現在、地球の70%を占める海が海洋酸性化による影響を受けています。
海洋は、地球温暖化への影響が最も大きいとされる二酸化炭素を大気から吸収しているため、海洋酸性化が世界規模で進行しています。
特に近年、海洋酸性化に伴いサンゴやプランクトン等の海洋生態系に影響が及んでおり、地球温暖化は海の様々な生態系、多様性に多大な悪影響を及ぼしています。
この記事では海洋酸性化に焦点を当て、現状や海の豊かさを守るための対策について説明します。
(出典:気象庁「国民の安全・安心を支える気象業務」)
持続可能な開発目標・SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」のターゲットや現状は?
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海洋酸性化とは
海水中の二酸化炭素濃度が高まり、海水のpHが長期間にわたって低くなる現象、すなわち水素イオン濃度指数の低下が海洋酸性化です。
第一の原因は、私たち人間が排出する二酸化炭素を海洋が吸収することによって引き起こされます。
一般的に海洋のpHは弱アルカリ性で、海面あたりは約8.1、水深1000m付近では7.4と低くなります。それは水深が深くなるにつれて有機物が分解され、酸素が消費されるからです。
また、海洋に吸収された二酸化炭素は、生物活動や海洋の循環によって海洋内部に運ばれ、海洋中の二酸化炭素蓄積量が増えることも指摘されています。
2020年時点の気象庁の推定によると、海面のpHはここ10年で約0.2低下しています。
pHの0.1の低下は水素イオン濃度で約26%の増加に相当します。
人間が放出する大量の二酸化炭素によって引き起こされる海洋酸性化が進むと、海水中の炭酸カルシウム飽和度が減少し、石灰化生物(貝類やサンゴなど炭酸カルシウム骨格を形成する生物)の骨格形成が難しくなります。
多様な生物が住むサンゴ礁生態系の中心を担うサンゴが減少してしまうと、他の多くの周辺生物が多大な影響を受けます。
(出典:気象庁「海洋酸性化」)
(出典:気象庁「表面海水中のpHの長期変化傾向(北西太平洋),2020」)
海洋酸性化の現状とは
IPCCによると、「産業革命(1750年代)から現代までに表面海水中のpHは全海洋平均で0.1低下しており、今世紀末までにさらに0.065から0.31低下する」と予測されています。
ハワイ近海の水深約250mではpHの低下速度が最も速く、海洋酸性化が進行しており、大西洋でも海洋内部でのpHの低下が報告されています。
西部北太平洋においても、Midorikawa et al. (2010)の報告によると、1983年~2007年の表面海水中のpHの平均低下速度が、冬季に10年あたり−0.018±0.002、夏季に10年あたり−0.013±0.005でした。
北太平洋亜寒帯域、南大洋・地中海などでも、海面のpHが下がっていることが報告されています。
このように海洋酸性化は世界中の海において、海水の表面と内部の両方で進行していると考えられます。
また海洋酸性化は、今後大気中へ排出される二酸化炭素の増加に伴い進んでいくと言われていますが、海洋酸性化の進行についてまだ実態はよく分かっていません。今後の研究による科学的な知見の集積が待たれます。
(出典:気象庁「海洋の二酸化炭素濃度の長期変化傾向」)
海洋酸性化が海に与える影響
海洋酸性化が自然界に与える影響について見てみましょう。
IPCCによると、海洋酸性化により海水中の化学的な性質が変わり、海洋の二酸化炭素を吸収する能力が低下すると言われています。
二酸化炭素を吸収する能力が低下すると、大気中の二酸化炭素の割合が増えるため、地球温暖化が加速します。
また、植物・動物プランクトン、サンゴ、貝類や甲殻類などの成長や繁殖に影響が及び、海洋の生態系に大きな変化が起きることが懸念されます。
海洋生態系への影響
植物プランクトンの円石藻、原生動物の有孔虫、棘皮(きょくひ)動物(貝類、ウニなど)、サンゴなど、さまざまな海の生物は海水から水に溶けにくい炭酸カルシウムの骨格や殻を作っています。
しかし海洋酸性化が進み、海水中の水素イオンが増えると炭酸カルシウムの殻の形成が難しくなるのです。
炭酸カルシウムにはアラレ石や方解石といった結晶形があり、同じ炭酸カルシウムでも化学的性質としてアラレ石の方がpHの低下によって溶解しやすく、アラレ石の殻や骨格を持つ生物の方が、海洋酸性化による影響をより深刻に受けます。
IPCC(2013)の予測では、アメリカ西海岸や北極海などで10年以内、南大洋の一部では10~30年以内に、季節的にアラレ石飽和度が100%を下回るとされています。
海洋の二酸化炭素吸収能力の低下
IPCC(2013)は海洋酸性化が進むと、海水中の化学的な性質が変化するため、海洋の二酸化炭素吸収能力の低下も指摘しています。
海洋が大気から二酸化炭素を吸収する能力が低下すると、大気中に残る二酸化炭素の割合が増え、今以上に地球温暖化が加速することが懸念されています。
(出典:気象庁「海洋による二酸化炭素の吸収・放出の分布」)
(出典:気象庁「海洋酸性化の影響」)
海の豊かさを守るために海洋酸性化への対策をしよう
世界気象機関(WMO)は、大気中の二酸化炭素濃度が異常値を示し、2016年には過去最高を記録したことを発表しました。
温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析によると、2018年の世界の二酸化炭素平均濃度は前年と比べて2.3ppm増えて407.8ppmとなっており、年々濃度が高くなっているのが現状です。
海洋酸性化対策としてまず取り組まなければならないことは、二酸化炭素の排出量を減らすことや化石燃料を使わない低炭素社会づくりが急務です。
SDGsの目標14では、「海の豊かさを守ろう」を目標として、海洋と沿岸の生態系を持続可能な形で管理し、陸上活動に由来する汚染から守ると共に、海洋酸性化の影響に対して対策を取ることに取り組んでいます。
そして海洋酸性化に関しても以下のように明示しています。
「あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し対処する。」
海洋酸性化が全世界で進行していることを受け、日本の気象庁が平成29年11月、世界で初めて全球の海洋酸性化の監視情報について提供を開始しました。
それは気象庁観測船の観測データをはじめ、国際的な観測データを用いた全球の表面 海水におけるpHの解析手法の進歩です。
その手法を用いて、1990年以降のpHを解析したところ、全球平均のpHは、1990年以降約0.05 (10年あたり0.018)低下していることが判明しました。
記事内でも紹介した、IPCC(2013)の発表の「産業革命以降の約250年間に、 pHは全球平均で約0.1低下(10年あたり約0.004低下)した」よりはるかに速いことが分かりました。
今私たちができる対策は、地球温暖化を食い止めることです。
そのためには、二酸化炭素の排出量を減らすために化石燃料の消費を抑えた低炭素社会づくりが重要になってきます。
二酸化炭素はすぐに0にすることはできませんが、一人ひとりが意識することで減らすことができます。
まずはできることから始めてみましょう。
(出典:気象庁「二酸化炭素濃度の経年変化」,2020)
(出典:気象庁:「海洋の健康診断表」)
(出典:気象庁:「海洋酸性化が全球で進行していることが分かりました」,2017)
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