SDGsの「つくる責任つかう責任」は生産と消費のパターンを変えることを目標にしています。
現在の私たちの生産・消費パターンは地球環境に対して過度に負担を強いており、このまま同じ生産・消費パターンを繰り返していると、貴重な地球資源が枯渇してしまう可能性があります。
そこで注目されているのが、エシカル消費という考え方です。
現在、この考え方を普及させるための様々な取り組みも行われています。SDGsの目標「つくる責任つかう責任」達成に向けて効果が期待されているエシカル消費について、わかりやすく解説します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲットや現状は?
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エシカル消費(倫理的消費)とは?
SDGsの目標12では、「つくる責任つかう責任」として、生産と消費のパターンを変えることによって、天然資源や有害資源などの利用、廃棄物や汚染物質の排出を最小限に抑えることを目指しています。
この目標を達成するには、私たちの生産と消費のパターンを変える必要があります。
そこで注目されているのが、エシカル消費(倫理的消費)という考え方です。
エシカル消費は、簡単に言えば、消費者である私たちが進んで環境や社会に配慮して生産された商品やサービスを購入することです。
エシカル消費には、環境に配慮していない企業や人権に配慮しない企業などの商品をボイコットするという行動も含まれています。
エシカル消費は、イギリスで1990年代後半から発達してきた考え方で、イギリスのNPOのECRA(Ethical Consumer Research Association)は、環境保護や社会的貢献に基づいてエシカル消費度合いをランク付けしています。
日本でも、輸入水を販売している会社が売上代金の一部を国連機関に寄付するキャンペーンを展開したことによって、エシカル消費という考え方は広がりをみせました。
2015年3月に閣議決定された消費者基本計画では、エシカル消費を「地域の活性化や雇用なども含む、人や社会・環境に配慮した消費行動」と定義しており、SDGsの目標12を達成するために重要な考え方であるとして位置づけています。
エシカル消費の意義
エシカル消費は、私たちが社会・環境・人権などに配慮した商品やサービスを消費するようになることで、生産者側の生産パターンを変えていくことができるという点に意義があります。
私たちが積極的にそのような商品やサービスを消費するようにすれば、社会・環境・人権などに配慮しない商品やサービスは売れなくなり、市場から退場していきます。
結果として、社会・環境・人権などに配慮した商品やサービスが市場に残るようになり、私たちの生産と消費のパターンが変わっていきます。
私たちが消費行動を変えることがきっかけとなり、生産と消費のライフサイクル全体を通じて、持続可能な社会へとシフトすることが可能です。
エシカル消費がいいと言われる理由
エシカル消費は、消費者それぞれが社会的課題や環境問題を考慮した消費活動を行うことができ、私たちの身近から始めやすい行動として注目されています。
また、企業側として、社会・環境・人権に配慮した商品やサービスを消費者にアピールすることで、そうした商品やサービスを消費したい人に対して自社の製品やサービスを訴求することができます。
消費者と生産者間が結びついて消費と生産のパターンを変えることで、持続可能な社会をつくることができるという点で、エシカル消費は誰でも取り組める身近なアクションの一つです。
エシカル消費を普及するための日本の取組み
日本でも、エシカル消費を普及させるために、様々な取り組みが行われています。
日本で行われているエシカル消費の代表的な取り組みについて紹介します。
エシカル・ラボ
エシカルラボとは、地域の活性化や雇用なども含む、人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費(倫理的消費)の意味や必要性などについて広く普及し、地方公共団体による主体的な普及・啓発活動の促進を目指すことを目的として開催されているシンポジウムです。
このシンポジウムは消費者庁が管轄し、様々な都道府県との協力を得て実施されています。消費者庁では、2015年5月から2017年3月まで、倫理的消費調査研究会を開催し、倫理的消費の内容やその必要性について検討が行われました。
その結果は同年翌月に取りまとめられ、エシカルラボを地方で開催することで、各地域において倫理的消費の関心を高め、議論を行うことが必要であるとされました。
それを受けて、第1回のエシカルラボは「エコプロダクツ2015」期間中の東京ビッグサイト会議棟で行われ、第2回以降は各地方において実施されています。
今後も広く、エシカル消費に関する普及・啓蒙活動が行われていく予定です。
全国でワークショップを開催
記事執筆時点では霞が関の府省庁などが連携して、文部科学省を中心に毎年夏休みに行っている「こども霞が関見学デー」の中で、消費者庁は子どもたちに向けたエシカル消費のためのワークショップとして、「世界を変える”スーパー”ヒーローになる方法」を実施しています。
ワークショップでは、スーパーマーケットに見立てた会場で、地球温暖化や貧困、児童労働など、世界が抱える様々な課題解決につながる商品を探すゲームが行われました。
社会・環境・人権に配慮した商品には、認証マークや認証ラベルが貼られ、手にした商品の生産地や製造工程、環境への影響などについても考えるきっかけにつながったとされています。
未来を担う子どもたちが、倫理的消費の考え方を正しく理解していけば、将来的に生産と消費のパターンを変えることができるようになるかもしれません。
(出典:消費者庁公式サイト 「世界を変える“スーパー”ヒーローになる方法」)
日々の生活でもエシカル消費を意識してみよう
エシカル消費の考え方は、非常にシンプルです。私たちが、社会・環境・人権に配慮した商品やサービスを消費するようになれば、生産者側も社会・環境・人権に配慮した商品やサービスを作るようになり、生産と消費のパターンも変化するということです。
この取り組みは、私たちの身近なところからでもできます。たとえば、毎日の買い物のときに、環境に配慮された製品を購入するだけでも、エシカル消費の考え方を実践したことになります。
エシカル消費は、日々の生活のなかから取組むことによって、生産と消費のパターンが変わり、持続可能な社会が実現するかもしれません。
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