日本は貿易大国であり、様々な国から資源や製品を輸入しています。これは世界でも同様に行われており、貿易相手同士は公平な取引が行われることを望みます。
しかし、実際には先進国と途上国の間で格差があり、不公平な貿易が行われていました。
そのような状況を改善するために、世界では「フェアトレード」と呼ばれる運動が始まり今は拡大を続けています。
国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)には目標10「人や国の不平等をなくそう」が掲げられていますが、その目標達成に向けた取り組みはフェアトレードも関連しています。
この記事では「フェアトレード」について紹介していきます。
持続可能な開発目標・SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」のターゲットや現状は?
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SDGs目標達成に向けて人や国の平等をなくすために
世界に住む人々はあらゆる面で平等であるべきですが、実際には一国内あるいは国家間の不平等が存在し、問題となっています。
それは性別や年齢、障害、人種、民族などを理由とした差別は、その国の中の所得格差の是正を阻害する要因になります。
そういった差別における収入の不平等をなくすためには、機会均等を図る必要があり、先進国と途上国の間の経済格差を是正するためには、途上国への資金流入の促進や途上国が輸出する品目への特別な待遇が求められます。
これは、これまでに行われていた途上国と先進国との間の貿易において、途上国から輸出される品目が公平ではない低い価格で売買が行われ、途上国の発展に大きな妨げとなり、経済格差が是正されていない現状が要因となっています。
そこで持続可能な開発目標(SDGs)では、貿易などによる経済格差も含め、目標10に「人や国の不平等をなくそう」と掲げ、ターゲットを定めて世界各国で取り組みが行われています。
特に貿易関係においてはターゲットの10.aで世界貿易機関(WTO)協定に従った開発途上国への特別、且つ異なる待遇の原則を実施することを各国に求めています。
(出典:国際開発センター「目標10 人や国の不平等をなくそう」,2018)
開発途上国を守るフェアトレードとは
世界の経済格差を是正するため、また公平な貿易を行うために格差がある先進国と開発途上国の間の貿易では特別な待遇が求められています。
ただそれは国家間の話であり、貿易においては製品を販売する者と消費者が存在し、その両者がお互いに対等であることが必要となります。
このように対等な取引関係を達成するためのパートナーシップによる貿易が「フェアトレード」というものになります。
フェアトレードでは輸入業者であるフェアトレード団体が生産者と共に製品開発を行い、彼らに技術指導を行って、出来上がった製品を適正な価格で輸入し販売します。
これまでの貿易では取引関係には大きな格差があり、世界貿易のシステムやWTOは先進国にとって有利な形となっていました。
また世界貿易システムにおいては、商品そのものがどのような過程、条件で作られているのか考慮されていませんでした。
他にも児童労働、環境破壊などを代償として作られた製品が含まれていたとしても関係なく、自由な紡績を最優先する仕組みとなっている問題もありました。
そこで世界フェアトレード機関(WFTO)という組織がフェアトレードについて基準と定義を定め、適正なフェアトレードが行われるよう、条件・システム作りが行われました。
フェアトレードの基準・原則
フェアトレードは10項目の基準・原則を設けられています。
フェアトレードの定義についてはWFTOの他に、国際フェアトレードラベル機構(FLO)、や国際フェアトレード団体、4団体が設立した国際的フェアトレード・ネットワークFINE(FLO、IFAT、NEWS!、EFTAの総称)などがありますが、どこも共通しています。
WFTOが提唱するフェアトレードの10項目はフェアトレードを推進する組織が従うべき原則として、以下のように定められています。
- 経済的弱者である生産者に機会を与える
- 透明性と説明責任
- フェアトレードの実行
- 公正価格
- こどもの労働、強制労働のない社会
- 差別のないこと、男女平等、女性の経済的・社会的地位の向上、そして結社の自由への誓約
- 適切な職場環境の確保
- キャパシティー・ビルディング(能力強化)の提供
- フェアトレードの推進
- 環境への配慮
経済的弱者である生産者に機会を与える
フェアトレード組織は貿易を通した貧困削減が主な目的となっています。そのためフェアトレードを通じて阻害された自営業や家族営業、小規模生産者を支援し、貧困や収入が不安定な状態から抜け出し、経済的な自立と所有権を得られるように計画を作成しなければいけないとしています。
透明性と説明責任
フェアトレード組織は経営や通商関係においての透明性を持っており、すべての出資者に対して説明義務、提供された商業的情報の機密性と守秘義務を持ちます。
また従業員や生産者を意思決定のプロセスに関与させる適切な参加型の方法を採用し、有効な情報が貿易相手すべてに提供されるように保証しなければいけません。
そのためすべてのサプライチェーンでの意思疎通ができる関係を構築・保全を行います。
フェアトレードの実行
フェアトレード組織は孤立している小規模生産者の社会的あるいは経済的、環境における福利に配慮した貿易を行うことを目的とし、実行しています。
購入者は経済的不利益を被っている生産者や供給元などを一人ひとり把握し、領収書通りに注文が支払われていることなど、付属のガイドラインに基づいて確認する必要があります。
フェアトレードの振興や成長のもとなる連帯感や信頼性、そして相互尊重に基づいて、長期的な関係を目指すと共に、貿易相手同士の有効的なコミュニケーションを目指しています。
またフェアトレードは工芸品のデザインや食料品、あるいは関連事業に反映されている小規模生産者の文化的アイデンティティー、伝統技術を尊重、助成し、保護するとしています。
公正価格
フェアトレードにおいて公平な貿易を行うためには、価格設定は必須です。公正価格の設定は話し合いと参加を通して相互合意で決定されます。
