それが食品ロス削減推進法と食品リサイクル法です。
それぞれ内容や対象となる相手が異なるため、2つの法律についてそれぞれ紹介します。

食品ロス削減推進法とは

食品ロス削減推進法は正式には「食品ロスの削減の推進に関する法律」と名づけられた法律です。
2019年10月1日に施行された新しい法律となります。
この法律では、食品ロスの定義や施策による食品ロス削減の推進、基本的な方針や施策などが盛り込まれています。

これは食品ロスの削減に関して、国や地方自治体などの責務などを明らかにしつつ、基本方針の策定や食品ロス削減に関する施策の基本事項を定め、総合的な推進を目的としているためです。

(出典:消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律の概要」,2019)
(出典:農林水産省「食品ロスの削減の推進に関する法律」の施行及び本年10月の食品ロス削減月間について」,2019)

食品リサイクル法

食品ロス削減に関してはここ数年で取り組みが増加していますが、食品関連事業者に向けては食品リサイクル法が適用され、以前から食品ロス削減の取り組みが行われてきました。
この法律は2001年に施行、2007年に改正されており、20年ほど前から実施されています。

食品リサイクル法は食品の売れ残りや食べ残し、あるいは食品の製造工程で大量に発生している食品廃棄物に関して、発生抑制と減量化を行い、最終的に処分する量を減少させることを目的とした法律です。
また処分となってしまったとしても飼料や肥料などの原材料として再利用するなど、食品循環資源の再生利用を促進する目的も盛り込まれており、削減と再利用を推進する取り組みが進められてきました。

  • 食品ロスを削減するため、日本では2つの法律がある
  • 食品ロス削減推進法は2019年10月に施行された新しい法律
  • 食品リサイクル法じゃ2001年に施行され食品関連事業者が対象となる法律

(出典:農林水産省「食品リサイクル法」)

食品ロス(フードロス)を削減するために消費者の私たちができること


食品ロスを削減するためには企業努力が必要ですが、私たち消費者側もできることを行っていかなければいけません。
そうでなければ、食糧の廃棄の多くを占める家庭からの食品ロスが減らないどころか、事業者側の食品ロスも減っていかないのです。

私たちが食品ロスを減らすためにできることを、状況ごとに紹介します。

買い物のときにできること

買い物に行く前に冷蔵庫のチェックを行うようにしましょう。
これにより、まだ残っている食材を誤って買ってくることはなくなりますし、買いすぎの防止にもなります。メモを書くか、スマホで冷蔵庫の中身を写真で取っておくのも有効です。

またまとめ買いをすると食べきれない、使い切れない食材が出てくる可能性があるため、購入する際は食べきれる使いきれる量だけにしましょう。
さらに、スーパーでは陳列の手前から奥に向かって賞味期限、消費期限が長いものを置いています。
手に取る際には利用予定と食品の期限表示を照らし合わせ、奥から取るのではなく手前から取るように心がけることで企業、家庭ともに廃棄されるものが少なくなります。

調理のときにできること

調理をするときはまず残っている食材から使うようにしましょう。
冷蔵庫の中を見渡してまだ使っていない食材や、期限が近い食品を使うことで廃棄が少なくなります。
また食べきれる分だけ作るように心がけることも大切です。どうしても食べきれない場合は、冷凍して後日食べられるようにするなどの工夫をしてみましょう。

食材の過剰除去を防ぐために、食材を無駄にしないレシピや使いきりレシピなどを検索して使ってみるのも手です。
調理技術の不足による失敗などでの廃棄はやむを得ないところもありますが、そんなときはレシピをよく確認して次は失敗しないようにすることも意識していきましょう。

保存のときにできること

冷蔵庫や収納庫での保存は、適切な保存方法で長持ちする方法を選択することが重要です。
長期間保存する場合には冷凍や乾燥、塩漬けなどの手段がありますが、適切な方法を選ぶためにもインターネットなどで調べて間違いのないよう注意が必要です。

またこのとき、できるだけまとめて下処理をすることで食品ロスを減らす工夫ができます。
冷蔵庫に保存するときには賞味期限や消費期限が近いものを手前から奥に置くことで、使い忘れを防止する工夫ができます。
食べ切れなかった料理も冷凍保存する場合には忘れないよう置く場所を工夫すると良いです。

外食するときにできること

外食時には、食品ロス削減に積極的な店を選ぶことを心がけるだけでも、食品ロスを減らすことにつなげられます。
注文するときは食べられる分だけ注文するようにしましょう。

さらに宴会などでは食べ残しが出やすいため、料理を美味しく食べきる食べ切りの呼びかけをすることも大切です。
3010運動という、最初の乾杯から30分と宴会が終わる10分前には席について料理を楽しむという運動も推奨されています。

どうしても食べきれないとき

買いすぎや贈答品が余ってしまい、食べきれない場合には後述する「フードドライブ」への寄付やおすそ分けをすることを検討しましょう。
せっかく買ったのに、もらったのにと思っていても消費しきれず捨ててしまうのでは、元も子もありません。
親戚や近所におすそ分けをすることでそれらを有効に消費してもらえるのであれば、余りものをそのままにせず、こちらも積極的に行っていく必要があります。

(出典:環境省「食品ロスを減らすために、私たちにできること」)
(出典:環境省「消費者向け情報」,2019)
(出典:消費者庁「食品ロス削減関係参考資料」)

フードドライブとは

フードドライブは買いすぎや贈答品が余ってしまったなど家庭で余っている食べ物を学校や施設に持ち寄り、地域の福祉団体やフードバンクなどに寄贈する活動です。
缶詰やお米、お餅、乾物、飲料、お菓子など様々なものを寄付できますが、集める食品の条件もあるので注意してください。
また住んでいる地域の自治体がこの活動を行っているか、調べておくことも大切です。

  • 食品ロスを減らすためには事業者と消費者の双方の努力が必要
  • 買い物、調理、外食など日ごろの生活からできる取り組みをしよう
  • フードドライブの活動を行っている自治体もある

(出典:独立行政法人国民生活センター「環境志向の消費生活考 もったいない!食品ロス」)

また余った食品が発生した場合は、フードバンクに寄付するのもおすすめです。

フードバンクとは、様々な理由で一般流通しない食品を企業から寄贈してもらい、支援を必要としている施設や世帯などに無償で提供する団体です。個人からの寄付も受け付けているため、気になる方はぜひ下記記事を参考にしてください。

>>フードバンクへ寄付するには?食品ロス削減を支援できるNPO5選

食品ロス(フードロス)の現状を知ったうえで私たちにもできる支援とは


先進国では、過剰に生産され余った食糧が廃棄される一方で、後進国や途上国など第一次産業を主に収入源としている国では、貧困や気候変動、紛争など様々な理由で食糧が不足しています。

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>>開発途上国の貧困問題解決に取り組む、おすすめの寄付先の紹介記事はコチラ

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