住み続けられるまちづくりを

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲットとなる「スラム」の実態とは

都市部では多くの人が住み、様々な恩恵を受けています。日本でも東京を中心として都市がいくつも存在し、そこでは様々なサービスなどを受けることができます。

これは世界でも共通ですが、途上国では都市部やその郊外にいるものの収入があまりなく、最低限の生活しか送れない人が存在しており、その人々によるスラム街が形成されています。

スラムの問題を対処するために、国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では目標11「住み続けられるまちづくりを」というものが掲げられ、様々な取り組みが行われています。

この記事では「スラム」の実態や問題について紹介します。

持続可能な開発目標・SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲットや現状は?

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SDGs目標にある「スラム」とは


現在世界人口の約半数以上は都市部で生活しています。都市部では財やサービス、交通手段などを効率的に提供することができるため利便性が高く、技術革新や経済成長といったチャンスが広がることから、多くの人が移住してきます。

このままいけば2030年には6割の人々が都市部に居住すると予想されていますが、一方で人口の急速な増加により適切な管理が難しくなる都市も存在し、生活の安全面や環境面などで深刻な問題を引き起こし、都市部に住む貧困層の生活はさらに厳しいものとなります。

そのような問題を解決するため、世界で協力して取り組む目標として、国連では持続可能な開発目標(SDGs)を採択し、都市すべてで人々に快適かつ便利な生活を提供し、持続的な開発が可能になるための方向性を示しています。

それがSDGsにおける目標11「住み続けられるまちづくりを」であり、10のターゲットを定めて取り組まれています。

特に世界で大きな問題となっているのが、都市部に存在するスラムの問題であり、貧困層を含むすべての人々が適切で安全、安価な住宅へアクセスできることが目指されています。

  • 都市部に住む貧困層の生活問題などを解決するため、国連では持続可能な開発目標(SDGs)を採択
  • 都市すべてで人々に快適かつ便利な生活を提供し、持続的な開発が可能になるための方向性を示しているものがSDGsにおける目標11「住み続けられるまちづくりを」である
  • 特に世界で問題となっているのが都市部に存在するスラム問題

  • (出典:国際開発センター「目標11 住み続けられるまちづくりを」,2018)

    スラムの実態(アフリカ最大のスラム街キベラ)

    都市部には様々な人が移り住んできます。都市にある技術的あるいは経済的チャンスを求めてやってきますが、すべての人がチャンスをものにできるわけではありません。

    また働き口を見つけるため、雇用が多い都市部に出稼ぎにくる人もいます。そうして都市部には人が集まり、上手く収入を得られない貧困にあえぐ人々がいつしか集まってスラム街ができあがります。

    すべてではないものの世界の様々な都市にスラム街は存在し、特に新興国や途上国にはその傾向が見られます。

    これはその都市をもつ国の政府が都市計画を進めていく上で、十分な対策がなされないなど、理由はいくつかありますが、スラム街は都市の発達と共に所得格差や経済格差によって生まれます。
    スラム街の中でも特に大規模なものがケニアにあるキベラスラムです。このスラム街を例に、どのような環境で社会が形成されているのか見ていきましょう。

    キベラスラムの成り立ち

    ケニアにある都市ナイロビは人口300万人を超える大都市であり、その都市郊外には出稼ぎ民による居住地区があります。

    ここは19世紀末にスーダン南部からイギリスが強制連行してきたヌビア人傭兵のために作られた軍用居留置でしたが、1940年代以降から不法占拠が行われ、出稼ぎ街となりました。
    これがナイロビ南部のスラム街であるキベラ地区です。

    なぜ出稼ぎ街になったのか、それは植民地政府が計画的な都市開発を推進した際、ヌビア人は抵抗し、キベラで無許可の長屋を作ったためです。

    この長屋をルオ(※1)などの出稼ぎ民に貸したことで人口が急増し、現在は推定100万人規模のスラム街となりました。

    キベラはナイロビとキスムという街を結ぶ鉄道の線路沿いにあり、その線路脇では様々な日用品を売る屋台のような簡素な店が軒を連ねています。
    廃タイヤからゴム草履、フライパンから廃材まで、様々な資材をリサイクルして製造・販売をしています。

    あるいは仕立屋や美容院といった女性が活躍する商売など多種多様な仕事が混在している状態で、インフォーマルセクター(※2)な経済活動が発達しています。

    ※1 ルオ(ルオ族):ケニアを中心に、南スーダンからタンザニアにかけて居住する一民族
    ※2 インフォーマルセクター:行政の指導の下で行われていない経済活動であり、国の統計や記録に含まれないもの

    スラムの衛生環境

    キベラスラムは病院や公立小学校はなく、キリスト教会やNPO、NGOなど支援団体によって運営されている非公式な小学校があるだけです。

    水道基盤についても比較的経済力のある一握りの人が水道を引き、その人から多くの人が水を購入して生活しています。その水も安全に管理されているとまでは言えず、基本的な用途ができる水でしかありません。

    トイレも限られており、20~40世帯に1つのトイレがあるくらいで長屋で共用であり、トイレが無い場合は公衆トイレを有料で使用するため、経済的にも公衆衛生上でも問題があります。