その結果生産者が公正な支払いを受けることを可能にし、市場において設定価格が維持されます。
フェアトレードのマーケティングや輸入組織は、生産者からの要請に応じて、生産能力の造成をサポートし、公正価格が設定できるようにしています。
こどもの労働、強制労働のない社会
生産グループから直接、あるいは代理人を通してフェアトレード製品を購入する際、強制労働者が生産に利用されていないことや、児童の権利に関する国際条約、労働に関する国内・地域法令を生産者が守っているかを確認します。
子どもの関与に関して、常に公表やモニタリングを行い、子どもの幸せや安全性、教育要件などに悪影響を与えないようにしています。
差別のないこと、男女平等、女性の経済的・社会的地位の向上、そして結社の自由への
誓約
公平な貿易において差別も行われてはいけません。あらゆる面での差別をなくし、すべての従業員が自身の判断で労働組織を結成し、加入、そして交渉することを認めています。また従業員の代表が職場において差別を受けないよう保証もなされています。
適切な職場環境の確保
フェアトレード組織は、従業員などの安全で健康な職場環境を提供するだけでなく、購入先のグループの健康や安全性を意識し、生産者グループの健康と安全を強化することにも努めています。
キャパシティー・ビルディング(能力強化)の提供
フェアトレードにおける阻害された小規模生産者の人たちが成長するためには、プラスの影響を与える必要があります。
そのため従業員や社員の能力、スキルの強化に力を入れ、生産者の経営スキル、生産能力、地方や地域、海外、フェアトレード、主流な市場へのアクセスなど、特定の仕事や活動を手助けしています。
フェアトレードの推進
フェアトレードによる公正な貿易は、世界全体に広げていかなければいけません。そこで組織の規模に応じたフェアトレードの目的や活動を呼びかけ、顧客に製品や市場、生産グループなどの情報を提供することで、誠実な広報と営業活動を常に行っています。
環境への配慮
フェアトレードが行われるようになっても、それが環境破壊の代償に作られたものでは意味がありません。
フェアトレードの製品が環境に配慮されて作られたもの、持続可能な原料を元に製造した製品を購入者や輸入業者が優先して購入するようにしています。
また、生産者にも可能な限りの有機製法や無農薬栽培の利用により、環境への影響を最小限に留めるよう求めています。
(出典:外務省「フェアトレードで世界を変えよう」)
(出典:世界フェアトレード機関「フェアトレードにおける10原則」,2020)
(出典:World Fair Trade Organization (WFTO)「10 PRINCIPLES OF FAIR TRADE」,2020)
フェアトレードを必要としている製品と市場の拡大
現在、フェアトレードの市場規模は広がりつつあります。
フェアトレードを必要としている品目はコーヒー豆やカカオ、コットン製品、切花、茶などが挙げられます。
どれも開発途上国の輸出品であり、人々の生命線となっている製品ですが、これらは不公平な貿易によって安く買い叩かれ、生産者は適正な収入を得られない状態にありました。
そこでフェアトレードを推進する組織は先述した10の原則、そして国際フェアトレード基準(※1)などを元に適正な価格と公正な貿易を行えるよう働きかけています。
また、製品には認証ラベルなどを設け、それらがフェアトレードとして購入されたものであることを証明し、消費者に購入を後押しできる仕組みも作り上げています。
これにより世界市場の規模は拡大し、日本でもフェアトレード市場は拡大を続けています。
2017年に発表された国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)(※2)のレポートによれば、日本での2016年の市場規模は、対前年比13%増の113億6千万円まで拡大したというデータが発表されました。
また、130ヶ国以上の消費者がフェアトレード製品に約78億8,000万ユーロを費やしました。
10年前と比較して約5倍となり、この大幅な売り上げの増加は、2017年時点で73カ国で160万人以上の生産者と労働者に利益をもたらしています。
フェアトレードを推進する国際的組織の活動や、貿易国の意識の変革によって、公正な貿易が広がりつつあります。
※1 国際フェアトレード基準:国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)によって設定されるフェアトレード全般に関する基準
※2 国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International):1997年、当時各国に展開されていた日本を含む14のラベル(フェアトレードラベル)推進組織によって設立された組織
(出典:フェアトレード・ジャパン「フェアトレードとは?」)
(出典:フェアトレード・ジャパン「フェアトレードの広がり」,2017)
SDGs目標達成のためフェアトレードへの理解を深めよう
フェアトレードの動きは世界各国で見られており、日本でも「フェアトレードタウン」と呼ばれる街ぐるみの運動が行われている地域もあります。
始まったのは2000年のイギリスからですが、日本では2011年に、熊本市がアジア初となるフェアトレードタウン運動を開始しました。
このようにフェアトレードの取り組みは身近なところにまで広がりつつありますが、最終的には消費者がその製品を手に取って購入しなければ、広がってはいきません。
フェアトレードの製品は認証ラベルも貼られているため、すぐに分かります。
私たち一人ひとりができる取り組みとして、普段購入するものの中でフェアトレードで輸入された製品を購入することで、途上国の生産者を手助けすることができます。
SDGs目標10には「人や国の不平等をなくそう」という目標もあるため、それに関連するフェアトレードは世界でも今後さらに広がっていきます。
世界をより良くするためにも、まずはできることから始めましょう。
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