    何よりもキベラの至る所にごみが散乱している状況で、とても衛生的とは言えません。
    特に急増しているのは先進国から出るプラスチック製品の輸入により、国内のごみ処理機能が追いついておらず、このようなスラム街に投棄されるという問題が起こっています。

    トイレが少ないのはキベラスラムがある岩盤に問題があります。岩盤は固く、トイレを作るためにはここを掘削しなければならないため、家を建てるより建設費がかかることが要因になります。

    上下水道も整備が不十分なため、雨季には溢れだした汚水がスラム街に流れ込み、強烈な臭いを充満させるだけでなく、感染症などのリスクも上げることになります。

    スラムで形成される地域社会

    キベラでは長屋の部屋を借りることになるため、6畳程度の広さの部屋を月額1,500ケニアシリング(およそ1,800円)で借り、電気代を月300ケニアシリング(およそ360円)家主に払って生活しています。
    この電気も正規のものではなく、家主が電線から勝手に線を引いて盗電したものであり、キベラではそれが日常茶飯事だとされています。

    キベラの仕事は多種多様ですが、それもインフォーマルセクターであることから、収入は安定しておらず、仕事があれば良いですが、ない場合はギリギリの生活を強いられることも多いです。

    先述したように、比較的経済力のある人はわずかであり、スラム街に住む多くの人は稼ぎがないことにより、まともな生活ができない人もいます。

    キベラスラムを例に実態を紹介しましたが、その規模に違いはあれど、多くのスラムで似たような環境が形成されています。
    場所によってはまともな経済活動ができず、屋根のある住まいにさえ住めないスラムもあり、さらに過酷な環境が広がっている地域もあります。

  • スラム街の中でも特に大規模なものがケニアにあるキベラスラム
  • 20~40世帯で一つのトイレを共用するなど衛生的にも経済的にも問題がある
  • 場所によっては屋根のある住まいにすら住めないスラムもあり、さらに過酷な環境が広がる地域もある

  • (出典:J-STAGE「ケニア・ナイロビのスラム街キベラにおけるトイレを中心とした衛生環境と地域社会」,2016)
    (出典:外務省「スラム街の生活」)

    SDGs目標達成に向けたスラム街に対する世界の取り組み

    このようなスラム街の現状はかなり前から世界に存在しています。そういった問題に対処するため、1976年にバンクーバーで開催された国連人間居住会議で、人権居住宣言を採択し、1978年には国連人間居住委員会およびその事務局として「国連人間居住センター」を設立しました。

    さらに2001年の国連総会には、このセンターの地位と機能の強化が決議され、翌2002年1月には国連人間居住計画(国連ハビタット)へと改名されました。

    この国連ハビタットは都市法制やガバナンス、都市計画、都市経済や財政、土地問題、スラム・住宅問題、上下水道・交通・廃棄物処理場などの都市基盤整備など都市と居住に関しての様々、且つ広範な課題に対して、調査や研究、指針の作成、情報交換などの活動を行っています。

    実際にキベラスラムに対して、ケニア政府と協力し、スラムの住民をスラム外の新住居に移住させ、スラム街を解消する計画が実行されています。

    ただこれも課題があり、身分証明書を持っている人は新住居に入居できるものの、貧困のため病院で生まれなかった人は身分証明書を持っておらず、スラムから閉め出されてしまい、住居を失うという現状が生まれています。

    また国連人間居住計画は2014年から2016年の間に3回の国連人間居住計画会議を行い、アジア・太平洋地域内の課題の議論や、幅広い人間居住に係る課題の解決に向けた国際的な取り組み方針である「ニュー・アーバン・アジェンダ」について採択を行っています。

  • 1978年、都市基盤整備など都市と居住に関しての様々、かつ広範な課題に対して、調査や研究、指針の作成、情報交換などの活動を行う「国連人間居住センター」(後の国連ハビタット)を設立
  • キベラスラムに対しては、スラムの住民をスラム外の新住居に移住させ、スラム街を解消する計画が実行されている
  • また、国連ハビタットは「ニュー・アーバン・アジェンダ」について採択を行っている
  • (出典:外務省「国連人間居住会議(国連ハビタット)」,2018)
    (出典:外務省「国連人間居住計画概要(PDF)」,2016)
    (出典:国土交通省「第三回国連人間居住会議-ハビタット3について―」)

    SDGs目標達成に向けてすべての人が安全で快適な生活を送れるようにしよう


    現在開発途上国では多くの都市でスラム居住者が存在し、最低限の生活しか送れない日常を過ごしています。

    これはその国の問題だけでなく、世界の問題であり、スラムの問題が解決されなければ、途上国の、そして世界全体の経済発展は見込めません。

    そのためSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」では第1のターゲットにこの問題を掲げ、対策を講じるよう世界中に求めています。途上国だけの問題とせず、先進国もこの問題に協力し、解決できるように動く必要があります。

    私たちが直接スラムの問題に取り組むことは難しいですが、関連機関や支援団体といった組織に、協力できることはあります。
    スラムの問題について理解を深め、できることから始めてみるのも良いかもしれません。

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